巻き込み力とは 必要なスキルや迷惑と思われてしまう原因を解説

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巻き込み力とは、周囲からの共感と協力を得て、ともに目標達成を目指す力のことです。指示を出して動いてもらうのではなく、周囲の人々が主体的に行動する点に特徴があります。

巻き込み力を発揮するためには「ビジョン構築」「伝達力」「完遂力」などが必要であり、「人の事情を考えない」「同情を引く」などの行為は迷惑がられる原因となります。

今回は巻き込み力をテーマに、巻き込み力を発揮するために必要なスキルや、迷惑と思われてしまう原因などについて解説していきます。

巻き込み力とは

巻き込み力とは、自身の目標へ向かうなかで周囲からの共感と協力を得て、ともに目標達成を目指す力のことです。

巻き込み力は指示を出して動いてもらうのとは異なり、周囲の人々が主体的に行動する点に特徴があります。そのため、リーダーが巻き込み力を持つことでモチベーションの高い集団が形成され、問題解決力や生産力が大きく向上します。

巻き込み力を発揮するために必要なこと

巻き込み力は、いくつかの能力と日々の立ち振る舞いによって形成されるものです。そのため、巻き込み力を発揮したいのであれば、様々な取り組みが必要となります。

ビジョン構築

巻き込み力の土台とも言えるのが、ビジョン構築です。人からの共感・協力を得たいのであれば、自身が何を目指し、それがどのような成果につながるのかを明快に示すことが求められます。

ビジネスに限った話ではなく、何をしているかわからない人には協力したいと思わないはずです。周囲からの信頼を得るという意味でも、プロジェクトの意義や展望を明確にするビジョン構築は欠かせない取り組みとなるのです。

伝達力を磨く

巻き込み力を発揮するために「ビジョン構築」とセットで必要となるのが、伝達力です。どれだけ明確にビジョンを構築しても、それを他者に共有できなければ意味がありません。熱意や理想だけでなく、誰にとってもわかりやすい表現をすることが大切です。

また、巻き込みたい相手に響くような表現を使い分けることも重要なポイントとなります。例えば「社会貢献の意味が強い意義深いプロジェクトになる」「将来的に○○へステップアップできる経験になるはず」といった具合に、相手にとって魅力的なメリットを提示できると巻き込める可能性がより高まるでしょう。

観察力を身につける

巻き込み力というと、周囲の事情と関係なく巻き込んでいくカリスマ性を想像するかもしれませんが、実は高い観察力が求められます。

上の「伝達力」でも解説しましたが、周囲の人を巻き込むためには、その人が思わず参加したくなるような役割やメリットを提示することが大切です。そのためには、日頃から周囲の人たちが何に興味・関心を抱き、どんな問題意識があるかなどを理解しておく必要があります。

また、その人がどの程度の仕事量を抱えていて、現実的に巻き込むことができる状態なのかを把握しておく必要もあるでしょう。このように、日頃から周囲に気を配ることで初めて「巻き込み」が可能となるのです。

完遂力を身につける

巻き込み力を構成する要素として欠かせないのが、完遂力です。途中で投げ出してしまう人や、すぐにやり方・意見が変わる人には誰も付いていきたいとは思わないからです。

実際、計画や仕様の変更は現場に強いストレスを与えます。とくにその原因が進行管理のミスやクライアントに対する弱腰の姿勢にあると、周囲からの信頼が損なわれ、巻き込み力が大きく低下します。

逆に言えば、困難な局面を打開し、仕事を完遂する姿を見せることができれば、巻き込み力は大きく向上するでしょう。

根回しをしておく

巻き込み力には事前の準備、いわゆる「根回し」も必要となります。根回しというと聞こえは悪いですが、飛び込み営業が門前払いを受けるのと同じで、事前に断りを入れておかないと「礼儀知らず」と見られてしまう恐れもあります。

組織のなかには少なからず縄張り意識が存在するため、とくに他部署を巻き込みたいときなどは「根回しをすることがマナー」と考えるくらいでちょうど良いでしょう。

巻き込み力が迷惑と思われる原因

巻き込み力について誤った解釈をしていると、周囲から迷惑と思われ、逆に孤立してしまう恐れがあります。ここでは、迷惑と思われてしまう主な原因について解説していきます。

人の事情を考えていない

人の事情を考えずに巻き込もうとすると、ほぼ確実に周囲から迷惑と思われてしまいます。

単純に現在の仕事で手一杯であれば、新たなプロジェクトに巻き込まれるのは迷惑でしかありません。また、組織のなかには派閥や立場などもありますから、なかなか協力できないこともあるでしょう。

