コミュニケーション研修とは 実施目的とその内容

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「わざわざコミュニケーションを研修で学ぶ必要はあるのか」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、コミュニケーションはビジネスにおいて土台であり、業績や社員の定着率にも直結する要素となっています。

今回はコミュニケーション研修の目的や内容について解説したうえで、「数字力」に基づいたコミュニケーション改善の方法についてお伝えしていきたいと思います。

コミュニケーション研修とは

コミュニケーション研修は、ビジネスの場において齟齬なく意思疎通が行えるようになるため、コミュニケーションにまつわる知識やスキルを磨く目的で実施される研修です。

コミュニケーションの基本は、相手の視点に立つことです。これは価値観や働き方が多様化している昨今において、とくに重要な考え方となっています。「一億総中流」で、みな同じ意識を持っていた時代のコミュニケーションよりも難易度は上がっているため、研修によるスキルアップが求められているわけです。

社外でのやりとりが多い社員に必要と思われがちですが、社内の情報伝達や人間関係の構築などにも役立つ研修として広く実施されています。

コミュニケーション研修の目的・効果

コミュニケーション研修は、どのような目的をもって実施すべきなのでしょうか。コミュニケーション研修で得られる効果から解説していきます。

営業スキル・接客スキルの向上

コミュニケーション研修の主要な目的として、営業スキル・接客スキルの向上が挙げられます。これらスキルの向上は個々の営業成績、ひいては業績にも直結するため、社外とのやりとりが多い職種では必修となっている場合も少なくありません。

「顧客との信頼関係を構築する」「魅力的なプレゼンで購買(契約)意欲を掻き立てる」など、営業や接客で最も大切な業務がコミュニケーション能力と結びついてます。

逆に言えば、コミュニケーション能力が欠如していると「クライアントの要望を聞き漏らしていた」「自社からの依頼内容が正確に伝わっていなかった」といった問題を引き起こし、大きな損失を招くリスクがあります。コミュニケーション研修はリスクヘッジの効果もあるといえるでしょう。

伝わる「報・連・相」の浸透

コミュニケーション研修によって、しっかりと伝わる「報・連・相」を浸透させることで、日々の業務効率の向上が期待されます。

ビジネスの基本である「報告・連絡・相談(ほうれんそう)」ですが、コミュニケーション能力が不足していると「意図が伝わらない」「伝達に時間がかかる」など、仕事を滞らせる原因となります。

「伝える技術」は業種・職種を問わずに求められるスキルであり、円滑に仕事を進めるために欠かせません。「言ったつもり」が大きな損失を招くことも少なくないため、コミュニケーション研修によって伝わる「報・連・相」を浸透させる必要があるのです。

ハラスメント対策

コミュニケーション研修のなかには、ハラスメント対策を包括するものがあります。発言者は何気ないコミュニケーションのつもりでも、受け手はパワハラ・セクハラに感じる可能性があるため、相互理解の心構えをしっかりと学んでおく必要があります。

2019年には労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正

労働施策総合推進法が改正され、職場におけるハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となっています。※2022年4月より中小企業の事業主にも義務化されました

参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために

このことからも、ハラスメント対策を目的としたコミュニケーション研修は全社員を対象として実施すべきといえるでしょう。

定着率の向上

コミュニケーション研修を通じて社内の健全なコミュニケーションを保つことで、定着率の向上が期待されます。

エン・ジャパン株式会社が実施した「『本当の退職理由』実態調査」によれば、会社に伝えなかった本当の退職理由として「職場の人間関係が悪い」が1位となっています。

参考:エン・ジャパン株式会社「『本当の退職理由』実態調査」

「コミュニケーション=人間関係」であることから、コミュニケーション研修が離職の防止に繋がることが期待されます。ハラスメントの防止は当然ながら、日々の何気ない「報・連・相」を気持ちよく行えることで、人間関係も円滑になっていくでしょう。

立場・役職に応じたコミュニケーション研修の内容

コミュニケーション研修をより効果的なものとするためには、階層に応じて研修内容(カリキュラム)を変えるのがおすすめです。同じコミュニケーションでも、置かれている立場・役職によって求められる能力が異なるからです。

ここでは、3つの階層ごとに解説していきます。

新入社員・若手社員

新入社員・若手社員に求められるコミュニケーション研修は、ビジネスマナーや「報・連・相」といった、仕事を進めるうえで欠かせないスキルの取得です。

取引先や上司には、それまでの人生で経験してこなかったコミュニケーションの取り方が求められます。必要な情報をわかりやすく簡潔に伝え、相手の意図を適切にくみ取る練習を積んでおく必要があります。

