コミュニケーションコストとは 高い組織の例や下げる方法を解説

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コミュニケーションコストとは、情報伝達の際に発生する労力や時間のことです。コミュニケーションコストが高いと、意志決定の遅延や業務効率の低下などを招きます。

コミュニケーションコストが高い組織の例としては「自分の役割を理解していない人が多い」「人員の追加が多い」などが挙げられ、「組織の方向性や理念を共有する」「コミュニケーション方法の統一」といった対応がコストを下げるために必要となります。

今回は、コミュニケーションコストが高い組織やコミュニケーションコストがかかる人の具体例、そのデメリット、コストを下げるためのポイントなどについて解説していきます。

コミュニケーションコストとは

コミュニケーションコストとは、情報伝達や意志疎通を行う際に発生する労力や時間のことです。一言で情報伝達ができれば「コミュニケーションコストが低い」、逆に説明が難しい報告などは「コミュニケーションコストが高い」と言えます。

コミュニケーションコストは技術の発達によって、大きく低下してきました。大昔であれば、遠方に連絡するためには多大な労力と時間を必要としましたが、現在は地球の裏側でも家にいながら一瞬で連絡することができます。

現在のビジネスにおけるコミュニケーションコストはもっとミクロな意味合いで用いられ、日々のビジネスシーンにおける報告や情報共有の問題などが焦点となります。

コミュニケーションコストが高い組織の具体例

コミュニケーションコストが高い組織の具体例と、その原因について解説していきます。

自分の役割を理解していない人が多い

組織内で自分の役割を理解していない人が多いほど、コミュニケーションコストは上がっていきます。

例えば、上司に一日の業務について報告する際、自分の役割を理解していない人は事細かにその一日にあったことを伝えようとします。当然、それだと時間がかかってしまうため、コミュニケーションコストは上がります。

一方で自分の役割を理解している人は、期待される役割を達成できたのかという「結果」だけを伝え、必要であればその要因を付け加えるという、整理されたコミュニケーションを取ることができます。組織単位で見ると、こうした差の積み重なりがコミュニケーションコストを上げていくわけです。

メンバー間のリテラシーに差がある

メンバー間のリテラシーに差があると、どうしてもコミュニケーションコストは上昇してしまいます。

例えば「会議資料はクラウドにアップしたので、確認しておいて」という指示が出されたとして、クラウドの意味を理解していない人には言葉の意味から説明する必要があります。また、指示の意味はわかっていてもクラウドへのアクセス方法がわからない人がいれば、その方法を説明しなければいけません。

このように、一つの指示でもメンバー間にリテラシーの差があると、余計な手間と時間がかかってしまうわけです。

情報の整理・共有が不得意な人が多い

情報の整理や共有が不得意な人が多いと、組織全体のコミュニケーションコストも上がっていきます。

例えば「相手のリテラシーを考慮せず、一方的に情報を伝える」「主語が抜けがち」といった人が多いと、組織全体で二度手間や誤解が生じやすくなり、業務効率が低下していきます。

情報へのアクセス方法が整理されていない

情報へのアクセス方法が整理されていないことも、コミュニケーションコスト上昇の原因となります。

例えば社内で資料を探す際、誰に聞けばわかるかが周知されていないと、様々な人に聞いて回る手間が発生し、資料を探す本人だけでなく、問い合わせを受けた人それぞれの時間も奪うことになります。

こうした問題は、デジタル化が進んだ現在も変わらず起こります。例えば、リモートワークの推進によってチャットツールの導入が進みましたが、これにより「グループが増えすぎて、どこに必要な情報があるかわからない」「チャット内で雑談が多く、重要な情報がすぐ流れていってしまう」といった問題が頻発しています。

