コンフリクトマネジメントとは コンフリクトの原因や解消法を解説
コンフリクトマネジメントとは、組織内の衝突をきっかけとして、コミュニケーションの円滑化や組織の成長につなげていく取り組みのことです。これにより「風通しのよい職場につながる」「離職率の低下」などのメリットが得られます。
実際にコンフリクトを解消するためには、「コンフリクトマネジメントの周知」「話し合いの場を設ける」「客観的な改善案の提示」「改善案の共有と実行」と、順を追ってステップを踏んでいく必要があります。
今回は、コンフリクトマネジメントの概要とメリット、コンフリクトの原因、解消のためのステップなどについて解説していきます。
コンフリクトマネジメントとは
コンフリクトマネジメントとは、組織内の対立や衝突をきっかけとして、職場でのコミュニケーションの円滑化や組織の成長につなげていく取り組みのことです。
コンフリクト(conflict)は「武力による闘争」「利害などの衝突」「口論・論争」などの意味を持つ言葉で、ここでは組織内の従業員同士の衝突を指します。
通常は従業員同士の衝突が起こると、職場の空気が悪くなったり、業務の遅延を招いたりと、組織全体に悪影響を及ぼします。しかしコンフリクトマネジメントでは、こうした問題を組織の活性化のきっかけと捉えて、単に従業員の関係改善に取り組むだけでなく、組織や人材の成長へとつなげていくわけです。

コンフリクトマネジメントのメリット
コンフリクトマネジメントのメリットとして「風通しのよい職場につながる」「離職率の低下」などが挙げられます。それぞれ解説していきましょう。
風通しのよい職場につながる
まずコンフリクトマネジメントのメリットとして挙げられるのが、風通しのよい職場につながることです。
コンフリクトマネジメントでは、本来ならネガティブに感じられる言動を成長や改善のきっかけとします。「不満を溜め込まない」「言いたいことが言える」といった雰囲気が出来上がれば、コミュニケーションが活性化して新たな発見・アイディアも生まれやすくなるでしょう。
離職率の低下
コンフリクトマネジメントは離職率の低下にもつながります。コンフリクトマネジメントによって、離職理由の上位として挙がる「人間関係」が改善されるからです。
実際にエン・ジャパンの「『本当の退職理由』調査」によれば、「会社に伝えなかった本当の退職理由」の1位が「人間関係が悪い(46%)」であり、その割合は2位の「給与が低い(34%)」と比べて12ポイントも差がついています。
人材総合サービスを提供する、エン・ジャパン株式会社、ニュースリリースのページです。
続きを読む人間関係が改善されれば、自ずと離職率も低下していくというわけです。

コンフリクトが発生する原因
組織におけるコンフリクトは、「条件」「認知」「感情」の対立から発生するといわれます。それぞれ解説していきます。
条件の対立
条件の対立は、上下関係や部署間で生じる条件の違いによって発生します。達成しなければならない目標の違いや、仕事に対するスタンスの違いなどをイメージするとわかりやすいでしょう。
例えば、営業部は一刻も早くクライアントへ製品を届けたいと考える一方、品質管理部は製品の品質を保つことが一番の仕事となります。同様に、エンジニアが何とか納期を守ろうと残業する一方で、人事部には残業時間の削減が課せられているという例も少なくありません。
健全に機能する組織内であっても、それぞれの立場によって相反する目標が掲げられ、対立構造が生じてしまうのです。
認知の対立
認知の対立は、考え方や価値観の違いによって生じます。同じ出来事に直面しても、人によって解釈の仕方はそれぞれ異なります。身近な例ではジェネレーションギャップ、広くいえば国や宗教による違いも認知の違いに含まれます。
組織のなかで少なからず生じる対立である一方、根本的な解決が難しいのも大きな特徴です。
感情の対立
感情の対立は、その名のとおり人の気持ちが原因で生じます。「条件」「認知」の対立が感情の対立に発展することも多く、とくに怒りなどが起因していると対立構造が根深くなりがちで、解決がより難しくなります。
例えば、優越感と劣等感はどこまでいっても相容れない感情の対立であり、「そうした感情を持つな」といっても湧き上がってくる感情をコントロールするのは困難です。人事施策で優越感と劣等感を解消しようとしても、なかなか有効な手立ては立案できないでしょう。
このように、感情の対立は人が組織的に働く以上どこかで生じてしまうものであり、その内容によっては外部からの働きかけでは解消しにくい厄介な問題となります。

