代表的なデータ収集の方法 目的やデータの種類を踏まえて解説
データ収集とは、現状把握や仮説検証などの目的のために、必要な情報を集める行為のことです。その方法としては「アンケート」「公的機関等のwebサイト」「webAPI」などが挙げられ、求めるデータの種類によって適切な方法を選択することが大切です。
今回は、データ収集の目的やデータの種類、代表的なデータ収集の方法について解説していきます。
データ収集とは
ビジネスにおけるデータ収集とは、現状把握や仮説検証などの目的のために、必要な情報を集める行為のことです。
技術の発展によって一般の企業でも簡単にデータの蓄積や分析ができるようになった現在、ビジネスとデータ活用は切り離せないものになっています。
ただその一方で、データが身近になったことで私たちの周りには膨大なデータが溢れ、目的達成に必要なデータを見極めて、効率よく収集することが非常に難しくなっています。データ活用を推進する際も、このデータ収集のプロセスで躓いてしまう企業は少なくありません。
データ活用というと「分析」に目がいきがちですが、それ以前の「収集」の精度を上げていくことが成功の鍵となります。

データ収集の目的
データ収集の目的は大きく「現状把握」「アクションの検討」「仮説検証」に大別されます。それぞれ解説していきます。
現状把握
まずデータ収集の目的として挙げられるのが、現状把握です。
昨今のビジネス環境は目まぐるしく変化し、複雑化が進んでいます。そんななかで自社が置かれている状況や市場の動向、消費者のニーズなどを把握するためにはデータが欠かせなくなっています。
アクションの検討
データ収集は、次に取るべきアクションの検討を目的に実施されることもあります。
ビジネスでは限られたリソースのなかで、最も必要性のある、あるいは効果的なアクションを取ることが求められます。そのためにデータを収集して課題の所在や競合他社の状況などを把握し、最善の一手を検討するわけです。
仮説検証
立案した仮説の検証を行う際にも、データ収集が欠かせません。
経営上の重要な戦略を決定したり、事業展開の方向性を決定したりする際には、データを根拠として信憑性や説得力を高めることが求められます。とくにVUCA時代と呼ばれる現代においては、勘や経験則といった抽象的な根拠では支持が得られないでしょう。データによって仮説を裏付けることで、意志決定の精度を高めていく必要があるわけです。

データの種類
データの収集方法は、データの「種類」によっても異なってきます。まずはデータにどのような種類があるのかを確認していきましょう。
定量データと定性データ
まず、データは定量データと定性データに分けられます。
・定量データ
定量データとは数値によって示されるデータのことで、客観的な「事実」を表すことができます。一般的にデータというと定量データを指すことが多く、人数、売上高、利益率などが例として挙げられます。
分析や加工がしやすく、事実を示すことから強い説得力を持ちます。一方で「なぜその行動・結果に至ったのか」といった、顧客や消費者の思考までは完全に読み解けないというデメリットがあります。
・定性データ
定性データとは、人の主観に関する質的なデータのことです。数値では表しにくい感情や心理なども重要な情報であり、「お客様の声」のような記述式アンケートや商品へのレビューなどが例として挙げられます。
定性データを収集することで、定量データからは読みとれない人の思考や意見などを把握できるようになり、顧客や従業員の心理をより深く理解するのに役立ちます。ただ、収集・集計・分析に手間がかかるというデメリットがあります。
なお、定量・定性の意味や使い分けについては「定量的・定性的の意味 ビジネスにおける使い分けのポイントを解説」で詳しく解説しています。
一次データと二次データ
データ収集の際には、一次データと二次データのどちらを求めるかも重要な選択となります。
・一次データ(プライマリーデータ)
一次データ(プライマリーデータ)とは、自ら直接収集するオリジナルデータのことです。従業員満足度調査や、自社で行う消費者へのインタビューなどが例として挙げられます。
一次データは目的に合致したデータを入手できる反面、調査紙の作成や回答者の募集など、データを入手するまでに人的・金銭的コストがかかります。
・二次データ(セカンダリーデータ)
二次データ(セカンダリーデータ)とは、すでに世間で公開されている他者が作成したデータのことです。政府機関による統計や他社が作成したレポートなどが例として挙げられます。
インターネットの普及によって二次データの取得は容易となりましたが、調査規模や調査対象が調査目的と合致するデータが存在するとは限りません。そのため、複数の二次データを組み合わせたり、一次データを補完するかたちで活用したりすることも検討しましょう。

