企業側に必要なインターンシップの受け入れ準備

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2022年よりインターンシップを採用活動に活かすことが認められ、インターンシップの受け入れを進めている企業も多いことでしょう。

インターンシップの受け入れを成功させるためには、インターンシップの目的を明確にしたうえで、選考方法やプログラム、受け入れ部署など様々な事柄を定めていく必要があります。

今回は、法改正によって一新されたインターンシップの種類を確認したうえで、インターンシップの受け入れの準備・流れについて解説していきます。

企業がインターンシップを受け入れる目的

企業がインターンシップを受け入れる目的は、「採用活動の成功」に集約されます。

そもそも政府の定義によれば、インターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義され、取得した学生情報を採用活動に使用することは禁止されていました。

引用:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」

しかし、2022年に「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が改正され、2025年卒の学生(2023年時点で大学3年生)より、一定の基準を満たしたインターンシップであれば、採用活動につなげることが認められました。

これにより、企業は大手を振って採用を目的としたインターンシップを行うことができるようになったわけです。具体的に企業がインターンシップを受け入れる目的としては、以下のような事柄が挙げられます。

ミスマッチの防止

インターンシップはミスマッチの防止に高い効果を発揮します。どれだけ選考を通じて互いにやり取りを重ねても、実際に就業してみないとわからないことはあり、ある程度のミスマッチは生じてしまうものです。

その点でインターンシップは、学生側からすれば職場の雰囲気を体験できる機会となり、企業側からすれば働きぶりを確認できる機会となります。双方にとって認識の相違を解消するためのこれ以上ない方法であり、両者にとって大きなメリットといえます。

優秀な人材の早期囲い込み

インターンシップは、優秀な人材の早期囲い込みにつながることが期待されます。

通常、インターンシップは採用活動が本格化する前に実施されます。この段階で志望する企業を決めてインターンシップの参加を目指す学生もいますが、多くはなんとなく気になっている業界・職種を体験するためにインターンシップへ参加します。

そのため、知名度に劣る中小企業でも、インターンシップなら優秀な学生からの応募を集められる可能性が高いといえます。インターンシップを通じて学生に自社の魅力を感じてもらえれば、その後の就職活動での応募につながり、企業にとっては期待値の高い母集団を形成できるでしょう。

入社時から即戦力になる

あくまでもインターン生が自社へ入社してくれた場合に限りますが、インターンシップを経ていると入社時から即戦力として活躍できます。インターン中に業界知識や仕事の流れを学んでおくことが、実質的な新人研修になるからです。

これは実際に業務を任せる期間が長いほど顕著になる効果で、学生にとっても実践的な就業体験となるため、双方にとってのメリットといえるでしょう。

インターンシップの種類(分類)

ここではインターンシップの種類・分類について、政府の定義を参考にしつつ解説していきます。現在はインターンシップ制度の過渡期にあるため、旧来の呼び方も並行してご紹介します。

インターンシップの受け入れで必要となる準備は、実施するインターンシップの種類によって異なります。インターンシップで達成したい目的とその内容を照らし合わせて、検討していきましょう。

また前提として、インターンシップで得た情報を採用活動に活かす場合は「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の基準を満たしていなければならないので注意しましょう。

参考:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」

オープンカンパニー

オープンカンパニーは、従来「1day・短期インターンシップ」と呼ばれていた取り組みで、今後はインターンシップには含まれません。

実施期間は、1日または2、3日ほどで行われます。内容は「セミナー型」と呼ばれ、事業説明や自社での業務の流れ、現場の社員を対象とした質疑応答などが中心となります。主に企業のPRを目的として実施されるのが、オープンカンパニーの特徴です。

従来の会社説明会の延長で実施できるため、学生の受け入れに特別なノウハウを必要としませんが、取得した学生の情報を採用活動に活かすことは認められていません。

キャリア教育

キャリア教育は以前まで主に「中期インターンシップ」に分類された取り組みで、こちらも今後はインターンシップには含まれません。

実施期間は1週間ほどで、内容は「プロジェクト型」と呼ばれ、グループワークや就業体験などが行われます。「新商品・サービス案の提案」などを課題として提示することが多く、学生の先入観のない意見が、思わぬビジネスチャンスにつながることもあります。

ただ、「オープンカンパニー」と比べて課題の作成や学生の指導など受け入れのハードルが上がる一方で、取得した学生の情報を採用活動に活かすことは認められていません。そのため、実施意図をより明確にすることが求められる取り組みとなっていくでしょう。

汎用的能力・専門活用型インターンシップ

汎用的能力・専門活用型インターンシップは、以前までは「長期インターンシップ」または「就業型インターンシップ」に分類されていた取り組みです。

その名のとおり、この取り組みから正式に「インターンシップ」と名乗ることが許され、採用活動開始以降に限り、取得した学生情報を採用に活かすことが認められます。なお、汎用的能力・専門活用型インターンシップは以下のような基準を満たす必要があります。

