プレイヤーとしては優秀な人が管理職で躓いてしまう原因

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「プレイヤーとしては優秀だったのに、管理職になってから結果を出せない」という問題がありますが、その背景には「評価制度の問題」「学習機会がない」「人手不足」といった構造的な原因があります。

今回は、プレイヤーと管理職の役割の違いを踏まえたうえで、プレイヤーとしては優秀だが管理職で躓く人の特徴や躓いてしまう原因、優秀な管理職になるための取り組みについて解説していきます。

「優秀なプレイヤー=優秀な管理職」とは限らない

ビジネスシーンでは「プレイヤーとしては優秀だったのに、管理職・マネージャーになってからは結果を出せない」という問題が散見されます。スポーツ界でもよく「優秀な選手が優秀な監督になるとは限らない」と言われますが、なぜこうした乖離が生まれてしまうのでしょうか。

人手不足や「若手の管理職離れ」が進む現在、しっかりとこの問題の原因を理解し、組織として対策を立てておく必要があります。

なお、管理職に明確な定義はなく、企業によっても管理職に求める役割は異なります。本記事では「部署やチームの責任者として、部下を管理する職位にいる人」という定義で話を進めていきます。

管理職の役割とプレイヤーの役割の違い

そもそもプレイヤーと管理職では、求められる役割が異なります。改めて管理職の役割を確認しておきましょう。

〈管理職の主要な役割〉

・人材育成、チームマネジメント

・戦略の策定、進捗管理

・予算管理、労務管理

・業務改善

・経営層と現場の橋渡し

大まかにいえば、管理職は部門やチームの責任者として、目標達成のためにマネジメントを行うことが仕事となります。プレイヤーの役割は自らの手で業務を遂行して成果を上げることであるのに対し、管理職の役割はチームの責任者として部下に成果を上げさせることにあるわけです。

プレイヤーとしては優秀でも管理職で躓く人の特徴

プレイヤーとしては優秀でも管理職になると躓く人には、共通する特徴があります。それぞれ見ていきましょう。

プレイヤー気質が抜けていない

管理職になると躓く人の多くは、プレイヤー気質が抜けていません。管理職の役割は部下に成果を上げさせることにありますが、日本企業はプレイングマネージャーが多いこともあって「自分でやったほうが早い」と考えがちです。

プレイヤーとしての成功体験が強く、なかなか自己認識が管理職に切り替わらないため、部下に任せるという意識が芽生えずに「人材育成ができない」「業務過多に陥る」といった問題を引き起こしてしまうのです。

共感力が欠けている

共感力が欠けている人は、ほぼ間違いなく管理職になると躓きます。このタイプは「自分がプレイヤーのときはできたのに、なぜ部下はできないんだ」といった苛立ちを抱えがちで、部下に対して気配りを怠ります。

労務管理や目標設定でも無理を押しつけやすく、部下を潰してしまう可能性が高いのでとくに注意が必要です。

自分の成功体験を押しつける

管理職になってから躓く人の特徴として、自分の成功体験を押しつけることが挙げられます。これはマネジメント等を学ぶ機会がないまま、管理職に昇進した場合に陥る問題です。頼れるのは、自身のプレイヤーとしての成功体験しかないからです。

しかし、部下に同じスタイルが馴染むとは限りませんし、なによりチーム全体での対応力が上がっていきません。結果として、周囲からの信頼も低下してしまうでしょう。

数値化を怠っている

プレイヤー時代に数値化を怠っていた人は、管理職になったあとに躓く傾向があります。管理職に求められるのは属人的な成果ではなく、再現性だからです。

プレイヤーのうちは数値化を怠っていても、行動量で優秀な成績を上げることもできたでしょう。しかし、とくに近年は働き方改革によって労働時間が厳しく制限され、チームに対して根性論を強いることはできません。誰の目にも公平で納得感のある根拠を示すことができないと、マネジメントは上手くいかないのです。

優秀なプレイヤーが管理職で躓く原因

プレイヤーとしては優秀だった人材が管理職になると躓くのは、実は組織側の構造的な問題にも原因があります。それぞれ解説していきましょう。

評価制度の問題

優秀なプレイヤーが管理職で躓く根本的な原因は「プレイヤーとしての成果だけで昇進する評価制度」に問題があります。

「管理職の役割とプレイヤーの役割の違い」で確認したとおり、そもそも優秀なプレイヤーの能力と、優秀な管理職の能力は別物です。にも関わらず、多くの評価制度はプレイヤーとしての成績が良い人材を管理職に押し上げるものになっています。

管理職として求められる要件を整理して評価制度に組み込むだけでなく、「プレイヤーとしては優秀でも管理職で躓く人の特徴」で挙げたような人材を弾く昇格基準が必要となるでしょう。

学習機会がない

「評価制度の問題」と合わせて根本的な原因といえるのが、管理職として必要となるスキルや知識を学ぶ機会がないことです。

とくに管理職の役割であるチームマネジメントや予算管理などは、プレイヤー時代には経験しない業務です。よく新卒採用で「サークルの部長を務めた」といったアピールがありますが、ビジネスシーンで活きるほどのマネジメント経験を持つ人材は一握りでしょう。

事前に管理職研修を実施する企業も多いと思いますが、短期的な研修では付け焼き刃にしかならず、なかなか現場で活かすことはできません。結果として「自分の成功体験を押しつける」などの問題につながってしまうわけです。

