リスキルの重要性を岸田首相が語る|人材育成ニュース記事考察.28

2022年10月17日
#教育担当者向け#研修運営#経営者向け

企業の人材育成等に関する最新ニュース記事をピックアップする、「人材育成ニュース記事考察」をお届けいたします。

 

岸田首相の「日経リスキリングサミット」での発言要旨

(2022年10月12日 日本経済新聞より)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1257J0S2A011C2000000/

 

 

岸田政権が掲げている「新しい資本主義」とは具体的にどの様なことなのか?と疑問を感じている方もいると思いますが、日経リスキリングサミットでのビデオメッセージによると、『「新しい資本主義」の第1の柱として、人への投資のための政策を進めてきた』とのことです。

 

経済成長の原動力となるのは間違いなく人である、、この言葉に異論を述べる人はいないのではないでしょうか?昔から、経営とは、ヒト・モノ・カネと言われ続けており、特に昨今においては人材の重要性が叫ばれています。そのため各企業でも人材育成や教育を目的に各種研修等への人的投資を増やしています。

 

そして、最近注目を浴びているのが「リスキリング」です。リスキリングとは新しい知識の学び直しを指し、2020年のダボス会議において、「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表されてから注目を集めています。岸田首相はビデオメッセージの中で「現行の3年4000億円の人への投資の政策パッケージを大幅に拡充し、5年で1兆円としてリスキリングへの公的支援を強力に進める」と伝えています。

 

弊社は教育研修事業を運営しているので、当たり前ですがこの考えには大賛成です。企業にとって継続的な社員のスキルアップは必要不可欠です。日本の大人は諸外国と比較すると学びへの投資が少ないと言われています。この機会に官民が協力しながら人材教育への投資を増やすことは非常に重要です。

 

 

ただ、岸田首相の発言に対して、一つ疑問に思うことがあります。

 

今月中に「3つ大きな政策拡充を行う」とのことですが、その内の一つとして「在職者のキャリアアップのための転職支援に向け、民間専門家に相談してリスキリング・転職までを一気通貫で支援する制度を新設する」とあります。

この制度は個人にとってはwelcomeな制度ですが、企業にとって果たして喜ばしいものでしょうか?

 

企業が継続的に成長するために社員のスキルアップは欠かせません。そのため企業は従業員に対する教育研修の提供などの投資を今後も増やすでしょう。しかし、その目的は何か?自社の業績向上とさらなる成長であることは言うまでもありません。その様な中で「転職支援に向けたリスキリング」に賛同するのでしょうか?

 

世の中が大きく変化する中で、国家単位で考えると労働市場における労働力の移動は必要です。衰退する業界に属する人材を成長市場へ移動させることの必要性はここ数年間叫ばれています。しかし、だからといって自社の優秀社員に対して転職支援をされることを許す企業があるのでしょうか?

 

企業視点で考えると、人材育成に多額の投資を行う目的は自社の業績向上に貢献してもらうことです。当たり前ですね。しかし、人材育成の投資によりスキルアップした社員の転職を支援すると言われたら、素直に受け入れることができるのでしょうか?表面上はYesでも本音はNoではないでしょうか?

 

 

と考えると、企業に人材育成の強化を求めるのであれば、労働移動の問題は分けて考えるべきではないでしょうか?

 

社員の継続的なスキルアップに向けたリスキリングに投資を行い、得られたスキルを用いて業績向上に貢献してもらい、給与アップで貢献に報いる…これが本来のあるべき姿だと思います。これであれば、国家・企業・個人の「三方よし」になるのではないでしょうか?企業経営に携わる身としては、ここに多くの予算を投じて頂きたいです。

 

まあ、これ以上の活躍が見込めない人材を外に出すことが目的の企業からすると見解は異なるかもしれませんが…