中堅社員

コミュニケーション研修の対象として、中堅社員が選ばれることは少ないかもしれません。だからこそ、研修を実施する際は中堅社員用にカリキュラムをチューニングする必要があります。

中堅社員では、チームを率いる立場や会議を進行する役回りが求められ始めてきます。業務が円滑に進むように舵取りを行う力、いわゆる「ファシリテーションスキル」があれば、より活躍の場が広がるでしょう。

研修を通じて、相手の本音を引き出す質問方法や合意を得るための交渉術などを身につけられれば、大きなステップアップとなるはずです。

管理職

管理職になれば、上司よりも部下の人数のほうが多くなります。コミュニケーション研修を通じて、指示の出し方や褒め方・叱り方を改めて学んでおくべきでしょう。

また、他部署との連携や経営層との折衝など、駆け引きを求められる機会が増えるのも管理職の難しい部分です。コミュニケーションのなかでも、とくにネゴシエーションスキルの取得を目指せる研修が効果的となるでしょう。

ほかにも、社内のコミュニケーションに責任を持つ立場として、ハラスメント対策についても学んでいく必要があります。これらの重要性を考慮すると、もっともコミュニケーション研修が必要なのは管理職といえるかもしれません。

「数字力」によるコミュニケーション研修

ここからは、コミュニケーション研修の一例として、数字力によるコミュニケーションの改善について解説していきます。

ビジネスにおけるコミュニケーションは、数字を用いることで共通認識を持ちやすくなり、報告や連絡の精度も上がっていくのです。

数字を用いることで共通認識が得られる

ビジネスにおける連絡や指示に数字を用いることで、共通認識を得られやすくなります。

例えば「見積書の作成をなるべく早くお願い」と言われても、受け手は「いつまでに?」と疑問を感じてしまいます。

そこで、この指示に数字を足してみましょう。

「見積書の作成は30日の15時までにお願い」

このように、数字を用いることで受け手との共通認識が得られ、業務をスムーズに進行できるようになるわけです。

数字を用いることで報告の精度が上がる

報告に数字を用いることで精度が上がり、その後の行動が取りやすくなります。

例えば「○○店のアルバイトが足りません」という報告が上がってきても、いつ、どれくらい足りないのかがわからず、対策の立てようがありません。

この報告にも数字を用いてみましょう。

「○○店の25日12時からのアルバイトが4人足りません」

必要な情報が付け足され、報告の精度が上がりました。この報告であれば、足りない4人を補うためにどうすればよいかなど、対応策を講じやすくなります。

数字を用いることで「報・連・相」の精度が上がり、社内の問題解決力が向上していくことが期待されます。

データから情報に置き換える

数字を用いたコミュニケーションの改善について解説してきましたが、ただ数字を並べれば、わかりやすい「報・連・相」になるわけではありません。

例えば「2日前の気温は21℃、昨日は23℃、今日は25℃です」と数字だけを報告しても、ビジネスでは役に立ちません。データは「意思決定に役立つ情報」に変換することで、次の一手に繋がるのです。

気温の例を役立つ情報に置き換えると、以下のようになります。

「気温は上昇傾向が見られるので、今のうちにアイスクリームの入荷量を増やしてみてはいかがでしょうか」

データから気温の上昇傾向を読み取り「アイスクリームの売上が上がる」と仮説立てることで、ビジネスにおいて役立つ提案となりました。

わかりやすく気温とアイスクリームという例を挙げましたが、ビジネスシーンでは「店舗ごとの売上」など、定量情報を用いた報告が日々行われます。

「店舗ごとの売上」をただ数字だけのデータで報告するのではなく、そこから有益な情報を導き出すのが正しい数字の扱い方なのです。

数字を活用してコミュニケーションを改善・向上させよう

弊社オルデナール・コンサルティングでは「数的センス向上トレーニング」を通じて、「数字を用いたコミュニケーションの向上」を目指しております。

「数字力」というとテクニカルスキルが連想されがちですが、上で解説したように、数字をうまく活用することでコミュニケーションの向上に繋がるのです。

「既存のコミュニケーション研修で納得のいく効果が上がらない」「報告や提案に根拠と具体性を持たせたい」とお悩みでしたら、ぜひご相談ください。

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