7割の人が会議に不満を持っている? 有意義な会議の進め方とは

#おすすめ記事#伝え方#分析力#管理職向け#経営者向け

いま会議の進め方に不満を持つ人は多く、ある調査では約7割の人が会議に不満を感じているといいます。

有意義な会議を進めるためには「会議の目的とゴールの共有」「意見を出しやすい雰囲気を作る」「結論を実行する」など、必ず守るべきルールがあります。

今回は、会議の進め方と会議の進行役に求められるスキルについて解説していきます。

7割の人が会議の進め方に不満を持っている

テレワークから出社回帰が進む現在、会議の意義や進め方の見直しが進んでいます。

実際に日本経済新聞社とJob総研が実施した調査によれば、会議の進め方に対する不満を持つ人は68.7%に達しており、さらに出社メインの働き方の場合は73.7%の人が「不満がある」と回答しています。

また、同調査では「会議で不満を感じる場面」についても質問されており、以下のような結果が出ています。

〈対面会議で不満を持つ場面〉

・議論ではなく共有で終わる 29.6%

・発言しづらい空気感があるとき 28.4%

・対面だがPC画面を見ている 23.5%

〈オンライン会議で不満を持つ場面〉

・参加形態によって温度差がある 34.5%

・空気が読みにくく発言しづらい 31.7%

・無関係の内職をする人がいる 26.1%

対面会議とオンライン会議で違いはあれど、共通するのは「会議の質」や「会議に参加する意義」などに問題がある場合、会議に不満を感じるということでしょう。

参考:パーソルキャリア株式会社「2025年 職場の会議実態調査」

有意義な会議を行いたいのであれば、社員が不満を感じない質や意義を担保しなければいけません。

有意義な会議の進め方

会議を有意義なものにするために、会議の進め方を流れに沿って解説していきます。

会議の目的とゴールの共有

会議の進め方として最初に行うべきなのが、会議の目的とゴールの共有です。「定例だから」といった曖昧な目的で実施される会議は、ほぼ間違いなく意味のないものになってしまいます。

「何を目的として集まったのか」「何を達成したいのか」を共有することで、参加者も目的に沿った言動を取りやすくなるのです。

これは参加者間のコミュニケーションの促進を目的とした会議も例外ではありません。むしろ「仲良くなる」といった定性的なゴールこそしっかりとゴールを明文化しておかないと、参加者も何をすればいいかわからなくなってしまいます。

事前にアジェンダを共有する

「会議の目的とゴールの共有」と並行し、できれば事前に済ませておきたいのがアジェンダの共有です。会議の前にアジェンダを共有しておくことで、読み合わせの時間を短縮でき、参加者も発言内容を精査したうえで出席することができるからです。

意見を出しやすい雰囲気や仕掛けを作る

本来、次のステップは「意見やアイディアを出し合うこと」なのですが、それで皆が活発に意見を出し合ってくれれば苦労はありませんよね。ですから少し遠回りをして、意見を出しやすい雰囲気や仕掛けを作る必要があります。

代表的な手法は「アイスブレイク」でしょう。アイスブレイクとは、本題に入る前に行う、緊張を解くための雑談やゲームなどのことです。

もちろん会議の前ですから、長々とゲームを行う必要はありません。「会社周辺のランチの情報」など、会議の本題には関係なく、誰でも参加できるような雑談などがよいでしょう。

こうしたアイスブレイクを行うことで、誰もが緊張してしまう「第一声」が出しやすくなり、会議へスムーズに入れるようになります。

また、事前にアジェンダを共有できていない場合は、いきなり発言を促さないよう注意しましょう。各々が意見・アイディアについて考えを巡らせる時間を設けることが大切です。

発言の邪魔をせずに整理する

意見やアイディアを募る段階になったら、進行役は各々の発言の邪魔をしないよう、意見を整理していくことに注力しましょう。何よりも大切なのは、発言者を否定しないことです。

会議の本題と少し異なる方向性の意見が出たとしても、それも後々の議題になる可能性があります。会議全体の流れが目的からズレてしまいそうなときだけ軌道修正を促しましょう。

また、会議の核心になりそうな意見・アイディアが挙がったときは、ホワイトボードや画面共有などで書き出して、そちらに参加者の意識を向けさせると効果的です。こうすることで、その後の会議の流れがその意見・アイディアを中心とした内容に切り替わっていきます。

