ビジネス数学検定は意味がない? メリットや数学検定との違いを解説
ビジネス数学検定は、日々の生活やビジネスシーンで求められる数学力とその活用力を測定するための検定です。
知名度の低さや、「何ができるのかがわかりにくい」といった理由から「(受検しても)意味がない」と思われがちですが、実務能力の向上や面接時のアピールを目的に受検する方が増えています。
今回は、ビジネス数学検定と数学検定の違いや「意味がない」と思われる原因、受検するメリット、勉強方法などについて解説していきます。
ビジネス数学検定とは
ビジネス数学検定とは、日々の生活やビジネスシーンで求められる数学力とその活用力を測定するための検定です。「公益財団法人日本数学検定協会」によって、2006年に立ち上げられました。
2025年現在、ビジネス数学検定には3つの階級があります。
・3級(対象:学生や新入社員)
・2級(対象:マネージャークラス)
・1級(対象:データサイエンティスト等を目指す人)
一般的なビジネスパーソンであれば、まずは3級合格を目指し、2級へのステップアップを検討するとよいでしょう。
1級はデータサイエンティストなどの専門職を目指す人向けの内容となり、難易度もかなり上がります。目標に応じて受検を検討してみてください。
ビジネスシーンで求められる数学力とは
そもそも「ビジネスシーンで求められる数学力」ってなに?と思われる方がほとんどでしょう。経理やデータサイエンティストとしての能力をイメージする方も多いかもしれません。
「ビジネス数学」では、ビジネスシーンで活きる数学の力を以下の5つで示しています。
・把握力
状況や物事の特徴を正しく理解する力。表やグラフから必要な情報を読み解く能力を指します。
・分析力
数字・データの規則性や相関などを見抜く力。データを加工して、有益な情報を汲み取る能力を指します。
・選択力
いくつかの事象や選択肢のなかから最適なものを選ぶ力。何かを選ぶ際に適切な基準を設けて、正しく比較する能力を指します。
・予測力
様々なデータをもとにして将来を見通す力。現状の情報から、先々の変化を予測する能力を指します。
・表現力
情報を正確に伝える力や、物事をわかりやすく伝える力。データをわかりやすいグラフや図などに加工する能力を指します。
もちろん、経理やデータサイエンティストなどの専門職にも数学の知識が求められますが、「ビジネス数学検定」はあらゆる職業・職種に求められる数字の活用を想定しています。
例えば、仕事のなかで「このエクセルの数字の羅列をどのように整理したら、明日の会議で説明しやすいだろう」「どのグラフで過去の売上実績をまとめれば、効果的な提案資料になるかな」といった悩みを持った経験が一度はあるのではないでしょうか。
「ビジネスシーンで求められる数学力」とは、まさにこのような業界や職種を問わず訪れる「数字を活用する場面」に求められるスキルなのです。
ビジネス数学検定と数学検定の違い
ビジネス数学検定の受検を検討している方のなかには、「数学検定(数検)のほうが役立つかな」と悩んでいる方もいるでしょう。
そもそも「ビジネス数学検定」と「数学検定」は「日本数学検定協会」によって運営されており、いわば兄弟の関係にあります。では、なぜ後発で「ビジネス数学検定」が立ち上げられたかというと、学校で学ぶ数学とビジネスシーンで必要となる数学力が異なるからです。
学校数学
・理論や公式が中心になる
・厳密な回答を求められる
・正解がある
ビジネス数学
・実践を想定
・概算でアクションを起こす
・必ずしも正解が用意されていない
学校では理論や公式を学んだうえで、用意された100点の正解を目指して問題を解きます。対してビジネスでは、必ずしも正解は用意されていませんし、いくつもの正しい回答が存在します。そのため、満点を出すために時間をかけるよりも、概算で走り出さなければいけないことが多々あります。
これらの違いからわかるように、数検はアカデミックな数学力を測ることが目的となります。そのため、生涯学習の一環として幅広い年齢層が受検してはいますが、基本的には学生が主な受検層となっています。
一方、ビジネス数学検定は実践的な内容であり、ビジネスで求められる数学力を測ることが目的となっています。そのため、世代を問わずビジネスパーソンが主な受検層となります。

ビジネス数学検定が「意味ない」と思われる理由
ビジネス数学検定の受検を検討される方のなかには「受検しても意味ないかな」と悩む方も少なくありません。そう思われてしまう理由は、「知名度の低さ」と「何ができるのかがわかりにくい」という2点に集約されています。
知名度が低い
ビジネス数学検定が「意味ない」と思われる最大の理由は、その知名度の低さです。Googleの月間検索数でビジネス数学検定と数学検定を比較してみると、その差は一目瞭然です。
・ビジネス数学検定 1,040
・数学検定 26,480
知名度が低いことで、「マイナーな検定を受けても意味がない」「就職・転職でのアピールになりにくい」と思われるのは致し方ない部分もあるでしょう。
何ができるのかイメージしにくい
「ビジネス数学」が意味ないと思われるのは、何ができるようになるのかがイメージしにくいことにも大きな原因があります。
例えば、同じく数字やデータを扱う「統計」にまつわる資格であれば、なんとなく「マーケティングやデータ分析に役立ちそうだ」と、メリットをイメージすることができます。
その点で「ビジネス数学」は、その名称から具体的にできるようになることが連想しにくいため「意味がない」と思われがちです。

ビジネス数学検定のメリット
ビジネス数学検定の合格を目指すことにより、「実務能力の向上」「面接時のアピールになる」「管理職クラスのスキルアップ」といったメリットが得られます。それぞれ解説していきましょう。
実務能力の向上
ビジネス数学検定の合格を目指すことは、実務能力の向上につながります。
ビジネスでは、利益の計算からユーザーの行動分析、ビッグデータの活用まで、様々な種類の数字を扱うことが求められます。ビジネス数学検定で出題されるのは、そうした具体的なビジネスシーンを想定した問題ばかりなので、合格を目指して勉強に励むこと自体が実務能力の向上に直結します。
就職・転職の面接時のアピールになる
ビジネス数学検定に合格すれば、就職・転職の面接時のアピールとして活用できます。
前述のとおり、ビジネス数学検定の知名度はまだまだ低いため、書類選考段階では履歴書に記載してもあまりアピールにはなりません。しかし、検定自体は権威ある団体が実施しているので、面接時であれば物珍しさもあって話の取っかかりになりやすいでしょう。
そこで実際に数字力を発揮した具体的なエピソードを交えれば、実務能力の高さとスキルアップへの意識を同時にアピールできるはずです。
管理職クラスのスキルアップ
ビジネス数学検定の合格を目指すことは、管理職クラスのスキルアップにもつながります。
ビジネス数学検定2級はマネージャークラスを想定した内容となっており、企業の成績表ともいわれる損益計算書や損益分岐点分析にまつわる問題なども出題されます。
こうしたハイクラスの数字活用を扱う検定は少ないため、ビジネス数学検定は管理職や経営層のスキルアップを目指す方法としてもおすすめです。

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現状、ビジネス数学検定に向けた勉強方法は、公式テキストが中心となります。その一方で、出題される問題は財務諸表の分析やデータに基づく予測など実践的なものが多いため、個人での学習が進めにくい内容となっています。
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