採用における歩留まりとは

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採用活動における歩留まりとは、採用フローのなかで各フェーズに進んだ人数の割合です。近年は「売り手市場」の影響から歩留まり率が低下しやすい傾向があるため、採用担当者は歩留まり率を下げる原因とその対策を把握しておく必要があります。

今回は、歩留まり率の計算方法や歩留まり率を下げる原因、歩留まり率改善のポイントについて解説していきます。

採用における歩留まりとは

採用活動における歩留まりとは、「書類選考」「一次面接」といった採用フローのなかで、各フェーズに進んだ人数(候補者)の割合のことです。歩留まり率が高ければ通過者が多いということになります。

採用活動ではあらかじめ採用計画数を決めたうえで、各フェーズごとの歩留まり率を予想し、通過人数の目安を設定しておきます。歩留まり率の想定を誤ると十分な人数を確保できないため、採用充足率が下がります。こうした歩留まり率の見誤りは、経営戦略などにも影響を与えかねません。

とくに近年は「売り手市場」の影響で優秀な人材には多くのオファーが届くため、選考辞退は増加傾向にあります。採用担当者は歩留まり率の低下を想定して、母集団形成に努める必要があります。

歩留まり率の計算方法

歩留まり率の計算方法自体は非常に単純で、以下の計算式で算出できます。

歩留まり率の計算方法

通過人数÷選考人数×100

例えば、書類選考を行った人数が100人で、次の面接選考への通過者が25人だった場合、歩留まり率は25%となります。

採用の歩留まりの項目

採用活動のなかでは多くの場合「歩留まり率」という言い方はせず、「内定率」のように各項目ごとの名称を用います。採用の歩留まりの主な項目は、以下のとおりです。

・面接通過率(面接通過者数÷面接受験者数×100)

面接を受けた人数に対して、次の選考に進んだ人数の割合

・選考辞退率(選考辞退者÷選考通過者×100)

選考を通過した者のなかで、次の選考に進むのを辞退した人数の割合

・内定率(内定数÷応募者数×100)

求人への応募者数に対して、内定を出した割合

・内定承諾率(内定承諾者数÷内定数×100)

内定を出した数に対して、内定を承諾した人数の割合

採用の歩留まり率を下げる5つの原因

ここでは、歩留まり率を下げる原因(選考辞退が起きる原因)について解説していきます。

選考に時間がかかりすぎている

書類や面接の選考に時間がかかりすぎている場合、選考辞退が増加する傾向にあります。候補者側に「他社からの内定が出た」「仕事が忙しくなり、転職活動が困難になった」といった状況の変化が起こりやすくなるからです。

また、候補者側は企業のレスポンスから、意志決定の早さを見極めている場合があります。選考に時間がかかる企業は、そのほかの部分でも意志決定が遅いと見切られてしまうわけです。

ネット上の悪評

候補者がネット上で自社にまつわる悪い評判を目にすることで、応募の躊躇や選考辞退につながります。

求職者の多くは企業のホームページだけでなく、口コミサイトやSNSなどでも情報を集めています。会社に不満を抱いた元社員がこうした媒体に投稿することで、長く採用活動に悪影響を及ぼしてしまいます。

募集要項との乖離

一次面接後の辞退の原因として多いのが、募集要項との乖離です。「期待していたことが実現できない」「予想よりも激務・低待遇」といった事前情報との乖離があれば、当然ながら候補者は選考を辞退してしまいます。

また、募集要項との大きな乖離がなくても、面接担当者への情報伝達が不十分で誤解を生むような言い回しがあると、候補者が不信感を抱く原因となるので注意が必要です。

面接官の印象・態度が悪い

面接官の印象・態度が悪いと、選考辞退につながりやすくなります。待遇や業務内容が魅力的であっても、ともに働く社員の人柄が悪ければ入社意欲は減退します。

とくに注意しなければならないのが、現場の社員が面接官を務める場合です。長らく現場しか経験していないと「売り手市場」の現状を理解しておらず、昔の「買い手市場」の感覚で面接に臨んでしまうことがあります。

