AI採用とは 具体例やメリット・デメリットを解説

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AI採用とは、採用活動の各フローでAIを活用することです。現状では、生成AIによる求人広告の制作や候補者の絞り込み、AI面接などの活用例があります。

AI採用では業務の効率化やバイアスの排除といったメリットが得られる一方、「差別的な傾向を助長する」「応募の減少につながる恐れがある」といったデメリットも存在します。

今回はAI採用の概要と導入の状況を解説したうえで、具体的な活用例やメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

AI採用とは

AI採用とは、採用活動の各フローでAIを活用する取り組みです。採用活動のすべてをAIに担わせるわけではなく、あくまでもこれまで人の手で行なってきた選考や業務をAIによって代替・効率化することが主眼となります。

また、AI採用は採用する人材をAI人材に限定するものでもありません。AIによる採用の効率化はターゲットとなる職種を問わず、アルバイトなどの非正規雇用においても導入が進んでいます。なお、AI人材については「AI人材とは 仕事の種類や育成のポイントを解説」で解説しています。

採用活動におけるAI活用の現状

小規模な調査ではありますが、民間企業が実施した「2023年度の採用活動におけるAI活用」に関する調査によれば、AIツールを「活用した」と回答した企業は43.0%という結果が出ています。なお、実際にAIを活用した採用フローについては、以下のような結果となっています。

・求人票の制作 60.5%

・スカウト 31.4%

・WEB面接 31.4%

・選考の評価 27.9%

・適性検査 27.9%

※上位5つを抜粋

参考:Thinkings株式会社「2023年度の採用活動におけるAI活用の効果調査」

また、求職側からのデータとして、マイナビが実施した「転職動向調査」で「新しい面接・選考手法の受験経験」が調査されており、AI面接の受験経験が明らかとなっています。2023年に転職した人のなかでAI面接の受験経験が「ある」と回答したのは17.7%で、2021年調査の19.2%、2022年調査の19.3%と比較して微減しています。

参考:株式会社マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」

これらの結果からわかるように、AI採用の導入はまだ一部の企業に留まっているものの、すでに現実で実用化されているわけです。

AI採用の種類と具体例

採用活動におけるAI活用には、具体的にどのような種類・事例があるのか解説していきます。

求人広告や募集要項の作成

採用活動におけるAIの活用として最も身近なのが、求人広告や募集要項、スカウトメールの作成でしょう。

求人媒体やホームページに掲載する募集要項・アピール文などは、文章作成が苦手な人事担当者にとって大きな負担となっていました。しかし、生成AIを活用すれば、こうした文言も一瞬で出力されます。

より良い文章を出力するためには独特のテクニックを必要としますが、現状でも大幅な時短効果を生み出しています。

候補者の絞り込み・マッチング

AI採用のなかでも活用例が増えてきているのが、候補者の絞り込み(マッチング)です。例えば、過去の入社決定者の応募書類(エントリーシート)の内容をAIに学習させることで、自社に見合った候補者の絞り込みに活かすことができます。

こうした試みは、候補者の絞り込みという時間を要するだけでなく、人事担当者の経験が求められるフローを大幅に効率化できます。

なお、AIによる候補者の絞り込みについては、自社内で積極的にAIを活用していなくても、知らず知らずのうちに利用している可能性があります。

求人媒体(転職サイトなど)がシステムにAIを活用しており、自社が登録した条件に合致した人材を自動マッチングしてくれる……といったサービスがすでに提供されているからです。

AI面接

AI面接は現状、2つの取り組みを含む言葉となっています。ひとつは、AIが面接官を担当するというものです。面接官側のスケジュールを調整する必要がなくなるため、負担減だけでなく、選考のスピードアップが期待されます。

もうひとつは、AIによって候補者の表情や話し方から、より深く候補者の内面を探るというものです。この方法は、候補者を評価する際にどうしても根拠が曖昧になる「人柄」や「雰囲気」などを定量化し、評価の根拠の可視化につながります。

AI採用によって得られるメリット

上で解説したとおり、一口にAI採用といっても様々な活用方法があり、どの採用フローでAIを用いるかによっても効果は異なります。ここでは、AI採用によって得られるメリットの一部をご紹介します。

業務の効率化・採用担当者の負担減

AI採用によって得られる代表的なメリットとして、業務の効率化とそれに伴う採用担当者の負担減が挙げられます。

応募書類の確認・評価や、求人票の制作を始めとした文章作成など、これまで採用担当者の業務を圧迫していた採用フローをAIに任せることで、圧倒的な負担減を実現します。その分、他のコア業務やAIで代替できない業務に注力することができるので、採用活動の質も高まることでしょう。

