営業におけるクロージングとは、契約・取引の締結といった営業活動の最終段階を意味します。
クロージングではifクロージングや二者択一法などのテクニックを駆使しつつ、「事前にBANT情報を把握する」「ゴールデンサイレンスを妨げない」といったコツを押さえることで成約率が向上していきます。
今回は営業におけるクロージングについて、具体的なコツやテクニック、クロージングまでの流れなどを解説していきます。
営業におけるクロージングとは
営業におけるクロージングとは営業活動の最終段階を意味し、具体的には契約・取引の締結などを指します。
クロージング(closing)を辞書でひくと「閉幕」「取引を完了すること」といった意味ですが、営業活動においては契約に至るまでのトークや最後の一押し、不安の解消などを含めて「クロージング」と表現することが多いようです。
営業におけるクロージングの重要性
クロージングは成約率に直結するフェーズであり、クロージングの失敗は売上の低迷以上のマイナスを招きます。
クロージングで失敗するということは、野球でいえば満塁にしても点が入らない、サッカーでいえばゴール前まで運んでも点が入らないようなものです。得点圏や決定機でチャンスを逃し続けるとチーム全体の雰囲気まで悪くなり、試合の流れを掴めなくなりますよね。これはビジネスにおいても同じです。
組織として売上高の増加を目指す際には、マーケティングによって母数を増やす取り組みが重要視されがちです。もちろん、それも重要な取り組みであることは間違いないのですが、母数が増えてもクロージングでの失敗が多いままだと「チャンスだけが増えて、なかなか得点に繋がらない」という状況に陥ってしまいます。ですから、見込み客を成約に導くクロージングがとりわけ重要となるのです。

営業のクロージングまでの流れ
営業のクロージングまでの流れを紐解いていくと「テストクロージング」「クロージング」「契約締結」の3ステップに細分化することができます。それぞれ解説していきましょう。
テストクロージング
テストクロージングは、クロージングのタイミングを確かめるために顧客の購入意欲や疑問などを確かめる取り組みです。
具体的には、以下のような質問を投げかけて顧客の反応を確認していきます。
「サービス(商品)について気になった点はございますか?」
「導入にあたり、ご懸念される点はございますか?」
なお、テストクロージングによって顧客の納得感などが不足している場合は、不安や疑問の解消に向けてさらにコミュニケーションを重ねていきましょう。
クロージング
テストクロージングで顧客の購買意欲を確認できたら、クロージングに進みます。最終的な意志決定を促すために、導入(購入)後のイメージが描きやすくなるような働きかけをしていきます。
具値的には、自社サービスによって得られるメリットを数値で示したり、近しい条件の先行事例を紹介したりと、信憑性を示すことがポイントとなります。また、実際に決済権を持つ人物の懸念点を解消することも重要になるでしょう。
契約締結
クロージングが成功すれば、いよいよ契約締結です。このプロセスでは、契約書へのサイン・捺印といった手続きのみならず、サービス導入後のトラブルが起きないように契約内容や規約について相違点がないかを確認することが大切です。
また、アフターフォローの案内をすることも、顧客の安心につながるでしょう。

