報連相は時代遅れ? いま求められる確連報(かくれんぼう)とは
確連報(かくれんぼう)は「確認」「連絡」「報告」の頭文字から成るビジネス用語で、部下側が自主的に考えたうえで、上司に確認を取るというコミュニケーションです。報連相のアップグレード版であり、報連相は時代遅れであるとの考えから「相談」が「確認」に置き換えられています。
今回は、報連相と確連報の違いや、報連相が時代遅れと言われる理由、確連報のメリット・デメリットなどについて解説していきます。
確連報(かくれんぼう)とは
確連報(かくれんぼう)とは、「確認」「連絡」「報告」の頭文字から成るビジネス用語で、まず部下側が自主的に考えたうえで、上司に確認を取るというコミュニケーションのことです。
確連報は報連相(ほうれんそう)を現代のビジネスシーンに合わせてアップデートしたものなので、まずは報連相の意味について確認しておきましょう。
・報告
上司や利害関係者に対し、業務の進捗や結果を伝えること。
・連絡
同僚や利害関係者に対し、業務に関する情報や共有すべき重要事項を伝えること。
・相談
上司や同僚などに対し、業務上の不明点や解決困難な問題などについて意見を求めること。
※報連相については「報連相の重要性 やり方や定着させるための基本を解説」でも詳しく解説しています
上の3つを見比べるとわかるように、報連相と確連報は「報告」「連絡」までは共通していますが、「相談」が「確認」に置き換えられています。確連報において「確認」は、以下のような意味を持ちます。
・確認
上司や利害関係者に対し、事前に意見や提案を用意したうえで、了承や意見を求めること。
なぜ「相談」を「確認」に置き換えたのかについては、以下で解説していきます。
報連相では時代遅れだから確連報(かくれんぼう)が生まれた
ビジネスの基本として広まっている報連相ですが、現代のビジネスシーンにおいては「相談」が時代遅れになっているという指摘があります。困ったことや問題が発生するたびに相談をする癖がついてしまうと、「指示待ち型」になってしまう恐れがあるからです。
現在の企業は、人手不足やVUCA時代などを背景として「自律型人材」を求めています。自分では何も考えず、問題が起こるたびに「相談」をするような人材は求めていないというわけです。
そこで、自身で改善策などを考えたうえで「確認」できる人材を育成するために考案されたのが、確連報(かくれんぼう)なのです。
その他の報連相の派生語
報連相は古い・時代遅れと指摘されるなかで、様々な派生語が誕生しています。報連相を受ける側の心得(上司の心得)である「おひたし」、報連相を促進させる「こまつな」、報連相を行うべき場面でやってはいけないことを指す「チンゲンサイ」。これらを理解して心がけることで、報連相はより効果的に機能します。
・おひたし
報連相の「おひたし」は「お:怒らない」「ひ:否定しない」「た:助ける」「し:指示する」によって構成され、上司側が報連相を受ける際に心がけることを示しています。
・こまつな
報連相の「こまつな」は「こま:困ったら」「つ:使える人に」「な:投げる」という意味で、報連相を促す意味合いで用いられます。
また「困ったときは、手の空いている人やわかる人に頼む」という意味合いで、仕事を抱え込まないためのビジネスの心得としても広まっています。
・チンゲンサイ
報連相の「チンゲンサイ」は「チン:沈黙する」「ゲン:限界まで言わない」「サイ:最後まで我慢」という意味で、報連相を行うべき場面でやってはいけないことを指しています。
なお、ここで紹介した派生語について詳しく知りたい方は、「報連相における「おひたし」「こまつな」「チンゲンサイ」とは」をご確認ください。
確連報(かくれんぼう)のメリット
確連報(かくれんぼう)には、報連相と比較して「自律型人材の育成」「成長意欲の向上」「上司・管理職の負担軽減」といったメリットがあります。それぞれ解説していきましょう。
自律型人材の育成
確連報の最大のメリットは、自律型人材の育成につながることです。「わからないことがあったら相談しに行けばいい」と考えるより、「まずは自分で考えて確認へ行こう」という姿勢でいることで主体性が身につきます。
確連報によって、自ら考えて行動することが当たり前の職場環境となれば、自然と自律型人材が育っていくでしょう。
成長意欲の向上
確連報を心がけることで、従業員それぞれの成長意欲が高まります。自分なりに改善策や行動案を検討することで、いま自分にどの知識・スキルが不足しているかを自覚しやすくなるからです。
また、主体的に仕事に取り組む機会が増えることも、成長意欲の向上につながるでしょう。
上司・管理職の負担軽減
確連報が徹底されることで、報連相に比べて上司・管理職の負担が軽くなります。「確認」の場合、部下側が何らかの対応策や改善策を講じたうえで了承や意見を求めに来るため、「相談」よりも上司側で行うべきことが減るからです。
「相談」は問題の丸投げになりやすく、上司側が「こちらで解決しておく」と業務を引き取ってしまうことも少なくありません。管理職の業務過多を防ぎたいのであれば、積極的に確連報を普及させるべきでしょう。

