タレントマネジメントとは 進め方や管理すべき項目を解説

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タレントマネジメントは、社員の基本情報やスキル、勤怠情報などを情報化して人事管理に活かすことで、組織のパフォーマンスの最大化を狙うマネジメント手法です。タレントマネジメントの導入によって、人員配置の最適化や効率的な人材育成などのメリットが得られます。

今回はタレントマネジメントの概要を解説したうえで、実際の進め方やデータ化すべき項目などをお伝えしていきます。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、社員が持つタレント(才能・資質などの意味)を情報化して人事管理に活かすことで、人員配置や人材育成を戦略的に推進し、組織のパフォーマンスの最大化を狙うマネジメント手法です。

情報化して蓄積させる項目は才能にまつわるスキルや経験に留まらず、勤怠やキャリア観、職務経歴なども含みます。

タレントマネジメントは採用や人材育成、人員配置、評価など、幅広い業務で活用できるため、人事戦略の根幹となり得ます。

タレントマネジメントの必要性が高まる背景

なぜ近年になって、タレントマネジメントの必要性が高まっているのでしょうか。その背景を解説します。

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少

企業の人事戦略に大きな影響を与えているのが、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少です。日本の人口は減少の一途を辿っており、生産年齢人口は8,716万人(1995年)をピークとして、2025年には7,170万人、2050年には5,275万人にまで減少するとされています。

引用:総務省「情報通信白書令和4年版」

働き盛りの人口が減るわけですから、採用活動は年々難しくなっていきます。そのため、「現在の人員のパフォーマンスを最大化する」「離職リスクを減らす」といった効果が期待されるタレントマネジメントが求められるわけです。

働き方の多様化

働き方の価値観は多様化しており、新型コロナウイルスの感染拡大によってその傾向は加速しました。マネジメントでも、社員それぞれの適性や希望に合ったポジションへ配置することがパフォーマンス向上へとつながっていきます。

そのため、適材適所の人員配置を実現するタレントマネジメントが求められているのです。

ビジネス環境の著しい変化

急速に進む技術革新によって、ビジネス環境は目まぐるしく変化しています。企業にはこの変化に対応できるだけの柔軟性のある組織運営が求められ、社員のポテンシャルを最大限発揮できる環境作りが必要となります。

一方で、技術革新はタレントマネジメントの普及を後押しするものでもあります。膨大なデータはクラウド上で気軽に管理できるようになり、データ分析に必要なツールも身近となりました。

技術革新は様々な側面から、タレントマネジメントの取り組みを加速させる要因になっているといえるでしょう。

タレントマネジメントで得られる効果・メリット

タレントマネジメントを導入することによって、どのような効果・メリットが得られるのか解説していきます。

人員配置が適材適所となる

タレントマネジメントの導入によって効果が得られやすいのが、人員配置です。

社員それぞれのスキルや経験をデータとして管理することで、組織内で必要となっているポジションとのマッチングが可能となり、効率的に人員配置を進めることができます。社員にとっても、よりパフォーマンスを発揮しやすい場所で活躍できるメリットとなります。

離職リスクの低減

タレントマネジメントの導入は、離職リスクを低減させるメリットも期待できます。職務へのミスマッチを感じている人材に対して、パフォーマンスを発揮できるポジションを再提示できれば、離職リスクは大きく低下します。

なお、このメリットはスキル面のミスマッチ解消に限りません。育児や介護などによって働き方を変える必要に迫られた際、無理なく就業を続けられるポジションへ異動することで、離職リスクを低減できます。

年齢や同居家族などのデータを管理しておくと、こうした将来的なリスクを予知しやすくなります。

このように、タレントマネジメントを通じて本人の適性や働き方にあった環境へ異動できる仕組みが整えば、社員の定着率や採用活動にも良い影響をもたらしてくれるでしょう。

人材育成体制の整備

タレントマネジメントでは社員の強みだけでなく、弱点も合わせて把握することにより、課題解決のための教育を実施しやすくなります。

例えば、ある社員をプロジェクトリーダーに登用する際、これまでの経歴でマネジメント経験がないことを把握できれば、事前にリーダー研修やマネジメント研修を受講させるといった対策を講じやすくなります。

また、社員の希望と会社側の要望をすり合わせやすくなれば、キャリアパスも提示しやすくなります。双方の理想がマッチしたキャリアパスを提示できれば、効率的に中長期的な育成計画を策定することができるでしょう。

