内定辞退率とは 2025年までの推移や辞退を招く原因を解説

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内定辞退率とは、内定を出した数に対して、それを辞退した内定者数の割合です。「売り手市場」を背景として内定辞退率は60%以上で推移し続けており、企業の採用コストを膨らますだけでなく、採用予定数の充足を困難にさせています。

そのため採用担当者には、自社の内定辞退率が上昇する原因を突き止め、改善していく取り組みが求められます。

今回は、内定辞退率の推移や内定辞退につながる主要な原因、内定承諾率を上げるためのポイントについて解説していきます。

内定辞退率とは

内定辞退率とは、内定を出した数に対して、それを辞退した内定者数の割合です。近年の各種調査によれば、新卒者の内定辞退率は年々上昇し、高止まり状態にあることがわかっています。

なお、内定辞退率の計算方法は以下の式で算出できます。内定辞退は内定者側の都合によって辞退することを指すため、企業側から内定取り消しや最終面接等での辞退は含みません。

内定辞退者数÷内定承諾数×100=内定辞退率(%)

内定辞退が発生することにより、最終面接までにかかる金銭的・人的コストが水の泡になってしまいます。また、内定辞退率が高いと採用予定数を満たすことも難しくなり、人員計画が狂うことで後々の経営戦略にまで悪影響を与えます。このように内定辞退は企業活動に深刻な影響を及ぼすことから、採用担当者の頭を悩ます課題となっています。

こうした状況を象徴するような出来事として、2019年には「リクナビ」が無断で学生の内定辞退率の予測データを企業に販売するという問題が起きました。学生に無断で確証のない予測データを販売したリクルートキャリアはもちろんのこと、データを購入した企業35社にも行政指導が行われています。

参考:「就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ」日本産経新聞、2019年8月1日

新卒採用の内定辞退率

リクルートの就職みらい研究所の調査によれば、2025年卒(3月卒業時点)の内定辞退率は63.8%となってます。近年の推移については、以下のとおりです。

〈3月卒業時点の内定辞退率の推移〉

2021年卒 57.5%

2022年卒 61.1%

2023年卒 65.8%

2024年卒 63.6%

2025年卒 63.8%

2021年卒から2023年卒にかけて顕著な増加傾向が見て取れ、2024年卒で約マイナス2ポイントの減少に転じましたが、2025年卒で63.8%となったことで高止まりの様相を呈しています。

参考:リクルート(就職みらい研究所)「就職プロセス調査(2025年卒)2025年3月度(卒業時点)内定状況」

なお、2025年6月現在の2026年卒生の内定辞退率は53.9%となっており、前年同月の56.4%、前々年同月の53.1%と比較してもさほど変化はありません。今年も変わらず、内定辞退率は高水準で推移することが予想されます。

参考:リクルート(就職みらい研究所)「就職プロセス調査(2026年卒)2025年6月1日時点 内定状況」

新卒者の内定取得数

内定辞退率が非常に高い数値になっている主な原因は、少子高齢化による人口減とそれに伴う「売り手市場」です。実際にリクルートの同調査によれば、2025年卒の内定取得数の平均は2.64社となっています。近年の推移については、以下のとおりです。

〈内定取得企業数の推移〉

2021年卒 2.25社

2022年卒 2.33社

2023年卒 2.5社

2024年卒 2.49社

2025年卒 2.64社

この推移を見てわかるとおり、学生の内定取得数は年々増加しています。なかには6社以上の内定を取得する学生が7.2%も存在しており、内定辞退が増えることは必然といえるでしょう。

中途採用の内定辞退率

中途採用の内定辞退率は、新卒採用と比べて低めです。これは「時間的余裕がなく、複数社へ応募すること自体が少ない」「新卒採用と異なり横並びで求人が出るわけではないので、選考が並行することがあまりない」などの要因が考えられるでしょう。