合意形成

参加者からの意見・アイディアが出揃ったら、いよいよ会議の結論を出す段階に入ります。ここで最も重要となるのが合意形成です。

結論を出すこと自体は、リーダーの一存や多数決で決定できます。しかしいずれの方法でも、大多数の参加者の合意が形成されていなければ納得感が生まれません。これでは結果的に「意味のない会議・不満の残る会議」になってしまうでしょう。

合意形成のポイントとしては、参加者の意見をすべて引き出すことが挙げられます。「意見を出し切ることができなかった」という後悔があると、わだかまりが残ってしまうからです。

なお、合意形成の方法については「合意形成とは 方法や必要なスキルを解説」でも詳しく解説しています。

結論を実行する

意味のある会議にするための最後のポイントは、会議で出た結論をしっかりと実行することです。会議で決まったことが実行されないと失望感が広がり、組織全体で会議という文化が形骸化してしまう恐れがあります。

会議の結論は決定事項として関係各所に共有し、実行まで責任を持つことが大切です。ですから、会議の結論は実現可能性を重視することも重要となるでしょう。

会議の進行役に求められるスキル

有意義な会議の進め方を実行するためには、進行役に「ファシリテーションスキル」「タイムマネジメント」「アサーティブコミュニケーション」などのスキルが求められます。それぞれ解説していきましょう。

ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルは、会議の進行役のためのスキルと言っても過言ではありません。ファシリテーションは「人々の活動が円滑に進むように舵取りをすること」という意味で、とくにビジネスにおいては「会議や商談を円滑に進めること」といった意味で用いられます。

ただ、ファシリテーションスキルは複合的なスキルであり「これを学べばファシリテーションスキルが身につく」という近道はありません。例えば、アジェンダの作成、会議の参加者の選定、意見の要約などもファシリテーションに含まれます。

「有意義な会議の進め方」の内容をもとに、それぞれの局面で求められるスキルを一つずつ伸ばし、ファシリテーションスキルを取得していきましょう。

タイムマネジメント

タイムマネジメントも会議の進行役に欠かせない重要なスキルです。

冒頭で紹介した「2025年 職場の会議実態調査」でも、会議の時間についての理想と現実で大きな乖離があることが判明してます。調査では、会議は30分以内で終わることが理想とする意見が78.1%に達するのに対し、実際は45分から120分以上の会議が65.7%を占めていたのです。

ダラダラとした会議は参加者の疲弊を招き、発想力や注意力を低下させるのは言うまでもありません。進行役は参加者が意見を出しやすいような環境を作り、ときには即断即決で合意形成を行うことも求められるでしょう。

なお、タイムマネジメントについては「タイムマネジメントとは 方法や上手い人の特徴を解説」でも詳しく解説しています。

アサーティブコミュニケーション

会議の進行役が身につけておきたいスキルとして、アサーティブコミュニケーションが挙げられます。アサーティブコミュニケーションは「誠実」「対等」「率直」「自己責任」の4つの柱によって成り立つコミュニケーション手法であり、相手の意見を尊重しつつ、自身の主張を伝えることができます。

進行役のみならず、会議の参加者がアサーティブコミュニケーションを実践すれば、「相手の意見を踏まえたうえで、自身の考えを伝える」「上下関係に左右されない対等な意見交換」などが実現され、建設的な意見の交換が活発化してより有意義な会議となるでしょう。

なお、アサーティブコミュニケーションについては「アサーティブコミュニケーションとDESC法による実践」で詳しく解説しています。

「ビジネス数学」で会議を円滑に進めよう

会議を円滑に進めるための方法として、報告や連絡事項に「数字」を用いることが挙げられます。

例えば「なるべく早くアジェンダをまとめておいて」といった曖昧な指示は、「いつまでにやればいいか」「どれくらいの分量でまとめればいいか」などがわからず、進行を遅らせる原因となります。

こうした抽象的な伝達を防ぐために効果的なのが、数字を用いた表現です。この場合は「20日の15時までに、A4用紙2枚程度で」と付け加えることで、誰が聞いても共通認識を持てる伝達となります。

実はこうした数字を活用したコミュニケーションは、弊社がご提供する「ビジネス数学研修」の一部。ビジネス数学というとテクニカルスキルの向上を目指すと思われがちですが、日々のビジネスシーンで活きる実践的なスキルを磨いていく研修なのです。

また弊社の研修は、会議で合意を形成するうえでも役立ちます。数字やデータを根拠として示すことで、納得感が生まれるからです。 「会議でなかなか合意形成に至らず、社内の足並みが揃わない」「データを根拠とした意思決定を徹底したい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。