提案力とは スキルの要素や高めるためのトレーニング法を解説

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提案力とは、相手のニーズ・課題を発見したうえで、企画やサービスなどの魅力をわかりやすく伝える力です。

提案力は傾聴力や課題解決力、表現力などによって構成される複合的なスキルであり、これらを高めるためには日頃から情報収集に努め、定量的な思考力を磨くことなどが必要となります。

今回は、提案力を構成する要素や、高めるためのトレーニング法、提案力がある人が実践しているテクニックなどを解説していきます。

提案力とは

提案力とは、相手のニーズ・課題を発見したうえで、売り込みたい企画やサービスなどの魅力をわかりやすく伝える力です。この定義からもわかるとおり、提案力は課題発見力や表現力などによって構成される複合的な能力となっています。

ビジネスにおいては営業職に求められるスキルと思われがちですが、実は広く活用の場があるスキルです。例えば、誰しもが通る就職・転職活動でも「自分の魅力を売り込む」ために提案力が求められますし、社内会議などで自分の意見を通したいときにも役立ちます。

提案力を構成する要素

提案力は様々な要素によって構成される複合的なスキルです。ここでは、それらの要素(スキル)について解説していきます。

傾聴力

傾聴力とは、ただ話を聞くだけではなく、表情や態度などを含めて相手を観察し、その真意を深く理解する力です。

魅力的な提案をするためには、相手の話の内容だけでなく、その表情や態度からも真意を探り、ときには核心を突く質問によって、当人すらも気づいていない潜在的な願望・課題を引き出すことがポイントとなります。そのために必要なのが、この傾聴力なのです。

課題解決力

相手のニーズや課題を発見するだけでなく、それを解決に導く方法を示すことが「提案」です。つまり、ここでいう課題解決力とは、売り込みたい企画やサービスが相手の課題解決につながると論理的に説明する力といえます。

またビジネスにおいては、社内のリソースや必要となるコストを踏まえて「◯日でできる・◯円でできる」といった、より具体的な提案が求められます。そのため、社内の現状把握や競合他社のコスト感といった情報収集も、課題解決力に欠かせない要素といえるでしょう。

表現力

商品やサービスの魅力を簡潔にわかりやすく提案するためには、表現力も欠かせません。

提案用のスライドを作成する美術的なスキルもそうですが、ここでいう表現力とは、相手にとってわかりやすい言葉を選び、理解しやすい構成を組み立てることなどを指します。

例えば、「専門用語を誰にでもわかる言葉に置き換える」「言葉だけではわかりにくい部分に図表や写真を使う」といった工夫こそが表現力なのです。

数字やデータを根拠とする具体性

どれだけ魅力的な提案であっても、それが机上の空論ではビジネスになりません。そこで必要となるのが、数字やデータを根拠とする具体性です。

数字やデータは第三者の目から見ても公平な裏付けとなり、提案の信頼性を上げてくれます。とくに大きなお金が動くときほど、具体的な根拠が重要となります。

とはいえ、数字やデータを並べ続けても良い提案にはならないため、ここでまた表現力が重要となってきます。相手に刺さる数字・データをわかりやすく表現し、どれだけの効果・利益が得られるのかをイメージしやすくすることで、より魅力的な提案となります。

提案力を高めるためのトレーニング法

ここでは、日々の生活のなかでできる提案力を高めるためのトレーニング法について解説していきます。

情報収集

提案力を高めるための基本は、情報収集です。例えば、世界情勢の変化や法改正などがビジネスチャンスにつながることも少なくありません。モノの不足が問題となり、自社の商品・サービスでそれを補うことができるのなら、これ以上ない提案のチャンスとなるでしょう。

また、社内の繁忙具合なども提案時に欠かせない重要な情報となります。「3日で納品できる」と提案し、社内のリソースが足らず「1週間かかる」となったら、会社の信用を損ねることになりかねません。このように、情報収集は提案力に直結するため、日頃から怠ることなく続ける必要があります。

フレームワークについて学ぶ

プレゼンの構成やスライドのデザインなどを1から考えるのは、知識と時間が必要となります。そこで活用すべきなのがフレームワークです。

ビジネスシーンでは、プレゼンや提案を最適化するためのフレームワークがいくつも開発されているため、これを利用しない手はありません。例えば、提案の構成を考える際の代表的なフレームワークとして「SDS法」が挙げられます。

