昇格基準とは 昇進と昇格の違いや要件を解説

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昇格基準とは、等級制度を導入する企業において、等級を上げる際の基準のことです。

等級制度には「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」があり、それぞれ異なる評価軸の昇格基準が設けられます。

今回は昇格基準をテーマに、昇進と昇格の違いや等級制度の種類、昇格基準の要件などを解説しています。

昇格基準とは

昇格を辞書でひくと「格式や階級、地位などが上がること」とあります。ビジネスではもう少し詳細に「等級制度を導入する企業において、等級が上がること」という意味で用いられます。一般的に等級が上がるほど、給与が上がったり、仕事上の権限が広がったりします。

つまり昇格基準とは、等級制度を導入する企業において、等級を上げる際の基準のことです。等級制度には「職務等級制度」「職能資格制度」「役割等級制度」があり、それぞれの評価軸によって従業員の等級が定められます。

昇進と昇格の違い

昇進と昇格は混同されやすいので、両者の違いを解説しておきましょう。

昇進とは「職務上の地位(職位)が上がること」です。例えば、職位が係長から課長に上がることが昇進です。昇進によっても給与が上がったり、仕事上の権限が広がったりするので、この点は昇格と共通する部分といえるでしょう。

まず、昇進と昇格の違いとして肩書きが挙げられます。昇進によって名刺などにも「○○課課長」と表しますが、昇格は対外的に公表するものではありません。

また、昇格したからといって、必ずしも昇進につながるわけではないというのもポイントです。例えば、一般職の1等級から2等級に上がっても給与が増えるだけで役職はつかないという場合が多々あります。ただ、2等級から3等級に上がった際に「主任」になるなど、昇格と昇進が連動する場合もあります。

もう一つのポイントは、昇格には人数の上限はないが、昇進には上限があるというのも重要な違いです。昇進の条件を満たしても「部長のポストに空きがない」という状態であれば、当然ながら昇進はできません。

等級制度の種類

等級を定め方は、大きく「能力軸」「職務軸」「役割軸」の3種類に分けられます。以下、それぞれの等級制度について解説していきます。

能力軸:職能資格制度

能力軸によって等級を定める仕組みが「職能資格制度」です。

職能資格制度では従業員の職務遂行能力を基準として格付けしていき、等級を定めます。職務ではなく「従業員の能力」を評価することから、一般職として入社した後、ジョブローテーションで人材を育成していく日本型雇用制度に即した制度といえます。

またその性質上、終身雇用制度と年功序列の考え方が色濃く反映されており、基本的に等級が下がることはありません。

デメリットとしては「高齢の従業員が増えるほど人件費がかさむ」「等級の定義が曖昧になりやすい」などが挙げられます。

職務軸:職務等級制度

職務軸によって等級を定める仕組みが「職務等級制度」です。ジョブグレード制度と呼ばれることもあり、欧米を中心として採用されている制度です。

職務等級制度では職務内容の難易度や価値を定めて、それに応じた等級を設定していきます。勤続年数や学歴は評価対象にならず、業務を基準に人材を配置する点が大きな特徴です。

等級の基準となる職務内容については「職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)」に一覧化されますが、この職務記述書を作成するのが制度導入時の最大の障壁となります。また「任された仕事以外はしない」といった意識が根付きやすくなるのも、日本社会に馴染まないデメリットのひとつです。

役割軸:役割等級制度

役割軸によって等級を定める仕組みが「役割等級制度」です。ミッショングレード制度と呼ばれることもあります。

役割等級制度は従業員に課した役割に応じて等級を設定する制度であり、職能資格制度と職務等級制度のハイブリッド型といわれています。

実は役割等級制度にはまだこれといった定義がなく、「役割」の定め方も企業によって異なります。例を挙げると「勤続年数を問わず評価する」「同じ役職でも業務内容の重要度によって等級が変化する」「職務記述書よりも簡易的に職務が表現される」などの特徴があります。

歴史の浅い制度であることから運用は手探りになるため、導入のハードルは高いといえるでしょう。

昇格基準の要件

ここからは、一般的によく昇格基準として設定される要件について解説していきます。

勤続年数

職務等級制度において軸となる要件が勤続年数です。「自動昇格」と表現される場合もあります。年功序列の考え方が反映されており「勤続年数が長いほど経験を積んで能力がある」と評価されるわけです。

ただ、勤続年数が必ずしも実際の職務遂行能力や成果と連動するわけではありません。そのため、公平性を欠いて反発も生まれやすい要件といえるでしょう。

目標の達成度

目標の達成度も昇格基準の要件として代表的です。主に目標管理制度(MBO:Management by Objectives)と連動させて、その達成度を評価していきます。

