属人化の何が悪いのか 悪くない属人化の例や解消法を解説
属人化とは、業務の管理や知識が個人に属してしまうことです。属人化の何が悪いかというと「業務の停滞」「ノウハウのブラックボックス化」「特定の人物への業務過多」などのリスクを招くからです。
悪くない属人化として「高度な技術が求められる場合」や「革新的な取り組みの結果」なども挙げられますが、リスクとなる属人化は解消する必要があります。
今回は属人化の何が悪いのかをテーマとして、悪くない属人化の例や属人化の解消に必要な取り組みについて解説していきます。
属人化とは
属人化とは、業務の管理や知識が組織ではなく個人に属してしまうことです。簡単に言えば、仕事の最中に「あの人がいないと仕事が進まない」「代わりに担当できる人がいない」といった状態になることです。
なお、属人化の対義語は「標準化」で、仕事の手順や仕様などを統一することで、誰が担当しても同じ成果・品質を生み出せる状態にすることを意味します。ファストフード店のマニュアルがその代表例といえるでしょう。

属人化の何が悪いのか
従業員視点だと「属人化の何が悪いのか」と疑問に思われる方もいるかもしれません。ここでは、属人化が組織に対してどのようなデメリットやリスクをもたらすのかについて、解説していきます。
業務が停滞する
属人化によるリスクとして最もわかりやすいのが、業務の停滞です。特定の人物が不在になった際、その業務を誰も代替できない状態だと機会損失や顧客からの信頼低下などにつながります。
これが一時的な休暇などであれば大きな問題にはなりませんが、休職・離職などによって長期的に業務が停滞する場合、事業全体に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
トラブルへの発展
属人化された業務は、大きなトラブルを招くリスクがあります。極端な例ですが、社員Aから仕事で必要なアラビア文字の報告書が上がってきたとして、あなたは添削できるでしょうか。クライアントを激怒させるような表現があっても、確認できないですよね。
このように属人化された業務は、ダブルチェックが機能せずにミスが見落とされるリスクが非常に高くなります。また、作業者自身も「どうせ誰も気付かない」と手を抜く可能性が高まるため、クオリティの低下の恐れもあります。
ノウハウがブラックボックス化する
属人化は、業務に関するノウハウや知見のブラックボックス化につながります。会社として対応できているけれど、その仕組みはわかっていないという状態になってしまうわけです。
ノウハウ・知見を有する人材がずっと社内に在籍してくれるのであれば良いですが、離職してしまった場合は業務の継続が困難となり、顧客との信頼関係まで失われることになります。
また、後任も育たないことから、最悪の場合は事業やプロジェクトの継続にも影響を与える、深刻なリスクといえるでしょう。
特定の人物への業務過多
属人化は組織だけでなく、社員側にとってもリスクとなります。その代表例が、特定の人物に対する業務の集中です。「あの人にしかできないから」と業務が集中してしまい、業務過多になってしまうわけです。
本人にも「自分がいないと仕事が回らない」という強迫観念が芽生えやすくなり、体調不良でも休めない状況に追いやられてしまいます。無意識のうちに強いストレスがかかり続けてしまうため、休職・離職のリスクを高める点も大きな問題です。
また、こうした業務過多の社員に対して組織側がケアや評価を行わないと「自分は正当な評価を受けていない」と感じやすくなり、やはり離職リスクを高める原因となります。

悪くない属人化もあるのか
ビジネスにおいて属人化は多くの場合で「悪いこと」と見なされ、実際に上に挙げたようなリスクを招きます。しかし、すべての属人化が悪というわけではありません。ここでは、それらの具体例について解説していきます。
失敗が許されない・高度な技術が求められる場合
まず「業務の属人化は悪いことなのか」という問いに対する答えは、明確に否となります。特定の人材が業務を独占することは、医師や弁護士を始めとする「業務独占資格」として社会的に認められているからです。
つまり「高度な知識・技術が求められる」「業務の失敗が社会的に大きな損失となる」といった業務の場合、属人化した状態がむしろ推奨されているわけです。これは業務独占資格に限った話ではなく、身近なビジネスにおいても多かれ少なかれ生じています。
革新的な取り組みの結果
悪くない属人化の例として、革新的な取り組みの結果の属人化が挙げられます。むしろこうした属人化は、イノベーションのきっかけとなる歓迎すべき事象といえるでしょう。
属人化を防止するために標準化を推進し過ぎると、試行錯誤の余地がなくなり、業務の創造性が欠けていきます。結局、属人化の防止に力を入れすぎても組織としての競争力が低下する恐れがあるわけです。
この場合は属人化が悪いというよりも、属人化した業務・ノウハウを継承できない育成制度や評価制度を問題視すべきといえるでしょう。
モチベーションの向上
業務の属人化は、従業員側にとってメリットの多い状態です。業務やプロジェクトの中心となり、組織のなかで一目を置かれて自己肯定感も高まります。また、業務を「自分事」として捉えやすくなるので、総じてモチベーションの高い状態で業務に臨むことができます。
「トラブルへの発展」「業務の集中」で挙げたような問題を回避できるのであれば、組織にとっても生産性の高い状態を維持できるわけです。

