人材育成方針の重要性

2022年11月3日
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人材育成の方針は一人の人材をどのように育成するかだけではなく、企業として理想とする人材像や全社的な評価制度・研修制度の設定にも関連する「スタート地点」となります。

今回は人材育成の方針の重要性や定め方、人材育成に定評のある企業の事例などを解説していきます。

 

 

人材育成の方針とは

人材育成の方針とは、企業として求める人材を定義し、そこに至るまでの具体的な道筋を設定することです。

人材育成の方針を明確にすることで、社員に対する育成・研修の具体的な方法が定まっていきます。また、人事評価の面でも、求める人材像に照らし合わせることで評価基準を定めやすくなり、その達成度などから定量化して評価を行うことも可能となります。

つまり人材育成の方針は育成の方向性だけに留まらず、理想となる人材像に向けて評価制度や研修制度を含めて考えるスタート地点となるのです。

 

実際に、独立行政法人労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」によれば、「人材育成・能力開発の方針について特に定めていない」と回答した企業は26.8%に過ぎず、大多数の企業は何らかの方針を定めて人材育成にあたっていることがわかります。

参考:https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/documents/216.pdf

 

 

 

人材育成の方針が重要になる背景

日本企業が直面している環境から考えれば、人材育成の方針は必要不可欠といっても過言ではありません。

 

少子高齢化による労働力人口の減少

すでに日本は少子高齢化によって人口減の時代に突入しており、労働力人口は減少の一途を辿ります。総務省「令和3年労働力調査年報」によれば、2021年平均の労働力人口は6,860万人となっていますが、2065年には約4割減の3,946万人にまで減少するという試算があります。

参考:総務省「令和3年労働力調査年報」 https://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2021/index.html

参考:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4割減」 https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/mhri/research/pdf/insight/pl170531.pdf

人材確保の難易度が上がるなかで企業が生産性を向上させるには、社員一人ひとりが高い水準の成果を残さなければいけません。そこで必要となるのが明確な人材育成の方針であり、成長を促すための具体的な施策なのです。

 

働き方改革による労働時間の減少

企業は労働力人口の減少だけでなく、従業員一人あたりの労働時間の減少についても考慮しなければいけません。2019年には「働き方改革関連法」によって、時間外労働時間の上限が原則として「月に45時間、年間で360時間」と定められました。

厚生労働省「毎月勤労統計」によれば、月間総労働時間は1970年代前半では180時間を上回っていましたが、1990年代には150時間、2021年には136.1時間と大幅に減少し続けています。

参考:ニッセイ基礎研究所「働き方改革で労働時間の減少ペースが加速」 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65111

旧態然の成果が出るまで時間をかけるという体制では、遠からず組織は破綻してしまいます。企業は社員に対して限られた時間のなかで最大限のパフォーマンスを求めるため、優秀な人材を育成する必要があるわけです。

 

 

 

人材育成の方針の定め方

人材育成の方針は、大きく3ステップで定めることができます。順を追って確認していきます。

 

現状の把握

人材育成の方針を決定する際にまず行うべきなのが、社内の現状把握です。経営方針・経営状態などを踏まえて、社員のスキルやモチベーション、年齢ピラミッド、抱えている課題などを部署単位で確認していきましょう。

合わせて、経営理念(経営ビジョン)などから必要な人材像を明確にしておきましょう。

 

目標と課題の洗い出し

現状把握が済んだら、具体的に必要な人材像と照らし合わせて、不足している部分を確認していきます。現状で社員に欠けているスキルがあれば、それを補えるような育成・研修制度を導入する必要があります。

例えば、次世代を担える人材がいないのであれば、若手人材から登用してマネジメントスキルを磨かせるなどの方針も打ち出せるでしょう。

 

具体的な施策の検討

不足部分や課題の洗い出しが完了したら、具体的な人事戦略へと落とし込んでいきます。「外部講師を招いて研修を行う」「自己啓発をサポートする制度を設ける」など、効果的な施策を検討していきましょう。

また、施策は一度決めたら永続的に行うのではなく、効果の検証を続け、市場や技術の変化に応じて更新・変更していく柔軟性も求められます。

 

 

 

人材育成の方針を定める際の3つのポイント

人材育成の方針を定める際、業界や企業規模を問わず活用できる3つのポイントを解説します。

 

