マイクロマネジメントとは 具体例や対策について解説

#おすすめ記事#伝え方#管理職向け#経営者向け#若手向け

マイクロマネジメントは、行動や業務内容を過剰に細かく管理する、過干渉なマネジメント全般を指します。具体的には「仕事の進め方を必要以上に細かく規定する」「部下の居場所を常に把握しようとする」などが挙げられ、その多くは不安や自己顕示欲といった心理から行われます。

今回は、マイクロマネジメントを行なってしまう心理やその具体例、利点、減らすための対策などについて解説していきます。

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、行動や業務内容を過剰に細かく管理する、過干渉なマネジメント全般を指す言葉です。

通常のマネジメントでは、マナーに欠ける言動を注意したり、リスクの高い業務をダブルチェックしたりと、必要な範囲内で部下を管理します。対してマイクロマネジメントは、業務やその場の状況をすべてコントロールしようとする点に問題があります。

マイクロマネジメントとマクロマネジメントの違い

マイクロマネジメントの対義語となるのが、マクロマネジメントです。

マクロマネジメントではメンバーの自主性を重んじて自律的な行動を推奨し、リーダー(上司)は目標や方向性だけを提示してメンバーを支える役割を担います。

もちろん、マクロマネジメントにも「ミスが増えやすい」「チーム全体の方向性がぶれる場合がある」などのデメリットがあり、必ずしもあらゆる場面でマクロマネジメントのほうが優れているわけではありません。

マイクロマネジメントの弊害・デメリット

マイクロマネジメントは様々な弊害・デメリットをもたらすことがわかっています。実際にパーソル総合研究所の調査によれば、「信頼・柔軟型」と「マイクロマネジメント型」のマネジメントタイプを比較することによって、以下のような弊害が明らかとなっています。

〈マイクロマネジメントによって有意差が生じた弊害の例〉

・部下の批判的行動の増加

・部下の離職増

・個人パフォーマンスの低下

・組織パフォーマンスの低下

参考:株式会社パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査結果報告書」

とくにマイクロマネジメントは他のマネジメントタイプと比べて「部下の批判的行動」が大きく上昇し、「部下の離職増」にも深く関わることが示されています。

マイクロマネジメントの具体例

細かく管理するといっても、どこからがマイクロマネジメントになるのかと不安に思う方も多いでしょう。ここでは、マイクロマネジメントの具体例を見ていきます。

仕事の進め方を必要以上に細かく規定する

マイクロマネジメントの代表例として、仕事の進め方を必要以上に細かく規定することが挙げられます。

効率の良い仕事の進め方や業務上の注意点など、部下にとって利益になる指示であれば問題はありません。しかしマイクロマネジメントを行う人は、必要以上に仕事の進め方を指示し、自分の思い通りに部下をコントロールしようとします。

部下の居場所を常に把握しようとする

マイクロマネジメントで多いのが、部下の居場所を常に把握しようとする心理です。

就業中に、小休憩や他部署への提出物などで席を外すこともあるでしょう。しかしマイクロマネジメントを行う人はこれを「サボっている」と判断し、部下の居場所を逐一把握しようとします。

メールやチャットに厳しい返信期限を設ける

メールやチャットに厳しい返信期限を設けることも、マイクロマネジメントのひとつとして挙げられます。

メールやチャットの返信は、早いに越したことはありません。しかし、顧客対応や締め切り間際の納品など、他に優先すべき業務で余裕がない場合もあります。そういった事情を考慮せず、返信を強要するのはマイクロマネジメントにあたります。

意思決定の機会を与えない

部下から意思決定の機会を奪うこともマイクロマネジメントの一種です。

例えば「会議での発言内容について上司の承認が必要」「部下の意見を一切考慮せずにプロジェクトを推進する」など、日常の様々なシーンで意思決定の機会を奪う事例が散見されます。これらは部下の成長を妨げる有害なマイクロマネジメントといえるでしょう。

