パルスサーベイとは メリット・デメリットや質問項目の例を解説

#おすすめ記事#ロジカルシンキング#分析力#教育担当者向け#管理職向け#経営者向け

パルスサーベイとは、簡単な質問を短期間のうちに繰り返し実施する調査手法であり、従業員の状態や満足度の変化を迅速に掴むことが期待できます。

他にも「一般的な調査よりもコストを抑えられる」「内省の習慣を根付かせる」といったメリットがある一方、「従業員のストレスになる」「マンネリ化」などのデメリットも存在します。

今回は、パルスサーベイの頻度や活用方法、メリット・デメリット、調査目的に合わせた質問項目の例などを解説していきます。

パルスサーベイとは

パルスサーベイとは、従業員に対して簡単な質問を短期間のうちに繰り返し実施する調査手法です。パルスは「脈拍」を意味し、日常的に脈拍を測るように従業員あるいは組織の状態を確認する調査という意味で「パルスサーベイ」と呼ばれます。

短いスパンで繰り返し質問を行うことで、従業員の状態や満足度の変化などを迅速に掴むことができるのが特徴であり、コロナ禍にリモートワークが普及したことによって、従業員の様子を確認しにくくなったことから注目され始めました。

パルスサーベイの実施頻度

パルスサーベイの実施頻度に決まりはありませんが、週1回から月1回ほどの頻度で行うのが一般的です。

実施頻度を詰めすぎると回答者のストレスとなる一方、間隔が空きすぎると従業員の変化の兆候を見落としてしまう恐れがありますので、適切な間隔で実施しましょう。

パルスサーベイの活用方法・目的

パルスサーベイは主に「従業員のメンタルチェック」「オンボーディング」「施策の効果検証」などのシーンで活用されます。

従業員のストレス度やメンタルのチェック

従業員のメンタル面の問題は日々のパフォーマンスだけでなく、休職や退職にも直結します。早い段階で問題の兆候を察知するためには、パルスサーベイが非常に効果的です。

オンボーディング施策の一環

パルスサーベイは、新入社員や異動者に対するオンボーディング施策の一環としても活用されます。「職場に馴染めているか」「慣れない環境にストレスを感じていないか」などを確認することで、早期退職を防ぐことにつながります。

また、教育体制やオンボーディング施策の改善のために「経営理念やチームの方針を理解できているか」などを確認することも効果的です。

各種施策の効果検証

パルスサーベイは、新たな人事施策などの効果検証の方法としても活用されます。

例えば、新たな外部研修やツールを導入したとしても、すぐに「売上が○%上がった」といった成果が出るわけではありません。とくに滑り出し段階では多くの場合、「従業員の実感」が見える化できる唯一の評価指標となるため、パルスサーベイによる効果検証が貴重な情報となります。

パルスサーベイのメリット

パルスサーベイのメリットとして「従業員の状態を迅速に掴む」「コストを抑えられる」「内省の習慣を根付かせる」が挙げられます。それぞれ解説していきましょう。

従業員の状態を迅速に掴むことができる

パルスサーベイによって得られる最大のメリットは、従業員の状態を迅速に掴むことです。定期的な健康診断が病気の早期発見につながるように、パルスサーベイは離職につながるような不調や、組織への不満・問題点などを迅速に掴むことができます。

パルスサーベイを通じて組織の問題点や不満の原因が解消されていけば、仕事に対するやりがいや働きやすさを感じやすくなり、エンゲージメントも向上するでしょう。

一般的な調査よりもコストを抑えられる

パルスサーベイは従業員満足度調査などの包括的な調査と比べて、コストを抑えられるというメリットもあります。

一般的に行われる調査は質問数が多く、そのぶん集計・分析も難しくなります。これを外部に委託すると数十万円以上の費用が必要になることも珍しくありません。

一方、パルスサーベイは日常的に繰り返し実施することに主眼を置くため、質問数も少ないので集計・分析も簡単です。ルーティンのひとつとして処理できる範囲なので、大きなコストをかけずに実施できるでしょう。

なお、アンケート・調査の集計については「アンケート集計のまとめ方」で詳しく解説しています。

関連記事:「アンケート集計のまとめ方」

従業員に内省の習慣を根付かせる

パルスサーベイは、従業員に内省の習慣を根付かせることにもつながります。質問への回答が振り返りを行うきっかけになるからです。

例えば、自身の言動や周囲とのコミュニケーションについての設問があれば、自然とそれらに考えを巡らせることになり、自己成長につながることも期待できます。

パルスサーベイのデメリット

パルスサーベイのデメリットとして「従業員のストレスになる」「マンネリ化」「改善策の実行が追いつかない」が挙げられます。それぞれ解説していきましょう。

従業員の負担・ストレスになる

パルスサーベイで最も懸念すべきデメリットは、従業員の負担・ストレスになることです。

ほとんどの人はアンケートや調査に対して「面倒くさい」と感じるものです。簡単な調査であっても繰り返し実施されることで、パルスサーベイ自体が不満やストレスの原因になる恐れがあります。

