フォロワーシップとは 得られる強みや5つのタイプを解説

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フォロワーシップとは、フォロワー(チームメンバーや部下など)が、主体的かつ自律的に組織のために行動することです。

フォロワーシップが働く組織では、メンバーそれぞれが積極的に仕事に取り組み、提言や批判が適切に挙がることで自浄作用が機能します。

今回の記事では、フォロワーの5つのタイプを踏まえたうえで、フォロワーシップが発揮される組織の強みやフォロワーシップの育て方について解説していきます。

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、チームメンバーや部下といったフォロワーが、主体的かつ自律的にリーダーあるいは組織のために行動することです。フォロワーシップが発揮される職場では、積極的にそれぞれの役割が全うされる一方で、リーダーに対して建設的な批判や提言も行われます。

フォロワーシップは、リーダーシップにまつわる研究のなかで生まれた考え方です。当初のリーダーシップ研究はリーダーにだけ着目するものでしたが、1990年前半頃からリーダーシップはリーダー以外の存在(フォロワー)を含めて理解しなければいけないという論調が広まりました。

そんななかでカーネギーメロン大学教授のロバート・ケリーが著書『The Power of Followership』(邦題:『指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ』)で提唱したのが、フォロワーシップです。

フォロワーシップが必要とされる背景

フォロワーシップが必要とされる主たる背景として、「著しいビジネス環境の変化」や「リーダーへのネガティブな印象と負担」が挙げられます。それぞれ解説していきます。

著しいビジネス環境の変化

フォロワーシップが求められる主たる背景として、著しいビジネス環境の変化が挙げられます。

近年のビジネス環境の変化は目まぐるしく、リーダーひとりだけでは顧客の多様な価値観や著しい技術革新に対応できなくなっています。そのうえ管理職の多くは、人手不足の影響もあってプレイングマネージャーとして二重の負担を背負っているため、意思決定の精度はますます下がっています。

こうした環境変化によって、組織のメンバーそれぞれが能動的に行動し、リーダーを支える組織の在り方が求められているわけです。

リーダーを務めることへのネガティブな印象

フォロワーシップが必要とされるのは、リーダーを務めることへのネガティブな印象や、実際にかかる大きな負担も大きな要因です。

JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)の調査では、一般社員の77.3%が「管理職になりたくない」と回答したという結果が出ています。また、実際に管理職を務めている人を対象とした「『管理職』という仕事への印象」という設問でも、「調整が多くて面倒(71.3%)」「負荷に対し報酬が釣り合っていない(65.3%)」と、その負担の大きさに対してネガティブな感情を持つことが明らかとなりました。

参考:JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)「管理職の実態に関するアンケート調査」

こうしたリーダーを務めることへのネガティブな感情を取り除くためにも、フォロワーシップ型の組織作りが求められるわけです。

フォロワーシップが働く組織の強み

フォロワーシップが働く組織には、どのような強みがあるのか解説していきます。

社員が積極的に仕事をこなす

フォロワーシップが働く組織では、メンバーそれぞれが自身の役割を理解し、積極的に仕事をこなしていきます。

フォロワーが自律的に仕事を引き受けるため、リーダーの負担は軽減し、それぞれが自分にしかできない職務に集中することができます。これにより組織のパフォーマンスは最大化され、生産性の向上へとつながっていくでしょう。

自浄作用が働く

フォロワーシップが働く組織は、自浄作用によって施策や方向性が適宜修正されます。リーダーの誤った選択を諫める存在がいないと、組織やプロジェクトは誤った方向性で進み続けてしまいます。

企業の不正・不祥事が後を絶たないことから見ても、フォロワーシップによる自浄作用の重要性は非常に高いといえるでしょう。

リーダーシップが高まる

フォロワーシップはもともとリーダーシップを補完する概念です。つまりフォロワーシップが働く組織というのは、リーダーシップが発揮されやすい環境なのです。

この点でロバート・ケリーは、組織においてリーダーの影響力は全体の10~20%に過ぎず、フォロワーの影響力が80~90%を占めていると、自身の行った調査から明かしています。

いくらリーダーが優秀であっても、フォロワーが「リーダーの意図を理解できない」「リーダーからの指示を実行しない」という状況では、組織は発展しないのです。

フォロワーシップの5つのタイプ

ロバート・ケリーは2つの評価基準を軸として、フォロワーを5つのタイプに分類しました。2つの評価軸は、以下の通りです。

・積極的関与

リーダーからの指示や決定を前向きに受け止め、積極的に役割を全うして行動すること

・批判的思考

リーダーからの指示や決定に対して、自ら分析や検討を行い、ときには批判や提言を行うこと

積極的関与と批判的思考の高低によって、フォロワーシップのタイプが分類されています。

模範型

模範型は、積極的関与と批判的思考の両方が高く、最も理想的なフォロワーです。

模範型は自身の業務や役割を積極的に全うしつつ、リーダーに対しても建設的な提言を行うことができます。リーダーの懐刀として、あるいは将来のリーダー候補として、組織の発展に大きく寄与できる存在といえるでしょう。

孤立型

孤立型は、批判的思考が高い一方で、積極的関与は低いフォロワーであり、組織のなかでネガティブな存在として扱われがちです。

孤立型は批判や提言は行うものの、組織への貢献につながる行動力に欠けます。そのため、周囲からは和を乱す存在として見られやすいですが、孤立型の持つ「俯瞰して物事を捉える力」を有効活用できれば、組織への貢献が高まるでしょう。

