週休3日制とは メリット・デメリットや給与・勤務時間への影響を解説

#おすすめ記事#採用担当者向け#教育担当者向け#管理職向け#経営者向け

週休3日制とは、企業活動において一週間あたりの休日数を3日とする制度です。「給与維持型」「給与減額型」「総労働時間維持型」の3パターンがあり、それぞれ給与や勤務時間の変動の仕方が異なります。

現状では、「生産性の向上」や「人材確保」といったメリットが見込まれる一方、「コミュニケーション難」や「労務管理の負担増」といったデメリットが生じる恐れがあります。

今回は、週休3日制のメリット・デメリットや実際の導入状況、給与・勤務時間の変化などについて解説していきます。

週休3日制とは

週休3日制とは、企業活動において、一週間あたりの休日数を3日とする制度です。子育て・介護と仕事の両立、ワークライフバランスの実現などを目指して導入の動きが広まっています。

なお現状では、会社全体で週休3日とする企業は少なく、従業員の意思で週休3日制の活用を選択できる「選択的週休3日制」が主流となっています。

2024年12月には、東京都がフレックスタイム制度の運用を変更して「週休3日制」を選択できる制度を令和7年度より導入すると発表し、「週休3日制」に対する関心はさらに高まっています。

企業の週休制の状況

まず前提として、労働基準法では「1週間に1日」もしくは「4週間に4日」の「法定休日」が定められています。一方で、労働基準法では「1週間の労働時間を40時間以下にしなければならない」と定められているため、多くの企業が週あたりの労働時間を減らすために「所定休日」を設けて、週休2日制とするのが主流になっています。

実際に厚労省の調査によれば、「何らかの週休2日制」を採用している企業は85.4%と、大多数を占めています。

本題である週休3日制については、「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」を採用している企業は7.5%に過ぎないという結果が出ています。ただ内訳を見ると、「従業員数1,000人以上」では10.0%、「従業員数300~999人」では12.3%となっており、規模の大きい企業においては「10社中1社は週休3日制を導入している」と考えると、週休3日制の広まりを感じるのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」

週休3日制で給与や勤務時間はどうなるか

企業・労働者ともに週休3日制に対する最大の関心は、「週休3日制になると給与と勤務時間はどうなるのか」ではないでしょうか。週休3日制は3つの種類(パターン)に分けられ、それぞれ給与と勤務時間の変化の仕方が異なります。

給与維持型

給与維持型は、給与を現状維持したまま、週休3日制を導入するパターンです。1日8時間勤務であれば週あたりの労働時間は32時間に減少するわけですが、給与は据え置かれるので時給換算の賃金が上がる(人件費が増加する)かたちになります。

労働者にとっては最も理想的なパターンですが、企業からするといかにして生産性を維持するかが大きな課題となります。

給与減額型

給与減額型は、減少した労働日数の分、給与を減額するパターンです。1日8時間勤務であれば、週あたりの労働時間を40時間から32時間に減らした分、給与を約20%減額します。

収入よりもワークライフバランスを重視する労働者に支持され、企業からしても人件費の増加を防げるため、導入のハードルが比較的低いパターンとなります。

総労働時間維持型

総労働時間維持型は、休日とした1日分の労働時間を他の出勤日に振り分けることで総労働時間を維持し、給与も現状維持とするパターンです。1日8時間労働であれば、週4日間の就労時間を10時間として生産性と給与を維持します。

企業にとっては生産量と人件費が変わらないため最も負担が少ないパターンですが、労働者にとっては一日あたりの負担が重くなることが大きなデメリットとなります。

週休3日制のメリット

週休3日制を導入することによって、「生産性の向上」「人材確保」「自己投資の増加」といったメリットが得られるといわれています。それぞれ見ていきましょう。

生産性の向上

週休3日制を導入することによって心身の休息やプライベートの充実が得られ、パフォーマンス向上につながると考えられます。実際、祝日が1日ある週のほうが能率が高いと実感する人も少なくないでしょう。

休日が1日増えることで心身が充実し、モチベーションが高い状態で就業できるようになり、生産性の向上が期待されるわけです。

定着率の向上・人材確保

週休3日制の導入は、定着率の向上や人材確保といった効果も期待されます。とくに、競合他社に先んじて週休3日制を導入すれば、この効果はより顕著に表れるでしょう。

コロナ禍を経て、ワークライフバランスを重んじる意識はますます高まっており、労働者にとって週休3日制は非常に大きな魅力となります。従業員からすればエンゲージメントの向上につながり、求職者からすれば入社への強い動機となるでしょう。

