定量的・定性的の意味 ビジネスにおける使い分けのポイントを解説

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定量的は「数値・数量で表せるさま」、定性的は「数値・数量で表せないさま」という意味であり、ビジネスでも様々な場面で用いられる言葉です。定量的な表現では「主観に左右されない」「比較を行いやすくなる」といったメリットが得られる一方、いくつかのデメリットも存在します。

今回は定量的・定性的の意味を踏まえたうえで、ビジネスで定量的・定性的な表現を使い分けるポイントについて解説していきます。

定量的・定性的の意味

ビジネスではよく定量的・定性的という表現が用いられます。多くのビジネスパーソンは「資料の定性的な部分を定量的に修正して」といった指示を一度は受けた経験があるのではないでしょうか。

まずは言葉の意味から確認しておきましょう。定量的は「数値・数量で表せるさま」、定性的は「数値・数量で表せないさま」という意味があります。

例えば「この書類はなるべく早く経理へ提出して」という指示は定性的な表現となります。対して、「この書類は10日の11時までに経理へ提出して」という指示は定量的な表現と言えます。

この比較からもわかるように、定量的な表現は主観や感覚に左右されず、客観的にも明確な事実を提示できます。そのため、ビジネスにおいてはできるだけ定量的な表現を心がけるべきなのですが、すべての物事を数値に変換できるわけではありません。重要なのは、定量的な表現のメリット・デメリットを知り、場面に応じて使い分けることです。

定量化によって得られるメリット

定量化した表現を心がけることによって、どのようなメリットが得られるのかを解説していきます。

主観に左右されない

定量化することによって誰の目から見ても明快な表現となり、主観に左右されずに情報を共有できます。

冒頭の例のようにビジネスシーンではよく「なるべく早く」という言葉が使われますが、こうした定性的な表現は人によって受け取り方が異なり、状況によっても左右されます。1週間先まで予定がぎっしりな人に対して「なるべく早く」と言うときは、多くの場合3、4日程度の猶予を持たせるのではないでしょうか。

こうした曖昧な表現を「11時までに」「3日後までに」と定量化して伝えることにより、誤解なく共通認識を持てるわけです。

比較を行いやすくなる

定量化することによって、比較を行いやすくなるというメリットがあります。

例えばコミュニケーション能力は「他人から好感を得られやすい」「人の話を引き出すのが上手い」といった、優劣がつけにくい要素から成り立ちます。その一方でビジネスパーソンとして重要な能力であるため、人事査定のなかで公平に評価したい項目といえます。

こうした定性的な能力も別の物事に置き換えて定量化することにより、数値化して比較できるようになるのです。例えば営業職のコミュニケーション能力を定量化したいのであれば、「クレーム件数」がひとつの評価項目として挙げられます。誠実かつ誤解を生まないコミュニケーションが取れていれば、それだけクレーム件数は減っていくからです。

クレームは不可抗力で起きてしまうこともあるので、これひとつだけでコミュニケーション能力を測るのは公平とはいえませんが、同じ職場内でクレーム件数1件の人とクレーム件数100件の人がいれば、誰の目にも前者のほうがコミュニケーション能力が高いことが明らかとなるでしょう。

進捗管理がしやすくなる

目標を定量化すれば、進捗管理がしやすくなるというメリットが得られます。例えば「もっと頑張ってアポイントの数を増やそう」という定性的な目標のもとでは、うまく進捗管理ができません。そもそもどれくらいアポイント数を増やすかというゴールについて共通認識が得られていないからです。

これを定量化して「月間アポイント件数100件」という目標値を掲げれば、一週間でおおよそ25件が目標達成ラインとなり、細かい進捗管理ができるようになります。

仮に二週間が経過した時点で40件しかアポが取れていない場合、月間の目標達成がやや厳しいことがわかります。その時点で「訪問数が足りていない原因は何か」「残りの半月でどのように巻き返すか」といったフィードバックを行えば、目標達成の可能性を高めることができるわけです。

定量化によって生じるデメリット

定量化のメリットを見ていると、ビジネスシーンではできる限り定量化したほうがよいと感じるでしょう。しかし、定量化にはいくつかのデメリットも存在します。

ストレス・プレッシャーが生じる

定量化した表現は、ときにストレスやプレッシャーを与える可能性があります。

ひとつ例を挙げてみましょう。仮に、部署内の平均売り上げ額が100万円だとして、何も知らない新人社員に向けて「今月は部署の平均売り上げ額を達成しよう」と伝えた場合と、「今月は売り上げ100万円を達成しよう」と伝えた場合、どちらがプレッシャーとなるでしょうか。多くの人は、後者の「100万円」という数字の大きさに不安やプレッシャーを感じるはずです。