情報共有の方法がアップデートされていない

コミュニケーションコストが高い組織の多くは、情報共有の方法がアップデートされていません。

例えば、いまだに「会議には紙の資料を印刷して配布する」といった慣習を続けている企業は少なくありません。現代であれば各々がノートパソコンやタブレットを持ち込めばカットできるはずのコミュニケーションコストですが、アップデートされないために「印刷する、部数を確認する、配布する」という余計な労力を消費しているわけです。

人員の追加が多い

人員の追加が多いチーム・組織は、コミュニケーションコストが高い状態になりがちです。

アメリカのソフトウェア技術者フレデリック・ブルックスは、著書『人月の神話』のなかで「遅れているソフトウェアプロジェクトに人員を補充すると、プロジェクトの完了がさらに遅れる」と指摘し、人員の投下がチーム内のコミュニケーションコストを増大させることを指摘しています。これを「ブルックスの法則」と呼びます。

その根拠としては「人員の増加によるコミュニケーションの複雑化」が挙げられており、人員の増加によってコミュニケーションコストは「n(人員)の2乗」で増加するとされます。

コミュニケーションコストがかかる人の特徴

ここまで組織単位でのコミュニケーションコストが高い状態について解説してきました。続いて、個人単位でコミュニケーションコストがかかる人の特徴を見ていきましょう。

聞き手としての態度が悪い

コミュニケーションコストがかかる人の最たる特徴として、聞き手としての態度が悪いことが挙げられます。

人に話しかける際、相手が「口調が厳しい」「迷惑そうな顔をする」といった態度を取る人だと、コミュニケーションを躊躇いますよね。こうした話しかけるほうが気を遣うような態度を取る人は、それだけでコミュニケーションコストがかかります。

コミュニケーションコストの問題は、実はコミュニケーションの前から始まっているのです。

情報の理解に時間がかかる

コミュニケーションコストがかかる人の特徴として、情報の理解に時間がかかることが挙げられます。「察しが悪い」「長文が読めない」などの傾向があると、コミュニケーションコストがかかりがちです。

情報を受け取る力は人によって大きく異なります。わずかな情報だけで多くを察してくれる人もいれば、一から十まで説明しないと理解できない人もいます。後者の場合は当然、伝えなければいけない情報量が増え、そのぶん時間と手間がかかります。

ただ「テキストのほうが緊張しないので頭に入ってくる」など、人によって得意・不得意なコミュニケーションの形があるため、適性によって対応を変えることも大切です。

余計な話をする

余計な話をするというのも、コミュニケーションコストがかかる人に共通する特徴のひとつです。

例えば、組織の決定事項を伝達した際、求めていないのに自分の意見を述べてくる人などが当てはまります。もちろん雑談も大切なコミュニケーションではありますが、報連相の度に話し合いを求められてはコミュニケーションコストが無意味に増加してしまいます。

必要な雑談との線引きは難しいですが、報連相を遮って余計な話をする場合などは注意しなければいけません。

コミュニケーションコストが高いことによるデメリット

組織のコミュニケーションコストが高いことにより、具体的にどのような問題やデメリットが生じるのかについて解説していきます。

意志決定の遅延

コミュニケーションコストが高いと、意志決定の遅延を招きます。意志決定者のもとになかなか情報が届かないため、緊急性が高い問題やチャンスに対しても初動が遅れてしまいます。結果的に、組織全体の損失につながりやすくなるといえるでしょう。

業務効率の低下

コミュニケーションコストの高さは、業務効率の低下に直結します。確認や承認に時間がかかれば、そのぶん業務が停滞するからです。

また、正しい情報が伝わらないと発注ミスや遅刻などの失敗につながり、やはり業務効率を下げる原因となるでしょう。

従業員の疲弊

伝達ミスや誤解はストレスにつながり、従業員の精神的な疲弊を招きます。またコミュニケーションコストが高い状態では、修正や二度手間といった業務の遅延が頻発するため、肉体的にも負担となります。

