ジェネレーションギャップとは 職場での例や対応方法について解説
ジェネレーションギャップとは、価値観の違いや知識等の格差によって生じる世代間の断絶です。社会情勢や技術の発展などを背景として、時代ごとに価値観や行動様式は変化するため、ジェネレーションギャップが生まれることは避けられません。
なかでもジェネレーションギャップが生じやすいのが職場であり、報連相やワークライフバランスの考え方など、様々な場面で世代間のすれ違いや衝突が起こります。
今回は、ジェネレーションギャップについて、職場での代表例やその対応方法について解説していきます。
ジェネレーションギャップとは
ジェネレーションギャップとは、価値観の違いや知識等の格差によって生じる世代間の断絶のことです。
国民性のように世代を問わず共通する気質がある一方、社会情勢や技術の発展などを背景として、時代ごとに価値観や行動様式は変化します。そのため、ジェネレーションギャップが生じることは避けられません。
なかでもジェネレーションギャップが顕在化しやすいのが、職場です。社会に出るまで……つまり学校という環境は同年代で形成されるため、ジェネレーションギャップは生じません。
しかし社会に出れば、幅広い年代と協調して同じ目標に向かって行動を共にする必要があるため、少なからずジェネレーションギャップが生じてしまうのです。
Z世代の特徴
いま多くの企業が頭を悩ませているのが、Z世代とのジェネレーションギャップでしょう。Z世代に厳密な定義はありませんが、多くの場合1990年代半ばから2010年ころまでに生まれた世代を指します。「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」と呼ばれ、以下のような特徴を持つといわれています。
・ネットリテラシーが高い
・SNSを行動の起点にする
・保守的な傾向
・多様性を重んじて自分の価値観を大切にする
・コスパやタイパといった効率性を重んじる
これらの特徴から、職場においては「チャレンジ精神に欠ける」「残業をしない」とネガティブな評価を受けることも多く、仕事ができないという偏見を持たれがちです。なお、この問題については「「Z世代は仕事ができない」は本当か 育成と定着に必要な取り組みとは」で詳しく解説しています。
職場におけるジェネレーションギャップの例
幅広い世代が協調する職場では、必ずジェネレーションギャップが発生します。ここでは、その代表例について解説します。
電話対応
電話対応は、いま職場において最もジェネレーションギャップが大きい業務のひとつといえるでしょう。
一昔前まではどの家庭にも固定電話があり、誰しも一度は電話を取り次ぐという経験をしていました。しかし、携帯電話・スマートフォンを1人1台持つことが当たり前になった現在、「自分宛ではない電話に出る」という経験自体が珍しいことになっています。
そのため、電話対応に苦手意識を持つ若者は多く、「電話は新人が出るもの」と指導された世代との断絶が生まれがちです。
報連相
電話に対する認識とも関連するのが、報連相のジェネレーションギャップです。
コロナ禍のリモートワークでweb会議やチャットツールが普及したことにより、「報告は口頭で」という固定観念はだいぶ薄まってきました。しかし、まだ「欠勤・遅刻の連絡は電話」といった口頭報告のルールが存在する企業は少なくありません。
対して、子どもの頃からメール・SNSを利用してきた世代は、報連相もテキストメッセージで十分だろうと考えます。
このようにコミュニケーションの方法と技術発展は深く関係しているため、世代間の差が顕著になります。報連相については、組織として明確なルール設定が求められるでしょう。
ワークライフバランス
近年、働くうえでの価値観にも明確なジェネレーションギャップが生じています。その代表といえるのが、ワークライフバランスの考え方です。
年功序列・終身雇用制度が運用されていた時代は、仕事を一義的に考え、プライベートを犠牲にしても会社のために働くことが一般的でした。
しかし現在は「管理職になりたくない」と考える人が多数派になっています。実際にJMAMの調査・分析によれば、一般社員の約77.3%が「管理職になりたくない」と回答しています。
参考:株式会社日本能率協会マネジメントセンター「管理職の実態に関するアンケート調査」
