成長実感の重要性 成長実感を得るために必要な取り組みとは

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成長実感は一時的な達成感に留まらず、その後のモチベーション向上、ひいては組織のパフォーマンスにも影響を与えます。

一方で、成長実感が得られない原因としては「他者からの評価への依存」などの個人的な問題や、「ルーティンワークが多い」などの組織的な問題があるため、適切な対応・取り組みが求められます。

今回は、各種調査から成長実感の重要性を紐解いていき、成長実感が得られない原因や成長実感を得るために必要な取り組みについても解説していきます。

成長実感の重要性

今までできなかったことを達成したときや、難題をクリアして周囲からの賞賛を得たときなど、成長を実感した瞬間は仕事上の大きなやりがいとなります。

また、成長実感は一時的な作用だけでなく、その後のモチベーション向上にもつながるため、人材育成や組織開発においても重要なファクターとなります。

実際にパーソル総合研究所の調査・分析では、成長実感と成長志向(労働を通じた成長が重要だと思うこと)の影響度の比較が行われており、以下のような結果が出ています。

・仕事への意欲

成長実感 0.382

成長志向 0.121

・就業満足度

成長実感 0.311

成長志向 0.052

・組織のパフォーマンス

成長実感 0.255

成長志向 0.08

参考:株式会社パーソル総合研究所「成長「実感」の効果は、「目指す」ことのおよそ3倍 成長実感と志向の効果比較」

この結果からもわかるように、実際に成長を実感することで大きくやりがいやモチベーションが上がっていくのです。

成長実感がないと離職につながる

成長実感が得られないことは、離職につながる重要な因子であることが各種調査からわかっています。

例えば、リクルートが新卒新入社員を対象に実施した調査によれば、「成長を実感していない」と回答した人のうち、53.8%が「転職の意向がある」と回答しています。

参考:リクルート「新入社員が成長実感を得られる環境・仕事の性質」

こうした傾向は、新入社員に限った話ではありません。オールディファレント株式会社が社会人5年目以降を対象に実施した調査によれば、離職意向者の「今の会社で働き続けたくない理由」として、「この会社で成長できないと感じるから(21.1%)」が3位にあがっています。

2位の「仕事内容に不満があるから」と2ポイント程度しか差がないことからも、成長実感は離職につながる強い因子であることが伺えます。

参考:オールディファレント株式会社「【中堅社員の意識調査(成長実感編)】中堅社員が成長を実感するとき「仕事の完遂」が1位」

ほとんどの学生が成長実感を重視している

成長実感は、新卒採用を進めるうえでも重要な要素となります。

株式会社学情が2026年卒の大学生・大学院生を対象に実施した調査によれば、「やりがいや成長している実感を得ながら仕事をすることを重視しますか」という問いに対し、34.9%が「最も重視している」と回答しています。「最優先ではないが重視している(52.9%)」と合わせると、約9割が成長実感を重視しているという結果となっています。

参考:株式会社学情「2026年卒学生の就職意識調査(裁量・やりがい)2024年7月版」

成長実感が得られない原因

成長実感が得られない原因は、大きく「本人の問題」と「組織の体質」に分けられます。それぞれ見ていきましょう。

目標設定が適切ではない

目標設定が適切ではない場合、成長実感が得られにくくなってしまいます。例えば「お客様から信頼される営業になる」という目標は理念としては素晴らしいですが、目標としては「何をもって信頼される営業とするか」が曖昧で、達成基準が明確ではありません。そのため、成長実感を得る機会・瞬間が減ってしまうのです。

また、目標が高すぎても達成の機会がなかなか訪れないため、やはり成長実感が得られにくくなってしまいます。達成の基準を明確にし、背伸びをすれば届く範囲の難易度で目標設定することが大切です。

なお、目標達成ができない理由については「目標達成できない人の特徴や理由 その改善策を解説」でも詳しく解説しています。

他者からの賞賛だけを意識している

他者からの賞賛だけを意識している人も、成長実感の機会を逃しがちです。他者からの賞賛は大きな成長実感を得られる一方、評価者が常に周りにいるとは限らず、想定するほどの賞賛を得られるとは限りません。