事前に「パルスサーベイは従業員側にとって利益になる取り組みである」と周知し、了承を得てから実施することが大切です。

マンネリ化の恐れ

「従業員の負担・ストレスになる」とも共通する部分がありますが、パルスサーベイは調査の回数を重ねるごとにマンネリ化する恐れがあります。

何度も同じ調査を受けていると慣れや飽きが生じ、適当に回答されやすくなるからです。場合によっては「短い期間に心境の変化なんて起きない」と、調査自体を疑問視する人も出てくるでしょう。

こうしたマンネリは調査の質を下げるため、とりわけ実施頻度や期間の調整が重要となります。

改善策の実行が追いつかない

パルスサーベイは組織や従業員の問題をいち早くキャッチできる取り組みである一方、肝心の改善策の実行が追いつかない場合が少なくありません。従業員の不満や組織の問題点を改善するための施策は、多大なコストや時間を必要とする場合が多く、往々にして立案・実行までに時間を要するためです。

例えば、「残業時間の長さを負担に感じている」という従業員の不満をキャッチしたとしても、パッと残業をなくすというわけにはいきません。残業を減らすためには、業務体制の抜本的な見直しが必要となります。

調査の頻度に対して改善の実感が得られないと、従業員から調査の必要性を問う声が挙がりやすくなります。

パルスサーベイの質問項目の例

まず前提として、パルスサーベイでは質問数を10問前後に厳選し、分析しやすい質問内容にすることが重要となります。そのためには調査の意図を明確にして、テーマを絞る必要があります。

以下、パルスサーベイの主要なテーマをもとに、質問項目の例をご紹介します。なお、調査・アンケートにおける質問項目の作り方については「アンケートの設問の作り方と回答率を上げるコツ」でも詳しく解説しています。

関連記事:「アンケートの設問の作り方と回答率を上げるコツ」

従業員の満足度やメンタルヘルス

従業員の満足度やメンタルヘルスを確認したい場合、以下のような質問項目を設置するとよいでしょう。

・仕事に対してやりがいを感じていますか

・業務を通じて成長を実感できていますか

・自分の意見やアイディアが尊重されたと感じる瞬間はありましたか

・キャリアプランにマッチした仕事に就けていると感じますか

・眠れない日や眠りが浅い日はありますか

・ワークライフバランスが取れていると感じますか

・就業中にハラスメントと感じた瞬間はありますか

組織や業務への理解

組織や業務への理解度を確認したい場合、以下のような質問項目を設置するとよいでしょう。

・自分の業務が組織の目標達成につながる実感はありますか

・経営層や上司のメッセージに共感できていますか

・経営理念や方向性を浸透させる取り組みは十分だと感じますか

日々の業務について

日々の業務についての不満や問題を確認したい場合、以下のような質問項目を設置するとよいでしょう。

・設定されている目標はわかりやすく達成可能なものだと思いますか

・業務を遂行するにあたり、必要なリソースや権限を与えられていると思いますか

・チームあるいは部署内のコミュニケーションは円滑に行われていますか

・ワークフローに不備や問題点を感じていますか

・スキルアップの機会は十分に得られていますか

パルスサーベイを組織改善に活かしたいなら「ビジネス数学」を学ぼう

パルスサーベイは少ない設問数かつ簡単な質問で行われるため、高度な分析技術は必要ありません。ただ、「改善策の実行が追いつかない」でも挙げたとおり、従業員の不満や組織の問題をキャッチしても有効な改善策を立案できず、調査データがお蔵入りになってしまう事例が後を絶ちません。

これはパルスサーベイに限りませんが、ビジネスでは単にデータを集めるだけでなく、得られたデータから次の一手を考えて、具体的なアクションを起こすことが求められます。これは多くの場合、データ分析スキルの問題ではなく「数字を根拠としてアクションプランを立案する力」が磨かれていないことに原因があります。

実は「アンケートや調査の結果(データ)を見ても、仕事と結びつかない」といった課題感を持つビジネスパーソンは、想像以上に多いのが現状です。

弊社オルデナール・コンサルティングがご提供する「ビジネス数学研修」は、そうした「数字・データに対する苦手意識」を持つビジネスパーソンを対象にしており、ビジネスで不可欠な数字やデータの活用方法を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいくプログラムをご用意しております。

研修で扱う課題は実際のビジネスシーンを想定した内容になっておりますので、学びが定着しやすく、実務で活きるスキルを身につけることができます。 「パルスサーベイの集計から施策の立案までを学びたい」「顧客アンケートを実施しても、うまくアクションプランにつながっていかない」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご活用ください。

お問い合わせはこちらから