いま多くの人事担当者や管理職が「Z世代の価値観は理解できない」と悩み、なかには「Z世代は仕事ができない」という極端な指摘もよく見かけます。しかし、それは事実なのでしょうか。
事実としてZ世代には「チャレンジ精神に欠ける」「PCスキルが低い人材がいる」といった傾向がある一方で、会社側のマネジメント体制に問題がある場合も少なくありません。
今回は「Z世代は仕事ができないのか」をテーマに、Z世代の欠点や育成に必要な取り組みについて解説していきます。
Z世代とは
Z世代はアメリカを中心に広まった世代の括りで、厳密な定義はありませんが、1990年代半ばから2010年ころまでに生まれた世代を指すことが多いようです。年齢にすると、2026年時点でおおよそ16歳~31歳にあたります。
企業・人事担当者から見ると、この先も当分はZ世代が新卒社員として入社してくる計算となり、すでに中堅層としてZ世代が活躍しているという企業も少なくないでしょう。
なお、Z世代は別名「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」と呼ばれ、以下のような特徴を持つといわれています。
・ネットリテラシーが高い
・SNSを起点として行動する
・保守的な傾向
・多様性を重んじて自分の価値観を大切にする
・社会問題への関心を持つ傾向

Z世代の欠点と見られがちな特徴
なぜZ世代は「仕事ができない」と言われるのでしょうか。その多くは彼らが本当に仕事ができないのではなく、価値観のズレや社会・環境の変化への無理解に原因があるのではないでしょうか。
ここではZ世代の欠点と見られがちな特徴を踏まえて、本当に仕事ができないのかを考えてみましょう。
チャレンジ精神に欠ける
Z世代は「失われた30年」のなかで生まれ育ち、多感な時期に東日本大震災や新型コロナウイルスによるパンデミックなどを経験しています。こうした背景から、Z世代は保守的で堅実思考が多いといわれ、ビジネスにおいてはチャレンジ精神に欠ける部分があると指摘されます。
この傾向は、リクルートマネジメントソリューションズが実施した「2023年新入社員意識調査」でも顕著に表れています。「あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?」という問いに対し、「何事も率先して真剣に取り組むこと」」の選択率が過去最低を記録したのです。
参考:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「2023年新入社員意識調査」
とくにバブル景気を経験している世代とは、根本的に社会や会社に対する期待値が異なります。こうしたギャップを理解していないと、Z世代を単に「消極的な人材」と見なしてしまい、資質や能力を見誤ることにつながります。
残業をしない
Z世代はワークライフバランスを重んじる傾向にあります。「若いうちはバリバリ働け」と考える世代にとっては、残業をせずにさっさと帰宅するZ世代は「仕事ができない」と見なされがちです。
しかし、今やワークライフバランスを重んじるのは、Z世代に限った話ではありません。日本全体が働き方を見直すフェーズに入っており、長時間労働で生産性を担保する時代から、限られた人員・時間で効率的に生産性を上げることが求められています。
週休2日制が当たり前になったように、残業をしなくなったことは社会の過渡期であると受け止めるべきかもしれません。
なお、ワークライフバランスについては「ワークライフバランスの課題・問題点とは 実現に必要なことを解説」でも詳しく解説しています。
コスパ・タイパを重視する
Z世代はとくに消費活動の面で、コスパ・タイパを重視するといわれています。ビジネスにおいてもこの価値観は少なからず反映され、例えばZ世代は「メール・チャットで連絡を済ませる」といった指摘がよく挙がります。
「報告はしっかりと対面でするべき」と考えている世代からみれば、効率を重視してメールで済ませる対応に不満を感じるかもしれません。
ただ一方で、日本では諸外国と比較した際の労働生産性の低さが問題視されており、長いあいだ「業務の効率化」が課題となっています。実際、多くのビジネスパーソンが「慣習を重んじた生産性の低い業務」を一度は経験しているのではないしょうか。
もちろん、若手社員の育成においては、コスパ・タイパを優先する姿勢を矯正することも必要となります。「正解」への最短ルートばかりを求めていると、正解がない課題に直面した際に対応する力が養えないからです。
「ルールだから、マナーだから」と頭ごなしにコスパ・タイパを否定せず、「これは貴方の成長につながることだよ」と示してあげることが大切です。
なお、タイパについては「タイパ(タイムパフォーマンス)とは Z世代への訴求やデメリットを解説」でも詳しく解説しています。
受け身・指示待ち型である
