ロジカルスピーキングとは すぐに実践できるフレームワークも解説

#おすすめ記事#伝え方#採用担当者向け#教育担当者向け

ロジカルスピーキングは「論理的な話し方」や「論理的話法」を意味し、相手に意図や物事を分かりやすく伝えることが目的となります。営業や広報に求められるスキルと考えられがちですが、実は全てのビジネスパーソンに関わるスキルなのです。

今回はロジカルスピーキングを実践することで得られるメリットや、代表的なフレームワークについて解説していきます。

ロジカルスピーキングとは

ロジカルスピーキングは「論理的な話し方」や「論理的話法」と訳され、相手に意図や物事を分かりやすく、効率よく伝えることを目的とする技術です。

「論理的に話す」と言うと小難しく聞こえてしまい、ビジネスシーンでは営業や広報、管理職などに求められるスキルと考えられがちです。

しかしロジカルスピーキングは、いわばコミュニケーション能力を上げるためのテクニックです。「話すこと」は、職種や階級を問わず誰もが行うことであり、業務報告や会議など聞き手にわかりやすく伝える場面は日々訪れます。社会人であれば、誰しも取得しておくべきスキルといえるでしょう。

組織全体でロジカルスピーキングの取得を促せば、伝達事項の漏れや思い違いといった初歩的なヒューマンエラーを防げるようになります。日々の業務進行も円滑に進行できるようになり、生産性の向上も期待されます。

ロジカルスピーキングによって得られるメリット

ロジカルスピーキングを実践することにより、具体的にどのようなメリット・効果が得られるか解説していきます。

円滑な業務の進行

ロジカルスピーキングが実践されることで、冗長な会議や報告が減り、日々の業務が円滑に進行されます。働き方改革などを背景として労働時間の短縮が進む現状、こうした時短の意義はより高まっています。

もちろん日々の業務だけでなく、クライアントとの商談や打ち合わせでも短い時間で要点を伝えることは重要です。とくに優秀なビジネスパーソンや経営層などは時間が無駄になることを嫌うため、提案内容が優れていても、冗長な話し方のせいで評価を落としかねません。

相手にわかりやすく伝える話術は、多くのビジネスシーンで役立つことでしょう。

誤解や伝達漏れを防ぐ

ロジカルスピーキングを実践することにより、誤解や伝達漏れを防ぐことができます。

人は要領を得ない話を聞くと、集中力が途切れたり、勝手に話の要約や推測を行ったりします。誰しも一度は退屈な話を聞くなかで「これはどうでもいいことだ」と推測して、話半分に聞いてしまった経験があるのではないでしょうか。

しかし、どうでもいい話と思っていた報告のなかにも、実は危機の予兆が含まれていることがあります。要領を得ない話し方によって聞き手の集中力が削がれ、誤解や伝達漏れが生まれやすくなり、いずれ重大なヒューマンエラーへとつながっていくのです。

こうしたリスクも社内でロジカルスピーキングが実践されれば、未然に防ぐことができるわけです。

ロジカルシンキングが身につく

逆説的に思えるかもしれませんが、ロジカルスピーキングを取得することでロジカルシンキングが身につきます。論理的な話し方ができるということは、頭のなかで論理的な思考ができているからです。

一方で、ロジカルシンキングを学んだからといって、ロジカルスピーキングが身につくわけではありません。ロジカルシンキング研修の内容によっては、論理的思考の方法やプレゼン資料の作成方法を学ぶだけで、話し方までは教えてくれない場合があるからです。

こうした研修だと、台本のあるプレゼンのクオリティは上がっても、準備のない場ではロジカルスピーキングを発揮できません。

とくに会話やコミュニケーションに苦手意識を持つ人であれば、ロジカルシンキングよりも、ロジカルスピーキングを学ぶことに比重を置いたほうがよいでしょう。

※ロジカルシンキング研修については「ロジカルシンキング研修とは 実施の目的と学ぶべき内容」でも詳しく解説しています。

関連記事:ロジカルシンキング研修とは 実施の目的と学ぶべき内容

ロジカルスピーキングのフレームワーク3選

コミュニケーションやトーク力に自信がなくても、フレームワークを取り入れることでロジカルスピーキングは実践できます。ここでは、ロジカルスピーキングの取得に役立つ代表的なフレームワークを3つご紹介します。

