リーダー研修とは 実施する目的と学ぶべき内容を解説

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リーダー研修は中堅社員や係長クラスを対象とする研修で、チームの統率やプロジェクトの推進に必要なスキル・知識の取得を目指す取り組みです。

最大の目的は「リーダーに求められる能力や資質を身につけること」にあり、管理職研修やリーダーシップ研修とは目的が異なるため、研修の対象者はしっかりと選定する必要があります。

今回はリーダー研修の目的と内容、成果につなげるためのポイントなどを解説していきます。

リーダー研修とは

リーダー研修とは、少数の人員(プロジェクトチームなど)を統率してプロジェクトを推進する際に必要となるスキル・知識の取得を目指す研修です。主に中堅社員、役職としては係長クラスを対象とし、チームリーダーを養成することが目的となります。

リーダー研修は階層別研修の一種とされ、位置づけとしては管理職研修よりもひとつ下の階層に向けて実施されます。なお、階層別研修については「階層別研修とは 実施する目的やカリキュラムについて解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「階層別研修とは 実施する目的やカリキュラムについて解説」

リーダーシップ研修との違い

リーダー研修とリーダーシップ研修は、厳密には異なる研修となります。両者の大きな違いは、研修の対象です。リーダー研修は、実際にこれからチームを率いることになる人材や、現在進行形で係長などを務めている人材を対象として実施します。

一方でリーダーシップ研修は、年齢や階層を限定せずに実施することがほとんどです。これは、リーダーシップがリーダーだけに求められるものではなく、すべてのビジネスパーソンに求められる能力だからです。

ビジネスにおけるリーダーシップの意味を端的に示しているのが、ピーター・ドラッカーの著書『プロフェッショナルの条件』の一節です。

「リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである」

引用:ピーター・ドラッカー『プロフェッショナルの条件』.ダイヤモンド社.2000

とくに近年はビジネス環境の変化や価値観の変容が著しいため、組織の使命に立ち返って考える力がより重要になっています。そのため、リーダーシップ研修はリーダーに限定せず実施されるわけです。

次世代リーダー研修との違い

リーダー研修とは別に、次世代リーダー研修を実施する企業も増えてきています。次世代リーダー研修とは、将来の経営層や管理職の候補者に対して、リーダーを目指した育成を施していく取り組みです。

両者の違いは、その目的です。リーダー研修がチームリーダーとして必要なスキル・知識を身につけるための取り組みであるのに対し、次世代リーダー研修は組織全体を統率するリーダーを育成していくことが目的となります。

なお、次世代リーダー研修の対象や内容については「次世代リーダー研修とは 実施対象や内容を解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「次世代リーダー研修とは 実施対象や内容を解説」

リーダー研修の目的

リーダーに求められる能力や資質を身につけることこそ、リーダー研修最大の目的です。ここではリーダーに必要なスキルを解説していくことで、リーダー研修の目的を確認していきます。

リーダーの役割を理解して自覚を持つ

リーダーを務めるためには「リーダーの役割」を理解し、自覚を持つ必要があります。そのため、リーダー研修も「リーダーの役割」を理解するところから始まります。

リーダーと一般社員の最大の違いは、自身が統率するチームやグループ全体で成果を上げなければいけない点でしょう。一般社員は目の前の仕事だけに集中すればよいですが、リーダーは部下の成績や指導についても責任を負うことになります。

また、リーダー研修の対象となるのは中堅社員や係長クラスで、いわゆる中間管理職となります。リーダーとしてチームをまとめつつ、上司に対する報連相、他部署との折衝も行わなければいけません。

リーダー研修ではこうしたリーダーの役割を学ぶことで、リーダーとしてのマインドを身につけていくわけです。

コミュニケーション能力を高める

リーダーには、上司・部下からの信頼を集められるだけのコミュニケーション能力が欠かせません。そのため、多くのリーダー研修でもコミュニケーション能力の体得・向上を図るプログラムが組み込まれています。