このように同じノルマであっても、数字だけを伝えられる場合と、定性化して伝えられる場合では大きく印象が異なるのです。

努力やプロセスが評価されにくくなる

とくに目標を定量化した際に生じやすいデメリットとして、努力やプロセスが評価がされにくくなることが挙げられます。

例えば、売り上げ金額は平均程度であるものの、丁寧な接客・対応を信条として顧客からも厚い信頼を寄せられている営業部員を「売り上げ金額・達成件数」だけで評価してしまうと、その人材の良さを汲み取ることができません。

また、成果に至るまでの創意工夫なども定量化しにくい部分であるため、やはり「売り上げ金額・達成件数」だけで評価してしまうと、公平な評価を与えにくくなります。

このように、目標達成までの定性的な部分を評価する仕組みを整えないと、優秀な人材を見落としてしまう可能性があるわけです。

業務内容や部下への深い理解が必要となる

目標設定などで適切な定量化を行うためには、業務内容や部下への深い理解が必要となります。もちろん、これこそが管理職や上司に求められる資質・役割といえるのですが、それだけ負担が重くなることはデメリットといえるでしょう。

例えば「顧客からの信頼を勝ち取る営業活動をしよう」という定性的な目標は、能力や経験に関係なく設定できるため、負担にはなりません。一方で「成約○件」といった定量的な目標は、能力や経験によって達成できる数値が異なるため、達成難易度と当人の能力等を深く理解したうえでないと、適切な目標値を設定できません。

定量化しておけば納得感が得られる目標になるのではなく、その人に合った定量的な目標を提示することで、初めて納得感が得られることを肝に銘じておかなければいけません。なお、目標の数値化の方法については「目標を数値化するメリットとその方法」で詳しく解説しています。

関連記事:「目標を数値化するメリットとその方法」

定量的・定性的を使い分けるポイント

最後に、定量的・定性的な表現を使い分けるポイントについて解説していきます。

定性的なデータも評価する

定量化にあたって失敗する人や、定量的な表現が上手く浸透しない組織の多くは、定性的な情報やデータを過小評価しています。

データや数値の扱いに慣れてくると、「定性的な情報は人の主観に左右されるので信用できない」と考えて、定性的なデータを軽んじてしまう場合があります。

しかし、人の心理を始めとして、あらゆることを定量化できるわけではありません。顧客の行動や要望といった定性的な情報を読み解くことも、データ分析では重要なのです。

近年はビッグデータをもとにして人の心理や行動を数値化する取り組みも進んでいますが、日々のビジネスシーンでそうした処理を行うのは、まだ現実的ではありません。現在のところは、しっかりと定性的なデータの性質や良いところを評価し、活用していくほうが建設的といえるでしょう。

場面によって使い分ける

定量的表現と定性的表現は、場面によって使い分けることが大切です。例えば定量的な表現は、納得感や説得力が求められるプレゼンで最も効果を発揮します。

いくら「この商材はすごいんです」と訴えても、やはりビジネスでは根拠が求められます。そこで定量的なデータを示すことができれば、「すごさ」の度合いや根拠を公正に伝えることできます。

ただ一方で、人間の心理は難しく、コミュニケーションにデータや数字ばかりを用いていると、「冷たい人」という印象を与えてしまう場合があります。とくに評価のフィードバック時は、定性的な表現のほうが成長を促せる場合もあるでしょう。人柄で商談がまとまることがあるように、あえて定性的な表現を活用することも大切です。

定量的・定性的な表現を使いこなすなら「ビジネス数学研修」

ここまで定量的・定性的な表現のメリット・デメリットや使い分け方について解説してきましたが、そもそも定量的な表現に対して苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。

いわゆる「数字に弱い人」は総じて数字への苦手意識を持っており、数字を見ると思考停止に陥ってしまったり、数字からイメージを広げる力が弱かったりします。ただ、こうした方々は知識やスキルが足りないのではなく、単に数字やデータの扱い方に慣れていない場合がほとんどです。

つまり、ビジネスシーンで効果的に定量化・定性化を行うためには、数字への苦手意識を払拭しつつ、数字に慣れるためのトレーニングが必要となるわけです。こうした「ビジネスシーンで役立つ数字力」を磨くことを目標としているのが、弊社オルデナール・コンサルティング合同会社が提供する「ビジネス数学研修」です。

弊社の研修プログラムでは、受講者のレベルに合わせて4段階のコースをご用意しておりますので、数字に対して苦手意識を持つ方でも安心してステップアップできます。研修では実際のビジネスシーンを想定したデータの読み取り方や、わかりやすい報告資料の作り方など、実務に直結するプログラムで演習を繰り返していきます。

「部下が納得感する目標を設定したい」「定量的な表現で納得感のある提案を行いたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご検討ください。

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