報連相の重要性 やり方や定着させるための基本を解説

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報連相とは「報告」「連絡」「相談」の頭文字から成るビジネス用語です。コミュニケーションの基本として長く定着しており、その重要性は「トラブル防止」「業務効率化」「信頼関係の構築」などにつながることからも明らかです。

社内に報連相を定着させるためには、「報連相がめんどくさいを無くす」「フォーマットを用意する」といった基本を押さえていくことが大切です。

今回は報連相をテーマに、その重要性や報連相のやり方、定着させるための基本などについて解説していきます。

報連相とは

報連相とは、「報告」「連絡」「相談」の頭文字から成るビジネス用語です。ビジネスにおけるコミュニケーションの基本として長く定着しており、その始まりは1982年に山種証券の社長である山崎富治氏が始めた「ほうれんそう運動」といわれています。

報告

報告とは、上司や利害関係者に対し、業務の進捗や結果を伝えることです。

連絡

連絡とは、同僚や利害関係者に対し、業務に関連した情報や共有すべき重要事項を伝えることです。

相談

相談とは、上司や同僚などに対し、業務上の不明点や解決が難しい問題などについて意見を求めることです。

報連相の重要性

報連相が流行り廃りの激しいビジネスシーンで40年以上も定着しているのには、時代が変わってもその重要性が損なわれていないからです。ここでは報連相の重要性について、それぞれ解説していきます。

トラブル防止

報連相が重要視される理由のひとつが、トラブル防止です。例えば、問題や失敗を報告せずに隠してしまうと、事態がより深刻になって大きな損害につながる可能性があります。

逆にいえば、報連相を密に行うことで問題の早期発見につながり、トラブルを未然に防ぐことができるわけです。

業務効率化

報連相は業務効率化のためにも欠かせません。例えば、マメに進捗を共有することで計画の遅れなどにもすぐに対処でき、従業員間の作業の重複なども防ぐことができます。

成熟したチームであれば、報告や連絡を省略しても阿吽の呼吸で対応できるかもしれません。しかし、その域に達するまでには、膨大な報連相を繰り返す必要があるのです。

信頼関係の構築

報連相は信頼関係の構築にもつながります。報連相はコミュニケーションのきっかけとなり、これを繰り返すことで相互理解が深まるからです。

また、組織全体で報連相が活発になれば、相談しやすい環境や協力しあえる関係性といった組織風土が構築され、心理的安全性の高い職場となるでしょう。

メンバーの適性の把握

報連相はメンバーの適性を把握するのにも役立ちます。報告の内容や相談の回数などから、その人の得手不得手が見えてくるからです。

例えば、新人2人に同じ業務を任せた際、報告・相談内容のレベルの高さを比較すれば、どちらに継続して同じ業務を任せればよいかの判断材料になります。報連相は適材適所の人員配置を実現するうえでも欠かせない取り組みなのです。

報連相のやり方・方法

ここでは、報連相のやり方を流れに沿って解説していきます。なお、報連相の方法は大きく「口頭」と「文書(テキスト)」に分けられ、やり方がそれぞれ異なる部分もあります。

スケジュール確認

口頭で報連相を行う際は、まず相手のスケジュールを確認しなければいけません。とくにある程度の時間を要する報告や相談は、相手が多忙なときだと取り合ってもらえない場合もあるからです。

なお、その点で文書(テキスト)での報連相は形として残るため、相手も手が空いたときに確認できるのでスケジュール確認がいらないというメリットがあります。

伝えたいことを明確にする

次に、報連相を行う前に伝えたいことを明確にしておきましょう。これは口頭・文書問わず重要なプロセスとなります。

発生したことを事細かに報告したり、問題点がわからないまま相談したりすると、重要な情報が伝わらない報連相となり、双方の時間が無駄になってしまいます。

事実と主観・意見を分ける

「伝えたいことを明確にする」の補足にもなりますが、報連相では事実と主観・意見を明確に分けましょう。

例えば、「入荷量が少ないと思うので、○○まで増やしていいですか」という相談では、現在の入荷量(事実)がわかりません。

まずは事実として「現在の入荷量が△△となっている」と伝え、意見として「これでは少ないと思うため、○○まで増やしていいか」と相談することが大切です。

相手に伝わったかを確認する

最後に、報連相の内容が相手に伝わったかを確認しましょう。これはとくに文書での報連相で重要となります。

相手が多忙なときなどは、連絡を流し読みをしていたり、報告を上の空で聞いていたりすることがあります。もちろん、これは相手側の落ち度ではあるのですが、重要な情報であるならリマインドを行うことも報連相の一部となります。