こうした価値観の変化は「会社が社員の生活や将来を保証できなくなった」という社会構造の変化によって生じています。そのため、若手世代は当然ながら、ミドル世代も同様に管理職を務めることに消極的な態度を取る可能性が高まります。「ワークライフバランスに関するジェネレーションギャップ」自体は、徐々に解消されていくかもしれません。
飲み会
飲み会は、コミュニケーションの方法とワークライフバランスのジェネレーションギャップが顕著に表れる文化といえるでしょう。
プライベートの時間を大切にする世代にとって、「飲みニケーション」自体がハラスメントと受け取られかねません。「仕事に必要なコミュニケーションであれば、業務時間内に済ませるべき」と考えるからです。
そもそも若者世代のあいだでは、飲酒習慣自体が減少傾向にあります。厚生労働省の調査によれば、「飲酒の頻度」で「毎日」と回答した20代は3.5%しかいないのに対し、50代は19.9%、60代は23.9%と大きな開きが生じています。
参考:厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告 第3部生活習慣調査の結果」
全世代で見ても飲酒習慣は減少傾向にあり、職場の飲み会は失われていく文化なのかもしれません。

職場におけるジェネレーションギャップへの対応
職場においてジェネレーションギャップは必ず生じてしまうものであり、防ぐことは困難です。ポイントは、生じた断絶をどのように埋めるかにあります。ここではその対応方法について解説します。
目的や理由を説明する
職場におけるジェネレーションギャップへの対応として最も重要なのは、目的や理由を説明することです。
例えば「新人が電話を取る」というルールも、非効率的な部分があることは確かです。新人宛の電話がかかってくる確率は低いわけですから、「取り次ぐ」という一手間とタイムラグが生じるのは合理的ではありません。
ただ、新人が電話を取ることで「主要な取引先を覚える」「取り次ぐことで先輩社員の名前と顔を覚える」といった目的があることを伝えれば、新人も納得できるはずです。
「昔からのルールだから」といった非論理的な理由で強制していては、職場での世代間の断絶がさらに深まってしまいます。
時代・社会的な背景を考慮する
新人を指導する立場にある管理職などは、世代ごとの時代・社会的な背景を考慮することが大切です。
例えば、「昇進に興味がない・残業はしない」といった価値観も「終身雇用制度の崩壊」という背景を踏まえれば、「会社に尽くしていれば将来が保証される世代ではない」と尊重・理解できるはずです。
「残業をしない=忍耐力がない」といった短絡的な評価は、断絶しか生みません。なぜそのように考えるのかを深く考えることで、世代間の溝は埋まるのです。
リバースメンター制度の導入
会社全体でジェネレーションギャップを埋めていきたいのであれば、リバースメンター制度の導入がおすすめです。
通常のメンター制度が「先輩社員がメンターを務めて、新人を指導する」というものであるのに対し、リバースメンター制度は「新人や若手社員がメンターを務めて、ベテランに助言を与える」というものです。
内容としては「マーケティング面での若者の意識」や「ITツールの使い方」、近年では「生成AIの活用方法」などが挙げられます。単に若手・ベテランで1on1の機会を設けるよりも目的が明確になり、世代間コミュニケーションが促進されるだけでなく、ベテラン社員のスキルアップも期待できるというメリットがあります。
認識のズレのないコミュニケーション
若者言葉や死語といった表現があるように、言葉は顕著にジェネレーションギャップが反映されます。そのため、とくにビジネスにおいては、認識のズレのないコミュニケーションを心がけることが大切です。
例えば「なるはや(なるべく早く)でお願い」と指示しても、下の世代には意味が伝わらないかもしれません。
こうした伝達ミスを減らすためには、日頃から数字を用いたコミュニケーションを心がけることがおすすめです。数字は世代どころか、国境を越えて共通認識が持てる表現だからです。
「なるはや」も「10日の14時までに」と言い換えれば、誰が聞いても誤解の余地がない表現となります。

「ビジネス数学」でジェネレーションギャップを埋める
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