3C分析のやり方 実施する目的やメリットを解説

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3C分析は経営戦略やマーケティングにおける「環境分析」のためのフレームワークであり、企業戦略の立案を目的に開発された手法です。

3C分析を行うことにより、自社の客観的な強みと弱みがわかり、リソース・コストの最適化にもつながります。

今回は、3C分析の目的やメリットを踏まえたうえで、実際のやり方や注意点などを解説していきます。

3C分析とは

3C分析とは、経営戦略やマーケティングにおける「環境分析」のためのフレームワークです。カリフォルニア大学教授やスタンフォード大学客員教授を歴任した経営コンサルタントの大前研一氏が『企業参謀』(英訳版『The Mind of the Strategist』)で提唱しました。

3Cは「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つのCから成り立っており、外部環境と内部環境を分析することで、事業の方向性や改善案などの検討に役立ちます。

3C分析の目的

3C分析は、企業戦略の立案を目的に開発された概念です。大前氏は企業戦略を「競争相手との相対的な」と定義しています。

端的にいえば、3つのCを見極めることで、目指すべき目標と、それを実現するための方法が見えてくるのです。

3C分析を活用するメリット

3C分析を活用することにより、「客観的な強みと弱みが判明する」「リソース・コストの最適化」「分析の対象が明確になる」といったメリットが得られます。

客観的な強みと弱みが判明する

3C分析では市場や顧客、競合他社を分析したうえで、自社分析を行います。これにより、客観的に自社の強みと弱みを整理できます。自社の弱みと感じていた部分が消費者のあいだで個性と受け取られていたり、自社の強みと思っていた部分が競合他社に抜かれていたりと、分析から判明する事実は少なくありません。

リソース・コストの最適化

3C分析によって顧客・消費者のニーズを理解し、市場や競合他社に欠けているものを補うサービスを提供できれば、限られたリソース・コストでも最大の効果が得られます。人手不足や物価高が続き、企業はリソース不足とコスト増に苦しんでいます。各種分析からリソース・コストの最適化を図る取り組みは、ますます重要になってくるでしょう。

分析の対象が明確になる

3C分析は様々な分析の土台となる手法であり、網羅的に自社を取り巻く環境について理解できます。新規事業で一から業界を理解しなければならないときや、初めて市場分析を任されたときなどには、まず3C分析から始めるとより深く分析すべき対象が明確になるはずです。

3C分析の順番とやり方

3C分析は「市場・顧客」→「競合」→「自社」の順番で調査・分析を進めていきます。ここでは、それぞれのやり方を踏まえて解説していきます。

分析の目的を明確にしておく

3C分析に取り組むための準備として、まずは分析の目的を明確にしておきましょう。分析を新規事業の立ち上げのために行うのか、マーケティングの改善のために行うのかで、収集すべき情報や解釈の仕方などが異なってくるからです。

例えば、新規事業であれば、市場について基礎から固めていく必要があります。一方、既存商材についての改善を検討するのであれば、市場・顧客に変化を及ぼすトレンドなど一歩踏み込んだ部分から調査を始められます。

とくに複数名で分析に取り組む場合は、目的や調査する要素をしっかりと共有しておくことが大切です。

なお、インターネット上で公開されているデータだけ見ても、総務省や経済産業省などが公表する公的な資料を収集できます。リサーチ会社が行う調査なども一部は無料で確認することができますし、さらに業界に特化した情報を得たい場合は各種レポートを購入するのもよいでしょう。

市場・顧客の分析

最初に取り組むべきは、市場・顧客の分析です。対象が非常に幅広いため、まずはマクロ分析とミクロ分析という二つの分析の方向性について理解しておく必要があります。

・マクロ分析

巨視的分析とも呼ばれ、経済全体にかかわる数値や動きから法則性を見つけだそうとする手法です。市場規模や成長率、法規制・改正の動きなど、大きな要素に着目します。マクロ分析の手法としては「PEST分析」が代表的で「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」といった外部環境が自社にどのような影響を及ぼすか把握していきます。

・ミクロ分析

微視的分析とも呼ばれ、生産者や消費者の経済行動を分析することで経済・社会の動きの把握を試みる手法です。新規参入の可能性や消費者の考え方の変化、顧客ニーズを満たす商品の存在など、その業界特有の動きや変化などに細かく着目します。

ミクロ分析の手法としては「5F(ファイブフォース)分析」が代表的で、競争要因となる5つの驚異「競合」「代替品」「新規参入」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」について分析していきます。