確連報(かくれんぼう)のデメリット
報連相のアップグレード版である確連報ですが、「問題発見の遅れにつながる」「ストレス・プレッシャーになる」といったデメリットも存在します。それぞれ確認していきましょう。
問題発見の遅れにつながる
確連報は、問題やリスク発見の遅れにつながる恐れがあります。部下側が改善策等を検討しているあいだは、問題・リスクが共有されない空白期間になってしまうからです。
とくに経験が浅いうちは事態の緊急度を判断できないこともあるため、初動の遅れが生じないようなフォロー体制が求められます。
ストレス・プレッシャーになる
従業員のストレス・プレッシャーになることも、確連報のデメリットといえるでしょう。とくに新人のうちは経験・知識とも不足しているため、改善策や行動案を考えようとしてもなかなか上手くいきません。「相談」へ行くこともできず、プレッシャーに押しつぶされてしまう例は少なくありません。
最初のうちは報連相で、独り立ちを目指す段階で確連報に切り替えることが理想といえるでしょう。

確連報(かくれんぼう)を普及させるポイント
最後に、確連報を組織内に普及させる際のポイントについて解説していきます。
心理的安全性の構築
確連報を普及させるための絶対条件といえるのが、心理的安全性の構築です。心理的安全性とは、組織のなかで自分の意見やアイディアを発信することで、拒絶や罰則を受ける心配がない状態のことです。
せっかく考えた改善策や行動案が否定されたり、拒絶されたりする環境では、主体的に行動しようという意欲が損なわれてしまいます。逆にいえば、改善案や行動案が採用されなかったとしても、自律的に行動したこと自体が評価されるのであれば「また次も挑戦しよう」と意欲が湧き、確連報は広まっていくでしょう。
なお、心理的安全性の高め方については「職場における心理的安全性の高め方 メリットや低下を招く要素を解説」で詳しく解説しています。
傾聴力の強化
確連報を普及させるためには、上司側の傾聴力の強化が必要となります。これは心理的安全性の構築にもつながるので、優先度の高い取り組みといえるでしょう。
具体的には、部下側が「確認」に来やすい雰囲気を作り、共感や効果的な質問を通じて相手の意図を深堀りすることが求められます。
提案力の強化
確連報を普及させるためには、部下側の提案力の強化も欠かせません。せっかく考えた改善策・行動案も「結論に至るまで話が長い」「根拠が曖昧」といった弱点があると、上司側もなかなか了承することができないからです。
わかりやすく納得感のある提案であれば「確認」もスムーズに済み、業務効率化が進むでしょう。

確連報(かくれんぼう)を機能させたいなら「ビジネス数学研修」
「確認」の際、改善策や行動案がなかなか了承されないようでは、確連報は機能しません。そこで必要となるのが提案力であり、具体的には課題解決力や表現力、明確な根拠などが求められます。
とはいえ、これらのスキルを効率よく伸ばすことは簡単ではありませんよね。そこでおすすめしたいのが、弊社の「ビジネス数学研修」です。弊社の研修は「ビジネスシーンで役立つ数字力の向上」をテーマにしており、効率よく提案力を強化するためのプログラムをご用意しております。
例えば、数字力がない人は「一昨日の気温は21℃、昨日は23℃、今日は25℃です」といった「事実だけの報告」をしがちです。こうした事実ベースの報告が間違いというわけではありませんが、確連報として機能させるためには納得感のある提案が欠けています。
上の例でいえば、「一昨日の気温は21℃、昨日は23℃、今日は25℃と上昇傾向にあります。ですから、アイスクリームの入荷量を増やすのはどうでしょう」といった具合に、事実から「気温の上昇傾向」を分析し、「アイスクリームの売上が上がる」といった意思決定に役立つ行動案を立てることが理想となります。
こうした数字・データをもとにした提案のやり方を学ぶことも、弊社の「ビジネス数学研修」の取り組みのひとつ。データを根拠とする提案は納得感につながり、「確認」もスムーズに了承されるようになるでしょう。
「昔から数字・データは苦手で……」という方もいるかもしれませんが、ご安心ください。弊社は「数字に対する苦手意識」の克服に力を入れており、研修プログラムも「入門編・基礎編・応用編・実践編」の4段階をご用意しておりますので、数字・データが苦手という方でも無理なくステップアップできます。
弊社の研修や数字力について、少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。「もっと詳しく知りたい!」と思った方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
オルデナール・コンサルティング合同会社は「ビジネスで活用する数字力向上」に特化した人材教育サービスをご提供します
続きを読む