〈中途採用の内定辞退率の推移〉

2020年 16%

2021年 11.1%

2022年 7.9%

2023年 9.0%

2024年 9.3%

参考:株式会社マイナビ「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)」

この推移をみるとわかるとおり、中途採用の内定辞退は減少傾向にあります。これについてはダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、募集段階からマッチ度の高い人材にアプローチする手法が広まった影響が大きいと思われます。

内定を辞退されてしまう原因

企業規模や待遇面などの理由で他社を選ばれてしまうのは、はっきり言ってどうしようもありません。しかし、似た条件の同業他社と比較した際に内定を辞退されてしまう(他社を選ばれてしまう)場合は、その原因を解明して対策を打つ必要があります。

ここでは、内定辞退率の悪化につながる主要な原因について解説していきます。

選考スピードが遅い

内定辞退の増加につながる大きな原因として、選考スピードの遅さが挙げられます。

中途採用ほど決定的な差にはなりませんが、先に内定を出した企業のほうが印象が良くなるのは間違いありません。また、選考スピードから「企業全体の意志決定の早さ」を見極められている場合もあります。

ビジネスだけでなくプライベートのやりとりでも、レスポンスが悪い人物は信頼を損ねがちです。同様に選考時のレスポンスが悪いと、そのぶん候補者から志望度(優先度)を下げられてしまうことを肝に銘じておきましょう。

採用ターゲットの設定が不十分

採用ターゲット(人材要件)の設定が不十分だと、候補者側がミスマッチを感じて内定を辞退する可能性が上昇します。

わかりやすく極端な例を挙げると、営業の強い体育会系の企業が文系気質の候補者に内定を出しても、辞退されてしまう可能性が高いでしょう。

候補者側のキャリアプランや性格、世代ごとの価値観の違いなどを踏まえて、自社とのマッチ度が高い人材に内定を出すことが大切です。

オンライン選考しか行っていない

企業側・学生側にとっても恩恵の多いオンライン面接ですが、相互理解を深めるという点では劣る部分があります。

とくに社内の雰囲気などは、実際にオフィスへ足を運ばないとわかりません。仮に、同じ条件の2社から内定を得た場合、オンライン選考のみのA社と、実際に足を運んだ経験のあるB社なら「自分の目で確かめたB社にしよう」と考えるのが自然でしょう。

最低でも最終面接は実地(オフライン)で行い、面接前に会社を案内するなど、学生側の自社への理解が深まるような配慮が求められます。

口コミサイト、SNS上の評判が悪い

そもそも口コミサイト、SNS上の評判が悪いと応募自体を控えられる恐れがありますが、その後の会社案内や面接を通じて、疑惑を払拭することは可能です。ただ、オンライン選考が主体の場合はそうした機会が失われがちで、口コミサイトやSNS上での悪評が内定辞退率の上昇につながる可能性が高まっています。

この対策として重要なのは口コミなどの削除に力を入れることではなく、社員のエンゲージや顧客満足度を高めて悪評自体が流れないよう努力することです。

優先度(志望度)が低かった

新卒の学生は就職活動を成功させるために、必ず「滑り止め」の企業にも応募します。学生側が「本命」からの内定を得てしまった場合は、残念ながら内定を辞退されてしまうでしょう。

ただ、ここで重要になるのが、学生が滑り止めからしか内定を得られなかった場合です。このとき内定を得た学生は「本当に滑り止めだった会社に入っていいのだろうか」と、いわゆる「内定ブルー」のような状態になります。

企業側に求められるのは、内定者に「滑り止めのつもりだったけれど、この会社も良いな」と思わせる取り組みです。こうした積み重ねを続けることで、自然と内定承諾率は上昇していきます。

内定承諾率を上げるための5つのポイント

内定辞退率が上昇の一途を辿る現在、内定承諾率を上げて、必要な採用人数を確保するためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。5つのポイントから解説していきます。

内定者フォローの刷新・徹底

少子高齢化と人口減が背景にある以上、今後も内定辞退率は高い水準で推移するでしょう。そのため、採用活動における内定者フォローの重要性はより高い位置づけになります。

一例としては「先輩社員や内定者同士との懇親会を開く」「内定者研修でグループワークを行い、内定者間の連帯感を高める」といった具合に、入社までに人間関係の不安を払拭する取り組みが挙げられます。

