研修転移とは 研修の課題や学びを実務に活かすポイントを解説

#おすすめ記事#教育担当者向け#研修商品#研修運営#経営者向け

研修転移とは、研修での学びがビジネスシーンで活かされ、成果が生み出されることです。各種調査からも、多くの研修は実務に結びつきにくいことが示されており、研修転移の重要性が注目されています。

実際に研修転移を阻害する原因として「研修にまつわる3つの課題」が存在しており、これらを踏まえて研修転移につながる取り組みを推進することがポイントとなります。

今回は、研修転移の概要や注目される背景、研修にまつわる課題、研修転移を成功させるポイントについて解説していきます。

研修転移とは

研修転移とは、研修で学んだ知識やスキルが実際のビジネスシーンで活かされ、成果が生み出されることです。

そもそも社員研修の目的は、社員が知識・スキルを身につけることによって、組織の発展へとつなげることにあります。しかし実際は、社員が知識・スキルを身につけるだけでは足りず、知識とスキルが実務に生かされることで初めて組織の発展につながるのです。

この研修転移の問題については、弊社も多くの経営者や人事担当者とお話しするなかで、幾度も耳にしてきました。なかには「社員は研修を受講したことは覚えているが、何を学んだかは覚えていない」という皮肉な悩みが挙がったこともあります。

どのような内容の研修でも共通して求められるのは、受講者の行動を変えること……つまり「行動変容」を起こし、組織としての利益につなげていくことなのです。

研修転移が注目される背景

研修転移が注目されるのは、多くの受講者が研修と実務の結びつきをあまり実感できていないためです。各種調査から、その実態を見ていきましょう。

まず、リ・カレント株式会社が実施した調査によれば、「研修で学習した内容やアクションプランを実際に仕事で使ったり、役立てたりするなど実践していますか」という問いに対し、36%が「実践していない(あまり実践していない 31.5%、全く実践していない 4.5%)」と回答しています。

参考:リ・カレント株式会社「会社の中の学び・組織風土に関する調査」

また、株式会社EdWorksが実施した調査では、「研修で学んだ内容を業務で活用できたか」という問いに対し、69%が「活用できなかった(あまり活用できなかった 36%、ほとんど活用できなかった 33%)」と回答しており、上の調査よりも顕著な結果が見て取れます。

参考:株式会社EdWorks「企業研修と研修効果に関する実態調査」

いずれも民間企業が実施した小規模な調査であるため、結果には差が生じていますが、「研修の学びが実務に結びつかない」と感じる受講者は少なからず存在しています。こうした研修と実務の結びつきの弱さから、研修転移の促進が重要視されているわけです。

研修に付きまとう3つの課題

なぜ研修での学びが実務に活きないのか不思議に思う方も多いでしょう。その原因として、研修に付きまとう3つの課題が挙げられます。

記憶への定着

冒頭でご紹介した「研修を受講したことは覚えているが、何を学んだかは覚えていない」というエピソードのように、研修には「受講者の記憶に定着しない」という課題があります。

勉強やスポーツもそうですが、新しい物事に挑戦する際、一度の取り組みでやり方を覚えられる人はほとんどいません。復習と実践を繰り返すことで、初めて学びは記憶として定着します。多くの研修は「やりっぱなし」になっていることが多いため、社員の記憶に定着しないのです。

実践の難しさ

とくに外部研修の課題として挙げられるのが、学びを実践する難しさです。

例えば、研修で業務効率化につながるという「○○分析」について学んだとしましょう。このとき多くの研修では、分析の効果や一般的なやり方を教えてくれるだけで、自社の置かれている状況や独自の慣習などを踏まえた「実践的なやり方」までは教えてくれません。

つまり、研修での学びを実務に活かすためには、学んだ内容を深く理解したうえで、高い応用力も必要となるのです。またそれだけでなく、新たな方法論を受け入れてくれる現場の雰囲気・環境も欠かせません。こうした実践への壁は、研修転移を阻害する最大の課題といえるでしょう。

実践へのモチベーション

上の解説のとおり、研修での学びを実践することは簡単ではありません。そしてほとんどの受講者は、この困難を乗り越えてまで研修での学びを実践するモチベーションがないのです。

自分が何年もかけて学んできた方法論であれば、意地でも周囲を説得して仕事で活かそうとするでしょう。しかし、研修で数時間、あるいは数日学んだ程度の知識・スキルには、そこまでの執着を持てないはずです。こうした実践への動機付けの部分は、とくに短期的な研修の大きな課題となっています。