順応型

順応型は積極的関与は高いですが、批判的思考が低いフォロワーであり、「イエスマン」や「指示待ち型」と呼ばれることも多いタイプです。

リーダーから見れば積極的に業務に取り組み、批判もしないありがたい部下であり、組織においても貢献度は比較的高い存在となります。一方で、組織のなかで順応型の比率が高いと自浄作用が働きにくくなるという問題もあります。

消極型

消極型は積極的関与、批判的思考ともに低く、組織のなかでフォロワーとしての存在感を示せない存在です。

消極型は周囲との関わりを避けて、最低限の役割のみを果たすタイプです。放置しているとコミュニケーション不足になりやすく、相談や報告が遅れて大きなトラブルを引き起こす恐れがあるので注意しましょう。

実務型

実務型は積極的関与、批判的思考の軸の外にいるフォロワーで、誠実に与えられた役割をこなす一方、組織に対して積極的に関与しないという特徴を持ちます。

消極型の側面を持ちつつ、基本は順応型のように働きますが、自身の役割の範囲内ではリーダーに対して批判・提言を行うことがあります。組織に対する貢献度は決して低いわけではないので、適材適所のポジションで力を発揮してもらうことがポイントとなるでしょう。

フォロワーシップの育て方

フォロワーシップの5つのタイプを踏まえて、どうすればフォロワーシップを持った人材を育成できるのかについて考えていきましょう。

それぞれのタイプを明らかにする

まずは、社員それぞれのフォロワーのタイプを明らかにしていきましょう。タイプによって、伸ばすべき能力や任せるべきポジションが異なるからです。

ここで注意したいのが、フォロワーのタイプは様々な側面から確認する必要があるということです。

例えば、上司に対する批判・提言は苦手としているが、同期や後輩に対しては積極的にアドバイスを送れるという人は少なくありません。こうした人物は、上司から見れば「順応型」ですが、同期や後輩から見れば「模範型」で優れたリーダー候補となります。

フォロワーのタイプは360度評価のように複数の人物の目から評価することで、初めて適切に判断できるのです。

挑戦を支援する環境作り

フォロワーシップを持つ人材を育てるためには、挑戦を支援する環境が必要となります。

自ら考えた行動によって失敗した結果、「評価が下がる」「行動を非難される」といった職場環境では、誰も主体的に行動しなくなります。これはリーダーや組織に対する提言・批判についても同様です。

業務に積極的に取り組む主体性を育てるためには、挑戦を支援し、失敗への恐怖を感じさせない、心理的安全性が担保された環境が必要となるのです。なお、心理的安全性の高い職場作りについては「職場における心理的安全性の高め方 メリットや低下を招く要素を解説」でも詳しく解説しています。

関連記事:「職場における心理的安全性の高め方 メリットや低下を招く要素を解説」

コミュニケーションの活性化

建設的な批判的思考を育てるためには、組織のなかのコミュニケーションを活性化させる必要があります。

誰しも仲の良い人ほど、本音で話せるものです。逆にいえば、組織のなかで関係性が構築されていないと、なかなか批判・提言は挙がりません。「1on1」のように、日頃からコミュニケーションの機会を増やしておくことが、フォロワーシップを育てる条件といえるでしょう。なお、1on1については「1on1の目的 話すべきことや効果を上げるポイントを解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「1on1の目的 話すべきことや効果を上げるポイントを解説」

ラグビーにおけるフォロワーシップの成功事例

フォロワーシップという言葉が広まるきっかけにもなり、その成功事例として注目されるのがラグビーの組織論です。なかでも「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」の対比が最も表れているのが2000年代の早稲田大学ラグビー蹴球部で、監督の交代によってリーダーシップ型のチームからフォロワーシップ型のチームに変化を果たしました。

2001年に当時低迷していたラグビー部の再建を託された清宮克幸氏は、就任2年目で13年ぶりの大学日本一に導き、「カリスマ的リーダーシップでチームを復活させた」と評されました。

その清宮氏から2006年に監督を引き継いだのが中竹竜二氏で、中竹氏はフォロワーシップによるチームマネジメントで、2年連続で大学選手権優勝という成果を上げました。

ただ、就任直後の中竹氏は選手から批判や不満を直接投げかけられるなど、全く信頼のない状態からのスタートだったといいます。そんな中竹氏が行なったのが「選手たち主導のチーム作り」で、選手たちの作戦で試合に負けてたとしても責任は監督が負うという体制を敷きました。

敗戦のたびに監督が謝罪を続けていると、さらに増長して監督を批判し続ける選手がいる一方で、「監督に責任を負わせ続けることが正しいのか」と一人、また一人と変化し始めたそうです。さらに中竹氏は個人面談やマルチリーダー制を導入していき、フォロワーシップ型のチームを形作っていきました。

中竹氏は「人を引っ張るより、 人を支えたり支援したりするほうが得意」と自負しており、「黒子のようにステージを作っていく役割」と公言して、自分らしいリーダー像で組織のパフォーマンスを向上させました。

前述のJMAMの調査でも「管理職になりたくなかった理由」として、「自分は管理職に向いていないから(46.6%)」が最も多い回答となっていました。中竹氏の成功例は、既存のリーダーの在り方に悩むビジネスパーソンのお手本になるのではないでしょうか。

参考:NHK「みんなが輝く「最強なチーム」の作り方」

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