人材育成におけるコンサルティングとは
人材育成におけるコンサルティングは、人材育成に課題を感じている組織に対して、現状の分析・提案や社員に合わせたプログラムといった解決策を提供するものです。
今回は、人材育成におけるコンサルティングの役割やメリット、活用する際のポイントなどを解説していきます。
人材育成におけるコンサルティングとは
コンサルティングとは、専門家が指導を行ったり、相談に乗ったりすることを指す言葉です。多くの場合、クライアントが抱えている問題を解決するために働き、改善策を立案・実行する業務を意味します。
つまり、人材育成におけるコンサルティングは「人材育成に課題を感じている組織に対して、教育手法の指導や人事業務の改善、採用戦略の立案などの解決策を提供すること」と定義できるでしょう。
「なぜわざわざ人材育成をコンサルタントに任せなければいけないのか」と疑問が湧くところですが、実は日本企業の多くは育成ノウハウを確立できていません。
厚生労働省「令和3年度能力開発基本調査」によれば、人材育成に関してなんらかの問題があるとする事業所は76.4%に上っており、さらにその問題点については「指導する人材が不足している(60.5%)」が最も高い割合となっています。
参考記事:厚生労働省「令和3年度能力開発基本調査」
少子高齢化による人口減や働き方の変化によって、昭和の時代のような量で解決する方法は通じなくなっています。企業は従業員一人ひとりの生産性を向上させなければ生き残れない状況にあるわけですが、そのための育成を担える人材が不足しているわけです。
人材育成にまつわるコンサルティングは、時代の要請を受けて広まっているといえるでしょう。
人材育成コンサルの役割
具体的な人材育成コンサルティングの役割について解説していきます。なお、実際に提供されるサービスは、コンサルティング会社によっても異なります。
企業の現状に基づいた提案・実施
人材育成コンサルティングは企業の現状をデータなどから分析し、必要となる人材像の設定から育成方法の検討・実施までを担います。
データ収集から解析、仮説の設定や具体的な育成方法の選定までを自社で行うのは容易なことではありません。こうした煩雑な業務をコンサルタントに一任することで、経営方針を体現するような施策の提案が期待されます。
社員の段階に合わせたプログラムの提供
新入社員、中堅社員、管理職など、それぞれの段階に合わせたプログラムを提供できるのが、人材育成コンサルティングの強みです。
企業の多くは「新入社員に対する研修はあるが、次期リーダー候補の中堅社員を育成する方法が確立されていない」といった状況であり、各段階でどのような育成手法が必要なのかも把握できていません。
とくに近年では「後継者不足」に悩む中小企業が多く、事業継承などを見据えた人材育成プログラムも盛んになってきています。
スキルやテーマごとの研修プログラム
人材育成コンサルティングでは、短期~中期的にスキルやテーマごとの研修プログラムも提供しています。
特定のスキルを全社員に浸透させたい場合など、それぞれの企業に適した方法で、個々の能力向上を図っていきます。また、スキルアップばかりでなく、コンプライアンスにまつわるリスク管理の研修なども定番となっています。
社内教育体制の整備
コンサルタントは研修を通して直接指導するだけでなく、社員が自発的に能力開発のために行動できるよう、社内環境を整備する役割も担います。
「キャリア面談」「1on1」といった施策の提案から効果検証まで、一通りのプロセスの見直しを行います。個人の成長志向と会社への貢献が両立されるよう、教育体制を整備することが重要になります。
採用コンサル・人事コンサルとの違い
人材育成コンサルティングは、「採用コンサルティング」「人事(組織)コンサルティング」の役割と密接に関わっており、「人材と組織にまつわる課題」を扱う点で共通しています。
ここでは採用コンサルティング、人事コンサルティングの特徴を解説していきます。
採用コンサルティング
採用コンサルティングは、採用活動にまつわる課題を専門に扱います。採用戦略の立案や採用ノウハウの提供、また採用活動自体を代行する場合もあります。
近年の採用活動は、少子高齢化を背景とした労働力人口の減少を背景として、人材の確保が年々難しくなっています。既存のノウハウでは採用活動に行き詰まるおそれがあるため、採用コンサルティングのニーズが高まっています。
人事(組織)コンサルティング
人事(組織)コンサルティングは、就業規則や労務管理、評価制度、福利厚生など、社員の待遇・処遇にまつわるルールを専門に扱います。
人事コンサルティングを活用する目的は、主に2つです。1つは、経営理念を始めとした企業の方向性を人事制度に落とし込み、社員を同じ方向へ向かせるため。もうひとつは、社員への正当な評価・待遇などを整備して、人材の流出を防ぎつつ、採用活動を円滑にするためです。
人材育成コンサルを活用するメリット
人材育成コンサルティングを活用することで得られる、3つのメリットについて解説していきます。
自社にないノウハウを獲得できる
人材育成コンサルティングを活用することで、最新の育成ノウハウや、同業他社で成功に繋がっているノウハウなどを獲得できます。
最新のトレンドは業界に精通していないと情報を集めるだけで一苦労ですし、同業他社の情報はなかなか自社だけでは入手できません。コンサルタントを通じて貴重かつ自社にない情報を獲得できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
自社の課題に対する客観的な指摘
自社の現状をデータなどから精査することで、初めて浮かび上がってくる課題もあります。ただ、自社内でデータを分析しても、すべての問題を捉えられるとは限りません。データも専門家のノウハウや視点を通すことで、新たな気付きが得られる可能性が高まるからです。
また、往々にして自社の問題には盲目的になりやすいため、客観的な立場から精査することにも大きな価値があります。
自社内の負担(コスト)を減らす
コンサルティングに広く共通するメリットではありますが、専門家にマニュアルの作成やデータの解析といった煩雑な業務を委託することで、自社内の負担を大きく軽減できます。
コンサルティングにかかるコストは一見すると高額に見えますが、同等のスキルを持つ人材を採用して改善を進めると、採用コストや人件費などで莫大なコストが必要となります。
結果的には、専門家に業務を代行してもらうほうがコスト面で安上がりになる場合もあるわけです。
人材育成コンサルを活用する際の2つのポイント
人材育成コンサルを活用する際に重要になる、2つのポイントをお伝えします。
自社の課題に適した業者か見極める
コンサルティング企業も、あらゆる業界・業種に精通しているわけではありません。また、採用に強い企業や研修に強い企業などそれぞれ特色があるため、自社の課題に適した業者を選定する必要があります。
依頼の前に、得意な業界や分野、過去の実績などを確認しておき、自社に見合った業者なのか見極めなければいけません。
「お任せ」で進めない
コンサルタントの専門的な話や理屈に付いていけないからといって、「お任せ」で丸投げするのは避けましょう。必ずしもコンサルタントの提案が自社に適しているとは限らないからです。
的外れな改革を推進してしまうと、単にコストが発生するだけでなく、生産性の低下や社員の反発といった問題を生みかねません。担当者は自社の方向性や風土などを踏まえて、本当に適切な提案なのかを判断しなければいけません。
人材育成の課題にはコンサルの活用も選択肢に
現状では企業の大半が人材育成に課題を感じており、人材育成にまつわるコンサルティングの重要性が高まっています。
オルデナール・コンサルティング合同会社では、数字力の向上をもとにした人材育成事業だけでなく、コンサルティング事業も行っております。
KPIの策定や現場支援を主体とした「企業業績向上コンサルティング」や、後継者育成を目指す「事業承継コンサルティング」など、課題に応じた様々なコンサルティングをご提供しております。
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