※キャリアパス制度については「キャリアパス制度とは メリットや導入の流れを解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「キャリアパス制度とは メリットや導入の流れを解説」

タレントマネジメントの進め方

ここからは、タレントマネジメントの進め方について解説していきます。必要な準備や取り組みを把握して、自社に合った進め方を検討しましょう。

目的と目標を明確化する

まずは、タレントマネジメントを導入することにより何を達成したいのか、目的と目標を明確にしましょう。

例えば、経営戦略をもとにして、どのような人材が何人ほど必要なのかを人事戦略として立案していくことが求められます。また、各部署から求めている人材要件などを直接くみ取っておくとよいでしょう。

社員情報のデータ化

実際の取り組みとして最初に着手するのが、社員情報のデータ化です。社員それぞれの年齢やスキル、経歴、評価といった情報を集約してデータベース化します。

このとき、データベースを最新の状態に保てるよう、アップデートの仕組みを整えておくことも重要です。

なお、タレントマネジメントの導入にあたってまとめるべき項目については後述します。

課題の確認と改善策の立案

社員情報のデータ化が済んだら、経営戦略との乖離(必要な人員の不足など)を課題として洗い出していきます。

現状で人員の余剰が生じている部署(プロジェクト)があれば、別の部署に再配置(異動)させるといった改善策を検討できます。新たに人員を補充する場合は、確実に課題解決へつながるよう人材要件をまとめていきましょう。

このとき、社員のスキルや経験をもとにした再配置であったとしても、本人のキャリアプランをないがしろにしてはいけません。本人の希望と異なる配置(異動)を行うと、離職リスクが大きく高まってしまうからです。

成果の評価

最後に、施策がどのような成果に結びついたかを評価していきましょう。

異動後の人事評価や営業成績などの推移を計測するだけでなく、社員の満足度などの定性的な面も評価することが大切です。

また、当人の成績だけでなく、同僚や部下など部署全体への影響も確認しておくとよいでしょう。人間関係の緩衝材としての役割など、影で数値化しにくい役割を担っている可能性もあるからです。

タレントマネジメントで管理すべき項目

タレントマネジメントで人材情報を集めるといっても、具体的に何を収集すればいいのか悩んでしまう方も多いでしょう。ここでは、集めるべき管理項目について解説していきます。

基本情報

まずは年齢や性別、所属部署、役職、職務経歴などの基本情報を収集します。育児手当などの福利厚生がある場合は家族構成など、必要に応じて基本情報を追加するとよいでしょう。

スキル

スキル面では、業務の遂行に欠かせないテクニカルスキル、人間関係にまつわるヒューマンスキルの両方についてデータ化するのが理想です。

また、現在の職務とは関係のないスキルこそ、重要な情報になり得ます。例えば活かされていない語学力があれば、海外とのやり取りが新たに生じた際に配置転換を検討する候補となります。

勤怠

出退勤時間や残業時間と成果を照らし合わせることで、生産性を計れます。また、遅刻や欠勤などのデータが蓄積すれば、離職の兆候なども読みとれるようになるでしょう。

キャリア観

数値化が難しい項目ではありますが、キャリア観やマインドといった内面もデータ化できると、生産性の高い社員の傾向などを知るきっかけになります。人員配置を行ううえでも重要な情報となるでしょう。

まとめ

タレントマネジメントの必要性は、少子高齢化や技術革新といった背景から年々高まっています。タレントマネジメントによって、適材適所の人員配置や人材育成体制の整備を進めることで、組織全体のパフォーマンス(生産性)向上を果たすことが目的となっているわけです。

しかし、社員情報のデータ化には相応の労力がかかり、データは最新の情報へのアップデートが求められます。タレントマネジメントの推進と維持のためには、経営者目線を持った専門の担当者を配置して運用していくことが大切です。

タレントマネジメントに欠かせない「数字力」

タレントマネジメントでは社員の様々なデータを収集・分析することによって、人事戦略や課題解決へとつなげていきます。

当然、担当者はデータの扱い方や読み解き方を身につけなければいけません。「ツールによって自動処理できる」と考える方が多いですが、何を目的として、どのような方向性でデータを処理するか設定するのは、担当者の裁量にかかっているのです。

しかし、ビジネスパーソンのなかには「数字に対する苦手意識」を持つ方が少なくありません。なかには、学生時代の数学に対する苦手意識を引きずり、「データ処理なんてできない」と拒絶反応を見せる方も少なくありません。

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