コミュニケーションエラーとは、コミュニケーションに関する様々なミスなどによって、送り手側の意図・要望が受け手側に伝わらない状態のことです。
エラーは情報不足や誤情報、バイアスなど様々な原因によって発生するため、フレームワークやツールなどを活用しつつ対策を講じていくことが大切です。
今回は、コミュニケーションエラーの原因やリスク、防止するための対策などについて解説していきます。
コミュニケーションエラーとは
コミュニケーションエラーとは、コミュニケーションに関するミスや先入観、誤情報などによって、送り手側の意図や要望が受け手側に伝わらない状態を指します。
コミュニケーションエラーの原因は様々で、情報の発信者である「送り手側」の問題だけでなく「受け手側」に問題がある場合も少なくありません。近年は、フェイクニュースなどの誤情報も大きなリスクとなります。
「たかが伝達ミス、聞き間違い」と思われるかもしれませんが、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションエラーは、生産性の低下や顧客からの信用低下などにつながる恐れもあり、軽視できないリスクといえるでしょう。

コミュニケーションエラーが引き起こすリスク・問題
ビジネスにおいて、コミュニケーションエラーは「生産性・業務効率の低下」「トラブルの原因」「コミュニケーションの停滞」といったリスク・問題を引き起こします。それぞれ確認していきましょう。
生産性・業務効率の低下
コミュニケーションエラーが引き起こす最たるリスクとして、生産性・業務効率の低下が挙げられます。
「誤った情報に基づいて仕事を進めてしまい、作業が水の泡になる」「聞き間違いによる誤発注で、大量の在庫を抱える」など、コミュニケーションエラーは様々なムダにつながります。
ちょっとした二度手間も業務効率を下げるだけでなく、仕事へのモチベーションを下げる原因となりますので軽視してはいけません。
トラブルの原因になる
コミュニケーションエラーはトラブルの原因になります。いわゆる「言った・言わない」の争いはコミュニケーションエラーの典型であり、メンバー間の不和につながります。
また、同様のコミュニケーションエラーが取引先や顧客とのあいだで発生すると、組織の信用が損なわれる恐れもあります。近年はSNSでの炎上によって問題が拡大する場合もあるため、そのリスクは昔よりも高まっているといえるでしょう。
コミュニケーションの停滞
コミュニケーションエラーは、組織内のコミュニケーションの停滞を招きます。コミュニケーションエラーが続くことで「口は災いのもと」「どうせ言っても伝わらない」といった消極的な姿勢が広がり、報告や相談なども疎かになっていくわけです。
こうなってしまうとますます業務効率が低下し、報告漏れなどによる新たなトラブルを招くという悪循環に陥ってしまいます。

コミュニケーションエラーが起こる原因
コミュニケーションエラーを防止したいのであれば、その原因について理解しておく必要があります。原因は送り手側・受け手側それぞれにあるので注意しましょう。
情報不足によるエラー
送り手側の問題の代表例として、情報不足によるエラーが挙げられます。
伝達すべき情報があるにも関わらず、言葉足らずな表現などによって情報が不足し、送り手側と受け手側で誤解が生まれてしまうわけです。
情報不足になってしまう原因は、相手への配慮不足や曖昧な表現など様々ですので、送り手側が意識改革と、情報伝達についてのスキルアップに励むことが大切です。
伝達側の思いこみによるエラー
「情報不足によるエラー」と密接に関わるのが、伝達側の思いこみによるエラー……いわゆるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)です。
「これくらいわかるだろう」「以前にも伝えたはずだ」といった思い込みのせいで、情報不足によるエラーを引き起こしてしまうわけです。「言った・言ってない」の問題もここに当てはまります。
とくに上司から部下への伝達でこのエラーが生じると、部下側に責任転嫁される場合が多く、非常に厄介な問題といえるでしょう。
また「誰かが伝えるだろう」といった他人任せの思い込みも、伝達側で頻発するエラーのひとつです。
誤情報によるエラー
送り手側・受け手側ともに知識・経験が不足している場合などで、誤情報によるエラーが増加します。情報の典拠を確認できず、真偽を精査しないまま情報が共有されてしまうためです。
簡単にいえば、「知識不足で情報が正しいのか判断できない」「誰が言っていたか確かめる時間がない」といったときに誤情報によるエラーが発生します。
また近年、AIの進化やSNSの普及などを背景にフェイクニュースが増加しているため、ますます危険度が高まっています。
バイアスによる誤認エラー
人間の意思決定時の脳の働きによって引き起こされるのが、バイアスによる誤認エラーです。バイアスは「先入観・偏見」「傾向の偏り」という意味があり、誰しもが判断を下す際に少なからず生じてしまうものです。
バイアスの最も有名な例として、災害時の正常性バイアスが挙げられます。異常事態に直面した際、「これは正常な出来事だ」と判断することで心の安定を保とうとする作用のことで、災害時には「自分だけは大丈夫」と考えてしまい、避難の遅れにつながります。
主に情報を受け取った側に起こるエラーですが、送り手側がバイアスによって誤った情報を発信してしまう例も少なくありません。
なお、バイアスについては「ビジネスにおけるバイアスの種類とその対策」でも詳しく解説しています。
確認不足によるエラー
受け手側の確認不足もコミュニケーションエラーの主要な原因となります。「わからないことがあれば聞く」は当たり前のことではありますが、心理的抵抗や時間的な問題によって確認不足になる例は少なくありません。
とくに問題なのが、受け手側が「こんな質問をしたら仕事ができないと思われるかも」「聞き返すと怒られる」といった不安を感じて確認できない場合です。これは受け手側の問題というより、職場環境や送り手側の態度の問題と捉えたほうがよいでしょう。
聞き逃し・見落としによるエラー
受け手側の問題として最も単純かつ厄介なのが、聞き逃し・見落としによるエラーです。
送り手側に落ち度がなかったとしても、受け手側が「上の空で聞いていなかった」「メールを見落としていた」といったミスを犯すとどうしようもありません。
受け手側の単純なミスであるがゆえに、送り手側がリマインドの連絡を行うといった地道な対策を講じることが大切です。
多忙によるエラー
ここまで解説したエラーとも深く関わるのが、多忙によるエラーです。
「多忙によって連絡を見落とす」「時間的な余裕がなく情報の真偽を確認できない」など、多忙は送り手側・受け手側ともにコミュニケーションエラーを引き起こす原因となります。また、多忙のせいでコミュニケーションを二の次にしてしまうという問題もあります。
組織としては、コミュニケーションエラーが生じるほどの業務過多に陥らせないことが最大の予防策となるでしょう。