とくに研修で学ぶべきは「伝え方」でしょう。曖昧な指示・報告は誤解を生みやすく、業務上のミスや遅延につながる恐れがあります。

また、日頃から人間関係を構築しておく重要性についても学ぶ必要があります。報告を躊躇うようなネガティブな事実・失敗は、信頼関係が構築されていないと伝達が遅れてしまい、被害の拡大につながります。

チームとして業務を推進するためには、円滑なコミュニケーションが何よりも重要となるのです。

育成力を身につける

リーダーになることで新たに求められる役割として、部下の育成が挙げられます。リーダー研修では人材の育成について学び、育成力を身につけることも重要な目的となります。

リーダーとして仕事を割り振る立場になることで、様々なことに目を向ける必要が出てきます。例えば、適切な仕事量を割り振るためには、部下のスキルや課題を分析する必要があります。単にプロジェクトを遂行するだけでなく、部下のスキルアップを同時に達成することが理想です。

人材育成にまつわる経験や知識はなかなか身につける機会がないため、研修を通して学ぶ機会を与えることが大切です。

分析力・判断力を磨く

リーダーとして部下を率いてプロジェクトを成功させるためには、分析力と判断力が必要となります。リーダー研修においても、物事やデータの見方(分析)に加えて、そこから判断をくだす方法を実践的に取得できるプログラムが求められます。

リーダーは消費者のニーズや部下の成績など様々な情報を分析して、プロジェクトの方向性などを判断していかなければいけません。チームはリーダーの判断を指針として業務を遂行するため、判断の誤りや遅れはプロジェクトの遅延のみならず、部下の信頼を損なう危険性もあります。

リーダー研修の内容・プログラム

リーダーとして必要なスキルを習得するために、リーダー研修で具体的にどのような内容(プログラム)が実施されるのか解説していきます。

質問力

質問力は単にメンバーの意見を引き出すだけでなく、人員配置や業務改善にもつながっていく重要なスキルであり、リーダー研修においても必須のプログラムといえます。

質問の仕方を工夫することで部下の真意をくみ取れば、より適切なポジションや業務を割り振ることができます。また、プロジェクト進行時も部下に忌憚のない意見を求めることで、方向修正やボトルネックの解消がスムーズに行われます。

効果的な質問でコミュニケーションを促進すれば、様々なシーンで業務の質が向上するのです。

傾聴力

傾聴力は質問力とセットで身につけるスキルとして、多くのリーダー研修のプログラムに組み込まれています。

傾聴とは単に真剣に話を聞くだけでなく、相手の立場や状況を理解し、共感を重んじながら耳を傾けるスキルです。共感による信頼感の醸成や、話し手自身も気づいていなかった本音の発掘など、傾聴を身につけることで多くの効果が得られます。

マネジメントスキル

マネジメントはリーダー以上のポジションに就くことで本格的に求められるようになるスキルであり、リーダー研修のなかでも重要度が高いプログラムです。

そもそもマネジメントは「管理」を意味し、ビジネスでは「経営資源やリスクなどを効率的に管理することで、目標達成を目指す」といった意味合いで用いられます。

リーダーにおいては、目標達成に向けた数字をベースとした計画立案や、部下のメンタルケアなど、多岐にわたるマネジメントが求められます。一回のリーダー研修ですべてを学ぶことは難しいため、研修先を選ぶ際は「どのマネジメントスキルの取得に重きを置くか」を考えてから選択するとよいでしょう。

リーダーシップスタイル

働き方の多様化やダイバーシティ推進などを背景として、リーダーシップスタイルについて理解を深める必要性が高まっています。

以前までは、強力なリーダーシップでチームを導くことが一般的なリーダー像でした。しかし近年では、メンバーそれぞれのモチベーションを最優先するタイプや、あえてメンバーを放任するスタイルなど、多種多様なリーダーシップのかたちがあります。

