目標を達成できない理由には「定性的な目標しか立てていない」「目標のハードルが高すぎる」「優先順位を把握できていない」などが挙げられます。
これらを改善するためには「定量的な中間目標(KPI)」「進捗確認と軌道修正の機会」「コミュニケーションの活性化」などが求められます。
今回は目標達成ができない人の特徴や理由、その改善策や目標達成につながるテクニックなどを解説していきます。
目標達成ができない人の特徴や理由
「なかなか目標を達成することができない」と悩む人がいますが、それには理由が存在します。ここでは、目標達成ができない人の多くに共通する特徴について解説していきます。
定性的な目標しか立てていない
目標を達成できない人の多くは、定性的な目標しか立てていないという特徴があります。
例えば「○○大学合格」は一見すると明確な目標に思えますが、これだけでは抽象的で日々の行動が定まりません。日々の行動内容や作業量を安定させるためには、「来月までに参考書を◯ページまで進める」といった中間目標が必要となります。
また、定性的な目標だけでは自分がどの程度目標に近づけているかなども実感しにくく、達成感や危機感を持ちにくいという問題もあります。
目標のハードルが高すぎる
目標達成ができない理由として定番なのが、「目標のハードルが高すぎる」です。ハードルが高くなってしまう原因としては、「自分あるいはチームの力量を過信している」「目標の難易度をよく調べていない」などが挙げられます。
「○○大学合格」の例で言えば、例年の偏差値ではぎりぎり合格ラインだったとしても、志望校の人気が高まることで不合格になってしまうこともあります。これは目標の難易度をよく調べていれば、防ぐことができた失敗といえるでしょう。
とくに未経験の分野に挑戦するときや、力量を定量的に表しにくい課題に挑戦するときなどは、目標のハードルの高さに注意しなければいけません。
優先順位やリソースを把握できていない
目標達成ができない人の多くは、物事の優先順位やリソースを把握できていません。色々な取り組みに手を出して全て半端に終わってしまうのは、その最たる例といえるでしょう。
誰しも目標達成のために何が必要なのかは、確認していると思います。しかし目標を達成するためには、どの取り組みが最も効果的で、どの程度の労力を要するのかまで把握しておくことが理想です。そのうえで自分あるいはチームのリソースを考慮して、最良の行動を取ることが求められるのです。
モチベーションの管理ができていない
チーム単位で目標達成を目指す際は、メンバーそれぞれのモチベーション管理が欠かせません。モチベーションの低下はパフォーマンスの低下に直結し、成果物の質が落ちたり、計画が遅れてしまったりするからです。
目標の納得感や作業分担の公平性、インセンティブなど、様々な要因がモチベーションに影響します。チームを率いる立場として目標達成が遠のいているのであれば、まずメンバーのモチベーション管理に目を向けるべきでしょう。

目標達成できないときの改善策
目標を達成できない人やチームはどのような対策を講じるべきなのでしょうか。ここでは、目標達成できないときの改善策をお伝えしていきます。
定量的な中間目標(KPI)を立てる
目標達成のための改善策として、まずは定量的な中間目標(KPI)を立てましょう。「○○大学合格」「市場シェア拡大」などはあくまでも最終的な目標であり、日々の行動に落とし込むには抽象的です。
そのため、最終目標までのあいだに複数の中間目標を用意し、日々取るべき行動を明確にする必要があります。その際に合わせて求められるのが、定量的な指標です。
例えば「上半期の営業目標○円」という部署の目標に対して、「月間の新規開拓目標○件」といった焦点を絞った定量目標を設定することによって、日々の業務で取るべき行動が明確になります。
なお、目標を定量化する方法については「目標を数値化するメリットとその方法 企業の事例も解説」でも詳しく解説しています。
進捗確認と軌道修正の機会を設ける
目標を達成するためには、進捗確認と軌道修正の機会を設けることが大切です。ここでも役立つのが「定量的な中間目標(KPI)」で、目標を定量化することで進捗確認の際、計画で遅れが生じている部分などを見つけやすくなります。
また、軌道修正の際に重要になるのが、間違いや失敗を素直に認めることです。作成した計画や手間のかかった作業を惜しみ、失敗を認めずに突き進んでしまう人は少なくありません。しかし、最も大切なのは最終目標を達成することです。目標達成には、計画や行動を変える勇気が求められます。
コミュニケーションの活性化
チームで目標達成を目指す場合、とくにコミュニケーションの活性化が重要になります。「適材適所に人員を配置できているか」「メンバーのモチベーションは落ちていないか」など、チームの状態を常に把握する必要があるからです。
また報連相を徹底し、計画の問題点や改善点があればすぐにチームで共有できる体制を作ることも求められます。
なお、報連相を定着させる方法については「報連相の重要性 やり方や定着させるための基本を解説」で詳しく解説しています。
精神論や勘に頼らない
精神論や勘に頼り、目標のハードルの高さやリソース不足を片づけようとする人は少なくありません。こうした解決策は、一時の目標達成にはつながってもメンバーの疲弊や不満を招くため、長い目で見れば目標達成率を下げることになります。
とくに現代は「VUCA時代」と呼ばれるように、目まぐるしく情勢が変化し、将来の予測が立てにくい状況となっています。そのため、明確な根拠となるデータをもとにして、効率的かつ納得感のある計画・行動が求められます。

