次世代リーダーとは、将来的に経営層や管理職を担う可能性がある人材のことです。「次世代リーダー層の人材不足」を感じる企業は半数近くに達しているという調査結果もあり、実際に次世代リーダーの選抜・育成には、人材要件の設定や育成プログラムの策定、評価制度の整備など様々な取り組みが必要となります。
今回は、次世代リーダーの概要と対象となる年齢層を踏まえたうえで、選抜方法や育成に必要なポイントについて解説していきます。
次世代リーダーとは
次世代リーダーとは、将来的に経営層や管理職を担うことが期待される人材のことです。
人手不足・後継者不在を原因とする倒産が増加するなかで、将来的に組織の中核を担う人材の育成が急務となっています。しかし、次世代リーダーの育成は通常の人材育成とは異なり、経営リテラシーやリーダーシップ、リスクマネジメントといった高度なスキルの獲得が求められ、数年単位の継続した取り組みが求められます。
次世代リーダーの育成は容易ではなく、育成計画(サクセッションプラン)は全社的に推進していく必要があります。なお、サクセッションプランについては「サクセッションプランとは 実施目的やプランの作り方を解説」でも詳しく解説しています。
次世代リーダーの対象となる年齢
次世代リーダーの対象となる年齢に明確な定義はなく、30代・40代・50代の人材がそれぞれ幅広く次世代リーダーの対象となっています。
HR総研が実施した調査によれば、次世代リーダー育成対象者の現在の役職は課長クラス(63%)、係長クラス(42%)、部長クラス(42%)、一般社員(22%)となっています。
参考:ProFuture株式会社「 HR総研:「次世代リーダーの育成」に関するアンケート 結果報告」
これに厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を照らし合わせると、課長級の平均年齢は49.3歳、係長級の平均年齢は45.6歳、部長級の平均年齢は53.0歳となっているので、次世代リーダーの対象となる年齢は40代・50代が中心になっていることがわかります。
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
ただ、HR総研が過去に実施した調査では、次世代リーダー育成を開始する年齢は「30代後半」が35%で最も多く、「30代前半(23%)」「40代前半(21%)」と続いています。
参考:ProFuture株式会社「HR総研:次世代リーダーの育成に関するアンケート 結果報告」
若手・一般社員のうちから次世代リーダーの候補生として育成を開始する企業も少なからず存在しており、社内の年齢構成や人材育成方針によって次世代リーダーの対象年齢は異なるといえるでしょう。

次世代リーダーの育成が求められる背景
いま企業のあいだで次世代リーダーの育成が課題になっているのは、「深刻な人手不足」や「著しいビジネス環境の変化」といった社会的背景があるからです。それぞれ解説していきましょう。
深刻な人手不足と経営人材確保の難しさ
次世代リーダーの擁立・育成への関心が高まる背景には、深刻な人手不足とそれに伴う経営人材確保の難しさがあります。東京商工リサーチの調査によれば、2025年度の「後継者難」による倒産は過去2番目に多い454件に達しています。
参考:株式会社東京商工リサーチ「2025年『後継者難』倒産 過去2番目の454件 代表者の健康面が経営リスクに、破産が9割超える」
実際、半数以上の企業が次世代リーダーの人材不足を重要な課題として受け止めています。日本経営協会『人材白書2023』によれば、「人材開発において直面している問題」として「次世代リーダー層の人材不足」が1位(49.5%)となっており、次いで「管理職の人材不足」(37.2%)が続きます。
参考:一般社団法人日本経営協会「人材白書2023」
このように次世代リーダーの擁立・育成は喫緊の課題となっており、計画的に将来の経営層・管理職の候補者を選出し、早期から育成していく体制が求められます。
ビジネス環境の著しい変化
次世代リーダーは将来的な活躍だけでなく、現場においても求められています。AIを始めとしたテクノロジーの発展や国際情勢の急激な変化を受けて、ビジネス環境が著しく変化しているからです。
ここ数年で見てもサプライチェーンに深刻な影響を及ぼすような問題がいくつも発生しているのは、周知のとおりです。経営層の判断を仰いでいるあいだに大きな損害を被ってしまう事態も珍しくありません。
そこで必要となるのが、現場で経営的な視座を持って戦略的判断を下せる次世代リーダーなのです。

