モンスター社員とは、職場での言動や仕事への姿勢に重大な問題を抱える社員のことです。明確な定義はありませんが、「自己中心的」「責任感の欠如」「ハラスメント行為」などの特徴を持ち、これを放置することで「生産性の低下」や「優秀な人材の流出」といったリスクが生じます。
今回は、モンスター社員の特徴や、放置することで生じるリスク、対応方法について解説していきます。
モンスター社員とは
モンスター社員とは、職場での言動や仕事に対する姿勢に重大な問題を抱えている社員のことです。問題社員と呼ばれることもあります。
モンスター社員に明確な定義があるわけではなく、「職場の雰囲気を著しく悪化させる」「就業時の意欲が全く感じられない」といった社員を表現する際に用いられます。
モンスター社員に見られる5つの特徴
「自社の社員はモンスター社員なのでは」と疑問・不安に感じている方もいるでしょう。前述のとおりモンスター社員に明確な定義はありませんが、以下の特徴のいずれか、あるいは複数当てはまる場合はモンスター社員として対応する必要があるでしょう。
自己中心的・協調性の欠如
モンスター社員に共通する特徴として、自己中心的・協調性の欠如が挙げられます。「情報共有を意図的に怠る」「相手の迷惑や負担を省みずに行動する」など、組織に属するうえで最低限必要となる意識やマナーが欠けた行動が見られます。
この特徴は、以下で解説していく他の特徴の原因にもなっており、モンスター社員が起こす問題行動の根幹ともいえるでしょう。
責任感の欠如
モンスター社員の多くは、仕事に対する責任感が欠如しており、具体的には以下のような傾向・行動が見られます。
・部下や同僚に仕事を押しつける
・自分の失敗を他人の責任にする
・面倒な仕事をボイコットする
・日々の業務で最低限の努力しかしない
こうした問題行動は同僚・上司の負担になったり、取引先に迷惑をかけたりと、組織全体に悪影響を及ぼします。
ハラスメント行為
モンスター社員の問題行動のなかでもとくに注意が必要なのが、ハラスメント行為です。直接的な暴言や影での嫌がらせなど、同僚や上司に対して過剰な攻撃性を持つのがモンスター社員の特徴といえるでしょう。
こうしたハラスメントは職場の雰囲気を悪くするだけでなく、真面目に働くほかの社員の退職リスクにつながります。
常識や能力の欠如
モンスター社員の特徴として、常識または能力の欠如が挙げられます。常識の欠如から表れる問題行動の代表が、遅刻や欠勤です。職務規定以上の休暇の権利を主張したり、無断欠勤・遅刻が多かったりと、正当な理由のない遅刻・欠勤が続く場合はモンスター社員といえるでしょう。
能力の欠如については、単に能力が劣っているだけでなく、自己認識のほうに問題があります。明らかに職務遂行の能力が欠けているのにも関わらず、「指導をしても受け入れない」「向上心が見られない」といった傾向がある場合、モンスター社員と捉えてもよいでしょう。
家族による介入
モンスター社員の一例として、本人以上にその家族による介入が問題となる場合があります。家族が職場に乗り込んできて、社員本人の待遇や人間関係に口を出してくることにより、職場内でトラブルが発生する……いわゆる「モンスターペアレント」です。
この問題の難しいところは、社員本人が家族に頼っている場合と、家族が独断で介入してきている場合があることです。
モンスター社員を放置することによって生じるリスク
モンスター社員を放置することによって、組織にどのようなリスクが生じるのか解説していきます。
生産性の低下
モンスター社員を放置することによって生じるリスクとしてまず挙げられるのが、生産性の低下です。モンスター社員ひとりが職務を果たさないだけなら、組織全体で見ればさほど大きなリスクになりません。
注意すべきは、問題行動によって周囲の業務を妨害したり、チーム全体のモチベーションを下げたりすることによって、広く生産性の低下を招くことです。「注意しても聞かないから」といった態度でモンスター社員を放置していると、その悪影響は組織全体に広まっていくので注意しましょう。
優秀な人材の流出
モンスター社員がいることで職場環境が悪くなり、真面目に働いている優秀な人材が退職してしまう恐れがあります。
モンスター社員が与える精神的なストレスや業務上のフォローによる負担増など、直接的な被害を受けるのは周りの社員です。モンスター社員を放置していると、不満の矛先は組織の管理体制にも向かうため、離職リスクが飛躍的に高まってしまうのです。
信頼の失墜
モンスター社員の言動は、社外にも悪影響を与える可能性があります。顧客に対する問題行動によって、大きなプロジェクトを頓挫させたり、SNS上での炎上につながったりと、自社が培ってきた信頼が一瞬で失墜してしまうリスクがあるのです。
顧客から見ればモンスター社員であるかは関係なく、担当者の仕事ぶりが組織全体の評価に直結します。モンスター社員を放置していると、悪評はどんどん広まってしまうので注意が必要です。
モンスター社員への対応方法
最後に、モンスター社員にどのような対応をすればよいのか解説していきます。
指導の徹底
モンスター社員への対応の基本は、指導の徹底です。原則として、問題行動を発見したらその場で注意指導を行いましょう。時間が空くことで、言い訳や言い逃れの余裕ができてしまうからです。
口頭での指導で改善が見られない場合は、書面での注意指導を合わせて行いましょう。再三の注意を行っていること、服務規程に反している事実などを書面で通達することで、指導を行ってきたという証拠にもなります。
また指導の徹底はモンスター社員に対して改善を促すだけでなく、周囲の社員に対するアピールの意味合いもあります。横暴な振る舞いをする社員に対して、会社としての毅然とした態度を示さないと、組織への不信感につながる恐れがあるからです。
配置転換
モンスター社員への対応策として忘れずに検討すべきなのが、配置転換です。特定の社員との軋轢によってモンスター社員化している可能性もありますし、当該社員の性格や能力が活きる環境に配置することで、問題行動の改善が見込める場合もあります。
ただし配置転換によって、「本人が志望していた職務から離れてしまう」「給与が下がる」などの不利益が生じる場合hは、余計に問題行動が悪化してしまう恐れがあります。配置転換は、必ず本人の納得のうえで行いましょう。
なお、人員の配置については「人員配置とは 最適化のステップと考え方」でも詳しく解説しています。
関連記事:「人員配置とは 最適化のステップと考え方」
育成制度・評価制度の見直し
特定のモンスター社員の問題行動を即座に改善できるわけではありませんが、育成・評価制度を見直すことも欠かせない対応のひとつです。モンスター社員となってしまった原因が「自身の働きが適切に評価されない」「入社後のオンボーディングの失敗」などにある可能性も無視できないためです。
具体的には、「新入社員がつまずくことなく就業できる受け入れ体制が整っているか」「社員のモチベーションが落ちるような不公平な評価制度になっていないか」など、先々のモンスター社員の発生を防ぐためにも見直しを徹底しましょう。
懲戒処分・解雇
モンスター社員への対応の最終手段となるのが、懲戒処分または解雇です。「懲戒処分=解雇」とイメージする人も多いかもしれませんが、懲戒処分には戒告や減給、降格など、いくつかの種類があります。
実際、日本の法制度では犯罪行為が立証されるといった解雇事由がない限り、即座に解雇を適用することは困難です。懲戒処分はここまでの指導や配置転換などで改善が見られなかった場合に、段階を踏んで実施しましょう。
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