社内に報連相を定着させるための基本

最後に、社内に報連相を定着させるための基本をお伝えします。

「報連相がめんどくさい」を無くす

報連相を定着させる基本として、組織内の「報連相がめんどくさい」を無くすことが挙げられます。

「報連相がめんどくさい」と感じる原因は様々です。

・「意見を聞くまでもない」と考える自信過剰型

・「わざわざ言わなくてもわかるだろう」と考える自分本位型

・「話しかけるのが面倒」と考える怠惰型

いずれの場合も報連相の必要性・重要性を伝えて、意識改善に取り組むことが一番の解決策となります。ただ、アプローチの方法はそれぞれのタイプによって使い分けるとよいでしょう。

例えば、怠惰型であれば「メールやチャットで報連相を習慣づける」。自信過剰型であれば「周りが付いていけるように報連相をしてほしい」と持ち上げる、といった具合に、面倒と感じる原因に合わせて対処することがポイントです。

フォーマットを用意する

報連相を定着させるためには、フォーマットを用意することも重要です。

例えば、報告書のフォーマットがあれば、作成の手間が省けるので報告のハードルを下げることにつながります。また、人によって報告書の体裁が異なると確認する側の負担も増えるため、報告書のフォーマットを用意することは部下・上司側双方にとってメリットとなります。

もちろんこれは報告書に限ったことではなく、「相談すべき事態の基準」や「連絡のタイミング」などのルールを定めることで、報連相の際の迷いを消すことができます。ただ、ガチガチにルールを固めてしまうと、逆に報連相を滞らせる原因となるため、柔軟な運用が求められます。

風通しの良い環境にする

報連相が活発に行われる職場を作るためには、風通しの良い環境にしなければいけません。

具体的には、上下関係などに捕らわれず、自身の意見を抵抗感なく伝えることができる環境を目指す必要があります。とくにネガティブな内容の報連相ほど「怒られるのでは」と躊躇してしまい、情報の隠蔽につながる恐れがあるからです。

なお、風通しの良い職場の作り方については「風通しの良い職場の作り方 効果的な施策と起こりやすい勘違いとは」で詳しく解説しています。

受け取る側の姿勢を正す

「風通しの良い環境にする」とも深く関連するのが、受け取る側の姿勢です。報連相を受け取る側が「迷惑そうに対応する」「いつも忙しそう」「適切なフィードバックがない」といった状態では、誰も報連相を行おうとしないでしょう。

報連相を行う側だけでなく、報連相を受け取る側にも「傾聴力を磨く」といった対応が求められるのです。

最初から完璧を求めない

報連相の定着を目指すうちは完璧な報連相を求めず、ハードルを上げ過ぎないようにしましょう。

「わかりやすい連絡にしなければ」「手間をとらせない相談にしないと」と気負ってしまうと、伝達の遅れにつながるばかりでなく、心理的に報連相を避けるようになってしまうからです。報連相の基本は習慣化であり、質を上げていくのは後からでも良いのです。

事実を「情報」に変換することで報連相の質が上がる

組織に報連相が定着し始めたら、今度はその質を上げていく必要があります。そのために求められるのが、事実を「情報」へ変換するプロセスです。

例えば、「一昨日の気温は21℃、昨日は23℃、今日は25℃です」と事実だけを報告しても、ビジネスでは役に立ちません。「そんなことは当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、売上の数字といった事実だけを報告するビジネスパーソンは意外と多いものです。

こうした事実ベースの報告が間違いというわけではありませんが、ビジネスシーンで活躍するためには事実を「意思決定に役立つ情報」に変換することが求められます。

上の例でいえば「一昨日の気温は21℃、昨日は23℃、今日は25℃と上昇傾向にあります。ですから、アイスクリームの入荷量を増やすのはどうでしょう」と、「気温の上昇傾向」という情報から「アイスクリームの売上が上がる」と意思決定に役立つ仮説を立てたうえで報告することが理想といえるでしょう。

このように、報連相に数字やデータをうまく活用できるようになれば、コミュニケーションの質が一気に向上します。

実はこうした数字やデータを活用した報連相は、弊社がご提供する「ビジネス数学研修」の一部。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、実際は日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。

また弊社では企業向けの研修だけでなく、個人の方でも気軽に数字やデータに触れる機会を作るために、オンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」を運営しております。サロンではインストラクターがビジネスシーンで役立つ数字の活用方法や、時事ネタを元にした課題などを発信していますので、仲間とともに楽しみながら数字を用いたコミュニケーション能力を磨いていくことができます。

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