次世代リーダーの選抜方法
次世代リーダーを選抜する方法とその流れについて、解説していきます。
次世代リーダーの人物像・人材要件を定める
次世代リーダーの選抜にあたり、まずは次世代リーダーの人物像・要件を明確にしておきましょう。「次世代リーダーの対象となる年齢」でも解説したとおり、企業によって次世代リーダーの対象となる役職・年齢は異なるため、人材要件に正解・不正解はありません。
将来の経営層候補を育てたいのであれば、自社の経営理念や事業戦略を踏まえて、どのような能力・経験が必要となるかを明確にしていきます。すでに部門長を務めている人材から選出する場合は、マネジメント能力を始めとした経営リテラシーが重要視すべき評価基準となるでしょう。
一方、若手の一般社員を早期から次世代リーダー候補として育成するのであれば、ポテンシャルや当人の意欲などを重要視する必要があります。
候補者のリストアップ
次世代リーダーの人物像・人材要件を定めたら、具体的に候補者のリストアップを始めていきます。
定量的な評価基準を設けている場合、それを満たす人材を選出していけばよいわけですが、すべての人材要件を定量化できるわけではありません。経営層や人事部門、部下からの推薦も候補者選定には欠かせないでしょう。
また、管理職になりたくないと考える人が増えている現状、自己推薦を取り入れることもおすすめです。いつまでに次世代リーダーを擁立する必要があるのかを踏まえて、人材の選定を進めていきましょう。
候補者の育成と絞り込み
次世代リーダー候補としてリストアップした人材の絞り込みは、年単位で進めていく取り組みとなります。研修や配置転換などを通して育成を図りつつ、最終的に次世代リーダーとして登用する人材を見極めていくからです。
とくに若手社員を対象に次世代リーダーの育成を進める場合、人材の成長によって候補者の序列はすぐに移り変わりますし、候補者が離職してしまうこともあるでしょう。
他薦や当人の意欲なども踏まえつつ、次世代リーダーとしての評価基準に最も合致した人物を任命することで一連のプロセスが完了します。

次世代リーダーに求められる資質やスキル
次世代リーダーの人材要件や育成プログラムを定める際の参考として、次世代リーダーに求められる資質やスキルについて解説していきます。
ビジョン構築
次世代リーダーの資質として欠かせないのが、周囲を巻き込めるだけのビジョンを構築する力です。
次世代リーダーの候補者には部下や同僚を引きつける求心力を持っており、周囲の納得感を引き出す計画力やプレゼン力を持っていることが望ましいでしょう。なお、求心力については「求心力とは 求心力のある人の特徴や高め方を解説」でも詳しく解説しています。
マネジメント能力
次世代リーダーが時間をかけてでも身につける必要があるのが、マネジメント能力です。これは人を管理するマネジメントだけではなく、モノ・金・情報・時間といった経営資源を管理(マネジメント)する力を意味します。
「次世代リーダーの育成が求められる背景」で挙げたとおり、いまビジネスシーンでは予測困難な問題が突発的に生じます。こうした環境下で構築したビジョンを実現するためには、自社の経営資源を適切に把握・管理し、難局を乗り切るだけのマネジメント能力が不可欠なのです。
決断力・実行力
リーダーとして先頭に立つためには、目まぐるしい変化のなかでも決断を下せる力と、困難な状況下でも意志を貫く実行力が必要となります。
もちろん、これらは独断専行で意志決定を行うという意味ではなく、チーム・組織からの支持を集める求心力を持っていることが前提となります。
柔軟性
VUCA時代と呼ばれる現在、ビジネス環境を激変させるような出来事が連日のように起きています。次世代リーダーにはこうした危機にも臨機応変に対応し、素早く舵をきることができる柔軟性が求められます。
また、ダイバーシティ経営の導入が進むなかにあっては、様々な価値観を受け入れるという意味でも柔軟性が必要となります。
経営リテラシー
次世代リーダーの育成時には、経営リテラシーを伸ばすためのプログラムが求められます。具体的には、経営にまつわる財務や法務の知識、経営戦略の策定力、マネジメントなど多岐にわたります。
とくに財務や法務の知識は、日々の業務のなかでは学ぶ機会がほとんどありません。こうした知識の取得について意欲的に取り組めることも、次世代リーダーに求められる資質といえるでしょう。
継続学習
次世代リーダーに欠かせない資質として、継続して学習できることが挙げられます。
前述のとおり、次世代リーダーの育成は長い取り組みとなり、実際にリーダーの立場に就いたあとも学び続ける必要があります。「ウサギとカメ」の童話で言えば、ウサギのように能力が高くとも継続できない人材は次世代リーダーに向いていません。カメのように、諦めずに継続して努力し続ける力が最も重要になるわけです。
また、長く努力し続ける姿を示すことで周囲からの信頼も高まり、名実ともにリーダーとして成長できるでしょう。

