採用計画の立て方 5つのステップと3つのポイントから解説

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採用計画とは「採用活動の指針となる計画」であり、その根幹には「経営目標の達成」という目標があります。

採用計画とは

採用計画とは、採用活動の指針となる計画のことです。採用計画は「経営目標の達成」という大きな目標のもとに遂行され、事業の推進に必要な人材や、将来的に組織の中心となる人物など、明確な意図を持って実行される必要があります。

採用計画を立てる際の4つの軸

採用計画を立てる際には、大まかに以下の4つの軸を明確にしておく必要があります。

ニーズ:事業計画や各部門の充足感などから人員の不足感を汲み取る

人材要件:採用する人材に求める経験やスキルといった条件

人数:採用を行う人数。内定辞退率やターゲットの採用難度などを踏まえて計画する

期限:いつまでに人材を確保するかの期限。戦力として配属する時期を踏まえて逆算する

採用フローと3つのフェーズ

採用計画では、採用フロー(募集から採用までの流れ)を整えることも大切です。採用フローは大きく3つのフェーズに分割でき、それぞれ施策を考えていく必要があります。

・募集フェーズ

募集フェーズは、いわゆる「母集団形成」を行う段階となります。言い換えるなら、応募者を増やすための取り組みです。採用手法の検討や求人媒体への広告掲載、説明会の開催などがこの段階にあたります。

自社が求めている人材とどのように出会うかが、最大の焦点となります。

・選考フェーズ

選考フェーズは、応募者を書類・面接などで審査していく段階です。あらかじめ選考基準を明確に定めておき、選考結果が面接官によって属人化しないよう徹底しておく必要があります。

また「売り手市場」の現在、選考をスムーズに進めて、候補者にできるだけ早く内定を出すことも重要になってきています。候補者へのレスポンスや社内のスケジュール調整を迅速に行い、選考の短縮化に努めるのがポイントとなっています。

・フォローフェーズ

フォローフェーズは選考中から内定後までの段階で、候補者の入社意欲を高めるための取り組みを指します。内定者フォローが代表的な施策ですが、各選考段階で候補者の疑問・不安などを払拭するためのフォローもここに含まれます。

「売り手市場」によって選考辞退・内定辞退が急増しているため、以前にも増して重要度が高まっているフェーズです。

5ステップでわかる採用計画の立て方

採用計画の立て方を5つのステップで解説していきます。

事業計画の精査やヒアリング

まずは事業計画や経営目標に基づいて、「採用活動によって何を達成(実現)するか」「どのような人材が必要なのか」を考えていきます。

また、経営層と現場にヒアリングを行い、欲しているスキルや求める経験などを細かく引き出していくことも大切です。

各種調査・情報収集

採用計画を立てる際には、各種の調査、つまり情報収集が欠かせません。とくに「求職者の動向」「競合他社が提示している条件面」は、自社の採用計画にも大きな影響を与えます。

求職者が求めるものは年々変化しており、とくにコロナ禍以降の動向の変化は顕著です。具体的には「働きやすさ」が重要視され、リモートワークや副業などの自由な働き方が認められる職場に人気が集まっています。

また、競合他社が提示する条件面は直接的に求職者から比較されるため、給与や福利厚生などの待遇面で遅れを取らないよう注意を払いましょう。合わせて、就業条件などで競合他社との差別化を図っていくことも大切です。

人材要件(採用ターゲット)を定める

事業計画の精査やヒアリング、各種調査の結果から、具体的に求める人物像を人材要件として構築しましょう。採用ターゲットと言う場合もありますが、同じものと考えて問題ありません。

人材要件を定める際には、絶対に譲れない条件(must)と、できれば満たしたい条件(want)の二段階に分けて設定していくとよいでしょう。

例えば、業務を担うために資格が必要であればmust条件として「資格所持者」を設定し、資格があれば実務経験を必須としないならwant条件として「◯年以上の実務経験」が設定できます。

なお、これらの人材要件は自社の業界における立ち位置や、提示できる条件(給与や福利厚生)から、冷静に「どのレベルの人材を採用できるか」を判断することも大切です。

業界における平均程度の条件しか提示できないのであれば、いわゆるハイクラス人材を採用するのは難しくなります。

採用スケジュールの設定

人材の採用または配属をゴールに据えて、そこから逆算して採用スケジュールを組んでいきましょう。

とくに採用スケジュールの設定は、新卒採用において重要なステップとなります。新卒採用では、就職活動の前倒しによって学生の学業を妨げることがないよう、就職情報の解禁を3月、面接の解禁を6月と設定されています(2024年卒の場合)。これを軸として、説明会の実施時期や内々定を出す時期の目標などを定めていきましょう。

参考:内閣官房「就職・採用活動に関する要請」

またここでは、採用フローの設定または見直しも行います。一般的に採用フローは「募集開始→選考→内定→入社」という流れを辿りますが、なかでも「選考」は工夫次第で多くの無駄を省ける行程です。

