データドリブン経営とは 推進にあたっての課題や導入の必要性を解説

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データドリブン経営とは、収集・分析したデータをもとに意志決定や施策の立案を行う経営スタイルです。その目的は、新規事業の創出や生産性の向上など様々です。ビジネス環境の変化やニーズの多様化に対応するため、経営にデータを取り入れる必要性が高まっていますが、課題やデメリットも少なくありません。

今回は、データドリブン経営の概要を踏まえて、データドリブンの必要性が高まる背景や実際の進め方、課題・デメリットなどを解説していきます。

データドリブン経営とは

データドリブン経営とは、収集・分析したデータをもとに意志決定や施策の立案を行う経営スタイルのことです。もともとデータドリブン(Date Driven)には「データをもとに意志決定を行うこと」という意味があり、様々なビジネスシーンで導入が進んでいます。

従来、経営における意志決定や施策の立案は、経営層の経験や勘といった抽象的で主観的な判断に頼っていました。この部分をデータという客観的にも明確な根拠に置き換えることで、確度が向上し、社員や投資家からの信頼感も高まります。

データ活用の方向性は新規事業の創出や生産性の向上、業務の自動化など様々なので、データドリブン経営のかたちは企業によって異なります。まずは、データドリブン経営によって何を実現・達成するのか明確にすることが大切です。

データドリブン経営とDX推進

データ活用やIT施策については、DXというかたちで推進する企業も多いでしょう。では、データドリブン経営とDXは何が違うのでしょうか。

DXは「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

引用:デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

この定義からもわかるように、両者に本質的な違いはありません。データドリブン経営はDX推進の一環と考えてよいでしょう。

データドリブン経営の必要性が高まる背景

なぜ近年になって、データドリブン経営の必要性が論じられるようになったのかを解説していきます。

ビジネス環境の目まぐるしい変化

現在のビジネス環境は技術革新やグローバル化などを背景として、目まぐるしく変化を続けています。先行きが不透明で予測困難なこの状態は「VUCA時代」と呼ばれ、あらゆる事柄の複雑性が高まっています。

このような状況下では、経営者の経験や勘に頼るだけの経営スタイルでは生き残れません。データを分析することで現状を正しく理解し、複雑で著しい変化の兆しを捉えることで、的確な戦略を立案することができるのです。

価値観・ニーズの多様化

ライフスタイルや購買行動の選択肢が増えたことにより、消費者の価値観・ニーズは年々多様化しています。企業は商品の販売ひとつをとっても、実店舗での売れ行きだけでなく、オンラインでの購入方法やSNSでの評判など、様々な事柄に気を配らなければいけません。

逆に言えば、これらの購買行動をデータとして収集・分析すれば、多様化するニーズに即した製品・サービスを提供することが可能となります。データを活用するか否かで、企業間の競争力に差がついてしまうのが現状なのです。

生産年齢人口の減少

少子高齢化によって、生産年齢人口は減少の一途を辿っています。限られた人員で組織の生産性を担保するためには、データドリブンによって効率的かつ効果的な施策を立案し、事業を推進する必要があります。同様に、データの活用によっていち早く経営上の課題を発見し、改善を図っていくことも大切です。

データドリブン経営の進め方

ここでは、データドリブン経営に必要な準備や進め方について解説していきます。

データドリブンの対象を決める

まずは、どの業務領域においてデータドリブンを推進するか決定します。例えば、新規事業の創出と業務改善では、必要となるデータが異なります。一口にデータドリブン経営といっても、その方向性によって取り組み方は変化するのです。

基本的には自社の経営目標や課題から対象を決めていくわけですが、初めてデータドリブンを導入するのであれば、売上情報のようにデータの収集・分析を行いやすい領域から着手するとよいでしょう。

データ管理のための環境構築

次に、データの蓄積・管理や分析などを行うための環境構築を行います。データドリブン経営にまつわるツールといっても様々で、データを安全に保管するためのツールやデータを処理・分析するためのツールなど、それぞれ用途が異なります。目的に沿った環境を構築しましょう。