コミュニケーションエラーを防ぐための対策
コミュニケーションエラーを防ぐためには、個人の心がけのみならず、組織的に対策を講じていくことが求められます。以下、具体的な取り組みについて解説していきます。
エラー事例の共有
コミュニケーションエラーを防ぐための対策としてまず取り組みたいのが、エラー事例の共有です。
社内で発生しているコミュニケーションエラーの事例を集めていき、その傾向と原因を解明していきます。ここで得られた情報が、以下で解説していく対策を実行するために欠かせない材料となります。
情報伝達のルールを設ける
エラー事例の共有の次は、情報伝達のルールを設けていきましょう。とくに社員間の心がけや行動で改善できるエラーについては、情報伝達のルールを整備することで再発防止につながっていきます。
例えば、口頭による伝達でエラーが頻発しているのであれば「チャットツールやメールによる文面での連絡を合わせて行う」といったルールが求められます。また「フォーマットを整備して情報共有時の表現を統一する」などの対応も、情報不足によるエラーや確認不足によるエラーを防止する有効な手段となるでしょう。
5W1Hを意識したコミュニケーション
情報不足によるコミュニケーションエラーを防ぐためには、従業員それぞれが5W1Hを意識した情報伝達を行うことが大切です。
5W1Hは情報整理のためのフレームワークで、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:なにを」「Why:なぜ」「How:どのように」の頭文字によって構成されます。
コミュニケーションの際に5W1Hを心がけることで情報に漏れがなくなり、誤解を生みにくい情報伝達が実現します。5W1Hはルール化というよりも、従業員の心がけが重要になってくるため、研修などを通じて社内全体に普及させていきましょう。
なお、5W1Hについては「ビジネスシーンで役立つ5W1H 5W2Hや6W2Hとの違いとは」でも詳しく解説しています。
心理的安全性の構築
受け手側が気兼ねなく確認できる環境を作るために、心理的安全性の構築を進めることも大切です。
心理的安全性とは、組織のなかで自分の意見や疑問を誰に対しても発信でき、拒絶・罰則を受けない状態を指します。心理的安全性はルールを設ければ構築されるわけではなく、組織風土の問題となります。時間をかけてじっくりと改善していくことが大切です。
疑問や不明点を躊躇いなく質問できる職場環境になれば、コミュニケーションエラーは劇的に改善されていくでしょう。
なお、心理的安全性の構築については「職場における心理的安全性の高め方 メリットや低下を招く要素を解説」でも詳しく解説しています。
ツールの活用
聞き逃し・見落としによるエラーを防ぐためには、タスク管理ツールやチャットツールなどを活用し、エラーが生じたあとにリカバリーできる環境を構築するとよいでしょう。
例えば、口頭での指示を聞き逃していたとしても、タスク管理ツールで業務が共有されていればエラーを防ぐことができます。ただ、ツールだけに依存しているとメッセージが山積みとなってしまい、今度は見落としを招く恐れがあるため、口頭でのコミュニケーションと併用し続けることが大切です。

数字を活用してコミュニケーションエラーを防ごう
今すぐできるコミュニケーションエラーの防止策として、報告や連絡に「数字」を用いることが挙げられます。
例えば、「なるべく早く会議の資料をまとめておいて」といった曖昧な指示は、「いつまでに作ればいいか」「どれくらいの分量でまとめればいいか」などがわからず、情報不足によるエラーの典型といえます。
こうした抽象的な指示を防ぐために効果的なのが、数字を用いた表現です。この場合は「20日の15時までに、A4用紙2枚程度で」と付け加えることで、誰が聞いても共通認識を持てる指示となります。
実はこうした数字を活用したコミュニケーションは、弊社がご提供する「ビジネス数学研修」の一部。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。
また、弊社の研修は、誤情報によるエラーを防ぐ意味でも効果的です。数字やデータを根拠に思考する力を身につけることで、自ずと誤った情報を伝達する恐れが減っていくからです。 「社内のコミュニケーションエラーを減らしたい」「数字やデータを根拠とした納得感のあるコミュニケーションを学びたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。
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