自分のなかにもしっかりと評価軸を持ち、自分の成長を自分で評価することを忘れないようにしましょう。

ルーティンワークが多い

組織の体質面で成長実感を失う原因として挙げられるのが、ルーティンワークが多いことです。仕事を覚え、毎日同じような業務を繰り返していると「慣れ」から「飽き」に変わってしまうからです。

毎日同じ料理を作り続ける料理人があくなき探求に取り組むように、ルーティンワークのなかでも成長を目指す人もいます。しかし、とくに2年目、3年目などは周囲との比較も気になり、大きな成長を求めがちなので、どうしてもルーティンワークしかない職場には不満を感じやすくなります。

チャレンジを認める風土がない

「ルーティンワークが多い」とも共通する部分がありますが、チャレンジを認める風土がないと成長実感を得る機会が減少します。自分で考案した企画や立ち上げたプロジェクトなど、「自分事」になっている仕事は成長実感を伴う場面が多々訪れるからです。

また、仮にチャレンジが失敗に終わった場合でも、それを周囲が否定的に捉えるか、肯定的に捉えるかによって成長実感が大きく異なってきます。失敗のなかにも成長につながる要素があれば、成長実感を得られることもあります。チャレンジを認める組織風土は、成長実感に欠かせない要素といえるでしょう。

成長実感を得るために必要な取り組み・ポイント

従業員それぞれが成長実感を得るためには、組織としてどのような取り組みが求められるのかについて解説していきます。

成長志向よりも成長実感の提供

まず前提として、組織としての働きかけは、成長志向を促すよりも成長実感の提供を心がけましょう。

前述のパーソル総合研究所の調査・分析のとおり、仕事を通じた成長が大切であると啓蒙するよりも、実際に従業員が成長を実感できる機会を提供するほうが大きな影響があります。

つまり、セミナーなどに参加させて意識改革を促すより、組織の仕組みや取り組みを見直して成長機会を提供するほうが重要になるわけです。

メンター制度の導入

成長実感を持つために必要な取り組みとして、メンター制度が挙げられます。

前述のリクルートの調査においてもメンター制度と成長実感の相関が調べられており、メンターがいる新入社員のほうが成長を実感している割合が多いという結果が出ています。直属の上司とは異なる視点でアドバイス等をくれるメンターがいることで、成長を実感しやすくなることは想像に難くありません。

なお、メンター制度の導入については「メンター制度とは 導入のメリットや進め方を解説」で詳しく解説しています。

定期的なフィードバック

定期的なフィードバックも成長実感に影響を与えると言われています。

前述のリクルートの調査では、フィードバックの量が多い人ほど成長実感が高い傾向が明らかとなっています。さらに同調査では、メンターがいる人のほうがフィードバック量が多いという結果も出ているため、「メンター制度」とも深く関わる取り組みといえるでしょう。

最後まで仕事を任せる

前述のオールディファレント株式会社の調査では、「成長を実感する場面」についても調査されており、1位は「仕事を完遂したとき」で42.3%の回答が集まっています。

発案から最後まで仕事をやり抜くためには、様々な課題や困難を乗り越える必要があります。上司からすれば、それらを一任することはリスクもあるでしょう。

しかしミドル層が成長実感を得るためには、権限移譲を行い、メンバーそれぞれが責任を持って仕事を完遂する機会が何よりも効果的なのです。

成長実感は定量的な調査でしか確認できない

成長実感がゲームでレベルが上がったときのように示されればわかりやすいですが、実感という言葉のとおり、外からでは確認できません。ですから、従業員が成長実感を得ているか確かめたいのであれば、定量的な調査・分析が必要となります。

その際に重要となるのが、得られたデータから具体的なアクションを起こすことです。せっかく慣れない社内アンケートを実施したのに、「アンケート結果をどう読み解けばいいかわからない」「データから人事施策へのつなげ方がわからない」といった課題に行き当たる企業・人事担当者様が多いのが現状です。

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