2023年に新設された企業は過去最多を記録するなど、世代を問わず起業を志す人が増えています。実際に起業を目指し、スキルアップに励んでいる方も多いでしょう。
起業時には様々なスキル・知識が求められますが、「会計に関する知識」や「コミュニケーション力」「マーケティングスキル」といった、必ず押さえておきたいスキル・知識があります。
今回は、起業を目指す人に求められるスキル・知識と、それらを磨くための方法について解説していきます。
起業に向けて身につけておきたいスキル・知識8選
2023年に新設された企業は15万2,860社と過去最多を記録し、いまや若年層からシニア層まで、世代を問わず起業を志す時代となっています。そんななかで「起業に向けて、どんなスキル・知識を磨いておけばいいだろう」と悩む方も多いことでしょう。
参考:株式会社帝国データバンク「「新設法人」調査(2023年)」
ここでは、起業に向けて身につけておきたいスキル・知識を8つに厳選して解説していきます。
法律の知識
まず起業にあたって必要となるのが、法律の知識です。会社を経営するならば、会社の設立や運営、仕組みなどについての法律である「会社法」、「民法」の契約・取引に関する部分について最低限勉強する必要があります。
また、人を雇用するようになった場合は「労働基準法」に関する知識も欠かせませんし、事業の形態によって「個人情報保護法」や「著作権法」などの専門的な知識も必要となるでしょう。
会社のお金(会計)に関する知識
起業を志すのであれば、会社のお金……つまり会計に関する知識を身につけておく必要があります。会計に関する知識は、日常生活や一般的なビジネスシーンではなかなか身につける機会が訪れません。
例えば、会社が利益を上げているかを確認するためには「限界利益」や「損益分岐点」について理解しておく必要があります。こうした財務会計や管理会計に関する知識を率先して取り入れる姿勢が求められます。
とはいえ、この分野は税理士などの専門家に任せることもできるので、経営者がみな経理財務のプロになる必要はないので安心してください。なお、起業にあたって知っておくべき財務諸表については「初心者必見!財務諸表の読み方」でも解説しております。
関連記事:「初心者必見!財務諸表の読み方」
コミュニケーション力
起業の成否を左右するスキルとして、コミュニケーション力が挙げられます。なお、コミュニケーションといっても「同級生や同僚と仲良くする」といった階層ではなく、相手の要望を傾聴しつつ自分の主張を伝え、合意を形成する力が求められます。
とくに最初のうちは、顧客とのやり取りも取引先との交渉も全て自分で行わなければいけないため、とりわけコミュニケーション力が重要となります。逆に言えば、どんな相手とも信頼関係を結べる力さえあれば、大抵のビジネスは軌道に乗せることができるでしょう。
情報収集力
起業に際してあらゆる場面で求められるのが、情報収集力です。ここでいう情報収集力とは、ただ情報を集めるだけで終わらず、独自の分析を行う力も含まれます。単にGoogle検索やSNSの情報を確認するといった話ではなく、様々なデータを収集・分析することが求められます。
とくに起業にあたっては、市場の状況だけでなく、競合他社のビジネスモデルや課題などを掴むことが大切です。こうした情報は他社との差別化を図り、市場のなかで独自性を確立するために欠かせないからです。
問題発見・解決力
起業を成功させるためには、問題発見・解決力が不可欠です。新しく事業を始めて、すべての取り組みが上手く運ぶことはまずありません。とくにやっかいなのは「売上不振」のような原因がはっきりしない問題が生じることで、その解決のためには問題の原因を発見する力が求められます。
例えば、売上不振で「全体売上が先月比で20%減少した」のであれば、その原因を探る必要があります。問題解決の方法は様々ですが、この場面ではデータを深掘りしていくことで「商品Aの保守売上が50%減少した」といった原因にたどり着くことができるでしょう。
こうした問題は景気の変動や法改正など、経営者の能力とは関係のないところから降りかかることもあり、ビジネスの規模が大きくなるほど予期せぬトラブルも増えていきます。ですから起業を志すのであれば、データ分析力や柔軟性、決断力といった複合的な問題発見・解決力が必要となります。
マーケティングスキル
起業して生み出した商品・サービスを広めるためには、マーケティングスキルが欠かせません。
マーケティングを単に「商品を売るための方法」と捉えている人は少なくないですが、これは少々言葉足らずです。本来のマーケティングの意味は「消費者のニーズを満たすために新たな商品・サービスを開発し、それらが売れる仕組みを作ること」であり、市場調査から商品企画、宣伝、営業・販売といった取り組みの総称なのです。
これがわかれば、起業においてマーケティングスキルがどれだけ重要かもわかるはずです。
とはいえ、これだけ多岐にわたる仕事のすべてでプロフェッショナルになることは困難です。ですからフレームワークを活用し、効率よく仕事を進めることがポイントとなります。マーケティング分野では「4P分析」や「3C分析」を始めとした様々なフレームワークが開発されているので、目的に応じて活用していきましょう。