〈基準の例〉

・参加期間は汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上

・就業体験を必ず行い、参加期間の半分以上の日数を就業体験にあてる

・学部3、4年ないしは修士1、2年の長期休暇期間に実施

・実施場所は職場

以前は「就業型」と呼ばれていたように、インターン生は実際に配属されて仕事を受け持ちます。学生に良い経験を積ませるためにはフォロー体制を万全にする必要があり、給与を支払う義務も生じます。

そのため、人事部のみならず、全社的に受け入れ体制を整えなければいけませんので、念入りに準備を整えたうえで実施しましょう。

高度専門型インターンシップ

高度専門型インターンシップは、法改正によって新たに設置されました。現在は試行段階であり、詳細は今後判断されます。

インターンシップの受け入れ準備の流れ

ここからは、インターンシップの受け入れに必要な準備とその流れについて解説していきます。

目的と実施期間の決定

まず、インターンシップの目的を明確にしておき、そのうえで種類と実施期間を定めましょう。インターンシップの種類によって、受け入れに必要な準備が異なるからです。

母集団形成を促進したいのであれば「オープンカンパニー(1dayのセミナー型)」、優秀な人材の囲い込みをしたいなら「汎用的能力・専門活用型インターンシップ(長期インターンシップの就業型)」といった具合で方針を定めましょう。

選考(参加)方法の決定

インターンシップの選考(参加)方法も事前に決めておきましょう。大まかには、以下の3つの方法が考えられます。

・選考型

・先着型

・(全員)参加型

基本的に選考(参加)方法は、インターシップの種類とセットで考えてよいでしょう。「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」であれば「選考型」、「オープンカンパニー」であれば「参加型」がベターです。「キャリア教育」の場合は、プログラムの内容や会場の規模などを考慮して「先着型」または「選考型」で検討しましょう。

なお「選考型」の場合は、事前に選考基準を定めておく必要があります。

プログラムとスケジュールの設定

「オープンカンパニー」または「キャリア教育」を行う場合は、事前にプログラムとスケジュールを決めておきましょう。このとき、漫然と会社案内や事業説明を行うのではなく、学生がインターンシップに求めていることを把握したうえでプログラムを決めていくことが大切です。

「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の場合は、新入社員を受け入れるようなイメージで研修のプログラムとスケジュールを設定します。

受け入れ部署やメンターの選定

担当部署またはメンターの選定もあらかじめ明確にしておく必要があります。

基本的に応募者とのやり取りや選考は人事担当者の仕事となるでしょうが、「オープンカンパニー」であれば講師役、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」であれば受け入れ部署など、インターンシップに関わる人員を明確にしておきましょう。

また、とくに学生が就業する際には、指導や助言に責任を持つメンターを選定しておくことも大切です。

社内向けインターンシップ研修の実施

インターンシップ研修は学生を対象としたものと考えられがちですが、近年ではインターンシップを成功させるために「社内向けインターンシップ研修」を実施する企業が増えています。

「なぜインターンシップを実施するのか」「どのようにインターン生に接すればよいか」などを全社的に普及させるために研修を実施します。

とくにインターンシップという文化がなかった世代は、インターン生をアルバイトとして見てしまう傾向にあります。一人の態度がインターン生の自社への入社意欲を削ぐだけでなく、他の学生への悪評につながってしまう恐れもあります。

インターンシップ研修については「インターンシップ研修とは 学生向けと社内向けで異なる目的と内容」でも詳しく解説しています。

関連記事:インターンシップ研修とは 学生向けと社内向けで異なる目的と内容

各種書類の準備

インターンシップでは、各種書類の準備も必要となります。数日以上、学生が社内で活動するのであれば、秘密保持や情報漏洩に関する念書などが必要となるでしょう。

また、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」で業務に携わる場合は、インターンシップといえども雇用契約や業務委託契約を結ばなければいけません。

アンケートの準備

継続的にインターシップを実施していくのであれば、アンケートの準備も欠かせません。インターン生の満足度向上のヒントを探るために、学生が求めていることやインターン中に不満だった点などを聞き取り、改善に活かしていきましょう。

まとめ

2022年に「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が改正され、一定の基準を満たしたインターンシップであれば、正式に採用活動につなげることが認められました。

これにより、採用活動におけるインターンシップの重要性はますます高まっていくことが予想されます。インターンシップの受け入れ体制によって、採用活動の成否が分かれてしまう日もそう遠くないでしょう。

まずはインターンシップを行う目的を明確にしたうえで、実施するインターンシップの種類を選択し、それに沿って必要な受け入れ準備を整えていきましょう。

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