データの可視化

データは収集したままの状態では扱いにくいため、データの可視化、つまりデータをわかりやすく加工する必要があります。具体的には、ただ羅列されているだけの数字を表やグラフで整え、データの動きなどを可視化していきます。これにより、次の段階である施策の検討・策定に活かしやすくなります。

データ分析と施策の策定

可視化されたデータを分析し、いよいよデータを活用した施策の検討・策定を行っていきます。ただし、データは必ずしも「正解」を教えてくれるわけではありません。例えば小売業において、各店舗の売上動向を細かく確認できる体制を整えたとしても、「今日はこの商品が必ず売れる」と導き出せるわけではありません。データから戦略を立案し、意志決定を行うのは人なのです。

データドリブン経営の良いところは、策定した施策で成果が出なくても、その取り組み自体がデータとなって改善に役立つ点です。成功例・失敗例を問わず必ず検証を行い、成果の拡大や向上に努めていきましょう。

データドリブン経営の課題・デメリット

データドリブン経営を推進するにあたり、課題やデメリットとなる部分について解説します。

データ活用人材の確保

まずデータドリブン経営を推進するにあたり課題となるのが、データ活用人材の確保です。注意したいのは、データサイエンティストやエンジニアといった専門家を登用するだけでは、組織全体にデータの活用は浸透しないということです。

社員全員がデータ活用によって、ビジネス上の課題を解決する人材に成長することこそ、データドリブン経営に求められる体制なのです。なお、データ活用人材については「データ活用人材とは データサイエンティストとの違いや育成に必要なこと」でも詳しく解説しています。

関連記事:「データ活用人材とは データサイエンティストとの違いや育成に必要なこと」

導入コスト・運用コスト

データドリブン経営のデメリットとして、導入・運用にかかるコストが挙げられます。

とくにデータベースやツールの導入、個人情報を守るためのセキュリティには、数千万円単位のコストを要する場合もあります。データの分析だけでなく、管理・保守にまでコストが発生することは見落としがちですので、注意しなければいけません。

成果が出るまでに時間がかかる

データドリブンは、明日からすぐに始められるものではありません。まずは分析を行うに足るデータを収集または蓄積させるところから始めなければいけないからです。

データドリブン経営の失敗例としてありがちなのが、手元にあるデータだけで施策を考えてしまうことです。達成すべき目標に合わせてデータを収集し、施策を検討することがデータドリブン経営の正しいかたちです。データドリブン経営を推進するなら、成果が得られるまでにある程度の時間を要すると覚悟しておきましょう。

まとめ

データドリブン経営がうまくいく組織は、明確な目的のもとにデータを収集し、すぐに活用できるかたちで蓄積・管理しています。また、経営層や専門職だけでなく、現場の社員もデータの利活用に携わる意識が根付いていることも重要です。

データドリブン経営というと、ツールの比較やデータサイエンティストの採用などに目が向きがちですが、意志決定のプロセスや現場との協力など基本となる部分から見直すことが大切なのです。

データドリブンに対応した組織作りには「ビジネス数学研修」

データドリブン経営の課題として、データドリブンに対応した組織・環境作りが挙げられます。そのための人材育成に頭を悩ませる企業は多いですが、実は社員のすべてにデータサイエンティストのような専門知識を身に着けさせる必要はありません。データを軸とした組織に求められるのは、全社員がデータの有用性を理解し、データの扱いに慣れることなのです。

しかしその一方で、データ活用にまつわる研修カリキュラムは専門職の育成を目指すものばかりで、身近なビジネスシーンを想定したものはほとんどありません。そんななかで弊社は「数字に苦手意識を持つビジネスパーソン」を対象として、実務に直結した数字やデータの扱い方を学ぶ「ビジネス数学研修」をご提供しております。

弊社の研修プログラムでは、数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。 「組織にデータ活用の文化が根付かない」「データに対して苦手意識を持つ社員が多い」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご活用ください。

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