なお、4P分析については「4P分析のやり方 3C分析との関係や7P分析について解説」、3C分析については「3C分析のやり方 実施する目的やメリットを解説」で詳しく解説しています。
関連記事:「4P分析のやり方 3C分析との関係や7P分析との違いを解説」
関連記事:「3C分析のやり方 実施する目的やメリットを解説」
数字の管理と計画力
起業時には熱意だけでなく、冷静に数字を管理する力と、数字に基づいて事業を計画する力も必要です。
「環境問題を解決したい!」「美味しいラーメンを食べさせたい!」など起業する理由は様々ですが、そんな思いをビジネスとして成り立たせるためには、事業計画の作成が不可欠です。
具体的には、事業によって得られる収益や必要となる費用を予測し、どれだけの利益を得られるのかを損益計画としてまとめる力が求められます。
営業力
営業というと「やりたくない」「つらい」と感じる人も多いと思いますが、営業力は起業時に欠かせないスキルのひとつです。「自社の商品・サービスが売れるか」「投資家に出資してもらえるか」が起業の成否に直結するからです。
とはいえ、飛び込み営業をしたり、何百件もテレアポをしたりすることだけが営業ではありません。大切なのは消費者や投資家に対して魅力的な提案を行うことであり、その方法は「YouTubeに動画をアップする」「SNSでDMを送る」でも良いのです。対面営業でも熱意で押すのが苦手なら、数字やデータを根拠とした納得感のある提案を行うのも効果的でしょう。
営業力とは、魅力的かつわかりやすく自社(事業)の魅力を提案する力と理解し、自分の資質や事業形態に合った方法を模索することがポイントとなります。

起業に必要な知識・スキルを磨く方法
ここでは、起業に必要な知識・スキルを具体的にどうやって磨けばいいのかについて解説していきます。
本や動画の活用
最初のステップは、やはり本や動画を活用して基礎的な知識・スキルを身につけることです。起業にまつわる書籍や動画は日々増加しており、最初のうちは信憑性を判断することも難しいでしょう。こうした情報の取捨選択をするためには、接触する数を増やすしかありません。
まずは、自身が参入予定の業界で求められる手続きや市場のトレンドなど、目的を絞って情報収集をするとよいでしょう。なお、情報は景気の変動や法改正等で大幅に変化することもあるため、鮮度を大切にすることも大切です。
起業を経験した人の話を聞く
起業に必要な知識・スキルを得るためには、実際に起業を経験した人の話を聞くことも重要です。
起業と一口にいっても、業種や事業規模などによっても求められるものが異なります。自分の考えるビジネスプランに近しい体験談を聞くことで、より明確に必要な情報を得ることができるでしょう。メンターとなってくれる起業家に師事するのもおすすめです。
セミナー・オンラインサロンへの参加
「本や動画の活用」と「起業を経験した人の話を聞く」のメリットを一度に満たせる可能性があるのが、セミナー・オンラインサロンへの参加です。
セミナーやオンラインサロンの最大の魅力は、講師や参加者同士との出会いがあることでしょう。とくに参加者同士での情報交換や議論は、競争心が芽生えたり、一人では思いつかなかったアイディアを獲得できたりと、スキルアップ以上の成果が期待できます。

「ビジネス数学」で起業に必要なスキルを磨こう
ここまで起業時に求められるスキル・知識について解説してきましたが、共通点として「数字やデータの活用を求められるシーンが多い」ことに気づかれたでしょうか。
会計の知識や数字の管理は言うまでもなく、情報収集力や課題発見、マーケティングにおいても数字やデータの活用が求められます。こうした数字の管理やデータ活用に対して苦手意識を持つ方は多いですが、これらを放置したまま起業で成功するのは難しいでしょう。
例えば、数字が苦手な方の起業時の失敗として「損益計画が杜撰だったため、すぐに資金が枯渇してしまった」という事例は後を絶ちません。こうした失敗の多くは、設定した数字に根拠がない場合がほとんどです。
仮に「自社サービスを毎月500件販売する」と計画するのであれば、「市場規模に対して適した目標か」「業界シェア率として何%を目指すのか」など、様々な角度から計画を検証する必要があります。この場合であれば、「競合他社が毎月1,000件販売しているので、規模で劣るうちは半分の500件を目指す」といった客観的な根拠を示すことが大切です。
このようなビジネスにおける数字やデータの活用の仕方についてお伝えしているのが、弊社の「ビジネス数学」の取り組みです。弊社ではビジネスシーンで求められる数字力を「把握力、分析力、選択力、予測力、表現力」の5つの要素で示しており、「データから情報を読み解く力」や「データをもとに将来を見通す力」、「情報を正確かつわかりやすく伝える力」などを磨くプログラムをご用意しております。
また、弊社では企業向けの研修だけでなく、個人向けのオンライサロン「社会人の数字力向上サロン」も運営しておりますので、「起業を目指すために数字への苦手意識を克服したい!」「起業のために財務諸表の見方や、統計データの見方を学びたい!」という方々がお互いに高め合える環境が整っております。 弊社の研修プログラムやビジネス数学について「もっと詳しく知りたい!」と思った方は、お気軽に以下のリンクからお問い合わせください。
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