テレワーク中にカメラを常時オンにさせる

近年になって登場したマイクロマネジメントとして「テレワーク中にカメラを常時オンにさせる」が挙げられます。

オフィスでの就業と異なり、テレワーク中は従業員の働きぶりが見えません。そのため、パソコンのカメラを常時オン状態にして監視するというルールが一部で導入されています。しかし、これは従業員のプライバシーの問題に抵触するため、マイクロマネジメントとして扱われます。

マイクロマネジメントの利点や必要性

マイクロマネジメントは「マイクロマネジメントの弊害・デメリット」で解説したとおり、基本的にネガティブなマネジメント手法となります。ただし、特定のシチュエーションにおいてはマイクロマネジメントが必要となる場合もあり、一定の利点(メリット)が存在します。

新人教育

新人教育は短期的なマイクロマネジメントであれば、有効な部分が勝るといえるでしょう。基本的な業務内容を一通り学ぶまでは、細かな管理を行うほうが新人の安心にもつながるからです。

また、細かくフィードバックを与えることで行動の成否がはっきりとするので、不必要な業務に時間を割く心配もなくなります。ただし、少しずつ自立を促していかないと「指示待ち型」になってしまうため、独り立ちのタイミングを見極めることが大切です。

メンバーの経験・スキルが不足している

チームメンバーの経験やスキルが不足している場合、マイクロマネジメントが有効な手法となり得ます。

経験やスキルが不足しているメンバーが各々で業務を進めると、誤った方向に進んでしまったり、ミスが多発したりと、プロジェクト全体が遅延するリスクが高まります。このような場合はリーダーが進捗やリソースを逐一管理するほうが、結果的にメンバーの負荷が軽減されるでしょう。

意思統一が重要となるプロジェクト

意思統一が重要となるプロジェクトや、繊細な調整が求められる制作に臨む際も、ときにマイクロマネジメントが必要になるでしょう。各々の裁量に任せてしまうと着地点がぶれてしまい、作業自体が無駄になる恐れがあるからです。

とくに詳細なマニュアルやガイドラインを用意できていない場合、マイクロマネジメントによる進行の有効性が増します。

マイクロマネジメントを行なってしまう人の心理

マイクロマネジメントを防ぎたいのであれば、マイクロマネジメントを行なってしまう心理について理解しておく必要があります。

不安

まずマイクロマネジメントを行なう心理として、不安が挙げられます。とくに「管理職として経験不足の人」「過去に大きなミスを犯した経験がある人」などが、不安によるマイクロマネジメントを行いやすいといえます。

上司・リーダーには管理監督責任があり、部下のミスは自分のミスとなります。そのため、「自分の見ていないところでサボっていないだろうか」「目を離しているあいだに大きなミスをしないだろうか」といった不安が芽生え、部下の行動や仕事の進捗を逐一確認したくなるわけです。

自己顕示欲

自己顕示欲もマイクロマネジメントにつながる心理です。とくに「周囲に自分の功績を広めたい」「新任であるため、早く部下に能力を示したい」という欲求があると、マイクロマネジメントに走りがちです。

自己顕示欲から来るマイクロマネジメントでは、「部下に自身の仕事術を強要する」「生活習慣などのプライベートなことまで口出しする」といった過干渉が多くなります。

マイクロマネジメントを減らすための対策

最後に、マイクロマネジメントを減らすための取り組みについて解説していきます。

ミスに対して寛容な雰囲気を作る

マイクロマネジメントを減らすためには、組織全体でミスに対して寛容な雰囲気を作ることが求められます。職場の心理的安全性を高めると言い換えてもよいでしょう。

ミスによって処遇が変わってしまう、後ろ指を指されるといった職場では、管理職もミスを防ぐことを第一にマネジメントを行います。結果的に完璧主義なマイクロマネジメントが増加し、強いプレッシャーのもとで就業することになってしまいます。

