人事業務の効率化の方法 取り組みの流れや注意点を解説
人事の業務は「労務管理」「採用活動」「人材育成」など多岐にわたることから、様々な部分に効率化の余地があります。生産年齢人口の減少によって慢性的な人手不足が課題となる現在、人事業務の効率化はすべての企業で共通する課題といえるでしょう。
具体的な効率化の手段としては「ワークフローの見直し」「ツール・システムの導入」「アウトソーシングの活用」などが挙げられ、それぞれの課題に合わせて適切な取り組みを推進する必要があります。
今回は、人事の効率化をテーマに、効率化の方法や取り組みの流れ、注意点などを解説していきます。
効率化の対象となる人事の業務
まずは、効率化の対象となる主要な人事の業務について確認していきましょう。
労務管理
労務管理は、従業員が会社で働くにあたって必要となる手続き・ルールについて管理する仕事です。社会保険の手続き、福利厚生の整備、給与計算、勤怠管理など多岐にわたるため、どこかに効率化の余地がある場合がほとんどです。
採用活動
一口に採用活動といっても、採用計画の策定から候補者の面接、内定者フォローなど様々な業務があるため、効率化の余地が多く潜んでいます。また一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてweb面接やオンライン説明会などが広まり、効率化が否応なしに進んだ分野でもあります。
人材育成
人材育成も少なからず効率化を図れる業務です。とくにアウトソーシングによる効率化が盛んな分野で、ほとんどの企業が一度は研修を外部委託した経験があるはずです。LMS(学習管理システム)のように、業務の効率化と育成効率の向上を同時に実現するシステムの活用も盛んです。
人事評価・人員配置
人事評価や人員配置はAIを活用したツール・システムの導入が活発で、革新的な効率化が進む分野です。人材の評価を精密かつ効率的に行うことで、人事の負担を減らすだけでなく、社員のパフォーマンス向上につながる人員配置にもつながっていきます。
人事業務を効率化する方法
人事業務を効率化する方法として、大きく「ワークフローの見直し」「ツール・システムの導入」「アウトソーシング」が挙げられます。
ワークフローの見直し
人事業務の効率化の方法としてまず取り組まなければならないのが、ワークフローの見直しです。ボトルネックを洗い出し、優先順位を整理したり、属人化している業務を解消したりと、業務の遅延の原因を改善していきます。
いくつか効率化の方法を検討するにしても、まずはワークフローを見直し、業務遅延の原因に合った方法を取ることが求められます。
ツール・システムを導入する
効率化の方法として、最も目に見える変化を起こしやすいのがツール・システムの導入です。すでにチャットツールやweb会議システムといった「コミュニケーションツール」、インターネット上でファイルを保存・共有できる「ファイル共有ソフト」などを導入している企業は多いと思います。
同様に、採用活動時に応募者の管理やスケジュール調整を行う「採用管理システム」や、勤怠情報の管理や書類物の電子申請などを行う「労務管理システム」といった、人事業務に特化したツール・システムを導入することで、格段に業務が効率化するでしょう。
また、専用のシステムを導入せずとも、すでに運用しているweb会議システムを活用して、採用面接をオンライン化するといった取り組みも効果的です。
アウトソーシングを活用する
近年の採用難や働き方の多様化に見合った対応として、アウトソーシングを活用することも検討すべきでしょう。業務の一部をアウトソーシングすることによってリソースをコア業務へ割くことができるので、劇的な効率化につながります。
人事業務のアウトソーシングで最も身近なのは、人材育成でしょう。ビジネスマナー研修のように、社内でも実施できる研修を外部委託することは珍しくありません。
ただ、人事業務は他の部署と比べて、アウトソーシングを活用しにくい部分もあります。扱う情報の機密性などを考慮する必要があるからです。委任する業務の選択と必要となるコストを含めて、事前に十分な検討を重ねなければいけません。
