予算計画とは 作り方とポイントを解説

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予算計画は、事業計画に対してどのように予算が使われているかを管理する取り組みです。予算の立て方にはトップダウン方式とボトムアップ方式があり、予算計画を作る際にはこの2つを混合させたかたちで進めていくのが一般的です。

今回は予算計画の立て方の種類と実際の作り方、計画実行時のポイントについて解説していきます。

予算計画とは

予算計画とは、事業計画や経営目標に対してどのように予算が使われているかを管理する取り組みです。

予算計画を立てることによって目標となる数字が明確になり、進捗管理や業務の方向性の分析が行いやすくなります。予算計画で策定された数字を追っていき、予算が未達成だった場合は問題点や改善点を洗い出し、次のアクションにつなげるというPDCAサイクルが出来上がるのです。

予算計画の立て方(種類)

予算の立て方には、どのような種類があるのか解説していきます。

トップダウン方式

予算計画におけるトップダウン方式は、社長や経営層などが予算計画を立てて、各部門へ伝える方法です。中小企業やベンチャー企業が用いることが多い方式で、意志決定の早さが最大のメリットです。

デメリットとしては、経営層が現場の実態を理解していない場合、社員のモチベーションを下げるような予算計画が立てられてしまう点が挙げられます。

ボトムアップ方式

予算計画におけるボトムアップ方式は、各部門で予算を取り決め、その予算をベースにして全体の予算計画を立てていく方法です。大企業で用いられることが多い方式で、現場の意見を汲み上げることから、現実的な予算計画を作成できることがメリットとして挙げられます。

デメリットとしては、現場で無理のない予算が組まれることにより、組織全体の成長性が鈍化する恐れがあることです。また、それぞれの部門から意見を汲み取っていくため、作成までに時間がかかることもデメリットといえるでしょう。

予算計画の作り方とその流れ

予算計画の立て方としてトップダウン方式とボトムアップ方式を解説しましたが、多くの場合、予算計画はこの二つを混合した方式で策定されます。ここでは、予算計画の立て方を流れに沿って解説していきます。

事業計画から目標を立てる

まずはトップダウン方式で、経営層が事業計画から目標値を立てていきます。このときに参考にするのが直前期の営業利益ですが、予算計画を立てる段階では予測値を使うことになります。

また、予算の目標値については、全社員が納得感を持てるような根拠を示すことが重要になります。社員間で共通認識が芽生えるよう、「経営目標の達成のためにはこの目標値が必要だ」と数字の正当性を示すことが大切です。

部門ごとに予算を立てる

次に、トップダウン方式で立てた目標値を各部門に割り振り、それぞれで予算を決定していきます。

割り振りについては、部門ごとの実績、リソースの割合などから妥当な数値を決定する必要があります。過去の損益計算書を確認しつつ、現実と乖離していないかに気を配り、割り振りを行いましょう。

行動計画の策定

予算の数値を定める際に合わせて行いたいのが、行動計画の策定です。

予算を達成するために必要なアクションを計画としてまとめることで、予算(数値)と行動が密接にリンクします。どのような取り組み・施策を行うかが具体的になれば、より詳細に数値の予測が立てられるというわけです。

部門ごとの予算を集計・調整する

最後に、ボトムアップ方式で各部門の予算を集計・調整して、全体の予算計画を立てます。それぞれの部門の希望や予算の妥当性、経営的な視点を調整して、最終的な仕上げを行いましょう。

予算計画の策定・実行時の4つのポイント

予算計画をより良いものにするために、計画の策定や実行時のポイントについて解説していきます。

予算の妥当性を確認する

予算計画を立てる際には、コストの妥当性まで確認しましょう。施策を実行するためには、当然ながらコストが発生しますが、問題となるのは施策または金額が妥当であるかです。

例えば、外注先にかかるコストについて考える際、近年ではフリーランス人材やクラウドソーシングなどを活用することでコストカットを図ることができます。従来の外注先に依頼するのであれば、その必要性を証明したうえで予算計画に組み込むことが求められます。

部門ごとに管理表を作成する

予算計画を実行する際、各部門は達成実績をまとめて管理表を作成しなければいけません。作成した管理表は、管理部門に回して確認・分析を行います。このように、実績と目標値を比較し、進捗確認や分析、改善を行うことに予算計画を立てる意義があります。

とくにビジネスの環境変化が著しい現代において、数値の把握と分析は即座に行う必要があります。対応が後手に回れば、原因の所在が見えにくくなってしまうためです。

状況に応じて予算計画を見直す

事業計画に影響を与えるような出来事が起きた場合は、予算計画を見直して軌道修正を図ることが大切です。

例えば、近年に限っても「新型コロナウイルスの感染拡大」「ロシア・ウクライナ戦争」といった、市場経済を大きく変動させる出来事が発生しています。ビジネスにおいても計画の前提を覆すような出来事が起きた場合は、予算計画についても即座に見直しが必要となります。

上に挙げた例はやや極端ではありますが、自社の業界において市場や環境を変化させるような出来事が起きた場合は、速やかに予算計画を見直して、適宜変更することが求められます。

予算管理システムの活用

部門ごとの予算を決める際や、予算と実績を管理するときに役立つのが予算管理システムです。クラウド上でデータを管理することで経営層と各部門がシームレスでやり取りできたり、予算と実績の乖離を分析できたりと、予算計画を策定する際の手間や無駄を省略できます。

ただ、今までExcelで管理していた場合は、予算管理システムを導入することで新たにコストが発生することになるので、自社の状況と体制を鑑みて検討するとよいでしょう。

まとめ

予算計画の作り方とその流れ自体は、さほど複雑なものではありません。重要になるのは、計画策定・実行時の業務の正確性と早さです。

とくに目標値と実績の乖離から課題を発見し、改善策を立てるまでのスピードが早ければ早いほど、組織としての生産性を向上させます。ボトムアップ方式で多くの社員を予算に関わらせる場合は、スピード感と正確性を高めるよう組織体制を整える必要があるでしょう。

予算計画作りは「会社の数字」に関心を持つことから

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