「ミスを恐れない、ミスは起こってしまうもの」と受け入れ、挑戦的な風土を作ることがマイクロマネジメントを防ぐことにもつながります。

なお、職場の心理的安全性を高める方法については「職場における心理的安全性の高め方 メリットや低下を招く要素を解説」でも詳しく解説しています。

マネジメント研修を行う

マイクロマネジメントを減らすためには、管理職や次世代リーダーに対してマネジメント研修を行うことも欠かせません。

そもそも人材育成やチームビルディングを経験している人のほうが少数であり、リーダーになって初めてマネジメントを担う人がほとんどです。リーダーとしての役割や指示の出し方について知識がないのは当然であるため、会社として学びの場を提供する必要があるわけです。

正しいマネジメント手法を学べば、自ずとマイクロマネジメントも減少するでしょう。なお、次世代リーダーへの研修については「次世代リーダー研修とは 実施対象や内容を解説」でも詳しく解説しています。

オープンクエスチョンを取り入れる

個人単位の試みとしては、意識してオープンクエスチョンを取り入れることもおすすめです。

オープンクエスチョンとは、回答を「はい・いいえ」で限定せず、自由な回答を求める質問方法のことです。オープンクエスチョンを用いることで部下は自分の意見や気持ちを発言しやすくなり、自然とマクロマネジメントに近づきます。

また、進捗の度合いや抱えている課題についてオープンクエスチョンで尋ねれば、マイクロマネジメントで細かく管理せずとも問題の兆候を掴むことができるでしょう。

段階的な権限委譲

段階的な権限委譲も、個人単位の試みとして欠かせません。「新人教育」で解説したとおり、最初のうちはマイクロマネジメントも有効です。しかし権限委譲を行わないと、「部下の批判的行動の増加」や「部下の離職増」といった弊害が生じてしまいます。

成長に応じて業務の範囲を増やし、裁量権を与えることによって責任感が芽生えます。部下が自律的に動けるようになって個人のパフォーマンスが向上すれば、結果的に上司の負担も軽くなるでしょう。

進捗確認や報告にルールを設ける

マイクロマネジメントを防止するために、進捗確認や報告にルールを設けることも大切です。

例えば、始業時・終業時などの「タイミング」や、緊急性の高い事態の発生などの「条件」をルールとして整備することで、頻繁に報告を求めること自体を禁止するのです。

必要以上の報告・進捗確認が横行していると、業務の効率を下げるだけでなく、部下側のモチベーションも低下させます。会社のルールで過干渉を防止することは、決して行き過ぎた取り組みにはならないでしょう。

定量的な指示出しがマイクロマネジメントを防ぐ

マイクロマネジメントを防止したいのなら定量的な指示出しを心がけて、事前に明確な目標や基準を設けましょう。抽象的な指示出しでは部下の行動を予測しにくくなり、不安によるマイクロマネジメントが増加するからです。

指示の段階から「いつまでに(期限)」「どれくらい(量)」などの定量的な基準を盛り込めば、業務内容と予想される結果に対して共通認識が生まれ、仕事を任せる際の不安も軽減されるでしょう。

とはいえ、残念ながらすべてのビジネスパーソンが定量的な指示出しを行えるわけではありません。例えば、数字を扱うのが苦手な人は、指示出しの際にも細かな数字にこだわり過ぎるという失敗を犯しがちです。ビジネスシーンでは様々な要素が絡み合うため、完璧な数値を導き出せない場合がほとんどです。

そこで「1%の誤差なく指示・報告を徹底しなければ」と考えていると、それ自体がマイクロマネジメントとなってしまいます。

もちろん、経理や財務などでは正確な数字が求められますが、著しい速度で変化する近年のビジネスシーンにおいては「ざっくりと素早く数字を扱うこと」が成功の鍵となるのです。

こうした「数字を活用した仕事の進め方」について学ぶのが、弊社オルデナール・コンサルティングがご提供する「ビジネス数学研修」です。ビジネス数学というとテクニカルスキルが連想されがちですが、弊社の研修では「数字を用いたコミュニケーション」を身につけることに重きを置いています。

「部下へ納得感のある指示を出したい」「報告や進捗確認でのすれ違いを減らしたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご検討ください。