Z世代は「受け身・指示待ち型」であるという指摘をよく見かけます。言われたことしかできない人材は「仕事ができない」と判断されがちですので、この点でZ世代は仕事ができないと見なされてしまうのかもしれません。
しかし、Z世代だから指示待ち型という指摘には疑問が残ります。昔から多くの上司が「部下が自分から動いてくれない」という悩みを抱えていなかったでしょうか。
この問題については、上司・管理職側の行動を見直すべきかもしれません。例えば、日頃から部下の前でこんな行動を取っていないでしょうか。
・部下からの提案に「忙しいから・規則だから」と取り合わない
・上司自身が経営層からの指示待ちで動いている
指示待ち型の問題については、Z世代の気質だけでなく、上司・管理職のマネジメント能力を疑う必要もあるでしょう。
PCスキルが低い人材がいる
実際に「Z世代は仕事ができない」と感じられてしまう部分として、PCスキルが低い人材が一定数いることが指摘されています。
WHITE株式会社が実施した調査によれば、「パソコンスキルの習熟度(Word、Excel、Powerpointなど)」について、「あまりできない(34.3%)」「全くできない(3.9%)」と回答した大学生が約4割を占めています。また「パソコン上のフォルダ・階層構造の理解度」という設問では、「質問の意味がよくわからない(12.9%)」「理解していない(34.9%)」で約5割を占めるという結果になっています。
参考:WHITE株式会社「ITリテラシー実態調査」
Z世代はスマートフォンでほとんどのことが出来てしまうがゆえに、パソコンに触れる機会がないともいわれています。デジタルネイティブとして期待した人材がパソコンの操作すら覚束ないようでは、「仕事ができない」と見なされても仕方がないでしょう。

Z世代の育成・定着に必要な取り組み
Z世代の育成や定着に必要となる取り組みを5つに厳選してお伝えします。
なお、Z世代の育成については「Z世代育成のポイントとは 各種調査をもとに解説」でも解説しておりますので、合わせて参考にしてみてください。
「世代」で決めつけない
ここまでの話をひっくり返すようですが、「世代」で決めつける考え方では適切なマネジメントはできません。Z世代のなかにも「バリバリ働いて人の上に立ちたい」「飲み会を通じて仲を深めたい」と考える人はいます。
世代として共通する行動様式や考え方が存在するのは事実ですが、それらがすべての人に当てはまるわけではないのです。
逆に言えば、多様性社会のなかで育ってきた人材を「Z世代」と一括りにすることこそ、信頼を損ねる直接的な原因になります。重要なのは、それぞれの個性を尊重することなのです。
業務の目的・意図を伝える
今すぐにできる取り組みとして、指示を出す際に業務の目的や意図を伝えることが挙げられます。
終身雇用制度の形骸化や、人手不足による「売り手市場」が進む現在、Z世代のあいだでは「会社の言うことは絶対」という価値観は消えつつあります。業務には納得できる目的が求められ、この傾向はとくにコスパ・タイパを重んじる人材ほど強いといえるでしょう。
ただ一方で、指示を出す際に1から10までを説明してしまうと、部下の考える余地がなくなり、指示待ち型に陥りやすくなります。Z世代に指示を出す際は、納得感と成長がポイントになります。
なお、指示の出し方については「良い指示を出すための6つの条件 指示出しを学ぶ重要性とは」でも詳しく解説しています。
個人としての成長を重んじる
終身雇用制度が形骸化しつつある現在、働き手にとって「会社の成長」や「社内での昇進」は、価値を失いつつあります。会社が絶対ではないZ世代のキャリアプランでは、個人として成長が重要となるのです。
実際に前述のリクルートマネジメントソリューションズ「2023年新入社員意識調査」によれば「あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?」という問いに対し、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が48.5%で1位だった一方、「仕事で高い成果を出すこと」は15.1%に過ぎません。
また、同調査の「あなたが仕事をする上で重視することは何ですか?」という問いでも「成長(自分が成長できる)」が28.8%で1位となっています。
こうした背景から、社員が意欲的に働けるようにモチベーションの改善を図る「モチベーションマネジメント」や、社員自身の成長・成功に重きを置く「ピープルマネジメント」を導入する企業が増えてきています。
なお、ピープルマネジメントについては、「ピープルマネジメントとは 得られる効果や必要なスキルを解説」でも詳しく解説しています。
質問しやすい雰囲気を整える
Z世代の育成・定着には、質問しやすい雰囲気が欠かせません。昭和の職場のように「先輩の仕事ぶりから見て盗め」といった社員教育では、Z世代はすぐに転職を考え始めてしまうでしょう。