コンフリクトによって生じる5つの態度
コンフリクトが生じることにより、人は5種類の態度のいずれかを取ることがわかっています。コンフリクトマネジメントを実施するためにはこれらを理解しておく必要がありますので、それぞれ解説していきましょう。
強制
強制は、立場の優位性や主張の正当性などを示すことで、自身の意見を無理矢理通そうとする態度です。もう一方の意見を蔑ろにするため、さらなる感情の対立を引き起こす恐れがあります。
服従
服従は「強制」と対になる態度であり、相手の意見を全面的に承服する態度となります。自身の意見を押し殺すことになり、遺恨が残る結果となります。
妥協
妥協は、相手の意見を尊重し、自分の主張を控えめにして譲歩する態度です。妥協の問題点は、お互いが満足する結果には至らず、なんとか折り合いをつけている点にあります。大人な対応と言える一方で、対立構造は残るため注意が必要です。
協調
協調は、双方が意見を伝えあい、win-winの状態を目指す態度です。5つの態度のなかで理想のかたちであり、コンフリクトマネジメントの目標はこの協調を目指すことになります。
回避
回避は、結論を先延ばしにして議論を終えてしまう態度です。お互いに主張を譲らず、問題や軋轢が残ったままとなります。
時間の経過によって「妥協」などに至ることもありますが、多くの場合は感情の対立が残る結果となってしまうでしょう。

コンフリクト解消のための4ステップ
コンフリクトを解消するためには、具体的にどのような取り組みが必要になるのかについて、順を追って解説していきます。
コンフリクトマネジメントの周知
コンフリクト解消の一歩目は、事前にコンフリクトマネジメントについて周知しておくことです。
いきなり衝突している最中の人たちに「コンフリクトはチャンスだから話し合え」と言っても、火に油を注ぐか困惑するだけです。平時からコンフリクトマネジメントについて周知し、話し合いの機会やマネジメントによる介入が設けられることを伝えておかないと、コンフリクトマネジメントを進めることはできないでしょう。
話し合いの場を設ける
次に、対立している当事者同士で話し合いの場を設けましょう。その目的は、コンフリクトの原因を探ることにあります。
まずは双方の意見や主張をくみ取り、「条件」「認知」「感情」のどこで対立が生じているかを確認しましょう。前述のとおり、「条件」「認知」の対立から「感情」の対立に発展している場合なども多いため、深堀りして原因を掴むことが大切です。
またこのとき、双方が「強制」や「服従」の態度を取らないよう、相手を尊重して話し合うことが何よりも重要となります。
客観的な改善案の提示
双方の意見が出揃い、コンフリクトの原因が掴めたら、客観的な改善案の提示に取り掛かりましょう。当事者間では感情的に問題を捉えてしまう可能性があるため、第三者視点で多角的に問題を捉え直すことが大切です。
また改善策を検討する際、双方のメリットのバランスを考慮することもポイントとなります。このバランスがどちらかに偏っていると遺恨が残るばかりでなく、調停に入った第三者とのあいだに新たなコンフリクトが生じる恐れがあるからです。
改善案の共有と実行
最後に、いくつかの改善案を当事者たちに共有して、そのうちのひとつを選んでもらいましょう。このとき重要になるのが、第三者からひとつの改善案を押し付けるのではなく、当事者間で改善案を選んでもらうことです。「自分たちで選んだ」という意識が芽生えることで、「妥協」ではなく「協調」の態度へ至りやすくなるからです。

コンフリクトの解消には根拠と提案力が欠かせない
コンフリクト解消のキーポイントとなるのが、当事者たちが納得できる改善案の提示です。「根拠がなくて説得力がない」「改善のイメージが湧かない」と感じる提案では、コンフリクトの解消には至りません。
ですからコンフリクトマネジメントを進めたいのであれば、納得感のある根拠を用意する力と、わかりやすく伝える提案力を身につける必要があるのです。
そこでおすすめしたいのが、「数字力」を伸ばす研修です。数字力は「把握力、分析力、選択力、予測力、表現力」によって構成されるスキルであり、これを身につけることでコンフリクトマネジメントに必要な提案力を効率よく強化することができます。
例えば、「把握力」と「分析力」を伸ばすことで対立の原因を掴みやすくなりますし、「表現力」を伸ばすことでわかりやすく改善案を伝えることができます。数字やデータを根拠として示せば、説得力も大きく向上するでしょう。
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