人材育成におけるマネジメントとは

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人材育成におけるマネジメントとは「組織に成果をもたらす人材を育成するための機能や施策」と定義できます。では、具体的に人材育成におけるマネジメントを成功させるには、何が必要なのでしょうか。

今回は、マネジメント時に欠かせない条件や、社員の階層ごとに異なる育成マネジメントなどについて解説していきます。

人材育成におけるマネジメントとは

人材育成におけるマネジメントを正確に把握するためには、まずマネジメントという言葉の意味を理解しておく必要があります。そもそも「マネジメント(management)」は「管理」「経営」という意味の言葉ですが、ビジネスにおいてはより広い意味合いで用いられます。

マネジメントという言葉がビジネスの場で用いられるようになったのは、アメリカの経営学者ピーター・ファーディナンド・ドラッカーの影響が強いと思われます。ドラッカーによれば、マネジメントは「組織に成果を上げさせるための道具や機能、機関」と定義されています。

ドラッカーの定義をもとにすれば、人材育成におけるマネジメントとは「組織に成果をもたらす人材を育成するための機能や施策」と考えてよいでしょう。

人材育成のマネジメントに欠かせない5つの条件

人材育成のマネジメントを効果的に働かせるためには、組織全体で徹底しなければならない条件があります。

組織としての明確な目標

人材育成におけるマネジメントは、組織としての目標(経営目標など)と密接に関わってきます。何がその組織にとっての「成果」にあたるかは、目標によって大きく異なってくるからです。

極端な例を挙げれば、企業の成果と非営利組織の成果では全く内容は異なり、求められる人物像も異なります。

さらにいえば、全社員と企業理念や経営目標を共有できている状態が望ましいといえます。ただ漫然と目の前の仕事をこなすのではなく、目的意識を持って業務に取り組むことで、モチベーションの向上や新たな方法論の創出が期待されるためです。

組織内の課題の発見

組織としての目標と同様に重要なのが、組織が抱えている課題の発見です。経営目標に対して、不足している人材や問題点などを洗い出し、その部分を改善できるように社員を育成していかなければいけません。

現状把握が疎かになっていると、すでに順調に進行している部署へリソースを割いてしまうなど、せっかくの人材育成が組織の成果に繋がらなくなってしまいます。

適材適所の配置

人材育成のマネジメントは、人材を適材適所に配置しなければ成果には繋がりません。企業の目標を優先するあまり、社員本人の適性やキャリアプランに反する方向性で育成を進めると、離職という最悪のケースに繋がりかねません。

ポイントは能力だけでなく、本人のキャリア観についても相違がないようすり合わせていくことです。企業側は具体的なキャリアパスを提示して、社員がより価値ある人材となるために道筋を示すのが理想といえます。

実現可能で納得感のある計画

人材育成のマネジメントとして目標や達成期限などを設定する際、実現可能で納得感のある育成計画を提示しなければいけません。経営層が企業としての目標を優先して育成計画を制定すると、往々にして現場との乖離が生まれます。

実現達成が困難な計画はモチベーションの低下に繋がり、育成計画自体が形骸化しかねないので注意しましょう。

継続して成果を出せる環境

社員に成果を出し続けてもらうための環境作りも、人材育成のマネジメントに欠かせない条件です。その最たる例が、離職リスクのケアです。手塩にかけて育てた人材が流出してしまうと、多大な損失となります。

介護や出産などのライフイベントを経ても継続して働ける制度・環境作りは必須となります。

また、人事評価に「経験やスキルに対する定量的な評価軸」や「目標の達成度」などを加えると、社員自身が成長を客観的に確認でき、成長実感が伴ってモチベーションの向上に繋がります。

階層ごとの育成マネジメント

人材育成の目標のひとつとして、企業の中核となる社員を生み出すことが挙げられます。そのためには、階層ごとに適切な育成マネジメントを実施していく必要があります。

新卒社員に対する育成マネジメント

新卒社員に対しては、組織としての目標・ビジョンを共有しつつ、それぞれの適性を見極めていく必要があります。とくに、社員自身のキャリアプランと、職務上の能力・適性が必ずしも合致するとは限りません。

企業側は社員本人の意向をくみ取りつつ、最大限の成果を発揮できる配置を行い、社員のやりがいを引き出さなければいけません。

入り口の段階で会社側の育成方針と社員側のキャリアプランにズレが生じると離職リスクが高まるので、適材適所での配置を行うことは非常に大切です。

中堅社員に対する育成マネジメント

実務経験を重ねた中堅社員に対しては、要職の候補者として、選抜を兼ねた育成が求められます。具体的には中堅社員には指導係を担わせて、実践的なマネジメントスキルの取得を目指していきます。

また、会社全体での動きを共有して、経営目標に対してどのような施策を取っていけばいいかなど、一段階上の視座で物事を考える機会を提供していきます。

場合によっては配置転換(ジョブローテーション)を実施して、多角的に事業を捉えられるよう経験を積ませていくとよいでしょう。

これらを実行しつつ、実績や性格などの適性を加味したうえで、企業の中核になり得る人物を選定していきます。

マネジメントを担う際に求められるスキル・心構え

人材育成のマネジメントを担う指導者側に求められるスキルや心構えを解説していきます。

役割の理解

人材育成のマネジメントはほとんどの場合、通常業務と並行するかたちで実施されます。そのため、人によっては自分の通常業務を優先し、マネジメント業務を疎かにしてしまう場合があります。

指導者側は人材育成の目的や自社に必要な人物像を理解し、部下の育成責任を自覚することが求められます。

コミュニケーション能力

マネジメントには対話が欠かせません。「会社の目標を伝える」「社員が持つ希望をくみ取る」など、齟齬がないように意志疎通を行えるコミュニケーション能力が必要です。

また、業務上のフォローやフィードバックなど、マネジメントにはあらゆる場面でコミュニケーション能力が求められるといっても過言ではありません。

中長期的な計画設定

人材育成においては、短期的な目標だけでなく、中長期的な目標も重要となります。目の前の業務に基づいた目標を設定するだけではいけません。

会社全体の目標や課題を前提におき、将来的に求められるポジションを想定した中長期的な目標を設定して、その達成度もあわせて評価していく必要があります。

「数字に対する意識」を高めて会社の目標を浸透させよう

経営層が掲げる会社の目標に対して、全社員が同じ理解度へ到達するためには、それぞれの「数字に対する意識」を高めていく必要があります。

オルデナール・コンサルティング合同会社では「数的センス向上トレーニング」を入門・基礎・応用・実践と段階別にご提供をしており、数字への親しみや理解度に合わせて研修内容をお選びいただけます。

全社員が統計・分析にまで親しみを覚えれば、より高いレベルで「目標に対する自分の役割」が理解でき、マネジメントの効果が向上していきます。

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