実際、レバレジーズ株式会社が実施したZ世代の離職に関する調査によれば、転職を思いとどまる理由の1位として「心情的に、会社(組織・上司など)が自分に寄り添おうとしている姿勢が見えたから(14.0%)」となっています。
同項目は、Y世代では2位(11.0%)の回答となっていることからも、Z世代が働くうえで心情面を大切にしていることが伺える結果といえるでしょう。
参考:レバレジーズ株式会社「【2025年版】Z世代の離職についての調査レポート」
ですから、Z世代からのアクションを待つだけでなく、上司から積極的に問いかけて疑問や悩みを引き出すことが求められます。
例えば「どうしてこのやり方でやろうと思ったの?」と聞かれたら、どこか詰められているようにも感じますよね。このようなときは「このやり方で一番大切にしたところはどこかな?」といった、柔らかく相手の言葉を引き出す問いかけがポイントとなるのです。
なお、問いかけのやり方については「ビジネスにおける問いかけとは 効果や手法を解説」でも詳しく解説しています。
本人のペースを尊重する
Z世代の育成では、原則として本人のペースを尊重してあげましょう。SHIBUYA109 lab.が24卒、25卒を対象として実施した調査によれば、仕事と成長に関する質問に対して「自分のペースで成長したい」との回答が80.1%(とてもあてはまる 26.7%、ややあてはまる 53.4%)に達しているからです。
これに対して「誰よりも早く成長したい」は49.1%(とてもあてはまる 14.2%、ややあてはまる 34.9%)、「バリバリ働いていきたい」(とてもあてはまる 14.2%、ややあてはまる 34.9%)は49.1%に過ぎません。
また、この調査の興味深い点はZ世代の「バリバリ働いていきたい」の捉え方の違いです。バリバリ働くといえば、昭和世代は「休日返上、終電まで働く」「同期の誰よりも出世を目指す」といった働き方をイメージするのではないでしょうか。
しかしこの調査では「平均以上の年収を得る(48.4%)」「自分の稼ぎで生活ができる(46.0%)」「自分の稼ぎで好きなものが買える・好きなことができる(43.7%)」が上位を占めており、Z世代のバリバリ働くは「自分ベースで多少の余裕がある生活」を目指すことだとわかります。
参考:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント「Z世代のキャリア観に関する意識調査」
仮に新人が「バリバリ働きたいです!」と言っても、「バリバリ」の度合いは昭和世代とは異なる可能性が高いことを念頭に置きましょう。

Z世代と上司世代のステップアップに効果的な「ビジネス数学研修」
Z世代の特徴を考える上でキーワードとなるのがVUCA時代です。Z世代の安定志向や保守的な傾向もVUCA時代を体感してきたためと指摘されているからです。
そんな将来の予測が難しいビジネスシーンだからこそ、数字・データを根拠とした指示や育成方針が求められるわけですが、残念ながら上司世代のなかには勘や経験則から脱却できない人が数多くいます。
本来ならば上司世代が数字・データを活用した仕事の進め方を指導しなければならないのに、それを実現できない現実があるわけです。とくに安定志向のZ世代からすれば、根拠が曖昧な指示は上司や会社に対する不信感を強める原因になります。
ですから、今後のビジネスシーンで勝ち抜くためだけでなく、Z世代の育成においても「数字・データを根拠とする力」が重要となるわけです。
弊社がご提供する「ビジネス数学研修」は、まさにそうした「日々のビジネスシーンで役立つ数字力」をテーマにしており、数字・データに苦手意識があるビジネスパーソンでも安心してステップアップできる内容となっております。
ここで、実際に弊社の研修で行なっている課題をご紹介しましょう。下の画像は、よくビジネスシーンでも提示される市場売上のグラフで、ここから「読み取れる事実・仮説を10個以上挙げる」という課題です。

この課題のポイントは「仮説設定」にあります。仮に、上のグラフから「競合D社だけが大きく売上を落としている」と読み取ったとしたら、そこから「D社は業界から撤退するかもしれない」という仮説が立てられます。
この一連の流れこそ「データを活用した意思決定」の基本であり、これを実践的に積み重ねていくことで、勘や経験則からの脱却につながっていくのです。
また、弊社の研修は「入門編」から「実践編」の4段階をご用意しておりますので、Z世代が直面するような現場でのデータ活用から、上司世代に求められる数字を根拠とした意思決定のやり方まで、受講者のレベルや役職に合わせた実践的なデータリテラシーを育むことができます。
弊社の「ビジネス数学研修」について、少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。研修内容について「もっと詳しく知りたい!」と思っていただけましたら、ぜひお気軽に以下のリンクからお問い合わせください。