リーダーシップスタイルを学ぶことで自身にあったリーダー像がわかり、無理なく自身と周囲の力を引き出せる方法が見つかるというわけです。

成果につながるリーダー研修の3つのポイント

成果につながるリーダー研修にするためには、どのような準備が必要となるのでしょうか。3つのポイントをご紹介します。

育成対象に合った研修先を選ぶ

成果につながるリーダー研修にするためには、まず研修先の選び方が重要になります。研修先を選ぶ際は、育成対象の社員が必要としているスキル・経験に合わせて、最もマッチした研修プログラムを提供する講師・団体を選びましょう。

リーダーとして求められる能力や役割は共通する部分が多いので、基本的にリーダー研修のプログラムはどこも似通っています。そのなかで、育成対象となる社員の状況や業務、役職などから最も伸ばしたい部分を判断して、研修先を選定するとよいでしょう。

例えば「データ分析と仮説設定を学び、問題解決能力を伸ばす」「ファシリテーションスキルを伸ばし、部下の意見をくみ取って合意形成を円滑にする」といった具合に、研修で身につけたいことを明確にしておきましょう。

育成対象者を選定する

リーダー研修は、育成対象者を選定したうえで実施するほうが効果的です。

誰もがリーダーとして活躍できるよう、全社員を対象としてリーダー研修を実施する場合がありますが、これはあまり効果的ではありません。人にはそれぞれキャリア観や向き・不向きがあり、誰もがリーダーとしてのキャリアパスを目指すわけではないからです。

また、管理職・経営層の候補者に対してリーダー研修を実施しても、ミスマッチとなってしまう場合があります。こうした人材には、経営者視点の考え方や、より高い階層での組織運営を学ぶための「管理職研修」を実施すべきでしょう。なお、管理職研修については「管理職研修の目的と実施すべき内容」で詳しく解説しています。

関連記事:「管理職研修の目的と実施すべき内容」

アウトプットを想定する

学んだことが実務で活きなければ、研修を実施する意味がありません。より実践的な研修とするためには、ケーススタディを盛り込んだ研修プログラムを利用することも大切ですが、育成対象者がアウトプットを想定して受講することが重要になります。

具体的には、自身が率いているチームの面々や抱えている業務に照らし合わせて、学んだことと実務を結びつけることが求められます。ただ受動的に研修に参加するだけではなく、「自分事」として考えられる人材を育成対象者に選定しましょう。

まとめ

リーダー研修は中堅社員や係長クラスを対象として、チームの統率やプロジェクトの推進に必要となるスキル・知識の取得を目指す研修です。

そのために研修では、リーダーの役割を理解して自覚を芽生えさせることが最も重要となり、その後コミュニケーション能力や育成力、分析力などを磨いていくことが求められます。

リーダー研修の実施にあたっては、事前に研修先や育成対象者を厳選して準備を整えておきましょう。

優秀なリーダーは「数字力」を持っている

リーダーには「コミュニケーション能力」と「分析力・判断力」が必要であると解説しましたが、これら能力を向上させる土台となるのが「数字力」です。

情報やデータを分析することで判断の材料にすることは言うまでもありませんが、数字はコミュニケーションにおいても重要な役割を果たします。提案や指示に数字を用いることで曖昧さがなくなり、コミュニケーションのなかで齟齬が生まれにくくなるからです。

また、部下の成績を分析することで課題を発見すれば、人材育成の指針も明確になるでしょう。このように、リーダーとしての役割と数字力は密接に関わっているのです。

弊社が提供する「数的センス向上トレーニング」では、様々なシチュエーションを想定して、実践的に研修を進めながら「数字力」の向上を目指します。データの分析と判断、相手にわかりやすく伝える表現力など、リーダーの実務に役立つプログラムとなっております。

「これまでのリーダー研修で成果が上がらなかった」「リーダー候補の意思決定力とコミュニケーション能力を一つの研修で伸ばしたい」といったお悩みがあれば、ぜひ弊社オルデナール・コンサルティングまでお問い合わせください。

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