営業力とは、顧客との関係性を構築して製品・サービスを販売し、継続的な利益をもたらす力のことです。より具体的に言うと、営業力がある人は人間力やコミュニケーションスキル、課題発見力などを持っています。
どうすれば営業力を強化できるかというと「ハイパフォーマーを模倣する」「フレームワークを活用する」「営業分析の実施」などの方法が挙げられます。
今回は営業力をテーマとして、営業力がある人の特徴や営業力の強化方法について詳しく解説していきます。
営業力とは
営業力とは、顧客との関係性を構築して製品・サービスを販売し、継続的な利益をもたらす力のことです。
営業力と聞くと単に「物やサービスを売る力」と思いがちですが、営業職の目的は「組織の利益を最大化するための活動をすること」にあります。「営業は数字が全て」という言葉もありますが、営業力には顧客との信頼関係の構築や商材への理解など、複合的な要素が含まれるのです。
※営業は数字が全てという考え方については「営業は数字が全てなのか この価値観がもたらす影響を解説」でも詳しく解説しています。
ただ一方で、コミュニケーション能力の一点突破で高い営業力を発揮する人などもいるので、簡単には測ることができない奥の深い能力といえるでしょう。

営業力がある人の特徴
営業力とは、具体的にどのようなスキルを指すのか疑問に感じている人も多いと思います。それを理解するためには、営業力がある人の特徴を分析するのが効果的です。ここでは、営業力がある人に共通する代表的な特徴について見ていきましょう。
人間力
営業力がある人の特徴として必ず挙がるのが、人間力です。内閣府人間力戦略研究会によれば、人間力とは「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されており、さらにこれを構成する要素として「知的能力的要素」「社会・対人関係力的要素」「自己制御的要素」が示されています。
参考:内閣府 人間力戦略研究会 「人間力戦略研究会報告書」
このなかでも営業においては、規範意識や忍耐力、成功を追求する力といった、顧客からの信頼を勝ち取るための要素がとくに重要となるといえるでしょう。
実際、営業のなかには不思議と結果を残す人がいますが、これも突き止めていくと顧客のことを第一に考えて行動できる向上心や気配りといった、可視化しにくい人間力によって活躍している場合が少なくありません。
コミュニケーションスキル
営業力がある人の特徴として最も重要視されるのがコミュニケーションスキルでしょう。上の「人間力」と重なる部分がありますが、ここで言うコミュニケーション能力は「ヒアリング力」と「伝える力」がポイントとなります。
まずヒアリングですが、その目的は顧客のニーズを引き出すことにあります。そのためには傾聴の姿勢だけでなく、的確な質問力なども欠かせません。
次に、伝える力です。顧客のニーズを引き出したうえで、いかに自社の商材の魅力を顧客に売り込むかが重要となります。もちろん、そこには交渉力やプレゼン力などが含まれます。
この両方が機能して初めて営業として求められるコミュニケーション力へと結びついていくわけです。
なお、ビジネスにおける伝え方については「ビジネスにおける伝え方を磨くトレーニング法とフレームワーク」でも詳しく解説しています。
課題発見力・分析力
営業力がある人は、課題の発見力・分析力に優れています。上のヒアリング力と深く結びつく要素であり、顧客の話や置かれている状況を分析し、発見した課題やニーズと自社の商品・サービスを結びつけることで、成果へと結びつけていくわけです。
ビジネスにおけるニーズや課題は、すべてが表面化しているわけではありません。むしろ「原因はよくわからないが、上手くいかない」「将来に対する漠然とした不安」といった顕在化していない問題のほうが大半を占めています。顕在化していない問題を発見・解決することで、顧客からの信頼は飛躍的に高まるでしょう。
商材や業界などに関する知識
営業力がある人は、商材や業界に関する知識を持っています。自社の商材に関する知識は当然ながら、顧客が直面している課題や要望を把握するためには幅広い知識が必要となるからです。
他業種への提案が必要な業態であれば、顧客の業界に関する知識が求められます。グローバルに展開する商材ならば、世界情勢に関する知識も欠かせないでしょう。また、顧客の趣味嗜好に関する知識を身につけて、話を盛り上げるというのも営業テクニックのひとつです。
知識を広げる・深めることで、確実に営業力は向上していきます。営業力の高い人は、知的好奇心を持っていると言い換えてもよいかもしれません。

