採用DXとは メリットや進め方を解説

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採用DXとは、デジタル技術を活用して採用活動における様々な業務を変革し、採用競争のなかで優位性を確立することです。

今回は採用DXとは何かを解説したうえで、推進によるメリットや実際の進め方などについてお伝えしていきます。

採用DXとは

採用DXとは、デジタル技術を活用して採用にまつわる様々な業務を変革し、採用競争のなかで優位性を確立することです。

そもそもDX(Digital Transformation)は、経済産業省のレポートのなかで以下のように定義されています。

「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」

引用:デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

採用DXにおいてポイントとなるのは、内部エコシステムにあたる従業員体験(EX:Employee Experience)と、顧客エクスペリエンスにあたる候補者体験(CX:Candidate Experience)の双方を変革することです。

簡単に言えば、求職者から「この会社に入社したい」「応募して良かった」と思われる企業を目指し、入社後も社員が働きやすい環境を整えることが採用DXの目標となります。

従業員体験(EX:Employee Experience)

従業員体験とは、採用選考から退職手続きにいたるまでの会社内におけるあらゆる体験を指します。また、この体験を通じて得た心理的な変化を従業員体験と呼ぶこともあります。

一般的に従業員体験の向上と言うときは、従業員満足度やエンゲージメントの向上にまつわる取り組みを意味します。

候補者体験(CX:Candidate Experience)

候補者体験とは、求職者が自社を認知する段階から内定を得るまでに体験するあらゆることを指します。

候補者体験の目的は、採用活動を通じて自社のファンを増やすことです。「売り手市場」のなかでも求職者から選んでもらえる企業を目指すことで、採用力の強化につなげていくわけです。

採用DXによって得られるメリット

採用DXを推進することにより、具体的にどのようなメリットや効果が得られるか解説していきます。

業務の効率化

採用DXによって得られる最大のメリットは、採用にかかわる業務の効率化です。採用活動では多くの煩雑な業務を処理する必要がありますが、これらをデジタル化することによって業務の省略や簡略化を目指します。

具体的には「候補者の情報を関係者間でクラウド上に共有する」「面接日の調整をツールで自動化する」といった取り組みが挙げられます。

効率化が進めば、選考時間の短縮によって内定辞退(選考辞退)などの機会損失を防げます。また、浮いた時間を選考やスカウトといった別のコア業務に割くことで、採用の質を上げるといった効果も期待できるでしょう。

採用コストの削減

採用DXはツールなどの導入時にコストが発生しますが、結果的には採用コストの削減につながることが期待されます。

ツールの導入費用は、ツールによってカットできるコストや業務を踏まえて比較する必要があります。例えば、webサイトや求人誌に求人広告を出稿する際、情報量(コンテンツ)を充実させようとすると別料金が発生します。

このとき、自前で採用サイトなどを設けてコンテンツを拡充すれば、求人媒体へ支払う料金よりもコストを抑えることができます。

また、採用コストは採用活動にかかる金銭的な負担のみならず、社員にかかる人的な負担を含めて考えます。定量化しにくい部分ではありますが、業務の効率化による人的コストの削減も考慮すれば、やはり採用DXは採用コストの削減につながるといえるでしょう。

なお、採用コストについては「採用コストの削減に必要な4つの取り組み 一人当たりの平均値や相場を解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「採用コストの削減に必要な4つの取り組み 一人当たりの平均値や相場を解説」

ミスマッチの防止

採用活動にまつわるデータを分析・活用することにより、自社にマッチした人材と出会いやすくなります。

例えば、内定者の属性や特徴から内定受諾率の高い人材の共通点を見つけ出すことができれば、ミスマッチの防止に大きく貢献するでしょう。また、人材要件に自社のハイパフォーマンス人材の特徴をデータ化して盛り込むことにより、自社で活躍する可能性が高い人材を獲得できるようになります。

こうした募集・選考に関する業務は、これまで採用担当者の経験や勘に頼る部分でした。これをデータという明確な根拠に置き換えることで、採用活動の質は大きく向上するでしょう。

なお、人材にまつわるデータの分析については「人事データ分析とは 分析の進め方や事例を解説」で詳しく解説しています。

関連記事:人事データ分析とは 分析の進め方や事例を解説

採用DXの進め方

採用DXの具体的な進め方について、解説していきます。

求職者の動向やトレンドを理解する

採用DXを推進するためにまず重要になるのが、求職者のニーズを理解することです。言い換えるなら、理想となる候補者体験をキャッチアップすることが求められます。

近年、採用市場は売り手優位で推移しており、働き方の多様化や技術革新といった様々な要因も手伝い、急激に変化しています。新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、オンラインでの情報発信の重要性が高まったことも大きな変化のひとつです。

また、SNSや口コミサイトなどでの評価が重視され、応募を検討する際の重要な検討材料になっているのも見逃せません。

すでに大手求人サイトに掲載すれば応募が集まる時代ではなくなりつつあります。こうした求職者の動向やトレンドなどを正確に把握することが、採用DX推進の第一歩なのです。

採用プロセスごとのデータ収集

採用DXの取り組みは、採用活動のあらゆるプロセスに関わります。そのため、まずはどこに改善点があるのかを見つけだすために、採用プロセスごとにデータ収集を行いましょう。

採用プロセスは、大きく「認知」「募集」「選考」「内定者フォロー」の4ステップに分けられます。ここから、面接通過率や内定率といった歩留まりなどのデータを収集・分析することで、解決すべき課題を浮き彫りにしていきましょう。

なお、採用活動における歩留まりについては「採用における歩留まりとは」で詳しく解説しています。

関連記事:採用における歩留まりとは

従業員体験(EX)の課題を見つける

採用DXでは、従業員体験の向上にも取り組まなければいけません。「採用プロセスごとのデータ収集」と同様に、定着率(離職率)や職場環境に関するアンケートなどから、従業員体験の課題を抽出していきましょう。

社員が生き生きと長く働ける環境が整っていれば、自然と求職者からの応募も増えていきます。実際に求人広告などで「離職率○%」と、アピールポイントとしても活用できます。

解決すべき課題の整理

理想となる候補者体験をキャッチアップし、従業員体験や採用プロセスに関するデータから課題を抽出したら、採用DXの推進によって改善できそうな課題とその優先度について整理していきましょう。

例えば、求人への応募数が明らかに少ないことが判明すれば、自社情報の発信・アピールが不足しているという課題が考えられます。この課題を解決するために、採用DXによって何ができるか検討していくわけです。

施策の検討および実行

最後に、優先度の高い課題から具体的な施策を検討し、実行に移していきます。

自社情報の発信・アピールが不足しているのであれば、ソーシャルメディアの活用やオンライン説明会の開催、PRコンテンツ制作などの取り組みが候補に挙がります。

また、施策の実行後も継続してデータを集めて、効果測定を行うことも大切です。

まとめ

少子高齢化による生産年齢人口の減少を背景として、採用競争は年々厳しさを増していくことが予想されます。さらに働き方の多様化や、技術革新による採用手法の変化などに対応していくことも踏まえれば、採用DXの推進は非常に優先度の高い課題といえるでしょう。

採用活動には様々な業務が内在しているため、選考時のデータ活用やツールによる業務の簡略化など、採用DXの方向性も多岐にわたります。まずは自社にとって優先度の高い課題を整理し、具体的な施策を検討することから始めてみましょう。

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