自己投資によるスキルアップ

週休3日制を導入することにより、従業員が余暇に自己投資を行うことでスキルアップすることが期待されます。

パナソニックの創業者である松下幸之助氏は「1日休養、1日教養」をスローガンに、日本の大企業として初めて週休2日制を取り入れました。国際競争を勝ち抜くためには心身の健康と教養が不可欠であり、生産性の向上のためには週休2日制を導入すべきであると説いたそうです。

目まぐるしい変化と圧倒的な情報量に直面し、VUCA時代と呼ばれる現代においては、週休3日でないと自己投資と休息を実現することは難しいのかもしれません。

週休3日制のデメリット

週休3日制を導入することによって、「コミュニケーション難」「長時間労働・収入減」「労務管理の負担増」「生活面の影響」といったデメリットが生じる可能性があります。それぞれ見ていきましょう。

取引先や同僚とのコミュニケーション難

週休3日制のデメリットのなかでもとくに解消が難しいのが、取引先や同僚とのコミュニケーション難です。

まず、平日に定休日を設けることにより、取引先とのコミュニケーションの機会が減り、機会損失につながる恐れがあります。

また、会社としての定休日を設けず、従業員がそれぞれ3日目の休みをシフト形式で取得する場合は、チームメンバー全員が揃う機会が減り、組織内の意志疎通が滞る恐れがあります。管理職においては、部下の評価も難しくなるでしょう。

定休日型、シフト型のどちらを採用してもデメリットは生じてしまうため、事前にそれぞれの影響について検討しておく必要があります。

業務過多や収入減を招く

週休3日制の種類によっては、業務過多や収入減を招く恐れがあります。実際に週休3日制を導入している企業の多くは「給与減額型」または「総労働時間維持型」を採用しており、従業員はいずれかのデメリットを受け入れる必要があります。

労務管理の負担増

週休3日制の導入時に顕著に生じるデメリットとして、労務管理の負担増が挙げられます。

現状で週休3日制を導入している企業の多くは「選択的週休3日制」を採用しており、週休2日と週休3日の従業員が混在した状態になるため、勤怠管理や給与計算が複雑化しています。同様に、シフト制で3日目の休日を取得する場合は、さらに勤怠管理が複雑になってしまうでしょう。

週休3日制を導入したことにより、人事部の負担が増えて週休3日を取得できなくなった……では、担当者の離職につながりかねません。ツールによる管理を導入するなど、労務管理の効率化を合わせて推進する必要があるでしょう。

生活面への影響

週休3日制を取り入れることによって、労働時間や収入以外にも生活面へ影響を及ぼす事柄があります。その代表例が年金と保育園の審査です。

まず、「給与減額型」で給与額が減ることで、将来的な年金の額が減少してしまう可能性があります。

また、勤務日数(時間)が減ることで保育園の入園審査時の指数(点数)が減少し、審査に通りにくくなる可能性があります。※保育園の入園審査は自治体によって異なります

週休3日制の導入時には必ず注意事項として周知し、「選択的週休3日制」にするなどの対応が必要となるでしょう。

生産性の維持・向上を目指すなら「ビジネス数学研修」

週休3日制を導入する際の最大のポイントともいえるのが、生産性の維持・向上です。業務の無駄やムラを見つけて、より効率的に生産性を上げていかなければ、とくに「給与維持型」の週休3日制は実現できないでしょう。

具体的には、データをもとにした適切な人員配置やAIによる自動化などが求められるわけですが、ここで多くの企業が「数字やデータを活用できる人材がいない」という壁に阻まれています。そもそも多くのビジネスパーソンは数字やデータに苦手意識を持っており、AIや統計学などを学ぶ域にも達していないのが現状です。

そんなデータ活用人材の不足や生産性の向上を課題とする企業におすすめしたいのが、弊社の「ビジネス数学研修」です。弊社では、数字力の向上を通じて「把握力、分析力、選択力、予測力、表現力」の向上を図り、実際のビジネスシーンを想定したプログラムで「実務で活きる能力」を伸ばしていきます。

研修プログラムは「入門編」から「実践編」の4段階でご用意しており、数字を活用した効率的な仕事の進め方から、データを根拠とした意思決定・提案の方法まで、それぞれのステージに合った生産性の向上を獲得することができます。

「データ活用の文化を社内全体に広めたい」「生産性向上といっても、具体的に何に取り組めばいいかわからない」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご活用ください。

お問い合わせはこちらから