研修転移を成功させるポイント

研修に付きまとう課題を踏まえて、具体的に研修転移を成功させるためのポイントをお伝えしていきます。

研修の目的や意図を共有する

研修転移を成功させるための最初のポイントは、受講者に研修の目的や意図を共有することです。

とくに研修の失敗につながりやすいのが「流行っているから」「いま必要と言われているから」といった抽象的な理由で実施される場合です。実施側が明確に解決したい課題や、スキルを活用してほしいシーンをイメージできていなければ、受講者の行動変容が起こらないのは必然といえるでしょう。

実際に前述の株式会社EdWorksの調査を見ても、「事前に上司から研修の受講意図や目的の説明があったか」という問いに対し、「説明があった(常にあった 12%、たいていあった 25%)」は37%に過ぎないという結果が出ています。

実施側と受講者側で研修の目的を共有し、どのような成果を期待するのかについて共通認識を持つことが、研修転移の第一歩となります。

受講者に「自分事」と思わせる

研修転移を成功させるためには、研修の内容を受講者に「自分事」と思わせることが欠かせません。どれだけ役立つ知識やスキルであっても「自分には関係がない」と思っていては、実際に活かすことができないからです。

研修の内容が受講者自身の過去の失敗や、いまモヤモヤしていることの解決につながれば、自ずと行動変容に至るでしょう。

現場と連携する

研修転移を成功させる絶対的な条件として、現場との連携が挙げられます。研修でせっかく知識やスキルを得たのに、現場に存在する様々な障壁によって活かす場がない……という失敗例は少なくありません。

実際に前述のリ・カレント株式会社の調査によれば、「あなたが研修を受講した後、上司から研修内容の実践に関して支援をされましたか」という問いに対し、「支援をされることはほぼなかった」が62.1%に上るという結果が出ています。研修転移を成功させるためには、新たな試みを率先して受け入れる風土が不可欠といえるでしょう。

実践形式の研修プログラムを取り入れる

社員研修の主流は座学・講義ですが、この形式は「記憶への定着」と「実践の難しさ」の問題のせいで、なかなか研修転移に至りません。そのため研修を行う際は、実際のビジネスシーンを想定し、手と頭を動かしながら学ぶ「実践形式のプログラム」を取り入れましょう。

実際に弊社の「ビジネス数学研修」も分析手法などの理論を学ぶだけでなく、自ら手を動かし考え、グループワークなどを通じて他者と議論することに重きを置いています。

効果測定の実施

研修転移を成功させるための最後のポイントは、効果測定の実施です。研修転移が実現できているかを定量的に評価する体制が整っていなければ、実施側の主観で独りよがりな研修ばかりが推し進められてしまいます。

ただ、研修の効果測定は難しく、研修後に表れた成果が「本当に研修の効果なのか」を証明するには高度な分析が必要となります。そのため、まずは「カークパトリックモデル(4段階評価法)」を下敷きとして、アンケートやヒアリングによって受講者の「反応」「学習」「行動」を評価することで効果測定とするのが良いでしょう。

なお、研修の効果測定のやり方やポイントについては「研修の効果測定とは カークパトリックモデルやアンケート項目を解説」で詳しく解説しています。

関連記事:「研修の効果測定 カークパトリックモデルやアンケートの活用法」

研修転移を重んじる弊社の研修プログラム

弊社オルデナール・コンサルティングが掲げるvalueは「ビジネス数学を通じて社会へ貢献しつつ『教育』をゴールとせずに『企業業績の向上』を実現する」と示しています。

実践形式の研修プログラムを取り入れるのはもちろんのこと、研修の最後には実務への活かし方をまとめる時間を設けて、「1週間以内に1回、2週間以内に2回、計3回のアウトプットを行う」という具体的な計画を立案します。

また、研修後の継続学習を支援する場として、オンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」を運営しており、ニュースや時事ネタを通じて日常的に数字に触れる機会を増やすことで、学びの定着を図っています。

「ビジネス数学研修」は9つの研修コンテンツを展開しており、なかでもビジネスで役立つ数字力を鍛える「数的センス向上トレーニング」は、入門編・基礎編・応用編・実践編と4段階で提供しているので、受講者のレベルや抱えている課題に合わせて学びを深めることができます。

「データ活用や統計・分析の研修を行なっても実務に活きない」「社員のレベルを上げる実践的な研修はないか」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ弊社の研修プログラムをご活用ください。

お問い合わせはこちらから