選抜研修とは メリット・デメリットと導入の流れを解説

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選抜研修とは、特定の職務・ポジションに就かせることを目的として、従業員を一定の基準のもとで選抜して行う研修です。

その目的は、将来的に経営層や管理職として活躍してもらいたい人材を引き上げることにあり、「成長効率が高い」「即戦力として業務に就ける」などのメリットがあります。

今回は、選抜研修のメリット・デメリットや導入の流れ、選抜の対象から漏れた人材へのフォローについて解説していきます。

選抜研修とは

選抜研修とは、特定の職務やポジションに就かせることを目的として、従業員を一定の基準のもとで選抜して行う研修です。多くの場合、幹部候補や重要なプロジェクトへの参加者に対して実施されます。

企業で行われる階層別研修の多くは、すでにその職務に就いている、あるいは就くことが内定している全ての従業員を対象に実施されます。

対して選抜研修は、将来的に特定の職務・ポジションに就くことを期待する人材に対して行うものであり、対象者の引き上げが目的となります。つまり選抜研修の対象となっても、必ずしも幹部や管理職になれるとは限らないわけです。

選抜研修のメリット

選抜研修のメリットとして「成長効率が高い」「即戦力として業務に就ける」「金銭的コストを抑えられる」が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

成長効率が高い

選抜研修のメリットのひとつに、通常の研修と比較して参加者の成長効率が高いことが挙げられます。

全ての従業員を対象とする研修は総花的な内容になりやすく、なかなか自分事として受け取れない場合があります。その点で選抜研修は、選抜した人材に対してピンポイントで研修を行うため、より実践的なプログラムを組みやすくなり、一気に能力が高まる可能性を秘めています。

また、選抜研修への参加自体が会社からの期待を示すものであり、参加者のモチベーションが高まることからも成長効率の向上につながります。

即戦力として業務に就ける

選抜研修を実施することで、対象者が実際にその職務やポジションに就いた際、即戦力として活躍できます。

一般的な階層別研修の多くは、すでにその職務に就いている従業員を対象として実施されます。つまり、後追いで研修が実施されているわけです。対して選抜研修は、その職務やポジションに就く前の段階で実施するため、早期から実務能力や心構えを身につけることができます。

金銭的コストを抑えられる

選抜研修は一部の従業員を対象として行うため、全社員を対象に行う研修と比較して金銭的コストを抑えられるというメリットがあります。

ただ、従業員を選抜するための労力(人的コスト)がかかる点は留意しておきましょう。

選抜研修のデメリット

選抜研修には「選抜外の社員のモチベーション低下」「対象者への負担とプレッシャー」という2つのデメリットが存在します。それぞれ解説していきましょう。

選抜外の社員のモチベーションが落ちる

選抜研修の最大のデメリットは、選抜外の社員のモチベーションが落ちてしまうことです。選抜研修の対象外となることで「会社から評価されていない」「出世コースから落ちた」と感じてしまい、日々の業務に対するモチベーションまで低下する恐れがあります。

選抜研修に選ばれない社員のほうが多いわけですから、この問題は広く悪影響を及ぼします。そのため、このデメリットを懸念して選抜研修の導入を躊躇うケースは少なくありません。

対象者への負担とプレッシャー

選抜研修への参加自体が負担となり、同時にプレッシャーを与えてしまう恐れがあります。

選抜研修は将来を見越した研修ですので、現在の業務に結びつく内容ばかりではありません。そのため「通常業務で手一杯なのに、先のことを学んでいる余裕なんてない」と、精神的にも肉体的にも負担を感じてしまう場合があります。

また、性格によっては会社から選ばれた重圧を感じてしまい、日々のパフォーマンスが低下する恐れもあります。

選抜研修を導入・実施する際の流れ

選抜研修を導入・実施する際の流れを大きく3ステップに分けて解説していきます。

研修の目標(ゴール)の設定

選抜研修の導入にあたっては、まず研修の目標・ゴールを設定しましょう。言い換えるなら、研修を通じて、どのような人材を育成したいのかを明確にしておく必要があります。

ゴールが明確になれば、そこから逆算することで「必要なスキル」「達成にかかる時間」が明らかとなり、研修内容も自ずと定まってくるでしょう。

選定基準の設定

次に、選抜研修の対象者を選定するための基準を設定していきましょう。

マネジメント層の感覚的な推薦だけで選抜すると、えこ贔屓と受け取られてしまう恐れがあります。誰の目にも公平な基準を設けることで、対象から漏れてしまった人から見ても納得感が生まれます。