目標達成につながるテクニック・フレームワーク
フレームワークとは、目標達成や課題解決などに役立つ思考の枠組みのこと。簡単にいえば、目標達成に必要な行動を取るためのテクニックです。「目標をうまく設定できない」「行動計画の立て方がわからない」という方は、フレームワークを活用してみましょう。
SMARTの法則
SMARTの法則とは、行動計画を設計する段階で5つの要素について掘り下げることによって、目標達成の確率が高まるというフレームワークです。1981年にアメリカのジョージ・T・ドランによって提唱されました。
SMARTは、以下の5つの要素の頭文字で構成されています。
Specific:具体性
Measurable:計測可能
Achievable:達成可能性
Relevant:関連性
Time-bound:明確な期限
つまり、計画を設計する際に「具体的な内容になっているか」「進捗度を計測できる定量目標を用意したか」「自身の力量やリソースと比較して達成可能な目標か」「組織・会社の方向性と関連しているか」「締め切りを明確にしているか」を意識すれば、自ずと目標達成の可能性が高い計画に仕上がるというわけです。
5W1H
5W1Hは情報整理のためのフレームワークで、様々なビジネスシーンで活用できます。5Wは「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:なにを」「Why:なぜ」で、これに1Hの「How:どのように」が加わり、5W1Hとなります。
目標達成に向けて活用する際は、プロジェクトやタスクを5W1Hに照らし合わせてみましょう。
例えば、マーケティングの案を考える場合であれば、「When:夏季に」「Where:○○地区で」「Who:シニア世代に」「How:オフラインで参加型イベントの」「What:新商品のプロモーション」「Why:健康志向を刺激するから」といった具合に、必要な情報について漏れなく検討することができます。
なお、5W1Hについては「ビジネスシーンで役立つ5W1H 5W2Hや6W2Hとの違いとは」でも詳しく解説しています。

数字力を高めれば目標達成の可能性が上がる
ここまでの解説のとおり、目標達成の可能性を上げるためには定量的な目標設定や、明確な根拠(データ)に基づいた行動が求められます。
ただその一方で、数字やデータの扱いが苦手な人は少なくありません。例えば、定量的な目標設定に慣れていない人ほど「完璧な目標を立てなければ」と正確な数字にこだわり、なかなか実際の行動に移せないという失敗をします。
しかし、いまはVUCAと呼ばれるように、将来の予測が非常に難しい時代です。状況が目まぐるしく変わるなかでは、ざっくりと素早く目標値を導き出して動き出すことも大切なのです。
こうした「ビジネスシーンで役立つ数字力」を磨くのが、弊社オルデナール・コンサルティング合同会社が提供する「ビジネス数学研修」です。
数字力は「把握力、分析力、選択力、予測力、表現力」によって構成される能力であり、数字力を上げることで「数字を根拠に考える力」が身に付き、納得感の高い目標の設定や、データをもとにした計画の立案などがスムーズに行えるようになります。
「いつも目標の途中で計画が崩れてしまう」「定量的な目標といってもイメージが湧かない」といった課題にお悩みでしたら、ぜひオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」や、企業向け研修「ビジネス数学研修」をご検討ください。