営業力を強化する方法
営業力を上げたいと思っても「人間力やヒアリング力はどうやったら身につくんだ?」と壁にぶつかってしまう方がほとんどだと思います。ここでは、営業力を強化するための具体的な方法について解説していきます。
ハイパフォーマーを模倣する
営業力を上げるための効果的な方法として、ハイパフォーマーを模倣することが挙げられます。
社内のハイパフォーマーは、同じ商材・条件で成果を出している存在です。その取り組みを真似れば、成果を上げられる可能性が高まるでしょう。
ただ、営業は競争が厳しい部署であるため、指導を求めても応じてもらえるとは限りません。ですから、古臭いやり方に思えるかもしれませんが「見て盗む」ことも必要になるでしょう。
ロールプレイを行う
ロールプレイは、営業力を上げるための訓練として欠かせない取り組みといえるでしょう。
いくら事前に受け答えを想定しても、実際に他人を相手にすると思いもよらない答えが返ってくるものです。自分では良い売り文句だと思ったものが、思いの外響かないこともあるでしょう。
伝え方やヒアリングは実践形式でないと伸びない部分もあるため、営業力を伸ばしたいのなら本番を想定したロールプレイを行うことが大切です。
フレームワークを活用する
営業力を上げるためには、フレームワークを活用して自身の営業プロセスやアプローチを見直すことも効果的です。
例えば、営業プロセス改善のフレームワークとして「MEDDIC」が挙げられます。MEDDICは以下の要素について検証を行うことにより、受注確度の予測や案件管理に役立つというものです。
・Metrics(測定指標):顧客が自社の商品・サービスを導入することで得られる価値
・Economic Buyer(決裁権者):顧客の組織内で最終的に商品・サービスの購入を決断する人物
・Decision Criteria(意思決定基準):顧客の組織内で商品・サービスの選択する際の判断基準
・Decision Process(意思決定プロセス):顧客の組織内で商材の購入を決定するまでの流れ
・Identify Pain(抱えている課題):顧客が抱えている問題・不満
・Champion(擁護者):顧客の組織内で自社の商品・サービスを支持してくれている人物
こうした様々なフレームワークを活用することによって、新たな視点や見落としていた問題点を発見することができます。
営業分析の実施
営業力を上げるための取り組みとして、営業分析の重要性が年々高まっています。勘や経験則だけでは、市場の目まぐるしい変化やニーズの多様化に対応できなくなっているからです。
営業分析の基本と言われるのが「動向分析」「要因分析」「検討分析」です。まずは、この一連の分析に取り組んでみるとよいでしょう。
・動向分析:業界における商品・サービスの動きを分析します。具体的には、市場のトレンドの確認や競合他社との売上比較などを行います。あくまでもざっくりとした動きを捉える分析であり、その他の分析を行う際の土台となります。
・要因分析:市場や業界の動向に影響を与えている要因について分析していきます。例えば、競合他社の売上が大きく伸びている時期を発見したら、その理由について仮説を立てていきましょう。
・検証分析:要因分析で立てた仮説について検証を行います。仮に、競合他社の売上が大きく伸びた要因が「インフルエンサーによるプロモーション」と推測できるならば、実際に同様の施策を打ってみるといった検証を行いましょう。

数字力を身につけて営業力を高めよう
ここまでの解説のとおり、営業分析の実施や課題発見力の向上を目指す際には、数字やデータを読み解く力が求められます。
しかし、人間力を武器に活躍する人のなかには「仕事でデータを活用するのは苦手」と言う方も少なくありません。営業は数字と深く関わる職種ですから、さらなるレベルアップを目指すのであれば数字やデータに対する苦手意識を克服する必要があります。
そんな営業力の向上を目指す方におすすめしたいのが、弊社の「ビジネス数学研修」です。弊社の研修では数字やデータの扱い方を「入門編」から「実践編」の4段階で学んでいき、受講者のレベルに合わせてデータリテラシーを育んでいきます。
例えば「入門編」では、下のような企業別売上高のグラフから「読み取れる事実・仮説を10個以上を挙げる」という課題に取り組みます。これはまさに、営業分析における動向分析そのものですね。

データに対する苦手意識の原因は「データの見方・扱い方がわからない」というアプローチに問題がある場合がほとんどですから、「現状把握」「仮説立案」「検証・実行」のプロセスを実践的に学んでいくことで、効果的に苦手意識を解消することができます。
なお、個人で「営業に必要な数字力を高めたい!」という方には、弊社が運営するオンラインサロン「社会人の数字力向上サロン」をおすすめしております。サロンでは時事ネタなどをテーマとして、楽しみながら数字やデータに触れてスキルアップできる環境が整っていますよ。
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