営業におけるクロージングのテクニック・手法
クロージングのテクニック・手法として「ifクロージング」「二者択一法」「緊急性の強調」「アンカリング効果」などが挙げられます。それぞれ解説していきましょう。
ifクロージング
ifクロージングとは「もし○○だったら」といった仮定を用いて、顧客にサービスの利用や導入後のイメージを具体的にイメージしてもらう手法です。
とくに、顧客が検討段階で悩んでいるときに「もしご購入されるなら、どのようなシチュエーションでの使用されますか」といった質問を投げかけることで、自然と「買うかどうか」から「買ってからどうするか」に意識が切り替わり、購買意志を引き出すことができます。
二者択一法(選択話法)
二者択一法(選択話法)とは、相手に2つの選択肢を提示してどちらかを選択してもらう手法です。
例えば、商品を購入するかで悩んでいる顧客に対して「白と黒のどちらがお好みですか?」と二者択一の質問を提示することで、顧客の思考は「どちらかを選ぶ」に切り替わります。これによって「購入しない」という選択肢を消すことができるわけです。
これはアポイント獲得時などにも有効です。「ご都合の良い日はありますか」と尋ねるよりも「来週と再来週なら、どちらがご都合がよいでしょうか」と尋ねることで、都合の良い日にちを聞き出せる可能性が高まるでしょう。
緊急性の強調
クロージングを成功させるためのテクニックとして、緊急性の強調も効果的です。
クロージングにおいて、顧客の「今でなくてもいいか」といった引き延ばし思考は成約率を下げる原因となります。こうした「現状維持バイアス」を打ち消すためには「期間限定の特別価格」や「数量限定」などを設定し、「いま購入しないと損をする」という緊急性の心理を揺さぶることが有効な手段となります。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、事前に得ていた情報や数値によって、後の意志決定が変化する心理作用のことです。
例えば、最初に高価格帯の製品や割高な競合他社の事例などを提示し、その後に本命の低価格帯の製品を提案することで、お得感を感じやすくなるというバイアスが働きます。「松・竹・梅」の価格設定で竹や梅を選んでしまうのも、アンカリング効果の典型例です。
なお、アンカリング効果については「アンカリング効果とは 具体例やフレーミング効果との違いを解説」でも詳しく解説しています。
営業におけるクロージングのコツ
最後に、すぐに取り入れることができるクローニングのコツをお伝えしていきます。
事前にBANT情報を把握する
BANT情報はヒアリングのフレームワークで、法人営業(BtoB営業)時に確認すべき情報がまとめられています。BANTは以下の単語の頭文字によって構成されています。
Budget(予算):予算はどの程度の金額か
Authority(決裁権):決裁者は誰なのか
Needs(必要性):自社商材を導入(購入)する必要はあるか
Timeframe(導入時期):商材を導入したい時期はいつか
例えば、自社が提案できるサービスの最低価格が30万円なのに顧客の予算が10万円しかないのであれば、いくら熱心に提案しても成約には結びつきません。また、決裁権のない現場担当者を満足させる提案ができても、決裁者を動かすことができなければクロージングの失敗につながります。
このように、BANT情報は成約率に直結する重要な要素であるため、クロージングの前にヒアリングを済ませておく必要があります。
ゴールデンサイレンスを妨げない
ゴールデンサイレンスとは、提案後に訪れる、顧客が考えているあいだの沈黙のことです。
商談中に沈黙が訪れると、つい必要以上に会話を続けようとしてしまうものです。しかし顧客側の立場からすれば、検討しているあいだに話しかけられると気が散ってしまい、考えがまとまらなくなってしまいます。
顧客が沈黙して考えている時間は口を出さず、相手からの言葉を待つほうが結果的に成約に結びつく確率が上がるわけです。

クロージングの成功率を高めたいなら根拠となるデータを示そう
クロージングの成功率を高めたいのなら、根拠となる数字やデータを示すことが非常に有効な手段となります。データが顧客にとっての不安の種である、品質や信憑性への懸念を払拭してくれるからです。
逆の立場でも、関係性の薄い営業から「品質は私が保証します」と言われても、なかなか信用できませんよね。しかし「導入企業で平均◯%の向上が確認されています」と品質に関するデータを示されれば、一定の安心感を得られるはず。数字やデータで客観的な事実を示すことで導入(購入)後の成功をイメージしやすくなり、不安が解消されるからです。
しかし、営業職として活躍される方でも「商談で数字・データを活用するのは苦手」という方はいます。実際、学生時代に数学で躓き、数字やデータに対して苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。こうした状態でデータ活用研修などを受けても、苦手意識が邪魔をして成果が出ない場合がほとんどです。
では、数字やデータに対する苦手意識をどう払拭すればいいのか。その課題に取り組むのが、弊社の「ビジネス数学研修」なのです。弊社の研修は「数字やデータに対する苦手意識の解消」を目的のひとつとしており、ビジネスにおける数字・データの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいきます。
データを活用したわかりやすい提案資料の作り方や、データを根拠とした意思決定のやり方など、具体的なビジネスシーンを想定した演習を繰り返していきますので、実務で役立つスキルが身につきます。
なお、弊社は企業向け研修だけでなく、個人でビジネス数学を学べるオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」も運営しております。サロンでは時事ネタなどをテーマとして、楽しみながら数字やデータに触れてスキルアップできる環境が整っています。
「社内のクロージング率が思うように向上しない」「データをもとにした説得力のある提案を行いたい」といった課題にお悩みでしたら、ぜひ弊社の研修やオンラインサロンをご活用ください。
オルデナール・コンサルティング合同会社は「ビジネスで活用する数字力向上」に特化した人材教育サービスをご提供します
続きを読む