なお、ここで取り上げた「PEST分析」と「5F分析」については「市場分析のやり方 分析の内容と代表的なフレームワークを解説」でも解説しています。

関連記事:「市場分析のやり方 分析の内容と代表的なフレームワークを解説」

競合の分析

次に、競合の分析を行います。具体的には、競合他社の売上やシェア率、商品・サービスの強み、成功要因などを調査していきましょう。

競合分析の方向性としては、ベンチマーキングが挙げられます。ベンチマーキングとは、同じビジネスプロセスを用いる企業のなかで、最高の事例と比較する手法です。

単に社員数や売上高などの数字を集めるのではなく、自社と近しい規模感の企業の体制や施策などを探り、成功の秘訣や改善のポイントを導き出すことが大切です。競合分析を進めることで、お手本となる施策や差別化の方向性など具体的な戦略が見えてくるでしょう。

自社の分析

最後に、自社の分析を行います。自社分析では、市場・顧客、競合の分析結果を踏まえて、自社が持つ価値や抱えている弱み、リソースの状況などをまとめていきましょう。

自社分析は「自社のことだから調べなくてもわかる」と軽視されがちですが、現場が抱えている課題や顧客から客観的にどう見られているかなど、ヒアリングなどを通して踏み込んで探ることが大切です。

より深く現状把握を行うならSWOT分析

3C分析で得られたデータをSWOT分析で整理することで、より深く現状を把握できます。SWOT分析は、自社を取り巻く環境や自社内部の環境を合わせて分析する手法で、SWOTは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(驚異)」の頭文字です。

3C分析で得たデータを「強み」「弱み」「機会」「驚異」に振り分けて意味づけすることで、誤った解釈を防ぎつつ、的確な現状把握につながります。

なお、SWOT分析については「SWOT分析のやり方 実施の目的や得られるメリットを解説」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

関連記事:「SWOT分析のやり方 実施の目的や得られるメリットを解説」

3C分析を行ううえでの注意点

3C分析はきちんとポイントを押さえて実施しないと、有益な情報をくみ取れません。ここでは、3C分析を行ううえでの注意点をお伝えします。

客観的な事実(データ)を集める

収集するデータは調査者の主観ではなく、客観的な事実でなければいけません。自社に都合が良いからと信憑性の低いデータを採用するなど、収集すべきデータを恣意的に区別すると正しい情報が得られません。

ただし、定性的な情報に意味がないわけではありません。とくに顧客からの問い合わせのような「生の声」は、データとして扱いにくいものの、貴重な改善案などが含まれている場合もあります。

スピード感をもって行う

3C分析は調査対象が多いため時間がかかりやすいですが、スピード感をもって行わないと、環境変化によって情報が陳腐化してしまいます。

ビジネス環境の変化は年々早くなっており、とくに一般消費者を対象とするビジネスの場合、ニーズや価値観はあっという間に移り変わります。分析に時間がかかると、せっかく策定した戦略が状況に即さなくなるため、調査・分析・意志決定をスピーディーに実行しなければなりません。

希望的観測を排除する

「客観的な事実(データ)を集める」とも共通する部分ですが、調査・分析を行う際は希望的観測を排除しましょう。

「こうあって欲しい」という気持ちがあると、「都合の良いデータの読み取り方をする」「不利益なデータから目を背ける」といったミスを犯しやすくなります。とくに経営層は、自社分析の弱みを「自身の失敗」と捉え、なかなか認められない場合があるので注意が必要です。

まとめ

3C分析が提唱された当時と現在では、ビジネス環境は大きく変化しています。しかし、経営戦略の策定において、3つのCが重要であることは変わりありません。「市場・顧客」「競合」「自社」を知ることは、あらゆる取り組みの土台となるからです。

とくにリソース・コストの最適化や他社との差別化などを図るのであれば、3C分析は欠かせません。希望的観測を排除し、スピード感を持って行えば、自社に有益な発見が得られるでしょう。

3C分析の活用に役立つ「ビジネス数学研修」

3C分析を始めとしたデータ分析を行う際に課題となるのが、社員のデータ分析力です。社内でデータ分析を推進しようと思っても、そもそも数字やデータに対して苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。

数字に苦手意識がある状態で統計研修やDX研修を受講させても、成果は上がりません。それどころか難解な研修のせいで、ますます数字やデータに対する拒絶反応が強まってしまうでしょう。

社内にデータ分析の体制を整えたいのであれば、社員のレベルに合った研修プログラムで、少しずつデータや数字に慣れていくことが大切です。

弊社オルデナール・コンサルティングが提供する「ビジネス数学研修」では、数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。

つい数字やデータから目を背けがちな人も、数字に慣れれば素早くデータからポイントを見つけだせるようになります。 「データ分析に取り組みたいけれど、育成体制が整っていない」「データ分析にまつわる研修でなかなか成果が上がらない」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご活用ください。

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