巻き込み力を発揮したいのであれば、事前に相手の状況や立場を理解しておくことが欠かせません。

同情を引く

巻き込み力に欠かせない共感を得るために同情を引こうとする人がいますが、これは正しい巻き込み力とは言えません。

一時的に協力を得るためには有効な手段かもしれませんが、これを繰り返していると「周囲を都合よく使っているだけ」と迷惑がられてしまいます。中長期的には信頼を失い、巻き込み力を喪失する原因となりかねないので注意しましょう。

立場や権威で巻き込む

立場や権威を巻き込み力と勘違いしている人は、迷惑がられる可能性が高まります。

組織は基本的に上意下達で、下の者は上からの指示に従います。こうした状況で「自分には巻き込み力がある」と勘違いしてしまうリーダーが一定数いますが、相手からすれば「巻き込まれている」だけです。

立場や権威があると自認しているのであれば、「相手は嫌々ながら従っていないか」「共感を持ってもらえているか」を自問自答し続けることが大切です。

問題を押しつけて楽をしている

巻き込み力と称して問題を周囲に押しつけて楽をしていると、迷惑がられて孤立につながります。

自分では解決できないことを人に頼るのは決して悪いことではありませんし、巻き込み力としても間違いではありません。しかし、そこに「楽をしたい」という思惑があると、相手からの共感は得られず、自主的な行動を引き出すこともできません。

巻き込み力の向上につながるスキル

最後に、巻き込み力の向上につながるスキルについて解説していきます。

ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルは、人々の活動が円滑に進むように舵取りをする力のことで、ビジネスシーンでは会議や商談を円滑に進めるためのスキルとして注目されています。

具体的には、有益な議論を行うために環境を整えたり、議論のポイントを可視化したりと、会議等の参加者が納得して主体的に動けるようにするためのスキルとなります。周囲の協力を得て、ともに目標達成を目指すために欠かせない要素といえるでしょう。

交渉力

交渉力は、自分と相手の目的や利害をすり合わせて、双方が納得できる着地点を見いだせるように話し合う力です。

同じ組織に所属していても、部署や役職が異なれば意見も異なります。例えば、売上を優先したい営業がいる一方で、製品の質を優先すべきと考える品質管理部もいます。双方の主張はどちらも正しいですが、どこかで折り合いをつけなければいけません。

こうした場面で求められるのが交渉力であり、双方が納得できるような着地点を見いだすことができれば、自ずと周囲を巻き込む力が高まっていくでしょう。

巻き込まれ力

巻き込まれ力は文字通り、周囲からの働きかけに対して主体的に応じていく力のことです。日頃から頼み事や相談をされやすい雰囲気を持っておくことと言い換えてもいいでしょう。

普段から無関心・非協力的な人物が周囲を巻き込もうとしても、誰も応じてくれません。ですから日頃から頼まれ事を引き受け、言葉は悪いですが「貸し」を作っておくことで、巻き込み力の向上につながっていきます。

巻き込み力を大きく底上げする「数字力」

ここまでの解説のとおり、巻き込み力は様々な能力と日々の立ち振る舞いによって形成されるため、一朝一夕では身につきません。ただそのなかでも、ビジョン構築や伝達力、交渉力の向上につながり、巻き込み力を大きく底上げしてくれるスキルがあります。それが「数字力」です。

例えば、上司から抽象的な理想論や達成不可能な目標を提示され、モチベーションが大きく下がったという経験はないでしょうか。ここに欠けているのは「現実的に達成できるというイメージ」です。他人を巻き込みたいのであれば熱意だけでなく、想像しやすいビジョンと論理的な道筋も必要となるのです。

では、想像しやすいビジョンと論理的な道筋を作るためには何が必要かというと、数値化です。例えば「お客様の信頼を勝ち取る」という目標は理想としては良いですが、具体的に何をすればいいかがわからないため、人を巻き込む力に欠けます。

しかし、こうした目標を数値化してみるだけで「お客様の信頼の証としてリピート率◯%以上を目指そう」と表すことができ、誰が見ても「お客様の信頼」の基準がわかり、日々どのような業務が求められるかが考えやすくなります。

実はこうした数字を活用したコミュニケーションは、弊社がご提供する「ビジネス数学研修」の一部。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。

とくに弊社では「数字に対する苦手意識の克服」に力を入れておりますので、「数字をもとに考えるってどうやるの?」「細かいデータを見ると頭が痛くなる」という方でもステップアップできるトレーニング法をご用意しております。

また、弊社ではオンライサロン「社会人の数字力向上サロン」を運営しており、「数字に対する苦手意識を克服したい!」「周囲を巻き込んで、いつかは独立したい」といった目標を持つ方々が互いに高め合う場を提供しています。個人でビジネス数学について学びたいという方は、ぜひオンライサロンへの参加もご検討ください。

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