KPIマネジメントとは メリットや導入の流れを解説
KPIマネジメントとは、KPIを活用して目標達成までの進捗を管理するマネジメント手法です。KPIマネジメントを導入することによって日々の業務の目標が明確となり、評価基準の透明化や業務改善にもつながりやすくなります。
今回はKPIマネジメントとは何かを踏まえたうえで、求められる背景や得られるメリットなどについて解説していきます。
KPIマネジメントとは
KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字であり、重要業績評価指数と訳されます。簡単にいえば、組織や個人などが目標達成に向かって順調に進んでいるかを確認するための道標(中間目標)です。
転じてKPIマネジメントとは、KPIを活用して目標達成までの進捗を管理するマネジメント手法を意味します。
KPIマネジメントが必要とされる背景
なぜ近年、KPIマネジメントが注目されているのでしょうか。その背景について解説します。
ビジネス環境の複雑化と加速
KPIマネジメントが必要とされる主な背景として、ビジネス環境の複雑化と加速が挙げられます。
技術革新によって世界中が密接に関わるようになり、ビジネスシーンはめまぐるしく変化するようになりました。人々の価値観も多様化し、SNSなどを通じて刻一刻とニーズは変化します。
このような環境下では、目標へ到達するまでのあいだにも様々な変化が訪れます。変化する状況のなかでは、自社(自身)がどういった立ち位置にあるかを把握するのも困難となるでしょう。
そのため、KPIを設定することで、現在地の確認や軌道修正を迅速かつ正確に行う必要があるのです。
働き方の多様化
人々の働き方が多様化していることも、KPIマネジメントが必要となる背景のひとつです。
リモートワークの普及や育児・介護による時短勤務、ダイバーシティ推進による多様な人材の登用などによって、誰もが一律の働き方をする時代ではなくなりました。
社員によって仕事に携わる時間や場所も異なる環境下だからこそ、社員それぞれのパフォーマンスを向上させるための仕組みが必要となります。社内のリソースを最大限活用するうえでも、KPIマネジメントが求められるわけです。
限られた人員での生産性向上
KPIマネジメントは、社内の生産性向上を図る目的でも用いられます。少子高齢化を背景とした人口減と採用難により、「量」で生産性を維持するのは難しい状況であり、限られた人員を最大限に活かす仕組みが求められているからです。
とくに日本企業は長時間労働や定例化した会議など、無駄が多いと指摘されます。KPIマネジメントによって、こうした目標達成に不要なプロセスを排除していくことでも、生産性の向上が期待されるわけです。
KPIマネジメントによって得られる3つのメリット
KPIマネジメントを導入することにより、具体的にどのようなメリットが得られるのか解説していきます。
業務における目標が明確になる
KPIマネジメントのメリットとして、日々の業務の目標が明確になることが挙げられます。
社員が「この業務が何に必要なのか」「いつまでこの業務をすればいいのか」といった疑問を感じていると、モチベーションはどんどん低下していきます。
その点、具体的なKPIが提示されれば、目標達成までの行動がイメージしやすくなり、自身の業務の進捗状況も把握しやすくなります。
業務改善を行いやすくなる
KPIマネジメントを導入することにより、業務改善がスムーズになります。
とくにKPIは最終的な目標を達成できなかった場合に効果を発揮します。KPIを設定していないと、プロセスのどこに問題があったか原因究明を行うのに、大変な労力が必要となるからです。
KPIによって定期的に途中経過を確認すれば、業務プロセスのどこに問題があるかが一目瞭然です。必要に応じて業務の改善・目標の修正などを行えば、最終的な目標達成の確率が上がっていくでしょう。
評価基準の透明化
KPIマネジメントによって各業務の目標が定量的になることで、社員の評価が透明化されます。
管理部門をKPIの達成・未達成で評価を行いやすくなり、社員間での評価に対する不満も生じにくくなるでしょう。
KPIマネジメントを行う際の流れ
KPIマネジメントを行うには、具体的にどのような取り組みや準備が必要なのか解説していきます。
KGIの設定・確認
KPIマネジメントで最初に行うのが、KGIの設定です。KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標という意味で、最終的な数値目標、つまりゴールのことです。
ビジネス上の目標がすでにある場合は、より具体的にすることが大切です。「新卒採用数○人」といった具合に、定量化して設定しましょう。
KGIとのギャップを洗い出す
KGIの設定・確認の次は、その数値目標と現状のギャップを洗い出していきます。このギャップを埋める作業が、後にKPIの方向性へとつながっていきます。
なお、あまりにも目標と現状の乖離が大きいときは、KGIを見直すことも考慮しましょう。
ギャップを埋めるためのCSFを設定する
次に行うべきは、CSFの設定です。CSF(Critical Success Factor)は重要成功要因と訳され、目標を達成するために重要となるアクションを指します。
目標と現状のギャップについて、その差を埋めるためにどんなアクションが必要かを検討していきましょう。
このときに行うべきなのが、ゴール(目標値)までの要素を分解していき、アクションを検討する取り組みです。
例えば、目標の採用人数を達成するための要素としては、「書類応募数」「スカウト数」「一次面接通過数」「内定数」などが挙げられます。これら要素について、「求職者からの書類応募数を増やす」「内定辞退を想定して内定数を多めにする」といったアクションがCSFとなります。
KPIの設定
最後に、CSFからKPIを設定していきます。上の「書類応募数を増やす」を例に考えると、「スカウトメールの送信数」「求人広告の閲覧数」といったKPIが浮かび上がってきます。
これらKPIに具体的な数値目標を設定し、達成を重ねていくことで、最終的な目標へと近づいていくわけです。
KPIマネジメントを行う際の注意点
KPIマネジメントを行う際には、いくつかの注意点があります。
コントロールができない要素に気をつける
KPIにコントロールできない要素が多く含まれていると、努力だけでは目標を達成できなくなってしまい、社員のモチベーションを下げる原因となります。
ここでは、内定辞退率を例に考えてみましょう。内定者辞退の問題は、「売り手市場」という一担当者の努力ではどうしようもできない背景があります。また、待遇や知名度といった、会社自体の魅力が原因で内定を辞退されることもあるでしょう。
こうしたコントロールできない要素が多い課題について、「内定辞退率を10%以下にする」といったKPIを設定してもモチベーションを下げるだけです。
もちろん、内定者フォローの取り組みを増やすことで、内定辞退率を改善させることは不可能ではありません。KPIは社員のコントロール外の要素を省き、現実的に達成可能な範囲で設定しましょう。
環境変化や戦略の変更に合わせて改善する
KPIは環境変化や経営戦略の変更に合わせて、より適したものへ改善し続けていく必要があります。
現場の社員は実情に即していないと感じていても、KPIを達成しないと評価が下がるため、KPIマネジメントのとおりに業務を行うしかありません。
KPIは一度設定すれば終わりではなく、絶えず見直しを続けなければいけません。
まとめ
ビジネス環境の複雑化や働き方の多様化などを背景として、KPIマネジメントの必要性が高まっています。
導入にあたってはKGIから徐々に焦点を絞っていき、最終的なゴールとKPIがしっかりと結びつくよう設定していく必要があります。
また、KPIマネジメントは一度導入すれば終わりではなく、環境変化や戦略の変更に合わせて改善を続けていくことが大切です。
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