選考辞退だけで済めばまだ良いほうで、自社の悪評を口コミサイトやSNSに書き込まれてしまうと先々の採用活動にまで悪影響を及ぼすので注意しましょう。

候補者へのアピール不足

自社の対応に明確な落ち度がなくても、候補者へのアピールが不足していると内定辞退率が高まる恐れがあります。

優秀な人材は多くの企業から内定を獲得するため、近年の採用活動は企業側が「選ばれる立場」となっています。実際にマイナビの調査によれば、2024年卒業予定の大学生・大学院生の平均内々定保有社数は2.5社(2023年6月下旬時点)と、前年の8月末時点の水準に2ヶ月も早く達しています。

参考:マイナビキャリアリサーチLab「2024年卒大学生活動実態調査 (6月)」

内定者から選ばれるためには、入社意欲を高めるためのアピールが必要となるのです。

採用の歩留まり率を改善する4つのポイント

採用の歩留まり率を改善するために取り組むべき4つのポイントをお伝えします。

レスポンスの改善・採用フローの見直し

歩留まり率を改善するために最初に取り組むべきなのが、候補者へのレスポンスの改善と、採用フローの見直しです。いずれも候補者への内定出しを早める取り組みになります。

まずレスポンスの改善ですが、これは競合他社に遅れを取らないためだけではなく、候補者からの印象を良くする効果があります。

日々のやり取りでも返信が早い人に好感を持ちやすいように、迅速なレスポンスは候補者に「自分に高い関心を持っている」と感じさせます。日程調整や問い合わせへの返信は、スピード感を大切にしましょう。

また、先入観を排除して採用フローを見直すことも大切です。見直しを行うと、「一次面接と二次面接で同じような質問をしていた」といった意外な事実が明らかになることがあります。この場合、二次面接を省略してしまえば大きな短縮となります。

このような取り組みを進めて、できるだけ早く内定を出せるような効率化を目指すことがポイントとなります。

候補者の都合に配慮した選考

候補者の都合に配慮した選考を行うことで、面接の辞退率の改善が期待されます。

具体的には「夕方から夜間に面接をセッティングする」「できるだけオンライン面接で選考を進める」といった、選考に参加しやすくする取り組みが求められます。こうした配慮は、結果的に選考のスピードアップにもつながるため、積極的に推進していきましょう。

面接担当者の意識改革

面接後の選考辞退率の改善に効果的なのが、面接担当者の意識改革です。面接官は「会社の顔」として候補者に関わるため、面接担当者の印象が会社の印象に直結します。

面接では候補者を審査することばかりに意識が向きがちですが、「候補者から審査されている」という自覚を持って、自社を選んでもらえるような対応を心がけなければいけません。

採用ブランディングの構築

各採用フローで歩留まり率改善を目指すのであれば、採用ブランディングの構築が欠かせません。採用ブランディングとは、自社の「ブランド化」を推進することで、認知度向上や求職者の応募意欲向上を目指す手法です。

給与や福利厚生といった待遇面を整えるのはもちろんですが、こうした条件面の競争には限界があります。そこで必要になるのが、自社の魅力を最大限アピールするための取り組みです。

例えば、同業他社と比較した際の自社の魅力や、自社で目指せるキャリアプランなど、「この会社で働きたい」と思わせる情報を発信していくことが求められます。こうした取り組みは結果的に、「ネット上の悪評」による選考辞退を防ぐことにもつながります。

社員インタビューのような自社のことがよくわかるコンテンツを積極的に発信していき、ブランディングを進めていきましょう。

まとめ

「売り手市場」では優秀な人材に多くのオファーが届くため、全体的に選考辞退は増加傾向にあります。採用担当者は各採用フローの歩留まり率低下の原因を突き止め、改善策を考案することが求められます。

改善策としては面接担当者の意識改革や採用ブランディングの構築など、従来の採用活動とは一線を画す取り組みが必要となります。自社が置かれている状況と環境変化を見極めて、適切なアクションプランを選択していきましょう。

採用の歩留まり率の分析に欠かせない「数字力」

現在の採用担当者には、採用の歩留まり率を分析して、適切なアクションプランを考案する力が求められます。しかしその一方で、「数字を扱うのが苦手」「データから情報を読み取れない」といった、数字に対する苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。

こうした数字に対して苦手意識を持つ社員に「データ分析」にまつわる研修を実施しても、なかなか効果は上がらないのが実情です。

そんな状況を打破するためにおすすめしたいのが、弊社オルデナール・コンサルティングの「ビジネス数学研修」です。数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいくため、数字に対する苦手意識の解消につながり、受講者のレベルに合わせたデータリテラシーを育んでいくことができます。

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