有効求人倍率とは 見方や直近10年の推移を解説

#おすすめ記事#採用担当者向け#教育担当者向け#管理職向け#経営者向け

有効求人倍率は、全国のハローワークで仕事を探す人に対して、1人あたり何件の求人があるかを示す数値です。

有効求人倍率からは景気や雇用動向、採用市場の状況などを読み取ることができ、人事担当者のみならずビジネスパーソンなら誰しも見方を知っておきたい統計となっています。

今回は有効求人倍率の概要を踏まえたうえで、直近10年の有効求人倍率の推移やその見方について解説していきます。

有効求人倍率とは

有効求人倍率とは、有効求職者に対する有効求人数の比率のことです。簡単にいえば、全国のハローワークで仕事を探す人に対して、1人あたり何件の求人があるかを示しています。計算方法は単純で「有効求人数÷有効求職者数」で算出できます。

有効求人倍率は厚生労働省によって「一般職業紹介状況」として毎月発表されており、完全失業率と並ぶ代表的な雇用統計として、様々な場面で参照されています。

有効求職者数(求人数)とは

そもそも雇用統計における求職者(求人)数は、新規求職者(求人)数と有効求職者(求人)数に分けられます。

・新規求職者(求人)数:ハローワークで当月中に新規で受け付けた求職者(求人)の数

・有効求職者(求人)数:新規求職者(求人)数に、前月から繰り越した求職者(求人)数を足した数

ハローワークでは、求職(求人)登録の有効期限を「申し込み手続きをした日の属する月の翌々月末」と規定しています。有効求人倍率はざっくりと言えば、ハローワークにおける有効期限内の求職者と求人数から算出されているわけです。

また、より直近の雇用動向を探るために、新規求職者数と新規求人数のみで「新規求人倍率」を参照する場合もあります。

完全失業率とは

完全失業率とは、労働力人口に占める失業者の割合です。「完全失業者÷労働力人口」で求めることができ、総務省が毎月実施している「労働力調査」で公表されています。

なお、同調査では完全失業者を以下のように定義しています。

・仕事についていない

・仕事があればすぐつくことができる

・仕事を探す活動をしていた

つまり、求職活動を行っていないものは含まれず、完全失業率は仕事をしたいのに職に就けない人の割合を示しています。

直近10年の有効求人倍率の推移

直近10年で、有効求人倍率(平均値)は以下のように推移しています。

平成26年(2014年) 1.09倍

平成27年(2015年) 1.20倍

平成28年(2016年) 1.36倍

平成29年(2017年) 1.50倍

平成30年(2018年) 1.61倍

令和元年(2019年) 1.60倍

令和2年(2020年) 1.18倍

令和3年(2021年) 1.16倍

令和4年(2022年) 1.28倍

令和5年(2023年) 1.31倍

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」

有効求人倍率の見方

有効求人倍率は日々のニュースでもよく取り上げられるため、馴染みの深い統計といえます。しかし、有効求人倍率からどんな情報が得られるかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。ここからは、有効求人倍率の見方について解説していきます。

売り手市場・買い手市場

有効求人倍率からは、現在の採用市場が「売り手市場(求職者側に有利)」なのか、「買い手市場(企業側に有利)」なのかを見極めることができます。

有効求人倍率が1倍のときは、企業が出す求人数と求職者の数が釣り合った状態です。1倍を超えると、求人数よりも求職者の数が少ない(応募が少ない)状態となるため、人材確保が難しい「売り手市場」となります。1倍を下回ると、求人数よりも求職者の数が多い(応募が多い)状態となるため、人材を確保しやすい「買い手市場」となります。

上の「直近10年の有効求人倍率の推移」を見てもわかるように、現在は生産年齢人口の減少を主な原因とした「売り手市場」が続いています。

景気動向・企業の状況を知る

有効求人倍率の増減は、景気動向や企業の状況などを示します。有効求人倍率が高い場合、企業が人材を多く雇い入れようとしていることが読み取れ、それだけ企業に採用を行う余裕がある……ひいては好景気だと判断することができます。

実際に上の「直近10年の有効求人倍率の推移」を見てもわかるとおり、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大時には、有効求人倍率は1.18倍まで落ち込みました。

様々な雇用の動向を知る

有効求人倍率は毎月、地域別や産業別のデータも発表されているので、数値の推移を追ったり、比較したりすることで、雇用の動向を把握できます。

例えば、自社の各地の拠点と「都道府県・地域別有効求人倍率」を照らし合わせて、地域限定型採用を推進するのも、有効求人倍率の正しい見方・活用法といえるでしょう。

採用市場のすべてを示すわけではない

有効求人倍率が採用市場のすべてを示すわけではないことは、留意が必要です。有効求人倍率はハローワークの数値から導き出されている指標であり、現在の主要な採用媒体である求人サイトの動向や、新規学卒者も反映されていないからです。

とくに近年はリファラル採用やSNS採用など、求人サイトすら使わない採用手法も広まっており、求職者の動向は複雑化しています。とくにハイクラス人材などはダイレクトリクルーティングを始めとした「攻めの採用」で、採用市場に現れる前の段階から獲得競争が行われています。採用計画を立てる際は、ターゲットに合わせて適切なデータを活用しましょう。

なお、採用計画の立て方については「採用計画の立て方 5つのステップと3つのポイントから解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「採用計画の立て方 5つのステップと3つのポイントから解説」

データを活用して採用活動の質を高めよう

有効求人倍率は、雇用動向や採用市場を探る際の基本となるデータです。採用活動では他にも求人媒体の費用対効果や採用フローごとの歩留まり率など、確認しておくべきデータが数多くあります。これらの見方・扱い方を理解することで、採用活動の質の向上へとつながっていきます。

しかし一方で、人事担当者のなかには数字やデータに対して苦手意識を持つ方も少なくありません。人事担当者が「データサイエンティスト」のような専門家を目指す必要はありませんが、数字やデータから情報を読み解き、具体的なアクションを立案していく力は最低限必要となってきます。

そんな「数字に苦手意識を持つ、普通のビジネスパーソン」を対象として、実務で活きる数字やデータの扱い方を学んでいくのが、弊社オルデナール・コンサルティングの「ビジネス数学研修」です。

弊社の研修プログラムでは、数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。 「データを根拠とした施策の立案ができる人材を育てたい」「データ活用に尻込みしない人材を増やしたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。

お問い合わせはこちらから