そもそも目標管理制度とは、会社の経営方針と社員個人の目標をリンクさせた上で、目標達成に向けたマネジメントを行う仕組みです。最大の特徴は社員自らが目標を設定する点にあり、その達成度が人事評価に直結することから評価の透明化が進みます。

デメリットとしては「達成困難な目標を強制されてモチベーションが下がる」「設定した目標以外の仕事をしなくなる」「評価を受けやすくなるように簡単な目標を設定してしまう」などが挙げられます。

なお、目標管理制度については「目標管理制度(MBO)とは 運用方法やデメリットを解説」で詳しく解説しています。

面接や試験

面接や試験も代表的な昇格基準の要件です。適性試験を実施して定量的に能力を測ったり、面接によって人柄や意欲を見極めたりと、多角的に昇格に足る人物かを見極めていきます。

資格の保有

資格の保有(取得)も昇格基準の要件として一般的です。IT企業であれば「ITパスポート」、製造業であれば「危険物取扱者」など、職務遂行上で必要となる資格や能力を証明する資格を保有または新たに取得することが昇格の要件となります。

研修の受講

研修の受講が昇格要件となる場合があります。例えば、昇格して「部下を持つ」「プロジェクトリーダーを務める」といった立場になる前に、マネジメント研修やハラスメント研修などを受講することが条件付けられるわけです。

また、研修の受講だけでなく、研修後に実力テストを実施して合格点を取ることを要件とする場合もあります。

上長の推薦

主に昇格と昇進が重なる場合、上長の推薦を昇格の要件とする場合があります。

業績や能力面の保証はもちろんですが、推薦ではむしろ定量的に表しにくい性格面の強みや、昇格・昇進後の活躍が見込まれる根拠などが求められます。

公平な昇格基準を設けるためのポイント

最後に、公平な昇格基準を設けるためのポイントをお伝えしてきます。

評価基準の公開

公平な昇格基準とするためには、評価基準を公開して透明性を保つことが大切です。とくに「何をすればいいのか」「どんな役割を果たせばいいのか」を誤解のない表現で示すことが大切です。

例えば「クライアントの信頼を得る」という要件を設ける場合、「何を持ってクライアントの信頼を得たとするか」を明確に定めておかないと、納得感が生まれません。この場合は「リピート率」や「クレーム率」など、客観的に計測できる基準があると公平性が保たれるでしょう。

社員に関するデータの整備・管理

公平な昇格基準を設けるためには、社員に関するデータの整備・管理が求められます。

勤続年数や保有資格、勤怠、現在の等級の期間など、等級基準の要件に関するデータを一括で管理し、実際に活用していくことが求められます。

また「昇格が停滞していないか」「逆に過剰な昇格が生じていないか」など、適正な昇格基準として機能しているかをデータから検証することも大切です。

公正な昇格基準の設定には「数字力」が欠かせない

「評価基準の公開」で解説したとおり、公正な昇格基準を設けるためには定量的な基準の設定が求められます。ただ、数字やデータを参照すれば必ず公平な評価になるかといえば、そう単純でもありません。

例えば、下の表は弊社の「ビジネス数学研修」で出題している課題で、「この5店舗のなかから優秀店をひとつ選び、報奨金を与えるとします。あなたはどの店舗を選びますか」というものです。

上の表から優秀店を選ぶ際には、以下のような評価基準が考えられます。

・売上が一番高い店舗

・従業員が効率的に働いている店舗

・店舗面積から効率的に売り上げている店舗

単純に「最も売上高の良い店舗」で選ぶと、従業員数や総床面積で劣っている店舗が不利になりそうですよね。しかし現実には、都心の一等地のように総床面積や従業員数で劣っていても高い売上を上げる店舗もあります。

これは昇格基準においても共通します。仮にクレーム率を昇格基準に設定した場合「地域の治安などによる不公平感はないか」などを検討する必要があるわけです。このようにビジネスでは、数字やデータをもとに考えても必ずしも公平にならないシチュエーションが多々あるわけです。

いずれの基準を選ぶにしても、ここで注意すべきなのは「評価基準が変わると結果(選ぶ店舗)が変わる」ということで、これは昇格基準においても共通します。

では、納得感のある昇格基準を設けるためには、何が必要となるのでしょうか。その答えが弊社の研修でお伝えしている「数字やデータから素早くポイントを見つけだし、相手にわかりやすく伝える力ーー数字力」です。

弊社の研修プログラムは、受講者のレベルに合わせて「入門編」から「実践編」の4段階をご用意しておりますので、評価者が「昔から数学やデータが苦手で……」といった数字に苦手意識を持つ方でも安心してステップアップしていくことができます。

弊社の「ビジネス数学研修」について、少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。「もっと詳しく知りたい!」と思っていただけましたら、お気軽に以下のリンクからお問い合わせください。