ただし、内定者への研修に力を入れるあまり、参加を義務としつつ賃金を支払わなかった場合は、違法性を問われる可能性があるので注意しましょう。この点については「内定者研修とは 内容や違法になる例を解説」で詳しく解説しています。

インターンシップの導入

いま内定承諾率を上げる方法として最も注目されているのが、インターンシップの導入でしょう。法改正により、2025年卒予定の学生から正式にインターンシップと採用活動を結びつけることが認められ、新卒採用に新たな流れをもたらしています。

実際に社内で就業体験をすることからミスマッチの防止につながり、自社に魅力を感じてもらえれば早期囲い込みができるなど、大きなメリットがあります。

なお、インターンシップの目的と受け入れ方法については「企業側に必要なインターンシップの受け入れ準備」でも詳しく解説しています。

各フェーズの歩留まり率の改善

採用計画数を充足させるために欠かせないのが、各フェーズの歩留まり率を改善することです。採用活動における歩留まりとは、採用フローのなかで各フェーズに進んだ人数の割合のことです。

各フェーズごとの歩留まり率を改善していけば、必然的に内定承諾率も向上していきます。また、歩留まり率を把握して選考通過者に余裕を持たせておくことでも、採用計画数にズレが生じるリスクを減らすことができます。

なお、採用の歩留まりについては「採用における歩留まりとは」で詳しく解説しています。

面接官のトレーニング

内定承諾率を上げるためには、採用面接官のトレーニングを行うことも大切です。実際に面接官の対応や印象は、候補者の入社意欲に大きな影響を与えることがわかっているからです。

エン・ジャパンの調査によれば、「面接や企業の対応によって『この会社には入社したくない』と思ったことがある」と回答した人のうち、その原因として最も多かったのが「面接官の態度が不快だったため(49%)」となっています。

参考:エン・ジャパン株式会社「『エン転職』1万人アンケート(2022年8月)「企業・面接官対応の応募者への影響」調査」

会社全体で好待遇を用意し、内定辞退を減らすための取り組みを進めたとしても、面接官の応対ひとつで入社意欲が損なわれる可能性があるわけです。また、自社にマッチした人材を見極めるうえでも、面接官のスキルアップは欠かせません。

なお、面接官のトレーニングについては「面接官にトレーニングが必要な理由 面接官に求められるスキルと役割とは」で詳しく解説しています。

柔軟な働き方の推進

内定承諾率を上げるための取り組みとして、柔軟な働き方の推進も欠かせません。

実際に株式会社学情が2026年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象に実施した調査によれば、「『リモート勤務』制度がある企業は志望度が上がりますか?」」との問いに対し、7割を超える学生が上がると回答しています(「志望度が上がる」26.9%、「どちらかと言えば志望度が上がる」43.4%)。

参考:「7割超の学生が、『リモート勤務』制度がある企業は志望度が上がると回答。『通勤時間の削減に繋がり、時間を有効活用できる』の声」

現在の新卒者はコロナ禍でオンライン授業を経験した世代であり、リモートの利便性を最も体感しているといえます。そうした世代への訴求として柔軟な働き方の推進は、欠かせない取り組みといえるでしょう。

内定辞退率の分析に欠かせない「数字力」

内定辞退率が上昇し続けるなかで、採用担当者には「数値の実態を見極める力」が求められます。例えば、全国的な内定辞退率の平均と自社の数値の差から、自社の改善点を見出していくことが必要となります。

しかしその一方で、人事部や採用担当者のなかには「数字を扱うのが苦手」「データから情報を読み取れない」といった、数字に対する苦手意識を持つ方が少なくありません。こうした採用体制だと各種のアクションプランが感覚的なものになりがちで、「なぜこの施策が成功(失敗)したのか」の振り返りも難しくなります。

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