例えば「二次面接まではオンライン」「スカウト時は書類選考を省略」といった施策はすぐに始められる上、顕著に選考スピードを早めることができます。

採用手法(採用チャネル)の決定

予算や求める人物像の行動特性、スケジュールなどを考慮して、採用手法(採用チャネル)を決定しましょう。従来の採用活動は求人広告を掲載して応募を待つ方法が主流でしたが、近年では採用手法も多様化しており、自社に合った方法を選ぶことが重要になります。

例えば、採用市場に滅多に現れない希少な人材を採用したいのであれば、求人広告で応募を待つ手法は相性が良くありません。応募が来ないまま、いたずらに広告掲載費が増えてしまうからです。こういった人材の採用には、人材紹介やスカウトのような攻めの採用(ダイレクトリクルーティング)が求められます。

また、純粋に予算(採用コスト)を抑えたいのであれば、リファラル採用や自社採用サイトを活用するといった方法もあります。

数多くある採用手法の特徴をしっかりと理解し、目的や採用ターゲットに合った方法を選ぶことが採用活動の成否に直結します。

より良い採用計画にするための3つのポイント

採用計画の立て方を踏まえて、さらにより良い計画にするためのポイントをお伝えします。

採用手法や採用ターゲットは定期的に見直す

採用計画は、一度立てたら終わりではありません。一つの採用チャネルで応募数が伸びない場合は別のチャネルを走らせてみるなど、定期的な見直しと改善が大切です。

とくに近年は、生産労働人口の減少を背景とした「売り手市場」が深刻化しているため、従来の人材要件では採用に至らない可能性があります。「未経験者をターゲットに含める」など、ある種の妥協も検討すべきでしょう。

成果が出ない原因はいくつも考えられ、「採用ターゲットの理想が高い」「採用チャネルがターゲットに合っていない」「求人広告の表現に魅力がない」など様々です。採用フローごとの歩留まり率などを確認し、定量的に採用活動を評価してトライアンドエラーを繰り返す姿勢が求められます。

なお、採用フローにおける歩留まり率については「採用における歩留まりとは」で詳しく解説しています。

関連記事:採用における歩留まりとは

内定辞退率に注意する

近年の採用活用において深刻な問題となっているのが、内定辞退率の上昇です。リクルートの調査によれば、2023年卒(3月卒業時点)の内定辞退率は65.8%となっており、2022年卒の61.1%、2021年卒の57.5%と比較しても顕著な増加傾向が確認できます。

参考:リクルート(就職みらい研究所)「就職プロセス調査(2023年卒)2023年3月度(卒業時点)内定状況」

生産年齢人口の減少を背景として「売り手市場」が続く以上、今度も内定辞退率は高い水準で推移していくでしょう。対策としては、まず自社の採用活動に内定辞退につながるような問題がないかを確認することから始めてみましょう。その上で、内定者フォローなどの取り組みを刷新していくことが必要となります。

なお、内定辞退率については「内定辞退率とは 2023年までの推移や辞退を招く原因を解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「内定辞退率とは 2023年までの推移や辞退を招く原因を解説」

ホームページやSNSの見直し・更新

採用計画を立てる際は、自社のホームページやSNSの見直しと更新を計画に組み込みましょう。

求職者の大半は、ホームページやSNSを見て企業研究や応募の判断を行います。とくにコロナ禍以降はオンライン上での情報収集が基本となっているため、自社の魅力や求めている人物像などをweb上で確認できる環境が必須となっています。

まとめ

新たな採用手法の登場や求職者の価値観の変化などを背景として、採用活動時に検討すべきことは以前よりも確実に増えています。そのため、事前に綿密な採用計画を立てて、会社としての総意を打ち出しておくことが大切となります。

実際に採用計画を立てる際は、まず4つの軸を明確にするために、ご紹介した5つのステップに沿ってアクションを起こしていきましょう。また、各行程ごとにデータを取り、採用計画を定期的に見直していくことも必要です。

成果につながる採用計画に必要なのは「数字力」

少子高齢化を背景とした人口減や働き方の多様化などを受けて、採用活動の難易度は年々上がっています。旧来の「採用担当者の経験と勘」に頼る方法では、継続的に成果を出すのは難しいでしょう。

これからの採用活動を成功させるためには、採用チャネルごとの採用数や歩留まり率などのデータを分析して、適切なアクションを導き出す「数字力」が不可欠となっているのです。

しかし一方で、人事部や採用担当者のなかには「数字を扱うのが苦手」「データから情報を読み取れない」といった、数字に対する苦手意識を持つ方が少なくありません。こうした体制だと各種のアクションプランが感覚的なものになりがちで、「なぜこの施策が成功(失敗)したのか」の振り返りも難しくなります。

そんな状況を打破するためにおすすめしたいのが、弊社オルデナール・コンサルティングの「ビジネス数学研修」です。弊社の研修では、数字・データを根拠としたアクションプランの立て方を実践形式で学んでいきます。

プログラムも受講者のレベルに合わせて「入門編」から「実践編」の4段階で学べるので、数字に対する苦手意識を持つ方でも安心してステップアップしていくことができます。

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