次世代リーダー研修とは 実施対象や内容を解説

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次世代リーダー研修とは、将来の管理職候補に対して、早期からリーダーを目指した育成を施していく取り組みです。以前は現場の中心である中堅層に向けて実施される研修でしたが、近年は若手層を対象にして実施する企業が増えています。

今回は、次世代リーダー研修の対象や内容(プログラム)、研修を成功させるためのポイントなどを解説していきます。

次世代リーダー研修とは

次世代リーダー研修とは、将来の経営層や管理職の候補に対して、早期からリーダーを目指した育成を施していく取り組みのことです。

終身雇用制度と年功序列が機能していた時代であれば、年齢と経験を重ねてステップアップしていくなかでリーダー候補が育つ環境がありました。しかし、生産年齢人口が減少し、雇用の流動化が進む現在においては、能動的に育成を行わないとリーダーを確保できない状況にあります。

そのため、次世代リーダー研修というかたちで、継続的に幹部候補を育成していく取り組みに注目が集まっているのです。

次世代リーダー研修の対象

次世代リーダー研修の対象は、課長や係長クラスを対象とした中堅層向けと、役職を持たない若手層向けに分けられます。

実際にHR総研が実施した次世代リーダーの育成に関する調査によれば、「次世代リーダー育成対象者の現在の役職」は課長クラス(78%)、係長クラス(50%)、部長クラス(50%)、一般社員(26%)となっています。中堅層の育成が中心となりつつも、少なからず一般社員を対象とする育成が推進されていることがわかります。

参考:ProFuture株式会社「【HR総研】「次世代リーダーの育成」に関するアンケート」

以前までの次世代リーダー研修は現場の中心的立場を担う中堅層に実施し、経営の視点を学んでもらうことで、さらなる成長を促すことが目的でした。

それが近年になって、「中堅層が氷河期世代にあたっており、社内に人員がいない」「売り手市場の影響で採用活動の難度が上がったため、社内から確実にリーダー候補を生み出したい」といった理由から、若手層を対象に次世代リーダー研修を行う企業が増えています。

育成対象者の年齢・経験値によって求められる研修プログラムも変わってくるため、研修先を選ぶ際は対象者に合ったプログラムを提供しているかに注目しましょう。

次世代リーダー育成の現状

生産年齢人口の減少や雇用の流動化などを背景として、多くの企業が次世代リーダー育成の課題に直面しています。各種調査から、次世代リーダー育成の現状を探っていきましょう。

半数以上の企業が次世代リーダーの人材不足を感じている

すでに半数以上の企業は、次世代リーダーの人材不足を深刻な課題として受け止めていることが明らかとなっています。

日本経営協会が公開する「人材白書2023」によれば、「人材開発において直面している問題」として「次世代リーダー層の人材不足」が1位(49.5%)となっており、これは2位の「管理職の人材不足」(37.2%)や3位の「優良人材の採用が困難」(37.1%)と比べても頭一つ抜け出た結果となっています。

参考:一般社団法人日本経営協会「人材白書2023」

後継者難による倒産は過去最多を更新し続ける

次世代リーダーの育成失敗による最悪の顛末は、後継者難による倒産でしょう。東京商工リサーチの調査によれば、2023年度の「後継者難」による倒産は過去最多を更新して456件に達しており、6年連続の増加となっています。

参考:株式会社東京商工リサーチ「深刻な「後継者難」倒産、2023年度は過去最多の456件 代表者の「死亡」「体調不良」が約8割、承継準備が急務」

目に見えるかたちで後継者難による倒産が増加し続けていることからも、次世代リーダーの育成が企業の喫緊の課題となっていることがわかります。

次世代リーダー研修の内容(プログラム)

次世代リーダー研修では、具体的にどのような内容(プログラム)を学んでいくのか解説していきます。

なお、次世代リーダー研修は、1年以上かけてプログラムが組まれる場合も少なくありません。長期的な取り組みとなることを想定したうえで実施しましょう。

リーダーを務めることに対する意識変革

次世代リーダー研修の目的として重要性が増しているのが、育成対象者にリーダーを務めることに対する意識変革を促すことです。いわゆるマインドセット教育の段階にあたります。

株式会社識学が実施した「管理職に関する調査」によれば、「管理職になりたいと思いますか」という問いに対し、「管理職になりたくない」と回答した割合は72.0%に達しています。その他の調査を見ても、現在のビジネスパーソンの多くは、リーダーや管理職への昇進にネガティブな印象を持っています。

参考:株式会社識学「管理職に関する調査」

こうした意識を変革するためには、次世代リーダー研修を通じて「自分の適性やキャリア観にあったリーダー像」を見つけることが効果的です。また、経営層などから候補者に対して期待を伝え、早期からリーダーとして育成していく姿勢を見せることも大切です。

リーダーとしてのビジョン構築

次世代リーダー研修は、リーダーが持つべき明確なビジョンを構築する場でもあります。

社会や価値観が目まぐるしく変化する現代ですが、そのなかでもリーダーは、時代に即した明確なビジョンを示さなければいけません。そのため次世代リーダー研修では、受講者同士で積極的に意見を交換するプログラムが組まれます。多様な価値観に触れ合うことで自身の考えが磨かれ、成長へとつながっていくからです。

また、リーダーとして組織を引っ張る際には、異なる意見を持つ社員たちに向けて、誤解なくビジョンを伝えなければいけません。早期から次世代リーダー研修に参加し、意見を伝える経験を重ねておくことで、ビジョンの伝え方もブラッシュアップされるでしょう。