人事業務の効率化を進める際の流れ
ここからは、実際に人事業務の効率化に取り組む際の流れについて解説していきます。
業務の洗い出し
人事業務の効率化の最初のステップは、業務の洗い出しです。具体的には、以下のようなポイントのもとで棚卸しを進めていきましょう。
・現在行われている業務とその担当者
・ワークフローと所要時間
・人員の不足感や属人化などの課題
なお、業務の棚卸しのやり方については「業務の棚卸しとは 4ステップに集約したやり方を解説」で詳しく解説しています。
関連記事:「業務の棚卸しとは 4ステップに集約したやり方を解説」
効率化の方向性を検討する
業務の洗い出しが済んだら、効率化の方向性を検討していきます。具体的には、以下のような対応が考えられます。
・業務自体のカット
・作業の短縮
・自動化の検討
・アウトソーシング
必要性が低下している業務についてはカットや短縮、方法論のアップデートが進んでいない業務については自動化、そもそもリソースが足りないときはアウトソーシング、といった対応を検討するとよいでしょう。
施策の検討
方向性が定まったら、具体的に施策の検討を進めていきます。例えばツール・システムを導入するにしても、コストや操作性などを考慮したうえで、数多くの商品から選定する必要があります。
コストパフォーマンスや導入までの期間、取り組みの実現可能性などを勘案して、最善の取り組みを模索しましょう。
効果の検証
施策に取り組んだあとは、どの程度の成果を得ることができたのか検証する必要があります。具体的には、かかったコストや、どの程度の効率化が表れているのかをまとめていきましょう。
とくにツールやアウトソーシングは、コストに対して成果が見合っていなければ、取り組みの継続や委託先について再考しなければいけません。
人事業務を効率化する際のポイントや注意点
最後に、人事業務を効率化する際のポイントや注意点をお伝えします。
定型業務と非定型業務の再考
「業務の洗い出し」のなかで着目すべきなのが、定型業務と非定型業務の再考です。
例えば、これまで採用面接は人にしかできない非定型業務と考えられてきましたが、近年「AI面接」が登場したことで、効率化の対象として検討することが可能となりました。
定型業務と非定型業務の境界線は技術革新によって日々変化しているため、先入観を捨てて効率化の可能性を探ることが大切です。
Excelファイルの属人化に注意する
Excelは人事業務の効率化を進める手段として、最も使用頻度が高いツールのひとつでしょう。ただ、Excelは自由度が非常に高いため、作成者のリテラシーや癖などが強く反映され、属人化を招きやすいというデメリットがあります。
とくに本人にしかわからない表現や高度なマクロが含まれると、同僚や後任に使いこなせず、むしろ作業効率を低下させてしまうリスクがあります。
属人化を防ぐために、マニュアルとして使い方や更新のルールなどをまとめておくことが大切です。
個々人のスキルアップ
業務の効率化の方法としては、やはりツールの導入やアウトソーシングの活用などが顕著な成果につながります。ただ、それらに頼りきってしまい、人事部のスキルアップが疎かになってしまっては本末転倒です。
行き違いや作業の重複を減らすためのコミュニケーションスキルは言うまでもなく、データ分析力なども採用活動や人員配置に欠かせないスキルとなっています。こうした個々人のスキルを伸ばすことが、業務の効率化を進めるための土台となるのです。
人事業務の効率化を進めたいなら「ビジネス数学研修」
近年の人事業務のトレンドであり、効率化を進めるうえでも欠かせないのが「データ活用」です。採用活動や人員配置、就労環境の整備など、人事部が抱えるあらゆる課題に関係するといっても過言ではないでしょう。
とはいえ、データ活用を推進するために統計研修やDX研修を取り入れても、なかなか業務の効率化にはつながりません。人事部のみならずビジネスパーソンの多くは、データや数字の活用に対して苦手意識を持っており、いきなり専門的な研修を実施しても実務に結びつかないからです。
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