こうした問題はモチベーションの低下を招き、様々な面から組織全体の生産性を低下させていきます。

コミュニケーションコストを下げるためのポイント

最後に、コミュニケーションコストを下げるために必要な取り組みやそのポイントをお伝えしていきます。

組織・チームの方向性や理念を共有する

まず前提として、コミュニケーションコストを下げるためには、組織・チームの方向性や理念を共有する必要があります。メンバー間で共通認識ができていれば、情報や指示の内容が少々不足していても誤った受け取り方をする恐れがなくなるからです。

例えば「なるべく早く」という抽象的な指示に対しても、「品質をなによりも重んじる」という理念が共有されていれば、「質を落としてまで早くやる必要はない」と理解することができます。

常に完璧なコミュニケーションを実現することは難しいため、情報不足の際に大きな失敗につながらないような土台作りが重要になるわけです。

コミュニケーション方法の統一

コミュニケーションコストを下げるために必ず取り組みたいのが、コミュニケーション方法の統一です。近年のビジネスシーンではメールを基本として、ビジネスチャットやweb会議ツール、タスク管理ツールなど、様々な方法でコミュニケーションが取られています。

こうした状況だと「タスク管理ツール上で仕事を振っておいたけれど、確認されていない」といった見落としや遅延が起こりやすくなります。このようなミスを防ぐためには、活用するツールをできるだけ統一し、「重要な事柄は口頭での指示の後、チャットでも共有する」といったルールを徹底する必要があります。

開かれたコミュニケーションを心がける

コミュニケーションコストを下げるためには、開かれたコミュニケーションを心がけることも大切です。

近年はプライバシーやセキュリティなどを考慮して、1on1や個人チャットなどのクローズドなコミュニケーションを心がける人も多いと思います。しかし、誰が担当者かわからない問題の確認や、部署内で広く共有すべき情報などは、複数名に向けて同時に連絡するほうが効率的ですよね。

複数名に向けて発信することを躊躇わないよう、会議やグループチャットなどで発言しやすい組織風土を作ることが大切です。

マニュアルの作成

業務に関する基本的なルールや問い合わせが多い事柄については、あらかじめマニュアルとしてまとめておくことでコミュニケーションコストを下げることができます。

ただ、マニュアル制作にも労力がかかりますし、時間とともに内容が陳腐化してしまうことも少なくないため、アップデートが欠かせません。マニュアル作成・更新にかかるコストと、コミュニケーションコストを天秤にかけて取り組むことが大切です。

5W1Hを意識する

個人単位で心がけたい取り組みとしては、5W1Hを意識することが挙げられます。5W1Hとは情報整理のためのフレームワークで、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:なにを」「Why:なぜ」「How:どのように」によって構成されます。

報告や連絡の際に5W1Hを心がけることによって伝達事項の漏れがなくなり、誤解や二度手間を防ぐことができます。

なお、5W1Hについては「ビジネスシーンで役立つ5W1H 5W2Hや6W2Hとの違いとは」で詳しく解説しています。

「数字」を用いることでコミュニケーションコストが下がる

コミュニケーションコストを下げるためのポイントとして、報告や連絡に「数字」を用いることも非常に有効な取り組みです。これはとくに「情報の整理・共有が不得意な人が多い」という問題を抱える組織・チームにおすすめです。

例えば、「なるべく早く会議の資料をまとめておいて」という指示は、具体的にいつまでに資料を作ればいいかがわからず、コミュニケーションコストを増加させます。こうした抽象的な表現は、数字を用いて共通認識を持てるように整理する必要があります。この場合は「20日の15時までに」と日時を加えれば、誤解が生まれないでしょう。

実際に近年では、5W1Hに「how many:どれくらい」を加えた5W2Hで、「報・連・相」の質を上げる取り組みも広まっています。

実はこうした数字を活用したコミュニケーションは、弊社がご提供する「ビジネス数学研修」の一部であり、コミュニケーション研修の一環としてご活用いただくことも少なくありません。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。

「社内のコミュニケーションコストを下げたい」「指示や報告で誤解を招くことが多い」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。