経営視点の獲得

リーダーと一般社員の違いのひとつに「視点」が挙げられます。同じ社内でも、一般社員が目前の業務や自身の成績に注視する一方で、経営者は数年先の事業の展望や全体の財務状況に目を向けています。

次世代リーダー研修では、経営側に立った場合の視座や考え方を学び、自社のビジネスモデルや市場の状況などを見直していきます。視座が変わるだけで視野が広がり、視点は多角的になります。

経営視点を学ぶことで意志決定力や課題発見力は劇的に向上するでしょう。

リーダーに求められる能力の取得

次世代リーダー研修では、リーダーに求められる各種能力の取得も目指します。前述のHR総研の調査では「次世代リーダー候補者のスキル・特性として重視すること」として、以下のような結果が出ています。

・リーダーシップ(66%)

・組織・人材マネジメント(55%)

・目標達成意欲・行動力(52%)

・問題解決力(52%)

・コミュニケーションスキル(49%)

この調査からは、具体的な実務上の知識・スキルよりも、人を動かす能力や課題に立ち向かう力が重要視されるという結果が出ています。

なお、これらはリーダーに求められる能力の一例に過ぎず、自社が置かれている状況などによっても取得を目指すべきスキル・知識は異なります。

次世代リーダー研修を成功に導く5つのポイント

最後に、次世代リーダー研修を実施するうえで必要な準備や、プログラムに盛り込みたいポイントをお伝えしていきます。

自社が求めるリーダー像を明確にする

まずは事前の準備として、自社の経営目標や抱えている課題から、どのようなリーダー(人材)が必要なのかを明確にしておきましょう。

一口に「次世代のリーダー」といっても、業界や企業規模、業態などによって、求められる役割や能力は異なります。業界における人材確保の難易度なども考慮したうえで、社内で確保すべきスキルなどを検討し、人物像をゴールとして設定しておく必要があります。

候補者の基準を定める

次世代リーダー研修の受講者を選抜するためには、候補者の基準・定義を設定する必要があります。

「業務成績が良いから」「上司の主観による推薦」といった曖昧な基準しかないと、リーダーとしての資質を欠く人材が候補になったり、上司の選り好みで有力な候補が見落とされたりと、選抜がうまく進みません。

公平かつ正確な選抜を行うためには、候補者の基準・定義を明確にして、あらかじめ全社員が確認できるよう公表しておくことが大切です。

ストレッチアサインメントの導入

多くの次世代リーダーの育成プログラムには、ストレッチアサインメントの要素が組み込まれています。ストレッチアサインメントとは、現在の実力では達成が難しい目標・課題をあえて設定することで、対象者の成長を促す手法です。

ただし、ストレッチアサインメントは「むちゃぶり」「押しつけ」「パワハラ」と受け取られることも多く、サポート体制が適切でないと効果を発揮しません。育成対象者と能力と課題の難易度を正確に見定める力も必要となるので、導入の際は十分に注意を払いましょう。

なお、ストレッチアサインメントについては「ストレッチアサインメントとは 導入方法とメリット・デメリットを解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「ストレッチアサインメントとは 導入方法とメリット・デメリットを解説」

アクションラーニングの導入

次世代リーダー研修には、アクションラーニングの導入が欠かせません。アクションラーニングとは、受講者同士でチームを組み、実際に存在する課題について解決策を考えていくことで成長を促す手法です。

リーダーとしての能力を伸ばしていくためには、経験を積ませることが一番です。いくら知識やスキルを学んでも、それを実務に活かせなければ意味がありません。

とはいえ、リーダーとして取り扱うレベルの課題は、なかなか実務で失敗しつつ学ぶというわけにもいきません。そのため、アクションラーニングで実践形式の課題に取り組み、学んだ知識やスキルを活かす訓練を積むことが重要になるのです。

なお、アクションラーニングについては「アクションラーニングとは 進め方と効果を解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「アクションラーニングとは 進め方と効果を解説」

越境学習の導入

次世代リーダー研修の効果を高めるために、越境学習を取り入れたプログラムの導入が進んでいます。越境学習とは、企業や職場の枠組みを離れて、普段と異なる環境で学びを得る取り組みのことです。

次世代リーダー研修では受講者同士で意見を交換するプログラムが多く組まれるため、その効果を高める狙いで、複数の組織が合同で研修を実施する試みが活発化しています。

他業種の組織と研修を行うことで、新たな手法や知見に触れる機会が得られ、自社にはなかったビジョンや考え方を取り入れるチャンスとなります。

なお、越境学習については「越境学習とは 具体的な方法やメリット・デメリットを解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「越境学習とは 具体的な方法やメリット・デメリットを解説」

次世代リーダーに必要な「数字力」

近年のビジネス環境の変化は著しく、リーダーは先行きが見えないなかでも意思決定を行わければいけません。そんななかで部下や経営層から求められるのは、明確な根拠です。

では、部下や経営層を納得させる明確な根拠とはなにかというと、数字やデータです。数字やデータには曖昧さがなく、事実を示します。実際に数字をコミュニケーションに取り入れてみると、提案や指示に曖昧さがなくなり、認識の齟齬が生まれにくくなることが実感できるでしょう。

しかし、次世代のリーダーにデータや数字を使いこなす力が求められる一方で、データにまつわる研修はデータサイエンティストなどの専門職を目指すものばかりなのが現状です。

弊社が提供する「ビジネス数学」は、ビジネスにおける具体的なシチュエーションを想定して、実践的に「数字力」の向上を目指します。データ分析と意思決定、相手にわかりやすく伝える表現力など、次世代リーダーの育成に役立つプログラムをご用意しております。

既存の次世代リーダー研修で成果が上がらないとお悩みでしたら、ぜひ弊社オルデナール・コンサルティングまでご相談ください。

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