SDS法は、Summary(話の要点)→Details(詳細)→Summary(要点・結論)という構成で提案を行う手法です。

最初に「要点」を伝えてテーマを明確にして、次にその要点について「詳細」に説明し、最後に「結論」として再び「要点」を伝えることで、提案内容が記憶に残りやすくなります。SDS法は短時間のプレゼンに向いており、自己紹介や商品の売り込みで活用するのもおすすめです。

このようにシチュエーションに合わせてフレームワークを活用することができれば、効率的にわかりやすい提案の骨組みを作ることができるので、提案力も飛躍的に高まるでしょう。

定量的な思考力を磨く

提案時には、数字やデータを根拠とする具体性が強い武器となります。これを自然に行えるようにするためには、日頃から定量的な思考力を磨くことが大切です。

例えば「何かを検討する際、必ずひとつデータを参照してみる」という習慣を取り入れることで、数字から論理的に考える力が鍛えられます。これは決して難しいことではなく、天気の週間予報を見て「明日から気温が上がるから、アイスの入荷量を増やそう」と考えるのも立派な定量的な思考です。

ロールプレイを重ねる

「提案に対し、相手がどのような反応をするか」などを学ぶには、ロールプレイを重ねることが一番です。

とくにプレゼンテーションに苦手意識を持つ人は、積極的にロールプレイを取り入れましょう。プレゼンに対する苦手意識は、「経験不足」と「準備不足」が原因になっている場合が多いからです。

※プレゼンに対する苦手意識については「プレゼンテーションに苦手意識を感じる原因とその克服方法」で詳しく解説しています。

関連記事:「プレゼンテーションに苦手意識を感じる原因とその克服方法」

あらかじめ実践に近い訓練を積んでおけば、本番でも実力通りの提案ができるようになるでしょう。

提案力がある人が実践しているテクニック

最後に、提案力がある人が実践しているテクニックをお伝えします。

相手に応じて手法を変える

提案力がある人の多くは、相手に応じて手法を変えています。人それぞれ大切にしているものや得意分野が異なるため、刺さるアプローチも人それぞれ異なるわけです。例えば、「数字やデータは見るのも嫌」という人に対して、データを根拠とした提案を進めても、なかなか成果にはつながりません。

常にいくつかの手法・アプローチを用意しておき、相手の性格や理解度に応じて使い分けることができれば、提案の成功率は一気に高まるでしょう。

下調べと予測

何らかの提案に赴くときは、必ず相手について下調べをしていると思います。その際、相手の課題やニーズを想定し、事前にいくつかの予測を立てておきましょう。無策で相手の話を聞き、「良い案が浮かばなかった」では双方にとって無益な時間となってしまいます。

とくに、提案力がある人は相手からのネガティブな質問・反応を想定し、あらかじめ回答を用意しています。

ただ、予測に力を入れすぎると、無意識のうちに「自分の予測ありき」で話を進めてしまい、相手のニーズや課題を見誤る恐れがあります。予測はあくまでも予測でしかないので、話の流れ次第では思い切って捨てることも大切です。

「数字力」を身につければ提案力は飛躍的に向上する

ここまで提案力を高めるためのトレーニング法やテクニックについて解説してきましたが、もっと効率的かつ実践的に提案力を高めたいという方も多いことでしょう。

そこでおすすめしたいのが、「数字力」の向上です。数字力は「把握力、分析力、選択力、予測力、表現力」によって構成されているので、数字力を身につければ提案力を効率よく強化することができます。

例えば、「把握力」はデータやグラフを通じて、企業の状態を見抜くのに役立ちます。仮に、業界全体の売上高データから「企業Aの売上が減少し続けている」ことを発見したとしましょう。この事実からは「企業Aは業界から撤退するかもしれない」という予測が立てられ、M&Aの提案などにつながります。このように、データやグラフから情報を読み取り、実務的な予測に活かしていくことが「把握力」なのです。

ほかにも、「選択力」は様々な情報から提案先の優先順位をつけるのに役立ちますし、「表現力」はデータをわかりやすく提案資料に落とし込むのに役立ちます。

なかには「提案力は伸ばしたいけど、昔から数字は苦手……」という方もいるかもしれませんが、ご安心ください。弊社は「数字に対する苦手意識」の克服に力を入れており、研修プログラムも「入門編・基礎編・応用編・実践編」の4段階をご用意しておりますので、数字・データが苦手という方でも無理なくステップアップできます。

個人的に数字力の勉強がしたいという方には、オンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」をおすすめしております。サロンでは時事ネタなどをテーマとして、身の回りの数字やデータに触れる機会を増やすことで、楽しみながら継続して学習できる環境を整えています。 弊社の研修や数字力について、少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。

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