バイアスの排除

AI採用で得られるメリットのなかでもとくに特徴的なのが、バイアスの排除です。

バイアスとは、先入観や偏見、傾向の偏りといった意味で、人間が意志決定を行う際に少なからず生じてしまうものです。採用においては、類似性バイアスやハロー効果などが評価を狂わせるバイアスとして有名です。

AIを活用することで避けられないバイアスを排除し、公正な評価を下しやすくなることが期待されます。なお、バイアスについては「ビジネスにおけるバイアスの種類とその対策」でも詳しく解説しています。

関連記事:「ビジネスにおけるバイアスの種類とその対策」

マッチング力の向上

AIの力がとくに発揮される採用フローとして、マッチングが挙げられます。AIは人間の手では処理しきれないような大量のデータを分析することが得意です。これを活かして、社内や業界で活躍する人材の特徴などを分析し、人の目だけでは見落としてしまうような人材の発掘・マッチングを実現するといった成果が期待されます。

採用活動にAIを活用する際のデメリット・注意点

AI活用はまだまだ発展途上であり、思いも寄らないリスクが生じる可能性があります。ここでは、採用活動でAIを活用する際のデメリットや注意点をお伝えします。

差別的な傾向を助長する恐れがある

AI採用のメリットとして「バイアスの排除」を挙げましたが、実はAI採用では差別的な傾向が含まれるリスクが指摘されています。実際に海外の事例では「黒人に多い名前の人物に対して低評価を与えた」「休職期間のある人物を候補から排除した」といった問題も生じています。

参考:WIRED「“AI面接官”が採用面談をする時代がやってきた」

現状では、人の目によるチェックも欠かせないといえるでしょう。

応募の減少や選考辞退につながる恐れがある

採用活動にAIを活用することで、応募の減少や選考辞退につながる恐れがあります。

日本は諸外国と比較しても生成AIの利用について大きく遅れを取っており、AIが面接官を務めるなど想像すらしていない人もいるはずです。「AIに自分の何がわかるのか」といった忌避感を覚えることは想像に難くなく、応募者の立場からすると面接官の人柄を通して会社の良し悪しを判断する部分もあります。

実際に前述のマイナビ「転職動向調査」によれば、AI面接があることで6割以上の人が「受験意欲が下がる」と回答しています。現状で面接をAIで代替することは、デメリットもかなり多いのが現状です。

会社規模によってはAIを上手く活かせない場合がある

一部のAI採用は、会社規模によってはAIを上手く活かせない場合があります。AIはデータ量が増えるほど、その精度を上げていきます。歴史の長い大企業であればこれまでの採用活動の蓄積を活かすことができますが、そもそも蓄積の少ない中小企業ではAIの学習の元になるデータ自体が集まらない可能性があります。

AI採用を推進する際は、導入コストと期待される成果を踏まえて検討すべきでしょう。

採用活動にAIを活かすために必要なのは「数字力」

生成AIを活用して文書作成を行うくらいであれば、明日からでもAI採用を推進することができます。ただ、自社に合った人材とのマッチングなど、より高度にAIを活用していくためにはデータリテラシーが不可欠です。

とはいえ、採用担当者にいきなりAI活用の研修を実施しても、あまり効果は得られません。業務にAIを結びつける「習慣」がないからです。例えば、社内に蓄積された人事データをAIに分析させる場合、どのような方向性でデータ処理を行うかがポイントになります。

しかし、ビジネスパーソンのなかにはデータや数字に苦手意識を持つ人も多く、一足飛びで

AIを活用したデータ分析を学ばせようとしても、なかなか成果は上がりません。AI採用を推進したいのであれば、まずは社員に数字やデータに慣れてもらうことから始めるべきなのです。

そこでご活用いただきたいのが、弊社オルデナール・コンサルティングが取り組む「数字に苦手意識を持つ普通の人」に向けた教育――「ビジネス数学研修」です。

弊社の研修では、数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。 実際のビジネスシーンを想定して、実務で活きる数字・データの活用方法を学んでいきますので、どのような場面でAIが活きてくるかもイメージしやすくなるでしょう。

「社内にデータ活用のノウハウがない」「採用活動に行き詰まっているので、なんとかAI採用で打開したい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修をご検討ください。

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