属人化を解消するための方法
組織にとってリスクとなる属人化を解消するためには、どのような取り組みが必要なのか解説していきます。
業務の棚卸し
属人化の解消のためにまず必要となるのが、業務の棚卸しです。業務の棚卸しとは、社内の業務を洗い出していき、整理していく取り組みのことです。具体的には、業務に携わる社員や業務量、承認フローなどをまとめていくことにより、社内で発生している属人化を可視化していきます。
なお、属人化が複数のフローで発生している場合は「業務が止まったときのリスクの大きさ」や「標準化のしやすさ」などで評価し、優先順位をつけてから一つずつ改善に取り組みましょう。
なお、業務の棚卸しについては「業務の棚卸しとは 4ステップに集約したやり方を解説」でも詳しく解説しています。
マニュアルを作成する
属人化を解消するための基本ともいえるのが、マニュアルの作成です。マニュアル化は「誰が担当しても同じ品質を生み出す」ための取り組みであり、属人化の対極といえるでしょう。
業務の目的や手順、注意点などを図や写真を交えてまとめていき、新しくその業務を担う人でも理解しやすいようにすることが大切です。
ただし、マニュアルの作成には労力がかかりますし、なかには「自分が努力して積み上げた知見やノウハウを共有したくない」と考える人もいます。社員の協力を得るためには、下で解説する「ノウハウや情報を共有する仕組み作り」を整えることが重要となります。
ノウハウや情報を共有する仕組み作り
属人化を解消するためには、ノウハウや情報を共有する仕組み作りも欠かせません。情報共有を行おうとしても「フォーマットがない」「気軽に情報共有できるツールがない」といった状態では、わざわざ業務の合間を縫ってノウハウや情報を共有しようとは思えないからです。
属人化は「業務に掛りきりで情報共有を後回しにする」といった理由から生じる場合もあるため、情報共有を行いやすいツールの導入や、人材育成への貢献(後輩への指導など)を評価する制度が必要となるでしょう。

データを根拠とした意思決定が属人化を解消する
属人化の対策にも色々な方法がありますが、そのなかでもおすすめしたいのが組織全体で「データをもとにしたアクション」を取り入れることです。
とくに営業職などの属人化は経験や知識量の差によって生じてしまうことが多いですが、データを根拠とすることで経験や知識量に左右されることなく、誰でも公平かつ説得力のある意思決定を行えるようになります。
ただ、いきなり「データをもとに仕事をしろ」と指示を出しても、データや数字に苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。それこそデータ活用のノウハウがない組織では、すぐに計画は頓挫してしまうでしょう。
そんな企業様におすすめしたいのが、弊社の「ビジネス数学研修」です。弊社の研修は「数字やデータに対する苦手意識の解消」をテーマのひとつとして掲げており、受講者のレベルや職位に合わせて数字・データの扱い方を学んでいきます。
例えば「入門編」では、下のような企業別売上高のグラフから「読み取れる事実・仮説を10個以上を挙げる」という課題に取り組みます。

この取り組みの狙いは「現状把握」「仮説立案」「検証・実行」のプロセスを学ぶことにあり、数学の問題のような正解はありません。このように、正解のないビジネスシーンで役立つ、数字・データを根拠としたアクションプランの立て方を学んでいくのが「ビジネス数学研修」なのです。
ほかにも弊社の研修では「数字を活用した誤解を生まないコミュニケーション」や「データを根拠とした意思決定」など、それぞれの階層や課題に合わせた計9種類のプログラムをご提供しております。 「社内の属人化を解消したい」「データを根拠とする文化を根付かせたい」といった課題にお悩みであれば、ぜひ弊社の研修をご検討ください。
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