次世代リーダーの育成に必要な3つのポイント
次世代リーダーを育成し、候補者を絞り込んでいくためには、具体的にどのような取り組みが必要になるのでしょうか。ここでは、3つのポイントをお伝えしています。
ハイポテンシャル人材を見落とさない評価制度
まず必要となるのが、ハイポテンシャル人材を見落とさない評価制度です。社内に優れた次世代リーダー候補がいたとしても、それを見つけることができなければ意味がありません。
次世代リーダーの候補として高い成果を上げている人材を選抜する企業は少なくありませんが、成果を上げる人材がリーダーとしての資質を持っているとは限りません。
次世代リーダーとして成長していくためには、経営層を目指す上昇志向や、会社に対するエンゲージメントなども重要な要素となります。こうした能力・成績以外の要素を評価するための仕組みがなければ、育成の半ばで昇進拒否や離職といった問題が頻発してしまうでしょう。
育成プログラムの策定
次世代リーダーを育成するためには、スキルや経験を身につけるための育成プログラム(サクセッションプラン)を作成しなければいけません。具体的にはOJTとOFF-JT、メンター制度、配置転換などをバランスよく取り入れることが大切です。
また忘れてはいけないのが、次世代リーダーの候補者たちも日々の業務をこなしているということです。通常業務の合間を縫って経営リテラシーやリーダーシップについて学び、マネジメント経験などを積んでいくためには、無理のない綿密な育成計画が欠かせません。
とくに次世代リーダーの育成は長期にわたる取り組みとなり、候補者にあえて難度の高い仕事を割り振ったり、配置転換を行ったりといった調整も求められます。ポジションが変わっても軸がぶれないよう、KPIを設定しておくことも大切です。
なお、次世代リーダーを育成するための研修については「次世代リーダー研修とは 実施対象や内容を解説」で詳しく解説しています。
人事管理制度の整備
次世代リーダーの育成には、人事管理制度の整備が欠かせません。候補者に対して次世代リーダーとしてのキャリアプランを提示するにあたり、その負担に見合うポジションや昇給を保証することが大切だからです。
実際、ストレッチアサインメントや配置転換ばかりが続き、それに見合うようなポジションや報酬が得られなければ、候補者は「いいように使われている」「きついだけで見返りがない」と感じてモチベーションを落としてしまいます。
日本型雇用の特徴でもある「遅い昇進」は次世代リーダーの育成にとっては足枷となるため、次世代リーダーの候補者に対し、目に見えるかたちで期待を示す仕組み作りが求められます。

次世代リーダーとして財務や会計を学ぶなら「ビジネス数学研修」
弊社では、研修を始める前に「おおよそでいいので、去年1年分の自社の売上と営業利益がわかる人はいますか」と質問しています。この質問に答えられるのは、全体の10~20%程度。ほとんどのビジネスパーソンは「会社の数字」に興味すら持っていないのが現状であり、財務や会計を「縁のないもの」「難しくて手を出せないもの」と考えています。
ですから次世代リーダーとして経営リテラシーを磨くためには、会社の数字に興味を持ってもらうことから始める必要があります。そこでおすすめしたいのが、弊社が企画運営する「ビジネス数学研修」のひとつである「”ざっくり”学ぶ財務諸表」です。
一般職のビジネスパーソンがいきなり財務・会計についてしっかり学ぼうとしても、大半の方は途中で挫折してしまいます。まずは肩肘を張らずに”ざっくり”と財務諸表を学び、その知識を企業分析や顧客分析などで活用することによって、経営にまつわる数字への解像度を高めることができます。
もちろん、これらの取り組みは次世代リーダーのみならず、すべてのポジションで活きる研修内容となっております。弊社が提供する「ビジネス数学研修」は、具体的かつ日常的に訪れるビジネスシーンを想定して、実践的に「数字力」の向上を目指していく内容になっているからです。
また弊社では、研修後の継続学習を支援する場としてオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」を運営しております。この取り組みは「研修での学びが一過性で終わってしまう」という企業様の悩みを受けて誕生したものであり、継続して学びを深めていける環境が整っております。
サロンには業界や立場を超えて様々なビジネスパーソンが集まっており、自社にはない斬新な意見やアイデアを得ることが期待できますので、次世代リーダーの育成にもぴったりです。 「リーダー候補の経営リテラシーを高めるためにはどうすればいい」「一般社員にも財務諸表について理解してほしい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の「ビジネス数学研修」と「社会人の数字力向上サロン」をご検討ください。