具体的には、「成績(人事評価)上位者」「在籍年数」「資格等の保持」といった複数の基準を設けて、そこから課題などを提示して能力や本人の意欲を再確認するというのが一般的な流れとなります。もちろん、他薦がいけないというわけではありませんし、公募型で立候補者をふるいにかけていくのもよいでしょう。

対象者の現状把握と研修テーマの決定

対象者を選抜できたら、対象者がどの程度のレベルで、どのような課題を抱えているのかなどの現状把握を進めていきましょう。研修のゴールとして定める「人物像」に対して、乖離している部分を埋めるような研修テーマを設定するためです。

つまり、一般的な階層別研修とは異なり、選抜研修のプログラムは毎回細かくカスタマイズしていく必要があるということです。

例えば新入社員研修であれば、社会人の心構えやビジネスマナーといった内容で固定化している場合が多いと思います。しかし、選抜研修の参加者は年齢や経歴などもバラバラであるため、それぞれ抱えている課題も異なります。そのため、時代のニーズなども考慮しつつ、柔軟に研修の種類(方法)やテーマを設定していく必要があるのです。

選抜研修に漏れた人材へのフォロー

選抜研修の最大のデメリットである「選抜外の社員のモチベーションが落ちる」への対策として、選抜研修に漏れた人材へのフォローについて解説していきます。

多様なキャリアパスを用意する

まず取り組むべきなのが、多様なキャリアパスを用意することです。前述のとおり、選抜研修の対象から漏れることで昇進の可能性が潰えたと感じ、業務へのモチベーションを落としてしまう恐れがあります。こうした失望を防ぐために、選抜研修から漏れても昇進の可能性があると示す多様なキャリアパスを用意しておきましょう。

また、多様なキャリアパスを用意することは、選抜研修の対象者に発破をかける意味でも重要です。「選抜研修に選ばれたから、出世コースに乗った」と胡座をかくことがなくなるからです。

選抜基準を周知する

選抜基準を明確にすることは当然ながら、それを秘匿せずに周知することも欠かせません。自分で選抜に漏れた理由に気づければ、その部分を伸びしろとして改善に取り組めるからです。

また、評価基準に対して納得感を得るためには、できるだけ定量的な評価を示し、誰の目にも公平に「何が、どれくらい足りなかったか」がわかるように設定することが理想です。選考基準が不明瞭だと「縁故」「贔屓」といった声が挙がりかねないので、時間と労力をかけても評価基準を作り込むことが大切です。

学習機会の提供

選抜研修から漏れた従業員がスキルアップに励めるように、学習機会を提供することも大切です。

キャリアパスや納得感のある選考基準を用意しても、選抜研修の対象者との差を埋めるための手段がなければ意味がありません。とはいえ、選抜研修と全く同じ研修を実施しては、今度は選抜研修の対象者のモチベーションが落ちてしまいます。

具体的には、eラーニングや書籍購入制度といった自己啓発の手段を充実させて、自発的な成長を促すのがよいでしょう。

選抜研修で”ざっくり”と財務諸表を学ぶべき理由

選抜研修の実施にあたり、研修プログラムの選定に悩む人事担当者も多いと思います。そこでおすすめしたいのが、会社にまつわる「数字」について学ぶ研修です。管理職になれば部門の業績目標の作成などを担うため、会社にまつわる様々な数字を読み解く力が求められるからです。

ただ一方で、大半のビジネスパーソンは会計やファイナンスを縁のないものと感じていて、難解な専門用語にも苦手意識を持っています。

こうした苦手意識は早いうちから解消しておき、「会社の数字」を身近にすることが重要となります。弊社ではそのための研修プログラムとして、経理や財務とは無縁な一般職の方々を対象とした「”ざっくり”学ぶ財務諸表」研修をご提供しております。

「財務諸表は『しっかり』と学ばないと駄目だろう」と思われるかもしれませんが、専門職以外であれば「ざっくり」と学ぶだけでも企業分析などに役立ち、様々なビジネスシーンで活用できます。なにより幹部や管理職を目指すのであれば、早いうちから「会社の数字に興味を持つこと」が重要なのです。

もう少し「”ざっくり”学ぶ財務諸表」研修について知りたいとご興味をお持ちいただけましたら、まずはぜひこちらの動画をご覧ください。

研修紹介動画:「”ざっくり”学ぶ財務諸表」