人手不足

環境要因として、人手不足も優秀なプレイヤーが管理職で躓いてしまう原因の一端となっています。経験が浅い状態で管理職を務めることになりやすいからです。

とくに氷河期世代の採用を見送った企業は中堅層に空白ができており、優秀な若手を管理職に登用する例が増えています。しかし、若手のうちから管理職に抜擢されると、必然的に学習機会がない状態となってしまい、スキル・知識不足で壁にぶつかってしまうわけです。

マネジメントの難易度が上がった

マネジメントの難易度が上がったことも管理職で躓く環境要因のひとつです。

終身雇用制度の時代はひとつの会社で勤め上げることが当たり前でしたが、現在は人材の流動化が進んで働き方も多様化しています。労務管理の難易度は大きく上がっているわけです。

これに加えてハラスメントなどにも神経をすり減らしつつ、労働時間を厳しく制限されるなかで成果を上げる必要があるわけですから、現在の管理職にかかる負担は昔よりも重くなっているといえるでしょう。

このように、ビジネス環境の変化によってマネジメントが難しくなっていることも、優秀なプレイヤーが管理職で躓いてしまう大きな原因といえるでしょう。

優秀なプレイヤーを活かすために必要な取り組み

優秀なプレイヤーを管理職・マネージャーとして活躍させるためには、プレイヤーのうちに最低限の知識・スキルを身につけておく必要があります。

チームビルディングの知識

チームビルディングとは、各メンバーが持つ経験・スキルなどを最大限に活かして、達成力の高いチームを作り上げる取り組みです。

具体的には、チームワークの重要性や心理的安全性の作り方、ディスカッションの方法などを学んでいきます。チームビルディングの知識はプレイヤー時代でも十分に活きるものですので、優先的に研修等で取り入れるべきでしょう。

フィードバックスキル

フィードバックは部下とのコミュニケーションの基本となりますが、きちんとスキルとして体系的に学んでいる管理職はごくわずかです。

例えばフィードバックには、「ポジティブ→ネガティブ→ポジティブ」という流れで伝える「サンドイッチ型」や、対象者に自らの改善点や行動計画を考えるよう促す「ペンドルトンルール型」といった手法があります。こうした手法があることすら知らない方がほとんどではないでしょうか。

それぞれの手法によって効果は異なり、これらをシチュエーションによって使いこなすことでモチベーションの向上や行動改善などの成果につながります。

なお、フィードバックの種類やその効果については「ビジネスにおけるフィードバックとは 種類・方法・効果について解説」で詳しく解説しています。

「数字」を意識することで優秀な管理職に近づく

優秀なプレイヤーが管理職・マネージャーで失敗する一番の原因は、「数字」に対する意識がないことだと弊社では考えています。以前にも、ある経営者さんからこんな相談が寄せられました。

「新任の管理職が現場のことばかり考えて『今の現場の力だと目標達成は難しいので、下方修正できませんか』と直談判してくる。なんとかならないだろうか」

プレイヤーから管理職に昇進してまずぶつかる悩みとして、経営層と現場との板挟みが挙げられます。そのなかでもプレイヤー意識が抜けていない人は、現場の意見に偏りがちです。

しかし、経営層が提示する目標やノルマは事業計画に基づいて算出されたものであり、ひいては「従業員に給料を支払うため」に設定されたものです。いじわるで目標やノルマが設定されているわけではありません。このように「数字」が設定された意味や目的について考える意識が欠けていると、果たすべき管理職の役割を見失ってしまうわけです。

では、この新任管理職はどうすればよかったのかというと、現在の現場では目標達成が厳しいことを経営層と同じ土俵に立って説明し、提示された目標との折衷案を探っていく必要がありました。その土俵こそが「数字」です。

弊社の「ビジネス数学研修」は、こうしたビジネスで求められる数字への意識や扱い方を学んでいく研修となっております。ここで簡単に、弊社の中堅~管理職向けの研修プログラムの内容をご紹介しましょう。

弊社では実際のビジネスシーンに基づいた課題をご用意しており、上のように詳細なシチュエーションを設定したうえで、実践的に数字やデータの活用を学んでいきます。

この課題の最大のポイントとなるのが、成果物の作成です。ビジネスシーンで相手を納得させるためには、数字やデータの分析結果をわかりやすく伝える必要があるからです。

このようなフォーマットに沿って報告書を作成し、「結論として何を伝えたいのか」「その根拠となるデータはどれなのか」をまとめて、わかりやすく伝える力を伸ばしていきます。このように数字やデータの扱い方を繰り返し実践していくことで「再現性」も身につき、優秀なプレイヤーから優秀な管理職へと成長することができるでしょう。

なお、弊社は企業向け研修だけでなく、オンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」を運営しておりますので、個人でも気軽に「ビジネス数学」について学ぶことができます。

サロンでは、時事ネタの数字やデータの裏側などをテーマとして、楽しみながら数字の使い方を学んでいきます。日頃から数字・データに触れる機会を増やすことで自然と数字に対する苦手意識も薄れていきますよ。

弊社のビジネス数学の取り組みやオンラインサロンについて、少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。「もっと詳しく知りたい!」と思っていただけましたら、ぜひお気軽に以下のリンクからお問い合わせください。