社内での周知と共有

人材育成の方針は、社内への周知と共有を行わないと効果を発揮しません。多くの場合、方針は育成を担う管理職には問題なく共有されます。しかし、実際に成長していくべき社員たちに方針が共有されず、目的意識が低いまま研修などに参加する例は少なくありません。

人材育成の方針は、簡単にアクセスできる環境で公開したり、1on1で共有したりするなどして、周知を徹底しましょう。

 

達成可能な体制を整える

人材育成の方針は達成可能な内容で、社員が取り組みやすい体制を整えることが大切です。とくに人材育成の方針を設定した後、全社員に対して画一的に成果を求めると、方針が形骸化しやすくなります。

例えば、短期間で「全社員が統計データをもとにした実務を行う」という方針を定めても、なかなかうまくはいきません。数字に対する理解や抵抗感は、学生時代の専攻も含めて人によって全く異なるからです。「○○ができたから、お前もできるはずだ」という考え方では、社員の不信感が募るばかりです。社員の適性などを踏まえて、段階的なフォローアップが可能な体制を整えておきましょう。

 

定期的な見直しと修正

ビジネスマナーのように普遍的で基礎的なものは別として、社員個々に設定するスキル・知識などは定期的に見直しを図りましょう。とくにweb関係の知識・スキルは目まぐるしくアップデートが行われるため、育成方針のなかで細かく設定してしまうと、1年後にはトレンドから外れていた……といった問題が起こりえます。

例えば、長期的な育成方針として「デジタル社会で高い専門性を発揮できる人材」という目標を掲げつつ、短期的な施策として研修制度や資格取得の補助などを導入するとよいでしょう。

 

 

 

人材育成で成功する企業の事例

人材育成で実績を残している企業の事例として、ニトリホールディングス、トヨタ自動車、コニカミノルタの人材育成の方針を簡単に紹介します。

 

株式会社ニトリホールディングス

インテリアの小売業等を展開するニトリホールディングスでは、「モノやカネは残らない。でも技術はヒトが継承できる」「教育こそ最大の福利厚生」と考え、「世界に通用するスペシャリスト」の育成を目指しています。

具体的にニトリでは、「多数精鋭主義」「配転教育システム」といった方針・施策を採用しています。また、特徴的な取り組みとして「ニトリ大学」が挙げられ、入社期別研修や社内資格認定制度、e-ラーニングなどの多様な教育・自己育成ツールを提供し、労働生産性の向上に努めています。

 

トヨタ自動車株式会社

日本を代表する企業であるトヨタでは「モノづくりは人づくり」という理念のもと、創業から人材育成に力を入れ続けています。現在は「トヨタウェイ2020」という行動理念を掲げ、羅針盤となる心構えや留意点を公開しています。

人材育成制度は体系的に整えられており、「職場先輩制度」や「修業派遣」、「3年基礎固め特別研修」といった個性的な取り組みを導入して、世界で活躍する人材を育成しています。

 

コニカミノルタ株式会社

世界で4万人近い従業員数を抱えるコニカミノルタグループでは、「コニカミノルタフィロソフィー」という軸となる考えを掲げています。

コニカミノルタフィロソフィー

・経営理念:新しい価値の創造

・経営ビジョン:グローバル社会から支持され、必要とされる企業

・企業文化・風土(6つのバリュー):Open and honest、Customer-centric、Innovative、Passionate、Inclusive and collaborative、Accountable

具体的な取り組みは「キャリア開発支援」「能力開発支援」「技術者育成」「技能伝承」の4つに分けられ、「CDSシステム」や「コニカミノルタカレッジ」、「MOT(技術経営)選抜プログラム」といった多様な施策で社員育成を推進しています。

 

 

 

人材育成の方針の有無で生産性に差がつく

名だたる企業の人材育成方針を確認してみると、明確かつ体系化された方針と施策を目にすることができます。

日本企業が置かれた環境から考えれば、人材育成の方針は必要不可欠です。企業の生産性の維持・向上を担う人材を育成するため、ぜひ方針の設定に力を入れてみてください。

 

オルデナール・コンサルティング合同会社では「数的センス向上トレーニング」を中心とした研修を提供することで「ビジネスシーンで役立つ数字力の向上」を目指しています。

人材育成の方針を定める上で、「論理的思考力を身に付けたい」「データ分析力を強化したい」などの方向性が見えた際にはぜひお問い合わせください!

 

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