PREP法

PREP法は、プレゼンテーションや文章作成に活用されるフレームワークで、以下の4つの要素で構成されます。

P(Point):結論・要点

R(Reason):理由

E(Example):事例・データ

P(Point):結論

まず結論(要点)を伝え、次に理由を解説します。続けて事例やデータなどを提示し、最後に再び結論を述べてまとめます。具体的には、以下のような話の構成となります。

結論:「検討の結果、B案を推させていただきます」

理由:「B案はコストパフォーマンスに優れ、サポート体制も整っているからです」

データ:「試算したデータでも、B案なら年間で○%のコストカットを達成する見込みです。また、A案は添付事例のような問題があり……」

結論:「以上の理由から、B案が最も本プロジェクトに合致していると判断しました」

なおPREP法は、結論を最初に伝えることからサプライズを与えられないため、聞き手を楽しませる場面には適さないと言われています。社内での報告会や、忙しいクライアントへの提案などで実施するとよいでしょう。

SDS法

SDS法もPREP法と同様、プレゼンテーションや文章作成に活用されるフレームワークで、以下の3つの要素で構成されます。

S(Summary):概要・要点

D(Details):詳細

S(Summary):要点

まず概要やテーマなどを伝え、続けてその詳細を説明していきます。そして最後に、話のまとめを行います。具体的には、以下のような話の構成となります。

概要:「今回は弊社の採用情報についてお話しします。弊社が求める人物像や選考スケジュールについてお伝えし、皆様の疑問や不安を解消するのが本説明会の目的です」

詳細:「まずは弊社が求める人物像ですが、弊社では以下のような人材を求めています……」

要点:「以上、弊社では○○のような人物を求めており、選考は○月からエントリー受付を開始いたします」

SDS法は講演会や説明会など、聞き手側に事前知識がない場合、聞き手側が積極的に情報を求めに来ている場合に効果的です。

また、セミナーなどでも活用されることも多く、その場合は最初のSummaryの段階で「皆さんも人材育成の○○や△△に悩んでいるのではないでしょうか」といった具合に、聞き手の興味関心を引くことがポイントとなります。

ピラミッドの原則

ピラミッドの原則は、ピラミッドの頂点を「結論」として、「理由」「事例」の順に論拠を増やしていき、ピラミッド型の構成になるよう組み立てる方法です。

例えば「人材育成ではOFF-JTを取り入れるべき」という結論を伝えるとします。ピラミッドの原則では、この結論の根拠を支えるために、以下のように複数の理由を用意します。

・OFF-JTなら一度に複数人を育成できる

・OFF-JTなら社内にない知見が得られる

・OFF-JTは社内交流につながる

ここでは結論から話が逸れないよう、有力な3、4つの理由に絞りましょう。

最後に、それぞれの理由に対して、土台となる事例やデータを提示します。事例やデータが豊富なほど信ぴょう性は増しますが、すべてを提示すると冗長な話となってしまいます。

とくにプレゼン中などは、厳選した事例・データのみを提示するよう心がけましょう。上の例でいえば「OFF-JTによる社内交流の活性化に関する調査」などがあれば、根拠を裏付ける有力なデータとなります。

また、ピラミッドの原則はPREP法と同じ展開となるので、両者を補完するように活用するとより効果を発揮します。

まとめ

ロジカルスピーキングの実践は、円滑な業務の進行やヒューマンエラーの防止などにつながります。社外でのやり取りの多い職種だけでなく、社会人であれば誰しも身につけておきたいスキルといえるでしょう。

ロジカルスピーキングを身につけるには、フレームワークというテクニックを実践することが効果的です。コミュニケーションや人前で話すことに苦手意識を持つ人こそ、話し方をロジカルに捉えることで、不安や問題が改善されていくでしょう。

データや数字で納得させる表現力を手に入れよう

ロジカルスピーキングのフレームワークのなかでも「事例・データ」は、重要な要素となっていました。

その一方で、多くのビジネスパーソンはデータをただ提示するだけで、データを「裏付け」として使いこなせていません。数字やデータを素材のまま提示しても、聞き手に納得感は生まれないのです。

データや数字を根拠に聞き手から高い納得感を引き出すためには、数値を根拠に仮説を立てることが重要であり、データや数字に関する「表現力」の強化が必要となります。

弊社オルデナール・コンサルティングが提供する「ビジネス数学研修」では、ビジネスシーンに必要な数字力を「把握力」「分析力」「選択力」「予測力」「表現力」の5つに分け、それぞれを底上げしていきます。

「社員のロジカルスピーキングを見直したい」「相手にわかりやすく伝える力を伸ばしたい」といった課題をお持ちでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。

お問い合わせはこちらから