データ収集の方法
ここでは、データ収集の代表的な方法を6つご紹介します。
アンケート
一次データ収集の基本ともいえるのがアンケートです。目的に応じて内容(質問)を自由に設計でき、従業員や顧客の声をダイレクトに受け取ることができます。
近年はweb上で作成・実施できるアンケートツールも充実しており、回収・集計のハードルが大きく下がったこともメリットといえるでしょう。
ただ、質問の設計や分析にも一定のスキルが必要となり、安易に実施しても良質なデータは得られません。
なお、アンケートの設問の作り方については「アンケートの設問の作り方と回答率を上げるコツ」で詳しく解説しています。
インタビュー
インタビューはパーソナルなデータ、詳細な個人の感想を入手したいときのデータ収集方法です。生の声であることから信頼度が高いように思えますが、対面コミュニケーションであるがゆえに遠慮などが生じてしまうため、必ずしも本音を引き出せるとは限りません。
また「母数を増やしにくい」「インタビュアーのスキルに左右される」「インタビュイーの確保が難しい」「データとして処理しにくい」などデメリットが多く、顧客や従業員の声を直接確かめたい強い理由がない限り、他の手法を活用すべきでしょう。
公的機関や企業のwebサイト
近年は公的機関や企業のwebサイトから、簡単に良質な二次データをダウンロードすることができます。
とくに各省庁が公表している調査結果は情報の信頼度が高いため、データ収集の基本となります。また、Googleなどが公開するデータも、web施策を講じる際に欠かせません。
ただし、調査規模が大きいために、自社が抱えるミクロな課題とは合致しないこともあります。
webAPI
APIは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略称で、異なるソフトウェア間で機能・データを共有する仕組みのことです。
例えば、SNSのAPIを活用することで、ユーザー情報の取得や自社に対する投稿の分析などを行うことができます。
一度連携すれば自動的にデータが更新される一方、連携先のサービスに依存する部分が多く、連携先でトラブルが生じると自社側にも影響が出てしまう点は注意が必要です。
cookie
cookieとは、webサイトがユーザーのブラウザに向けて発行する情報のことです。cookieはユーザーにとってweb上のアクセスや操作を快適にする一方、webサイト側には「どのページを閲覧したか」「どれくらいの頻度でサイトに訪れているか」などの情報をもたらしすので、webサイトの改善やweb広告の出稿などに活用できます。
loT機器
loT機器とは、インターネットに接続することで情報のやりとりや機器の制御などを行うことができる機器の総称です。外出先からでも機器の操作ができる「スマート家電」や、工場の稼働状況の常時監視、ウェアラブル端末による健康管理など、その活用例は多岐にわたります。
その性質上、loT機器から得られるデータは膨大であり、データの管理と分析には専門的な知識が必要となります。

データ収集の失敗の原因は「苦手意識」
データ収集で躓いてしまう原因のひとつとして、「数字・データに対する苦手意識」が挙げられます。「数字を見るのも嫌なせいで、そもそもデータを集めない」「データの見方がわからないため、必要なデータを見分けられない」など、数字やデータに苦手意識を持つビジネスパーソンは意外なほど多いのです。
実は「データを活用した戦略が描ける」「数字を根拠とした意志決定ができる」といった人材ですら貴重な存在なのです。
ですからデータ活用に取り組む際は、AIやDXといった流行の言葉に惑わされず、段階を踏データ活用人材を育成していくことが求められます。
ただ、いま世間で提供されている研修カリキュラムの多くは「データサイエンティスト」「AI人材」といった魅力的な専門職の育成を目指すものばかりが目立ち、日々のビジネスシーンでのデータ活用について学べる研修はほとんどないのが現状です。
そんな状況を打破すべく弊社オルデナール・コンサルティングが取り組んでいるのが、「数字に苦手意識を持つ普通の人」に向けた教育――「ビジネス数学研修」です。
弊社の研修では数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。 「データを活用できる人材が育たない」「全社的にデータ活用の文化を根付かせたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。
オルデナール・コンサルティング合同会社は「ビジネスで活用する数字力向上」に特化した人材教育サービスをご提供します
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